離婚の弁護士費用相場はいくら?金額例と費用を抑えるポイントも解説
離婚問題でお悩みの場合、弁護士に相談したいと思いつつも、弁護士への依頼にかかる費用面が気がかりという方も少なくありません。
離婚でかかる弁護士費用の相場としては、着手金・成功報酬金がそれぞれ11~33万円(税込)程度、合計で33~66万円(税込)程度かかるのが一般的とよく言われています。
ただし、実際の弁護士費用の計算方法は法律事務所がそれぞれ独自に定めており、依頼する弁護士・法律事務所によってまちまちで異なります。
また、具体的な依頼内容や、離婚で受け取る慰謝料や養育費、財産分与の金額によっても変動します。
本記事では、離婚の弁護士費用相場と費用を抑える方法について解説します。
目次[非表示]
離婚に関する弁護士費用の種類
離婚を弁護士に相談する際、弁護士費用の種類には
の5つがあります。
以下で詳しく見ていきましょう。
相談料
「相談料」とは、弁護士に離婚相談をする際に支払う費用です。
離婚相談では、法的に離婚が認められるのか、また認められるならどんな条件を要求できるのかなどをアドバイスしてもらえます。
料金は30分5500〜1万1000円(税込)程度が相場ですが、昨今は初回相談料を無料にしている弁護士も増えています。
着手金
「着手金」とは、弁護士に正式に依頼し、弁護士が事件解決に向けて仕事に着手する際に発生する費用です。
料金は22〜33万円(税込)程度が相場ですが、事件解決の難易度によってはそれ以上になることもあります。
なお、「着手金」は事件解決の成否を問わず支払う費用のため、依頼者の望む成果をあげられなかった場合でも通常は返金されませんので注意が必要です。
成功報酬金
「成功報酬金」は、事件解決ができた際に支払う費用です。
金額は成功の度合いによって変化しますが、事件解決によって得られた経済的利益(慰謝料や財産分与など)の金額に応じて◯%という計算方法を採用している弁護士が多いです。
日当
「日当」とは、弁護士が事件解決のために事務所外で活動した際に支払う費用です。
具体的には、裁判所への出廷や相手方との交渉などのケースが考えられます。
金額は弁護士により幅がありますが、半日拘束で3万3000〜5万5000円(税込)、一日拘束で5万5000〜11万円(税込)程度が相場です。
実費
「実費」とは、裁判所に納める収入印紙代や弁護士の交通費など、実際に要した費用です。
実費は着手金に含まれる場合もありますが、実際に要した金額を請求されるケースが多いです。
離婚弁護士の費用相場
ここで、離婚事件を弁護士に依頼した際のおおよその費用相場をご説明します。
依頼時の状況ごと以下の4つに分け、それぞれで発生する費用項目を解説していきます。
協議離婚にまつわる交渉
協議離婚とは、裁判所を通さずに夫婦で話し合って離婚条件を取り決め、離婚届を出すことを言います。
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協議離婚にまつわる交渉でかかる弁護士用は以下の通りです。
協議離婚の交渉代行
交渉代行費用は、着手金・離婚成立の成功報酬金ともに11〜33万円(税込)程度が相場で、合計すると33〜66万円(税込)程度が相場です。
離婚協議の交渉代行と慰謝料などは別項目
協議離婚の交渉を弁護士に任せると言っても、実際の交渉の中で扱われる交渉項目は多岐に渡ります。
交渉代行費用とは、文字通り相手との交渉を弁護士に代行依頼することに対する費用です。
それとは別途で、慰謝料・財産分与・養育費・親権交渉など、交渉で行われる懸案に応じた弁護士費用が発生します。
離婚慰謝料
離婚慰謝料を獲得した際の弁護士費用は、交渉代行費用にプラスして、得られた金額の11〜22%(税込)程度が相場です。
財産分与
財産分与を獲得した際の弁護士費用は、交渉代行費用にプラスして、得られた金額の11〜22%(税込)程度が相場です。
養育費
養育費を獲得した際の弁護士費用は、交渉代行費用にプラスして、相手方と合意した金額の2〜5年分の11〜22%(税込)程度が相場です。
親権の獲得交渉
親権の獲得交渉の弁護士費用は、交渉代行費用にプラスして、11〜22万円(税込)程度が相場です。
離婚協議に基づく公正証書の作成
相手方と離婚協議し合意した条件を記載した書面を、「離婚協議書」と言います。
この離婚協議書の内容を公的に証明するには、公証人役場で離婚協議書を「公正証書」にしてもらうことが必要です。
離婚協議に基づく公正証書作成の弁護士費用は、離婚協議書や公正証書原案の作成のみの場合、5万5000〜11万円(税込)程度が相場です。
