相続放棄は兄弟・親族に影響する?次順位の相続人への波及とトラブル回避法

「親の借金を相続したくないから相続放棄をしたい。でも、自分が放棄したら兄弟や親戚に迷惑がかかるのでは?」——そう不安に感じていませんか。
相続放棄をすると、相続する権利は同じ立場の兄弟姉妹や、次の順位の親族へと移っていきます。
この記事では、相続放棄によって誰にどんな影響が及ぶのか、兄弟の1人だけが相続放棄するとどうなるのか、起きやすいトラブルとその回避法までをわかりやすく解説します。
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相続放棄をすると次に誰が相続人になる?相続放棄の順番
結論からお伝えすると、相続放棄をした人は「最初から相続人ではなかった」とみなされ、相続する権利は、まず同じ順位の相続人へ、同順位の人が全員放棄すれば次の順位の親族へと移ります。これは民法第939条に定められたルールです。
(相続の放棄の効力)第九百三十九条
相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
民法|e-Gov法令検索より引用
誰が相続人になるかは、民法第887条〜第890条で順位が決まっています。
まず配偶者(夫・妻)は常に相続人となります。
それ以外の血族は次の順位で相続人になります。
- 第1順位:子(およびその代襲相続人である孫)
- 第2順位:直系尊属(親・祖父母など)
- 第3順位:兄弟姉妹(およびその代襲相続人である甥・姪)
ここで大切なのは、権利の移り方には2つの段階があるという点です。1つは同じ順位の中での移動、もう1つは次の順位への移動です。
たとえば子が3人いるケースで、そのうち1人が相続放棄をしても、相続権は親(第2順位)には移りません。同じ第1順位である残り2人の子で分け合うことになります。第1順位の子が全員放棄して初めて、相続権は第2順位の親へ移ります。さらに第2順位の人も全員放棄する(または既に亡くなっている)と、第3順位の兄弟姉妹へと移っていきます。

自分一人の相続放棄が兄弟・その他の親族に影響する可能性
つまり、自分一人の相続放棄が、思いがけず叔父や叔母、いとこにまで影響することがあります。
被相続人に配偶者と子がいるケースで子が全員放棄すると、配偶者と被相続人の親が相続人になり、親も既に亡くなっていれば、配偶者と被相続人の兄弟姉妹が相続人です。
そして第3順位の兄弟姉妹まで全員が放棄すると、法定相続人が誰もいない状態となります。
その場合、必要に応じて家庭裁判所が「相続財産清算人」を選び、債権者への支払いや特別縁故者(被相続人と生計を同じくしていた人など)への分与といった手続きを経たうえで、残った財産が国庫(国の財産)に帰属します。
相続放棄そのものの基本的な仕組みについては、以下ページをあわせてご覧ください。
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兄弟姉妹のうち1人だけ相続放棄するとどうなる?
複数人いる兄弟姉妹のうち1人だけの相続放棄は問題なく行えます。相続放棄は相続人それぞれが単独で行える手続きで、他の兄弟姉妹の同意は必要ありません。
相続放棄を選ぶ理由は、借金を引き継ぎたくない場合だけではありません。
実家を継ぐ長男にすべての財産をまとめたい、遺産分割の話し合いから離れたいなどの理由で、財産がプラスでも相続放棄を選ぶケースもあります。
理由がどうであれ、相続人自身の判断で、1人だけの相続放棄は可能です。
ただし、相続放棄をすることで1人分の権利が消えてなくなるわけではない点に注意が必要です。
相続放棄をした人は最初からいなかったものとして扱われるため、その分の相続分(プラスの財産もマイナスの財産も)は、相続を続ける残りの兄弟姉妹に上乗せされます。
子ども同士の相続であれば、通常は残った兄弟姉妹で均等に分け合う形になります。
借金がある場合は残った兄弟の負担が増える
特に注意したいのが借金の相続です。たとえば借金300万円を3人の兄弟姉妹で相続するケースを考えます。
- 3人とも相続する場合:1人あたりの返済義務は100万円
- 1人が相続放棄した場合:残った2人の返済義務は1人あたり150万円
このように、1人が相続放棄をすると、その分の借金も他の兄弟姉妹に振り分けられます。
自分が相続放棄をして身軽になる一方で、兄弟姉妹の負担はその分だけ重くなります。
だからこそ、手続きそのものに兄弟姉妹への同意は不要なものの、相続放棄を進める前に兄弟姉妹へ伝えておくことが、後々の親族間トラブルを回避する上ではとても重要になります。
