フキハラ(不機嫌ハラスメント)とは?具体例・原因と家庭における対処法

フキハラ(不機嫌ハラスメント)とは?具体例・原因と家庭における対処法
不機嫌なふるまいで相手を委縮させるような行為は「フキハラ(不機嫌ハラスメント)」と呼ばれ、モラルハラスメントの一種です。
配偶者の不機嫌な態度で悩まされ、ストレスを感じた経験がある方は少なくないと思います。
今回は、不機嫌ハラスメント(フキハラ)について、どのような行為なのか、具体例や特徴、対処法などを紹介していきます。

フキハラを理由に離婚が可能かどうかも解説していますので、夫のフキハラに悩んでいる方、不機嫌ハラスメントを理由に配偶者と離婚したいと考えている方はぜひ参考にしてください。

フキハラ(不機嫌ハラスメント)とは

フキハラ(不機嫌ハラスメント)とは、不機嫌なふるまいや言葉などによって配偶者や周囲の人に、精神的な負担、苦痛を与える行為のことを指します。

不機嫌な態度で精神的な圧をかけるモラハラの一種

フキハラはいわゆるモラルハラスメントの一種です。
相手の眼の前で不機嫌な態度を見せることで精神的な圧力をかけ、相手の行動や反応を支配・コントロールしようとします。

フキハラは家庭内で発生することも多く、不機嫌な態度で配偶者や子どもを委縮させたり、過度に気を遣わせたりしてストレスを与え、家庭内の人間関係を悪化させる原因となります。

フキハラの具体例・特徴

フキハラの具体例としては、以下の行為が挙げられます。

無視する

配偶者や家族を無視してコミュニケーションをとらない、いないように扱う行為はフキハラの一種です。
話しかけられても返事をしない、無視することが頻繁にあると、配偶者や子どもは話しかけてはいけない空気を感じ、精神的な負担に繋がります。

突き放す言葉を放つ

何か話しかけられた際、または相談事や質問をされた際に突き放すような言葉を放つのも不機嫌ハラスメントと言えます。
「どうでもいい」「うるさい」「勝手にしろ」など、真剣に相談しているにもかかわらずまともにとりあわない言動はフキハラに含まれる可能性が高いです。

物に当たる、大きな音をたてる

直接妻や子供に暴力をふるわなくても、目の前で物にあたる、大きな音を立てるのもフキハラ行為の一種です。
具体的には、下記のような行為が該当します。

  • ドアを叩きつけるように閉める
  • 大きな音を立てて歩く
  • 物を投げる、強く叩きつけるように置く
  • 壁を蹴る

不機嫌な表情、態度をとる

明らかに不機嫌な表情や態度で妻や家族に接するのも立派なフキハラ行為です。
ふんぞり返って無言で威圧する、ムスッとした表情でいる、腕組をしているといった行動で頻繁に相手に気を使わせ続ける行動は、ハラスメントにあたります。

ため息や舌打ちをする

ため息や舌打ちなど「私は不機嫌ですよ」「怒っていますよ」というアピールを言葉以外で行うのは不機嫌ハラスメント行為の一つです。
話しかけたときにため息をつく、舌打ちをするという行為は、配偶者を委縮させます。
こうしたため息や舌打ちといった反応が継続的かつ頻繁に行われた場合、ハラスメントとみなされるケースがあります。

特定の相手への継続的・理不尽な不機嫌アピールがハラスメントに

これらの行為は特定の相手に継続的・理不尽に行われることでハラスメントになります。

不満を一時的に態度に出すだけでフキハラ認定されてしまうことへの懸念もあり、世間的にはなんでもハラスメント扱いするのはいかがなものかという指摘もあります。

本当に「ハラスメント」に該当する行為なのかは、フキハラを受けた際の状況や経緯、頻度なども考慮されます。そのため、いっとき機嫌が悪そうなふるまいがあっただけでは、ハラスメントとして認められないケースもあります。

フキハラの認定を受けるには、その不機嫌行動が特定の人に向けたもので、継続的かつ理不尽に行われている事実を証明する必要があります。

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フキハラの原因

フキハラに至る主な原因としては、以下が考えられます。

体調不良やストレス

フキハラを行う人によくあるのが、仕事や家事、育児などで忙しく、心に余裕がないケースです。

フキハラ自体は許されない行為ですが、行っている本人自身にもストレスや体調不良があり、自分で自分をコントロールできない状態になっていることがあります。職場や他人には優しくできていても、余裕がない部分が家族に出てしまい、結果的に家庭内でのフキハラが常習化します。