作成以外にも、弁護士が公証人役場に赴いたり、離婚協議書への署名の際に同席したりする場合は、別途3万3000〜5万5000円(税込)程度の費用がかかります。
離婚協議書の公正証書化は任意だが有効性が高まる
なお、離婚協議書の作成も公正証書化も任意です。
しかしながら、離婚協議書を作りそれを公正証書化することで、相手方が記載事項を守らず訴訟提起した際に証拠となります。
また、公正証書に強制執行認諾文言を記載することで、養育費の未払いなどが生じた際に、裁判手続きを取らずとも強制執行できるようになります。
公証人手数料は公正証書に定める金額により変化する
また、弁護士費用ではありませんが、公正証書を作成する際は公証人に支払う手数料も別途必要です。
公証人手数料は「公証人手数料令」という政令により、以下のように定められています。
目的の価額 | 手数料 |
---|---|
100万円以下 | 5,000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7,000円 |
200万円を超え500万円以下 | 11,000円 |
500万円を超え1000万円以下 | 17,000円 |
1000万円を超え3000万円以下 | 23,000円 |
3000万円を超え5000万円以下 | 29,000円 |
5000万円を超え1億円以下 | 43,000円 |
1億円を超え3億円以下 | 4万3,000円に超過額5,000万円までごとに1万3,000円を加算した額 |
3億円を超え10億円以下 | 9万5,000円に超過額5,000万円までごとに1万1,000円を加算した額 |
10億円を超える場合 | 24万9,000円に超過額5,000万円までごとに8,000円を加算した額 |
離婚の公正証書では、慰謝料・財産分与は合算して計算、養育費については最大10年分を限度に別途で計算します。
また、年金分割に関する公正証書を作成する場合は、1万1,000円の費用が別途発生します。
離婚調停への対応を依頼する場合
離婚調停とは、離婚協議で夫婦が決裂した場合に、裁判所で調停委員を介し夫婦で離婚の話し合いをする手続きです。
離婚調停への対応でかかる弁護士費用は、
- 離婚協議に引き続き同じ弁護士が受任する場合
- 離婚調停から弁護士が受任する場合
とで相場が変わります。
離婚協議に引き続き同じ弁護士が受任する場合
離婚協議から続けて離婚調停への対応を依頼する場合の弁護士費用は
- 着手金0円〜11万円(税込)
- 離婚成立の成功報酬金22〜33万円(税込)
- 合計22〜44万円(税込)程度
が相場です。
さらに、離婚慰謝料や財産分与として得られた金額の11〜22%(税込)程度の成功報酬金が発生することが多いです。
離婚調停から弁護士が受任する場合
離婚調停の段階からはじめて対応を依頼した場合、弁護士費用は
- 着手金22万〜33万円(税込)
- 離婚成立の成功報酬金22〜33万円(税込)
- 合計44〜66万円(税込)
が相場となります。
離婚協議から依頼した場合に比べ、着手金が高くなるケースが一般的です。
さらに、離婚慰謝料や財産分与として得られた金額の11〜22%(税込)程度の成功報酬金が発生します。
離婚裁判への対応を依頼する場合
離婚裁判(訴訟)とは、離婚調停が不成立だった場合に、裁判所で裁判官が離婚の是非や条件を定める手続きです。
離婚裁判への対応の弁護士費用は、
- 離婚調停に引き続き同じ弁護士が受任する場合
- 離婚裁判から弁護士が受任する場合
とで相場が変わります。
離婚調停に引き続き同じ弁護士が受任する場合
離婚調停から継続して離婚裁判を依頼する場合の弁護士費用は
- 着手金0円〜22万円(税込)
- 離婚成立の成功報酬金33〜44万円(税込)
- 合計33〜66万円(税込)
が相場です。
さらに、離婚慰謝料や財産分与として得られた金額の11〜22%(税込)程度の成功報酬金が発生します。
離婚裁判から弁護士が受任する場合
弁護士費用は着手金・離婚成立の成功報酬金ともに33〜44万円(税込)、合計66〜88万円(税込)が相場です。
さらに、離婚慰謝料や財産分与として得られた金額の11〜22%(税込)程度の成功報酬金が発生します。
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離婚弁護士の弁護士費用シミュレーション例
ここで実際に、弁護士に協議離婚を依頼した際の費用をシミュレーションで見ていきましょう。
離婚弁護士費用 シミュレーション条件例
離婚請求(協議離婚)
- 相談料:無料