相続放棄による自分の子供への影響
「自分が相続放棄をしたら、その権利が自分の子供に移ってしまうのでは?」と心配される方が多いですが、ここは安心してください。
相続放棄をした場合、その人の子供が代わりに相続する「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」は発生しません。
相続放棄では代襲相続は起こらない
代襲相続とは、本来相続人になるはずだった人が被相続人より先に亡くなっていた場合などに、その子供が代わって相続人になる制度です(民法第887条第2項)。
しかし、相続放棄した場合「最初から相続人ではなかった」とみなされます。最初から子に移る相続権がないことになるので、代襲相続の対象にもなりません。
あなたが相続放棄をしたことで、子供に借金が回っていくことはありません。
先に亡くなっている兄弟姉妹がいる場合は要注意
一方で、相続放棄の影響が出るパターンで、見落としやすい落とし穴があります。それは、被相続人より先に亡くなっている兄弟姉妹がいたケースです。
たとえば、あなたと姉の2人きょうだいで、姉が被相続人より先に亡くなっているとします。
このとき姉に子供(あなたから見て甥・姪)がいれば、その甥・姪が姉の代わりに代襲相続人となります。
「姉はもう亡くなっているから相続人は自分一人」という思い込んで相続放棄してしまうと、亡くなった姉に代わって代襲相続する甥・姪へ借金を回してしまうことになります。
被相続人よりも先に亡くなった親族がいる場合、相続放棄を進める前に、その親族の子供が相続人になっていないか、必ず確認しましょう。
なお、兄弟姉妹の代襲相続は原則として甥・姪までで、その子(姪・甥の子)にまでは及びません。
相続放棄・相続欠格・相続廃除の違い
代襲相続をめぐっては、似た言葉である「相続欠格」「相続廃除」との違いがよく混同されます。
| 制度 | 内容 | 本人の子への代襲相続 |
|---|---|---|
| 相続放棄 | 相続人が自らの意思で相続する権利を手放す手続き | 起こらない |
| 相続欠格 | 被相続人を殺害する、遺言を偽造するなど一定の重大な非行があった場合に、法律上当然に相続権を失う | 起こる |
| 相続廃除 | 被相続人への虐待や重大な侮辱などを理由に、被相続人の請求等により家庭裁判所が相続権を奪う | 起こる |
相続欠格や相続廃除では本人の子供が代襲相続をしますが、相続放棄では代襲相続が起こりません。
自分が相続放棄すると子供に迷惑がかかるというのはよくある誤解です。正しく理解しておきましょう。
相続放棄で兄弟姉妹に借金が移る具体例
前の章では相続放棄する人と同じ順位の兄弟姉妹への影響を見ました。
ここでは順位をまたいで被相続人の兄弟姉妹(第3順位)へ借金が移るケースを見ていきます。
第1順位・第2順位の相続人が全員相続放棄をすると、借金を返す義務(債務)もそのまま次の順位の人へ移ります。
ケーススタディ:親に借金があった場合(架空の事例)
父親が亡くなり、消費者金融などからの借金が500万円あることがわかりました。
相続人は母親と、子であるAさん・Bさんの3人です。借金を相続したくないAさんとBさんは相続放棄をし、母親も放棄をしました。
これで一家は借金から解放された——と思いきや、そうではありません。
第1順位(子)と配偶者、そして第2順位(父の親)が全員相続放棄をするか既に亡くなっていると、相続権は第3順位である父の兄弟姉妹、つまりAさん・Bさんから見れば叔父・叔母に移ります。
何も知らされていない叔父・叔母のもとに、ある日突然、債権者から500万円の請求書が届く——こうした事態が現実に起こり得るのです。
叔父・叔母も自分には関係ないと思っていると、相続を承認したとみなされる期間(後述)が過ぎてしまい、借金を背負うことになりかねません。
借金は法定相続分に応じて自動的に分けられるため、たとえば叔父・叔母が2人いれば、500万円の借金は原則として1人250万円ずつ負担する計算になります。
日常生活の関わりもそこまでなく、相続の順位も離れているので、自分には関係ないだろう、という思い込みは通用しません。
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また、借金は消費者金融などからの明確な債務だけとは限りません。
被相続人が誰かの借金の連帯保証人になっていた場合、その保証債務も相続の対象となり、次順位の親族へ移ります。
