熟年離婚の財産分与を実態調査、約半数は夫婦の話し合いで合意も「非常に納得」は1割程度

2026年2月初旬、離婚弁護士相談広場 編集部では、熟年離婚(婚姻期間20年以上の離婚)を経験した50代・60代の女性79名を対象にアンケート調査を実施しました。
今回は、熟年離婚時の財産分与に関する設問について、集計した結果がまとまりましたので、お知らせします。
あなたの離婚経験(熟年離婚)に関するアンケート
実施:離婚弁護士相談広場 編集部
回答方法:Webアンケート調査
調査日時:2026年1月26日~2月3日
調査対象:熟年離婚(婚姻期間20年以上の離婚)を経験した50代・60代の女性
回答者数:79名
※熟年離婚に至る経緯や事前準備、離婚前後での気持ちの変化など他のアンケート結果は下記の記事もあわせてご参照ください。
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目次[非表示]
離婚を考え始めた段階で、4分の3以上が財産状況を把握

離婚を考え始めた当初、夫婦の財産状況についてどの程度把握できていたかを尋ねたところ、「ほぼ全体を把握できていた」が46.8%、「一部は把握できていた」が31.6%となりました。
両者を合わせると78.4%となり、熟年離婚した経験のある女性の4分の3以上が、離婚を考え始めた当初から、財産状況をある程度把握できていたことがわかります。
離婚の検討と財産状況の把握はほぼ併行して進む
この4分の3以上という高い値からは、熟年離婚を経験した女性の多くは、離婚を考え始めた比較的早い段階から、離婚後の生活を見据えて財産状況の確認・把握をほぼ同時併行で進めていた様子がうかがえます。
一方で「ほとんど把握できていなかった」10.1%、「まったく分からなかった」11.4%と、明確に財産状況を把握していなかった人も合計で約2割(21.5%)いました。
婚姻中の家計管理を夫に任せていた場合などは、離婚を意識してから財産状況を確認し始めるケースもあると考えられます。
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財産分与の条件、約半数が夫婦の話し合いで合意

財産分与の条件をどう決めたかを尋ねたところ、最も多かったのは「夫婦の話し合いで合意した」49.4%。
熟年離婚における財産分与の条件決めについて、夫婦間の話し合いで解決できるケースは約半数ほどという結果となりました。
財産分与を行わなかった(請求権の放棄)が約3割
次いで「財産分与を行わなかった(請求権の放棄)」が29.1%となり、約3割が財産分与を行わない選択をしていました。
弁護士への依頼や調停など法的に解決を図った方は2割弱
また、「調停・審判で決定した」11.4%、「弁護士を交えた交渉で決まった」7.6%と、法的な解決方法も見据えて条件決定した方は合計19% 、おおよそ2割弱となりました。
「話し合いで合意」か「財産分与を行わない」の二極化
熟年離婚における財産分与の対応は「夫婦間の話し合いで合意するケース」と「財産分与そのものを行わないケース」へ大きく分かれる傾向が見られます。
特に、離婚時に約3割が財産分与の請求権を放棄している点は、その背景事情を含めて注目したい部分です。
たとえば
- 財産分与できる共有財産がない、または共有財産より多くの借金がある
- 相手から財産分与を拒否された
- 関係性の悪化等により財産分与の話し合いができる状況になかった
こうした状況はいずれも実際の夫婦の離婚協議の中で起こり得ることで、熟年離婚の財産分与をめぐる現実の一端を示すものと言えるでしょう。
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話し合いに時間・労力のかかる財産は不動産、現金類、年金分割

実際に時間や労力がかかった財産として挙げられたのは、不動産・現金類・年金分割が中心でした。 いずれも離婚後の生活に直結する財産で、話し合いの焦点になりやすい項目といえます。
中でも年金分割は老後の生活設計に関わることもあり、熟年離婚においては特に慎重な確認が必要です。
財産分与の負担の大きさはケースバイケースで大きな差
一方、「特に手間はかからなかった」という回答が過半数(53.2%)を占めました。
今回の調査では、財産分与を行わなかった回答者が3割程度いたことを差し引いて考える必要はあるものの、実際に財産分与でかかる負担はケースバイケースで、夫婦の生活形態や収入・資産状況によって差が大きいこともうかがえます。
財産分与した半数以上が「一応納得」肯定的評価は約7割