こうした健康面やストレスが原因の場合、本人の生活環境や体調、ストレス状態が整うことでフキハラ行為が改善される可能性があります。

配偶者や子どもに対する支配欲

配偶者や子どもを自分の想い通りにコントロールしたい、支配したいという欲求からフキハラを行っているケースがあります。

このタイプは、意識的、人によっては無意識的に不機嫌な態度で相手を委縮させ、自分の納得行く行動をするよう仕向けます。

フキハラ行為に対して、気を遣う、顔色をうかがう態度を家族が見せると、本人は増長してさらなるモラルハラスメント行為に発展していくおそれがあります。

感情のコントロールができない

情緒面の成熟が幼く、感情のコントロールが難しい人がフキハラ行為に走ってしまうことがあります。

自分の中の負の感情をうまく処理できず、周囲に当たることでしか解消できない、解消する適切な方法を知らない場合もあります。
衝動性が強いと、頭では良くない行為だと分かっていても、態度に出てしまう方もいます。

コミュニケーションが苦手

自分の悲しみ・怒り・不安といった感情を、言葉でうまく伝えることが苦手な人が、家族に対して不機嫌ハラスメントをしてしまう場合があります。気持ちや要望を言語化できないため、「不機嫌というサイン」を出して相手に察してもらおうとするのです。

とはいえ、言葉で気持ちを伝える力にも個人差があり、どこまでが夫婦間コミュニケーションの範囲で、どこからがフキハラにあたるのか一律な線引きは難しい面があります。

相手への不満

パートナーに対する不満はよく不機嫌ハラスメントの原因となりやすい要素です。

仕事で疲れて帰ったのに家が汚い、いまは〇〇してほしかったのに妻がしてくれない、など、自分の中のパートナーに対する期待・希望が叶わなかった場合に、不機嫌な態度で相手にアピールをすることで相手を委縮、疲弊させるケースがあります。

自己中心的な性質

考えが自己中心的で、相手目線で物事を考えられない性格・性質からフキハラを行っている人もいます。

自分がとった行動を周囲がどう感じるか、どんな影響を与えるか想像が働かないこのタイプは、本人は生活をリードしているつもりでも、結果的に理不尽で不機嫌な態度をとり続けてしまい、パートナーや家族は精神的に疲れてしまいます。

フキハラによる成功体験

過去に不機嫌ハラスメントに該当する行動を行ったことで(本人にとって)よい結果が得られた場合、その時の経験をひとつの成功体験として、繰り返しフキハラ行動を取ってしまうケースもあります。

実際は誤学習でしかないものの「不機嫌な態度をとることで自分の要求が通る」「相手を委縮させ自分の想い通りにいった」と思い込んでいるため、本人としてはひとつの方法論のつもりで、意識的にフキハラを繰り返してします。

フキハラを理由に離婚・慰謝料請求は認められる?

不機嫌ハラスメント(フキハラ)を理由に離婚することは可能です。
ただし、裁判離婚では理由としてフキハラだけでは認められない可能性が高いと言えます。

協議・調停での離婚なら認められる

協議や調停での離婚は、最終的に夫婦両者の合意があればフキハラを理由としていても可能です。
協議離婚は夫婦で直接の話し合いを通じた離婚、調停離婚は協議離婚で合意に至れない場合に家庭裁判所の調停委員が間に立って話し合いを行う離婚方法です。
原則、離婚は夫婦の合意があれば理由は問わず可能です。理由がフキハラだとしても、両者が納得さえしていれば問題なく離婚できます。

逆に調停を経ても両者が合意しない場合、離婚調停は不成立となり、手続きは裁判離婚に進みます。
協議離婚・調停離婚と異なり、裁判離婚ではフキハラの取り扱いが変わってきます。

裁判離婚では「婚姻継続が困難」の証明が必要に

裁判離婚を成立させるためには、民法770条に基づく法定離婚事由、フキハラの場合は特に「婚姻を継続し難い重大な事由」を証明する必要があります。

夫の不機嫌な態度が精神的な苦痛を与えていると訴えても、フキハラ単独では離婚理由として認められる可能性は低いでしょう。相手の不機嫌だけでは離婚を認める根拠としてはごく曖昧で、裁判所は客観的な証拠や夫婦両者の主張をふまえ、婚姻破綻の程度を慎重に判断します。

長期間の別居で婚姻関係の破綻が認められるケースも

フキハラの主張とあわせて、長期間の別居をすることで婚姻関係の修復が難しいと認められるケースはあります。

裁判所から見て夫婦どちらにも有責性が認められない場合、5年程度の別居期間があれば、婚姻関係の破綻が認められる可能性は高いと言われます。

ただし、何年別居すれば離婚できる、といった明確な期間の基準があるわけではありません。
もしフキハラを理由として離婚裁判にもつれこんだ場合、婚姻関係の破綻を認めてもらうには、別居期間含めてそれなりな時間がかかることは覚悟しておきましょう。

DVやモラハラなどフキハラ以外の理由があれば可能

パートナーの不機嫌な態度を理由とする離婚事件の多くのケースでは、フキハラに加えて浮気・不倫やDV・モラハラなど他の離婚原因を組み合わせ、婚姻関係の破綻を証明することで離婚が認められています。

もし、フキハラ以外のDVやモラハラ被害にあっているのであれば、証拠を確実に集めておきましょう。
証拠の集め方や離婚の円滑な進め方に困った際は、弁護士などの専門家に早めに相談するのも一つの手段です。

