交通事故の加害者に誠意が見られない場合、被害者として何ができる?

怒る

加害者が不誠実な対応を示してきた場合、示談には絶対に合意しないことが大事となります。弁護士の力を借りて調停・裁判へと進まないと、本当の意味で加害者に罰則を与えることはできないためです。一旦合意してしまった示談内容はほとんど取り消すことができません。

加害者の対応に満足できない時、被害者は何ができるのか?

交通事故の示談交渉を、事故の当事者同士で直接行うことは少なくなっています。

加害者が加入する任意保険の示談代行サービスなどを利用し、加害者側は保険会社が派遣してくる示談交渉専門の担当者が、被害者との話し合いにあたるといったパターンが普通になってきました。

事故解決の専門家が間に入った方が、示談交渉がスムーズに進むこともあるのですが、事故後に加害者が一度も謝罪に来ないという事で割り切れない気持ちになる被害者も少なくありません。

被害者の誠意が見られないという怒り

加害者が示談交渉をすべて保険会社に任せっきりにした場合、往々にして「加害者に誠意が見られない!」「謝意くらい示したらどうか?」「態度が悪過ぎる!」と被害者の心証が悪くなることがあります。

そのような事態が発生した場合、保険会社の交渉担当員が気を利かせて、加害者の詫び状の一本でも持ってくればまだ良いのですが、示談交渉を保険会社に丸投げして、本当に何もしない加害者もいるのです。

被害者として、何かできることはないのでしょうか?

弁護士を雇い、徹底的に戦うという選択も

2016(平成28)年の交通事故発生件数は、499,232件で、負傷者数は617,931人、死者数は3,904人でした。

加害者に損害賠償責任が発生する交通事故の約9割は示談で解決すると言われていますが、言い換えてみれば、残りの1割は調停や裁判といった、問題解決の方法を取っていることになります。件数にしてみれば、かなり多いということが分かります。

交通事故に遭う前は、調停や裁判といった世界はまるで縁のないものでしたが、不幸にも事故に遭ってしまった限りは、大げさと言っても良いほどの手段を持って戦うべきでしょう。

数カ月で元の生活が取り戻せるような軽傷事故ならまだしも、一生後遺障害を背負って生きていかなくてはいけなかったり、大切な人を亡くしてしまったりする重大事故においては、弁護士の力を借りて可能な限りの慰謝料を得るべきでしょう。

示談交渉における、加害者との関係性

前述の通り、加害者自身が示談交渉の場に出てくることは少なくなりました。しかしいくら保険会社の交渉担当員を間に挟んだとしても、加害者の罪の意識や反省の態度は伝わってくるものです。それは提示してくる慰謝料の金額に表れたり、金額以外の部分で感じ取られたりします。

交通事故における示談金額の相場を知っておくこと

提示された金額や支払い条件が、誠意のあるものかどうかは、相場を知らないと判断がつきません。

しかし実際にかかった治療費などはさておき、どこまで請求することが認められるのか、また慰謝料の相場などは一般的にはあまり知られていません。

いわゆる自賠責基準そのままの、あまりにも低すぎる金額を提示してくるようならば、加害者の誠意がないということになりますので、示談には応じるべきではありません。

弁護士(裁判)基準の慰謝料を得るために

交通事故の慰謝料には、自賠責基準、任意保険基準、弁護士(裁判)基準といった金額の基準があります。そしてある程度、事故の状況や負傷の内容、治療期間や後遺障害のあるなしなどの要素が勘案され、慰謝料額の相場というものが決まっています。

「弁護士に依頼すると慰謝料が上がる」といった文言をよく見聞きすると思いますが、その通り、慰謝料の額は、自賠責基準≦任意保険基準<弁護士(裁判)基準という図式で表されます。

弁護士に交渉を依頼すれば弁護士費用などがかかりますが、それだけ多くの慰謝料を得る可能性が高くなるということです。

加害者の提示した慰謝料の金額に誠意が感じられない場合は、弁護士に相談することをお薦めします。それが結果的に、加害者に罪の意識を感じさせることにもなるでしょう。

納得できない示談内容には絶対に応じないこと!

示談とは民法上の和解の一種で、示談書に署名捺印することで交通事故の損害賠償に関する合意を行うものです。そして一旦合意してしまうと、内容を変更したり取り消したりすることが非常に難しいものとなります。

安易に妥協せずに、慰謝料額が本当に妥当なものなのか、その金額で生活を再建させることができるのかを考え、合意は慎重に行うべきです。

もちろん表向きの金額だけではなく、加害者本人の誠意や謝意を求めるのも良いでしょう。

それも含めて、交通事故の加害者と被害者の和解となるのです。

示談で合意してしまえば、その先の調停や裁判に進むことはかなり難しくなりますので、慰謝料の額については弁護士のアドバイスを得て、加害者の態度については本当に受け入れられるものかどうかを熟考して、示談に応じるべきです。

一般的な交通事故の場合には損害賠償請求権に3年の時効がありますが、慌てて示談に応じずにじっくりと考える余裕はあるでしょう。

民事以外で交通事故加害者を罰するのは難しい

もし示談に合意してしまったら、「やっぱり加害者を許せない!」と被害者が考えても、加害者を罰するためにできることは非常に限定的です。

加害者の代理人となる保険会社の担当員の押しに負けて、十分な慰謝料を得られずに渋々示談に合意してしまった被害者も実在します。しかし加害者がまったく反省していないと知り、「訴えて刑務所に送り込みたい!」と考えても、被害者ができることはないに等しいのです。

せいぜいインターネットのホームページや掲示板にやるせない気持ちを書き込むか、友人知人に愚痴をこぼすくらいしかありません。

反省の色が見えない交通事故加害者に報復する方法は?

実際に、自分が起こした事故に対して何の反省もしていない加害者はいます。

そういう不心得者に対して二度と過ちを犯さないよう、しっかりとした刑罰を受けさせる方法は非常に少なく、かつ可能性は低いものになると言わざるを得ません。

刑事および民事において、交通事故の加害者に刑罰を科す方法はいろいろありますが、ケースによって使える方法が限定的となることと、報復の意思を持って訴えを起こした時に被害者の望み通りの結果となるとは限らないからです。

刑事訴訟において加害者を起訴できるのは検察となり、被害者ができるのは警察・検察への告訴まで。
実際に告訴が認められ、加害者を起訴できるとは限りません。

民事訴訟においては、一旦示談に合意してしまえば、それが重要な裁判の証拠となってしまうのです。

適切な賠償を加害者に求める

「加害者の不誠実な態度が我慢できない!」と感じたのが示談の交渉中であれば、決して妥協せず、求める慰謝料の金額を増額させることもできます。

慰謝料は、精神的な苦痛に対して支払われる賠償金ともなりますので、不誠実な加害者に増額を求めてしかるべきものです。

決して諦めて折れることなく、交渉を続けることが、結果として加害者を罰することにもつながります。

正しい法知識で交渉に臨む

誠意のない加害者は、増額された慰謝料の支払いを拒むでしょう。

そうなれば示談は合意に至らず、調停や訴訟に進みます。

裁判に臨むには、弁護士の力が必ず必要になります。

弁護士を雇う金銭的な余裕がなくて、諦めてしまう被害者の方もいるかもしれませんが、法テラスの「民事法律扶助業務制度」などを利用すれば、無料相談や弁護士費用立て替えを受けることができます。

正しい法知識と手続きを行えば、加害者に精神的かつ金銭的な罰則を与えることは可能となるのです。

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