離婚相手との財産分与についてどの程度納得しているか、納得感を尋ねたところ、「一応は納得している」が54.4%で最も多い結果となりました。「非常に納得している」13.9%と合わせると68.3%となり、約7割程度が財産分与を肯定的に受け止めていました。
十分納得の財産分与を行えるケースは1割強
肯定が7割弱とはいえ、そのうち「非常に納得している」は1割強、「一応は納得している」が半数以上という結果からは、熟年離婚経験者にとって財産分与は大人の妥協のひとつの結果としてしぶしぶ受け入れるケースが多く、財産分与の内容に十分満足している人はごく限られる様子が読み取れます。
一方、「あまり納得していない」15.2%、「まったく納得できない」16.5%も合計31.7%あり、人により納得の度合いも様々である実態がうかがえます。
熟年離婚における財産分与の特徴
長年の婚姻で形成された財産が多く、分与対象が広がりやすい
熟年離婚は、20年以上という長い年月を夫婦として共に過ごしていることから、その間に築かれた財産の種類も金額も自然と多くなります。
結果として、若い世代の離婚に比べて、財産分与の対象が広がりやすい点が大きな特徴です。
対象となる財産は、預貯金や自宅など不動産だけにはとどまりません。
退職金や企業年金、株式・投資信託といった金融資産が含まれることも珍しくなく、住宅ローンが完済されているケースでは、持ち家の評価額や売却の可否も重要な検討ポイントになります。
また、長い結婚生活の中で、どの財産が夫婦の共有財産にあたるのか、整理する作業も必要となります。
名義がどちらか一方になっていても、実質的に夫婦で築いたものであれば分与の対象となる可能性があります。
財産の種類が多くなるほど全体像を把握するのは難しくなるため、熟年離婚は財産分与が複雑になりやすい傾向があります。
退職金や年金など老後資金の扱いが重要に
また、熟年離婚では、老後の生活に直結する退職金や年金の扱いが大きな争点になりやすい点も特徴です。
退職金はまだ受け取っていない場合でも、婚姻期間中に形成された部分については財産分与の対象と判断されることがあります。そのため、退職時期や勤務年数、婚姻期間などを踏まえて分与割合を検討することになります。
年金については年金分割という制度があり、婚姻期間中の厚生年金記録を分け合うことで、離婚後も一定の年金受給権を確保できます。
特に長年専業主婦として家庭を支えてきた場合、この年金分割制度が老後の生活を支える大きな柱になることがあります。
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離婚後の生活設計を左右する熟年離婚の財産分与
熟年離婚では、離婚後に新たな収入を得ることが難しいケースも少なくありません。
そのため、財産分与は単なる財産の清算ではなく、「離婚後の生活設計」を左右する重要なプロセスになります。
退職金や年金を含めた老後資金をどう扱うかを丁寧に整理することは、安心して新しい生活を始めるための鍵になります。
まとめ
今回の調査から、熟年離婚における財産分与は、法的解決に進めることなく夫婦間の直接の話し合いで条件を決めるケースが半数近くである一方、その結果として十分納得行く財産分与を行えるケースは決して多くない実態が見えてきました。
離婚を考え始めた当初の段階で、約8割は夫婦の財産状況をある程度把握しており、熟年離婚する多くの方は、離婚後の財産の見通しを意識しながら離婚を検討している様子がうかがえます。
一方で、全体の約3割が財産分与を行っていなかった点や、離婚相手との財産分与に十分納得していると答えた人が1割、納得できないと答えた方が3割という結果も見逃せません。
特に、不動産・現金等・年金分割など老後の生活に直結する財産については、財産整理や話し合いにも時間・労力など一定の負担が伴います。
財産分与に対する納得度は、対象となる財産内容・金額、生活状況などによって差が生じやすいものと考えられます。
熟年離婚の財産分与の不安や疑問は弁護士に相談を
財産分与は、離婚後の生活資金確保および老後の生活設計に大きく影響します。
話し合いそのものはスムーズに行ったとしても、後になって不利益や不都合に気づくようでは取り返しがつきません。条件整理の段階から、共有財産に対する法的な権利の把握、請求可能な範囲など、よく把握しておくことは大切です。
熟年離婚の財産分与について不安や疑問がある場合は、一人で判断せず、離婚問題に詳しい弁護士にご相談ください。
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