- 着手金:22万円
- 成功報酬金(離婚成立):22万円
離婚慰謝料
- 請求額:200万円
- 着手金:離婚請求の着手金にコミ
- 成功報酬金:11%(22万円)
財産分与
- 請求額:200万円
- 着手金:離婚請求の着手金にコミ
- 成功報酬金:11%(22万円)
依頼者が得られる金額
以上の条件で請求通りの金額を得られた場合、依頼者が配偶者から得られる金額は、合計400万円となります。
離婚慰謝料200万円+財産分与200万円=400万円
依頼者が支払う弁護士費用
本件にかかる弁護士費用は合計88万円です
離婚請求(相談料0円+着手金22万円+成功報酬金22万円)+離婚慰謝料(着手金0円+成功報酬金22万円)+財産分与(着手金0円+成功報酬金22万円)=88万円
離婚請求(協議離婚) | 離婚慰謝料 | 財産分与 | |
---|---|---|---|
相談料 | 0円 | 0円 | 0円 |
着手金 | 22万円 | 0円 | 0円 |
成功報酬金 | 22万円 | 22万円 | 22万円 |
合計 | 88万円 |
弁護士への協議離婚依頼で依頼者の手元に残るお金
弁護士に離婚協議を依頼して得られるお金から支払う弁護士費用を差し引くと、以下のようになります。
依頼者が得られる金額 400万円 – 依頼者が支払う弁護士費用 88万円 = 312万円
差し引き312万円が依頼者の手元に残ります。
離婚は弁護士費用以上の金額も獲得可能
このシミュレーションからは、弁護士費用をかけてもそれを上回る金額を獲得できることが読み取れます。
もっとも、実際の離婚事件での弁護士費用は、法律事務所によっても、ご相談内容によってもケース・バイ・ケースです。
自分のケースでどの程度の弁護士費用がかかるのか気になる場合には、無料相談なども利用しながら、いくつかの法律事務所に問い合わせてみることをお勧めします。
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そのお悩み弁護士に相談してみては?
当サイトを見ても疑問が解決しない、状況が異なるので判断が難しいと感じたら弁護士に相談することをおすすめします。
初回相談無料の弁護士も数多く掲載しておりますし、どの弁護士もいきなり料金が発生するということはありません。まずはお気軽にご相談ください。
離婚の弁護士費用を抑える方法
ここまで離婚にかかる弁護士費用の相場について見てきましたが、では弁護士費用を抑える方法はないのでしょうか?
結論から言えば、いくつかの方法があります。以下では、離婚時の弁護士費用を抑えるために有効な方法を挙げていきます。
無料相談を利用する
初回の法律相談を無料にしている弁護士は、近年増えています。
無料相談を利用すれば、費用面を気にすることなく弁護士との相性を計ったり料金体系を確認したりできます。
着手金無料の法律事務所を利用する
着手金ゼロで完全成果報酬型の法律事務所を利用すれば、初期費用をかけず弁護士に依頼できます。
ただし、着手金がゼロあるいは低額な法律事務所は、成功報酬金が高額になる場合があります。
したがって、弁護士費用を考える際には、着手金だけにとらわれず成功報酬金もふまえて総合的に判断することが大切です。
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複数の弁護士を見積もりで比較する
弁護士費用の料金体系は弁護士ごとに異なります。
そのため、無料相談なども利用して複数の弁護士から見積もりを取るというのも、弁護士費用を抑えるのに有効です。
法テラスの代理援助を利用する
法テラス(日本司法支援センター)とは、法的トラブルの解決のために情報やサービスを提供している公的機関です。
法テラスでは、経済的に困窮している方でも弁護士に相談・依頼ができるように、「代理援助」という弁護士費用の立て替えサービスを行っています。
サービス利用ができるのは、以下の条件に全て当てはまる場合です。
- 収入と資産が資力基準以下であること
- 勝訴の見込みがないとはいえないこと
- 民事法律扶助の趣旨に適すること
これらの条件に当てはまると審査で認められた場合には、着手金、成功報酬金などを法テラスが立て替えてくれます。
なお、立て替えてもらった金額は毎月分割で返済することとなります。
支払いについて弁護士と相談する
一括での弁護士費用の支払いが難しい場合、弁護士の中には分割払いに応じてくれる弁護士もいます。
法律相談の際に、弁護士費用の分割払いができるか相談してみるとよいでしょう。
交渉が難航しそうなら早めの相談を