保証債務は契約書を探さなければ存在に気づきにくく、後から発覚してトラブルになりやすいため、特に注意が必要です。
ひとりの相続放棄で兄弟姉妹が突然請求を受けるおそれ
相続放棄には期限があります。自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述しなければなりません(民法第915条第1項)。
この期間を熟慮期間といいます。
兄弟姉妹など後順位の相続人の場合、この3か月は、先順位の相続人が相続放棄をした結果、自分が相続人になったことを知った時から始まります。
連絡がないまま、後から債権者の請求で初めて事情を知ると、短い期間で財産や借金の状況を確認し、相続放棄をするかどうかを判断しなければならない事態になりかねません。
だからこそ、相続放棄をする側から事前の連絡を入れておくことが大切です。
相続放棄で兄弟姉妹や親戚に迷惑がかかるパターン
相続放棄で兄弟姉妹や親戚とトラブルになる最大の原因は、連絡しないまま相続放棄をしてしまうことです。相続放棄の手続き自体は各相続人が個別に行えるため、法律上は親戚の同意・連絡は必要ありません。しかし、それがかえってトラブルの火種になります。
トラブル事例:連絡なしの相続放棄(架空の事例)
被相続人に多額の借金があり、配偶者と子が全員相続放棄をしました。
子たちは「自分たちが手続きすれば終わり」と考え、被相続人の兄弟や、その先にいる甥・姪には何も伝えていませんでした。
数か月後、第3順位にあたる被相続人の弟のもとに、債権者から督促状が届きます。
弟は事情がわからず慌てて弁護士に相談したところ、自分が相続人になっていたこと、相続放棄の熟慮期間が迫っていることが判明しました。
なんとか期限内に放棄は間に合ったものの、「なぜ事前に一言知らせてくれなかったのか」と放棄をした子たちと弟との間に深い溝が生まれてしまいました。
このように、相続放棄は問題なく完了しても、親族への連絡を欠いたことで、人間関係の面で大きな禍根を残すことがあります。
特に、普段あまり交流のない親戚ほど突然の請求に驚き、感情的なしこりが残りやすい傾向にあります。
見落とされやすい相続放棄のデメリット
金銭面だけでなく、こうした親族関係への波及こそが相続放棄の見落とされやすいデメリットです。
自分さえ放棄すれば終わりではなく、権利が次に移る人がいるという視点を持つことが、無用なトラブルを避けるうえで欠かせません。
相続放棄で兄弟姉妹とのトラブルを回避するためにすべきこと
親族トラブルを避ける最大のポイントは、相続放棄をする前に、影響を受ける可能性のある親族へ連絡しておくことです。ここでは具体的な段取りを3つに分けて解説します。
相続放棄の前に関係者へ連絡する
まず、自分が相続放棄をすることで負担が増える、あるいは新たに相続人になる親族を把握しましょう。
同じ順位の兄弟姉妹、第1順位の人が放棄するなら第2順位の親、第2順位もいなければ第3順位の兄弟姉妹、というように、影響が及ぶ先の人たちです。
そのうえで、次の3点を早めに伝えておきます。
- 被相続人に借金があること
- 自分は相続放棄をする予定であること
- その結果、相手の負担が増える(または相手が相続人になる)可能性があること
連絡があれば、各人が3か月の熟慮期間内に落ち着いて判断でき、突然の請求に慌てる事態を防げます。
連絡の方法に決まりはありませんが、後で言った・聞いていないというトラブルにならないよう、口頭だけでなく書面やメッセージなど記録に残る形で伝えておくと安心です。
相手を不安にさせるためではなく、適切に判断するための材料を渡す、という姿勢で行うとよいでしょう。
相続放棄ができるのは被相続人が亡くなった後
なお、相続放棄そのものは被相続人が亡くなった後でなければ手続きできません。
親が元気なうちに先に相続放棄しておくことはできず、生前にできるのは家族に放棄の意向を伝えておくことまでです。
意向を伝える場合も、後から気が変わって相続することになると、かえって不信感を招くおそれがあります。相続放棄の方針が固まってから伝えるようにしましょう。
全員で相続放棄する場合の順序と段取り
家族・親族で放棄する場合、手続きの順序には法律上の決まりがあります。
兄弟姉妹など同順位の相続人がまとめて手続きする場合
兄弟姉妹など同じ順位の人どうしは、まとめて手続きを進められます。
兄弟姉妹の分を一緒に申述でき、被相続人の戸籍など共通する書類は1通で足りるため、別々で手続きするより手間を減らせます。
順位の異なる相続人が相続放棄する場合の順序