フキハラによる慰謝料請求は被害の内容次第

不機嫌ハラスメントによる慰謝料請求は、被害の内容次第で決まります。基本的にはフキハラをされたという事だけでは、慰謝料請求は難しいケースが多いと言えます。

フキハラによる実害・悪質性が認められれば請求できるケースも

フキハラに伴って暴力を受けていた、もしくは内容が悪質で実害が認められると請求できるケースがあります。相場としては、100万円以下です。

  • 日常的にフキハラを受けており精神的な病気になった(実害が出ている)
  • 身体的DVを受けている
  • 経済的DVによって疲弊・困窮している
  • フキハラ以外にも暴言など度が過ぎたモラハラ行為がある

このようなフキハラに付帯して実害のある行為が行われた場合は、単なる不機嫌だけではなく明確なハラスメント被害が存在するため、慰謝料請求は認められやすくなるでしょう。

実際の裁判でも、体調不良のパートナーにフキハラを継続して通院の機会を妨害、暴言や物に当たる行為も繰り返していたケースで、200万円以上の慰謝料が認められた事例があります(東京地裁平成17年3月8日判決)。

フキハラ夫(妻)に対して慰謝料請求ができるかどうかは、証拠の内容と被害時の状況などによって変わります。
法律に明るくない一般の方が判断するのは現実的に難しいため、フキハラで慰謝料請求をお考えの方は、一度弁護士にご相談ください。

家庭におけるフキハラへの対処法

ここでは、家庭内でフキハラが起きている際の対処方法をご紹介します。

話し合いをする

まずは、なぜフキハラを行うのか、何が問題なのかを話し合いしてみましょう。

もしかしたら、相手は自分がフキハラをしていることに無自覚かもしれません。言葉によってお互い改善してほしいことを話し合うことで、相手がフキハラをしていることを自覚し、解決に繋がるケースもあります。

こちらの気持ちを具体的に「私はこのとき、このような態度をとられて嫌だった。理由があるなら教えてほしい」と伝えることが大切です。相手の言動によって自分がどう感じたか、何が嫌なのかを伝えることで、相手を否定することなく思いを伝えることができます。

相手が不機嫌な時には話し合いが難しい可能性があるため、冷静なタイミングを見計らって話してみましょう。
相手がとりあってくれず、2人で話しをするのが難しい場合は、第三者に同席してもらい、冷静に話し合いやすい環境を作るのもひとつの手です。

不機嫌な態度を気にしない(同調しない)

話し合いでの解決が難しく、相手を変えることが難しそうな場合には、相手の態度に同調しないことも対処法のひとつです。

フキハラはあくまでも相手の問題・課題であって、フキハラを受けているあなたが同調して悩んだり、苦しくなったりする必要はありません。

相手の態度を気にせず、自分のペースを大切にして過ごすことで、楽になります。相手と自分は別の人間、ということを頭におき、なるべく相手の影響をうけないように過ごしてみましょう。

距離を置く

フキハラを行ってくる配偶者と関わることで精神的な影響を大きく受けてしまう場合、物理的な距離をおくことも大切です。

一時的に相手の機嫌が悪く、時間がたてば解決するのであれば別室に行き影響を受けないようにすることが大切です。それでも改善されない、精神的に影響を受けてしまう場合は別居を検討してみてください。

フキハラにより夫婦として一緒に過ごすことが難しい場合は、物理的な距離を少しずつおき、最終的には別居期間をとって離婚する方も多くいます。

弁護士に相談をする

フキハラに対し、一人では対応できない場合には弁護士に相談をしてみましょう。

現状を整理し、今後どうしたいか、どの手段が取れそうかも相談ができます。また、離婚を目指す際の手順や証拠集めの方法なども詳しく相談にのってもらえるため、フキハラに対して外部の力を借りたい際は非常に心強い味方になります。

証拠(記録)を集めておく

日常的に不機嫌ハラスメントを受けている場合、パートナーからフキハラを受けている証拠を集めておきましょう。離婚や慰謝料請求の際に役に立ちます。

まず、いつ、どのようなハラスメントを受けたかを具体的に記録しておきましょう。
日記のような形でも、フキハラの継続性・悪質性を証明するひとつの材料となります。
その他、録音・録画でフキハラの様子を記録しておくのも、実際の被害を裏付ける証拠として有効です。

離婚がこじれて裁判などに進んだ場合、裁判所はフキハラの悪質性を証拠で判断します。
自分が受けたフキハラの状況を第三者にわかりやすく伝えられるよう、細やかに証拠を集めておくことが大切です。

まとめ

フキハラは、不機嫌な言動・行動・態度を繰り返すことで相手を疲弊させ、精神的苦痛を与えるハラスメントです。

パートナーからのフキハラで悩んでいる際は、話し合いや距離を置くといった方法で解決を図ることが大切ですが、それでも解決しない場合は弁護士に相談してみるのがおすすめです。

フキハラをされたという事実だけでは離婚や慰謝料請求は難しいですが、状況や証拠次第ではどちらも可能です。諦めず、まずお近くの弁護士までご相談ください。

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