遺産分割協議でよくあるケースとその解決方法
遺産分割協議でよくある疑問・質問Q&A
遺産分割協議は相続人全員の合意が必要です。相続人が家族だけという場合はそれほど大きな問題にはならないでしょうが、今まで顔を合わせたことがないという親戚や、仲の悪い親戚を交えて話し合うなど、トラブルが起こる場合があります。
遺産分割協議でよくある問題点を見てみましょう。
協議に応じない相続人がいる場合
夫が70歳で死亡しました。相続人は妻である自分と夫の兄、姉、妹の4人です。全員が集まって話し合いをしたいのですが、夫の姉と妹の仲が悪く、絶対に顔を合わせたくないと言います。どうすればいいでしょうか。
遺産分割協議は相続人全員で行います。誰か1人が参加せずに話し合いをまとめたとしても、その結果は無効になってしまいます。
遺産分割協議を行う方法
- 協議に参加しないと遺産分割ができないことを伝えて参加してもらうように説得する。
- 顔を合わせるのが嫌ならば電話で参加してもらう。
- どうしても応じてもらえない場合は、仕方ないので調停を申立てる。
調停にも対応してくれない場合は審判を申立てて、家庭裁判所で分割法を決めてもらいます。
遺産分割協議はやり直せるか
Q:遺産分割協議を行い「遺産分割協議書」も作成しましたが、相続人の1人が「自分は土地を相続すると決めたが、その土地はいらないから別の財産を分けてほしい」と言ってきました。
遺産分割協議のやり直しはできるのでしょうか?
A:こういったケースはよくある話ですが、遺産分割協議は相続人全員の合意によって成立しています。原則としてやり直しはできません。
ただ、次のようなケースでは取り消しや解除ができることがあります。また下記のように無効の場合、協議はやり直しとなります。
取り消し
他の相続人から脅迫されたり、事実と違う話を聞かされた詐欺などの場合は、協議が成立していても取り消すことができます。ただ、「脅迫や詐欺の事実はない」ともめることがあります。その場合は取消の意思表示を行った上で、遺産分割協議無効確認の訴えを起こすことができます。
解除
通常、契約に基づく債務不履行があった場合はその契約を解除することができます。ただ、遺産分割協議では相続人の1人が協議で決まった債務の不履行があった場合でも解除できないという最高裁の判例があります。この場合は他の相続人が履行を請求するしかありません。
ただ、相続人全員が解除に合意すれば、それは可能とされています。
無効
- 相続人以外の人が参加して成立した場合
- 一部の相続人が参加せずに成立した場合
- 意思表示できない人や判断能力がない相続人がいた場合で成年後見人など法定代理人がいない場合
- 協議成立後に行方不明だった相続人が現れた場合
- 協議成立後に新たに相続財産が見つかった場合
これらの場合はやり直しになります。
そのため、今回の質問のようなケースでのやり直しはできません。
協議成立後に遺言が見つかった場合
Q:遺産分割協議が終わってから遺言書が見つかりました。見ると協議で決めた内容とは異なる分割方法が書いてあります。この場合はどうすればいいでしょうか?
A:基本的には遺言書の内容が優先されます。そのため、遺産分割協議で決まった内容は無効となり、協議をやり直す必要があります。
しかし、相続人全員が遺言書の内容を確認し、その上ですでに協議で決まった遺産分割法で納得している場合はやり直す必要はありません。ただし、遺言で相続人以外の人に財産を分ける(遺贈)と書いてある場合は、その部分は遺言が優先されます。
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