一方、順位の異なる相続人については、先順位の人の相続放棄が家庭裁判所に受理されてからでなければ、次順位の人は放棄の手続きができません。
次順位の人は、先順位が放棄して初めて相続人になるためです。
家庭裁判所への申述から受理までには数週間かかることもあり、第1順位の受理を待って第2順位、その受理を待って第3順位、と順を追って進める必要があります。
先順位の人から、相続放棄が受理されたことを示す通知書のコピーを後順位の人に渡してもらうと、後順位の人が手続きを進めやすくなります。
なお、相続放棄の手続き自体は、おおむね次の流れで進みます。
- 必要書類をそろえ、家庭裁判所へ相続放棄の申述書を提出する
- 家庭裁判所から照会書(質問状)が届くので、回答して返送する
- 問題がなければ申述が受理され、相続放棄申述受理通知書が届く
この通知書が手続き完了の証しとなり、債権者への説明や、後順位の人が手続きを進める際の資料としても使えます。
弁護士に間に入ってもらうメリット
親族の人数が多い、疎遠な親戚がいる、借金の総額がはっきりしない——こうしたケースでは、弁護士に間に入ってもらうことで負担を大きく減らせます。
特に第3順位の兄弟姉妹が相続放棄をする場合、第1・第2順位の相続人が存在しないことを戸籍で証明する必要があり、集める戸籍の数が非常に多くなります。主なメリットは次のとおりです。
- 誰が次順位の相続人になるかを戸籍をもとに正確に確認してもらえる
- 親族への連絡や説明を、感情的な対立になりにくい形で進めてもらえる
- 大量の戸籍収集を含む申述手続きを、順序を整理しながらサポートしてもらえる
- 債権者からの請求への対応を任せられる
親族間で「誰が説明するか」「なぜ事前に言わなかったのか」といった感情的な対立が起きそうな場合、第三者である専門家が窓口になることで、関係の悪化を防ぎやすくなります。
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兄弟で相続放棄するとき、土地だけを手放すことはできない
兄弟姉妹で実家の相続を考えるとき、使わない土地は手放したいけれど預貯金は受け取りたい——こうした希望はよく聞かれます。
しかし結論として、相続放棄で土地だけを手放すことはできません。
相続放棄はすべてか無かの選択
相続放棄は、プラスの財産もマイナスの財産も含めて、相続する権利をすべて手放す手続きです。
預貯金は相続して土地だけ放棄する、遠方の山林や農地など不要な土地だけを放棄するといった、いいとこ取りは法律上認められていません。
土地を相続したくないからと相続放棄をすれば、預貯金や自宅など他のすべての財産も受け取れなくなります。
兄弟姉妹で実家の土地の扱いに悩むケースも多いですが、特定の財産だけを選んで放棄する方法は存在しない、という前提をまず押さえておきましょう。
相続放棄をしても保存義務が残ることがある
もう一つ知っておきたいのが、相続放棄をすれば不動産から完全に手が離れるとは限らないという点です。
民法第940条により、相続放棄をした時点でその不動産を現に占有していた人は、次に管理する人(他の相続人や相続財産清算人)へ引き渡すまで、その財産を保存する義務を負います。
「現に占有」とは、物や不動産を事実上支配・管理している状態を指します。
たとえば、親名義の実家に住んでいた人が相続放棄をした場合、相続人と実家で同居していた事実は「現に占有していた」とみなされ、次の管理者へ引き渡すまで物件の管理義務は継続します。
2023年4月施行の改正民法でこの義務の範囲は明確化され、対象は相続放棄の時点で現に占有している人に限られます。
もちろん、その不動産に住んでおらず管理もしていない人は、放棄によって保存義務を負うことは原則ありません。
現に占有していたといえるかどうかは判断が難しい場合もあるため、不動産が関係するときは自己判断せず弁護士に確認すると安心です。
不要な土地には相続土地国庫帰属制度も検討
他の財産は引き継ぎたいが不要な土地だけは手放したい、という場合は、相続放棄とは別の制度を検討します。
2023年4月27日に始まった相続土地国庫帰属制度です。これは、相続した土地を一定の要件のもとで国に引き取ってもらえる制度です。両者の違いを整理すると次のようになります。
| 比較項目 | 相続放棄 | 相続土地国庫帰属制度 |
|---|---|---|
| 対象 | 相続財産すべて(選べない) | 相続した土地のみ(選べる) |
| 他の財産 | 預貯金なども含めて一切相続できない | 土地以外の財産は相続できる |
| 申請先 | 家庭裁判所 | 法務局 |