離婚協議の難航が予想される場合には、早期に弁護士に依頼することで弁護士費用を抑えられます。
というのも、裁判外の交渉よりも裁判所を介しての離婚調停、離婚裁判の方が弁護活動の時間が長期化し、弁護士費用が高額になりやすいからです。
調停・裁判に進めば解決期間の長期化・弁護士費用高騰は避けられない
この弁護活動の時間ですが、離婚協議が決裂し調停になれば、調停が終わるまで半年程度の時間が必要ですし、調停が不成立で裁判になった場合には、終結までさらに1年程度の時間が必要となります。
そのため、調停や裁判では、新たな着手金や弁護士が出廷する際の日当などの費用が加算されるケースが多いです。
逆に言えば、交渉が決裂し調停や裁判になる前に弁護士に依頼すれば、よりスムーズな解決につながり、結果的に弁護士費用を安く抑えられる可能性があります。
離婚弁護士の費用支払いに関する注意点
離婚弁護士に相談する場合、費用面で以下の注意点があります。
二段式で支払いが発生する場合がある
さきほど少し触れましたが、離婚協議がまとまらず調停や裁判になれば、その都度新たな着手金や報酬金が必要となる場合があります。
離婚事件での弁護士費用は、いわば二段式なのです。
また、離婚そのものだけではなく慰謝料や親権、養育費なども請求する場合には、別途費用がかかる場合もよくあります。
ですから、弁護士費用の料金体系は正式な依頼前に確認することが重要です。
弁護士費用は特有財産(固有財産)から支払う
弁護士に依頼するにあたり、その費用をどこから捻出するかという問題があります。
その答えですが、自分の特有財産から支払うことをお勧めします。
特有財産とは、固有財産とも呼ばれ、夫婦の片方が所持している財産で財産分与の対象とならない財産のことを言います。
その逆の概念に共有財産がありますが、共有財産とは、婚姻期間中に夫婦が協力して築き上げた財産で財産分与の対象となる財産を言います。
共有財産で弁護士費用を支払うと財産分与で減額される可能性
もし共有財産から弁護士費用を支払ってしまうと、後々の財産分与の折に減額されてしまう可能性があります。
特有財産(固有財産)から弁護士費用を支払うのが難しい場合には、法テラスの代理援助を利用し、費用を立て替えてもらうことなども検討するとよいでしょう。
料金の支払いタイミングは必ず確認を
弁護士費用は、費目によって支払いのタイミングがずれるケースが多いです。
例えば、法律相談料は相談終了時、着手金は正式依頼時、成功報酬や日当、実費は事件終了時に支払うのが一般的です。
なお着手金は、離婚協議から離婚調停、離婚裁判に進んだ際には、そのステージが終了するごとに支払うこともあります。
ですから、事件解決の途中で資金繰りに困らないよう、料金支払いのタイミングを事前に確認し支払い計画を立てておくことが大切です。
離婚を弁護士に依頼するメリット
離婚は自分一人で進めるよりも、弁護士に依頼するほうがメリットは大きいです。
離婚協議では、当事者だけで話し合うとお互いに感情的になってこじれることも多いですが、弁護士が代理人になれば法的問題にフォーカスしスムーズに解決まで導いてくれます。
また、離婚調停や離婚裁判になった場合でも、弁護士は手続きに精通していますから安心して任せられます。
そして当然のことながら、弁護士は離婚にまつわる法的知識が豊富ですので、依頼者に最大限有利な条件で手続きを進めてくれます。
弁護士に依頼した場合のメリットについてより詳しく知りたい方は、下記記事もご覧ください。
まとめ
離婚の弁護士費用は法律相談などで直接確認を
これまで見てきたとおり、離婚問題にかかる弁護士費用には一定の相場があります。
もっとも、個々の事案の難易度によって費用が増減する可能性はありますし、弁護士の方針によっても料金体系が変わってきます。
弁護士費用についてより詳しく正確な金額を知りたい場合には、実際に法律相談に行くなどして直接弁護士に確認するとよいでしょう。
離婚弁護士選びは自分との相性も重要に
なお、注意したいのは、弁護士選びは費用面だけで決めてはならないという点です。
どんなに弁護士費用が安くても、離婚問題の知識が少なかったり自分と相性が悪かったりする弁護士では望むような結果は得られません。
離婚弁護士を選ぶにあたっては、事前に法律事務所のホームページなどを見て、その弁護士が離婚問題に注力しているのか、知識や経験は豊富なのかをきちんと調べましょう。
そのうえで実際に法律相談に行き、自分が信頼できる弁護士かどうか確かめることが大切です。
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