| 期限 | 原則、相続開始を知った時から3か月以内 | 相続後であれば期限の定めなし(※) |
| 主な費用 | 収入印紙・郵券など(比較的少額) | 審査手数料(土地1筆あたり1万4,000円)と、承認後の負担金(原則20万円が基本) |
| 次順位の親族への影響 | 相続権が次順位へ移る | 原則として影響しない |
※申請期限についての扱いは個別事情により異なる場合があるため、利用を検討する際は最新の運用を確認してください。
大きな違いは、相続放棄が「すべての財産を手放し、相続権が次順位へ移る」のに対し、国庫帰属制度は「不要な土地だけを国へ引き渡し、他の財産は相続できる」点です。
ただし、国庫帰属制度には引き取ってもらえる土地の要件(建物がない、担保権が設定されていない、など)があり、すべての土地が対象になるわけではありません。
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兄弟姉妹も知っておきたい相続放棄の意外なデメリットまとめ
ここまでの内容をふまえ、相続放棄をする前に知っておきたいデメリットを整理します。
相続放棄することで借金を引き継がずに済む大きなメリットの裏で、次のような点に注意が必要です。
- プラスの財産もすべて手放す:預貯金・自宅・思い出の品なども一切相続できなくなります。
- 同順位の兄弟姉妹や次順位の親族に負担が移る:残った兄弟姉妹の取り分(借金含む)が増えたり、叔父・叔母など思わぬ範囲の親族を巻き込んだりする可能性があります。
- 連絡を怠ると親族トラブルになりやすい:突然の請求で親戚が驚き、人間関係に深い溝が生まれることがあります。
- 生命保険金の非課税枠が使えなくなる:被相続人が保険料を負担していた死亡保険金は、受取人に指定されていれば相続放棄をしても受け取れる場合があります。ただし、相続放棄をした人は非課税枠の対象となる「相続人」に含まれないため、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠は使えず、受け取った保険金は相続税の課税対象になります。(参考:国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」)
- 原則として撤回できない:一度した相続放棄は、3か月の熟慮期間内であっても原則として撤回できません。ただし、詐欺や強迫によって放棄させられた場合など、法律上の取消原因があるときは、例外的に取消しが認められることがあります(民法第919条)。
- 部分的な放棄はできない:相続放棄は全財産が対象で、土地だけを選んで手放すことはできません。
- 期限が短い:原則として相続開始を知った時から3か月以内に手続きが必要です。
これらのデメリットは、事前にきちんと把握し、必要な準備をしておけば多くは回避できるものです。
特に、影響を受ける親族への連絡を丁寧に行うかどうかで、その後の親族関係は大きく変わります。
まとめ
相続放棄は、自分や家族を借金から守るための大切な手続きです。一方で、権利が同順位の兄弟姉妹や次の順位へ移っていく仕組みである以上、自分が相続放棄をした先の親族への配慮を欠くと、思わぬ親族トラブルに発展しかねません。
次のようなケースでは、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
- 被相続人に借金があり、自分の相続放棄で兄弟姉妹や親戚に影響が及びそうな場合
- 次順位の相続人が誰になるのか、戸籍関係が複雑でわからない場合
- 被相続人より先に亡くなった兄弟姉妹がいて、甥・姪が相続人になる可能性がある場合
- 疎遠な親族が多く、連絡や説明を誰がどう進めるか悩んでいる場合
- すでに親族間で、迷惑をかけた・かけられたという感情的な対立が起きている場合
- 債権者から請求が来ており、熟慮期間の3か月が迫っている場合
相続放棄で兄弟姉妹とトラブルになりそうなときは弁護士に相談を
弁護士が間に入ることで、相続人の調査から親族への連絡、申述手続き、債権者対応までを一貫して任せられ、精神的な負担も大きく減らせます。
遺産相続弁護士相談広場では、相続放棄や親族間のトラブルに関する無料相談を受付中です。「自分が放棄したら兄弟や親戚にどう影響するか不安」という段階でも構いません。一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
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