法人破産手続きの予納金が払えない場合はどうすればよい?
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法人破産の予納金とは?
「予納」とは、前もって納めることを意味します。つまり、予納金とは費用の金額が確定する前であったり、その費用が実際に必要とされる場面よりも早く支払ったりする場合のお金を指します。
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法人破産の手続きにおいてもこの予納金が必要になり、費用を前払いしなければなりません。これは、破産法第22条において定められています。
破産法第22条
破産手続開始の申立てをするときは、申立人は、破産手続の費用として裁判所の定める金額を予納しなければならない。
具体的な金額等については、手続きの方法や法人の財産状況などに応じて変わってきます。以下で予納金の内容や金額などについても、詳しく解説していきます。
法人破産における予納金は破産管財人への報酬
法人破産をする場合、裁判所に手数料と郵便切手代、そして予納金を支払わなければなりません。予納金には官報広告費と引継予納金とが含まれていますが、このうち引継予納金が法人破産の費用のほとんどを占めています。
手数料は収入印紙代として支払い、破産手続開始の申立書に貼付します。郵便切手代は法人破産の事実を債権者へ通知するために必要で、管轄の地方裁判所によって金額や内訳が異なります。
予納金として納める官報広告費は、破産を広く一般に知らせるため、官報に載せる費用として支払います。破産をしたことについて知られたくないという場合もあるかと思いますが、官報がきっかけで知人の多くに知られてしまうという心配はあまり必要ないと言えるでしょう。
官報は誰でも閲覧できますが、毎日大量の情報が発信されており、常にチェックしているような人でなければ特定の情報を見つけることは難しいからです。
引継予納金とは?
引継予納金は、法人財産を破産管財人に引き継ぐ際に必要な費用です。法人破産の場合管財事件として手続きが進められ、法人破産手続開始決定を受けるとそれまで法人の財産とされていたものは破産財団となり、裁判所から選任された破産管財人が管理していくことになります。
財産が散逸しないようにし、財産をお金へ換価、債権者へ配当をするのが破産管財人の主な職務です。破産管財人には管轄地域で活動する弁護士が選任されることになり、この仕事に対する報酬として引継予納金が必要になるのです。
法人破産の予納金の金額や支払いについて
法人破産の予納金は主に負債総額で決まる
法人破産の申立人が最も気にするのは予納しなければならない金額だと思われます。基本的には、管轄の裁判所が違うからといって大幅に予納金の金額が変わるものではありませんが、少額管財を運用しているなど、採用している制度に違いがあった場合には大きな差が生じることがあるでしょう。特に差が出てくるのは引継予納金についてです。
東京地方裁判所では少額管財が運用されており、その場合には引継予納金が20万円でよいとされています。しかし少額管財事件は換価可能な財産が少ない場合などに限られ、規模の大きな法人だと利用することができない場合もあります。
通常の管財事件の場合ですと、管轄にもよりますが、最低でも60万円や70万円ほどを予納しなければならず、場合によってはより高額の予納を求められます。この金額の違いは法人の抱える負債総額によるもので、億単位の負債総額だと予納する金額も100万円、200万円と増えていきます。
一方で引継予納金以外の費用については比較的少額で、裁判所による違いも大した差にはなりません。手数料と郵便切手代を合わせても数千円程度、官報広告費も1万5000円程度です。
支払いが遅れるとその分手続きも滞る
予納金の納付までの流れとして、まず破産申立書を申立人が提出、その後裁判所が申請書類の確認を行います。その内容に不備がなければ予納金の納付要請がなされます。しかし書類に補正の必要があれば修正するように求められますので、申立人が補正の対応をし、申請書類に問題がないことを裁判所が確認してからの納付要請を受けます。
収入印紙などは申立書に貼付することになるため、手数料の支払いは申し立てるときに行うことになります。これに対して予納金は裁判所が申立書の確認を行い、費用納付の要請を受けてからとなります。
支払いの期日は特に決められず、申立人が支払ったときから破産手続きが開始されます。逆に言えば、予納金を支払わなければ破産の手続きは進行せず、さらに、裁判所からの納付要請を無視していると破産の申立が却下または棄却されてしまいます。
裁判所によっては分割払いを認めていることもありますが、予納金である以上原則は前払いであるため、支払いが満額に達してからの手続き進行となります。また実務上、支払いは破産管財人に直接行うとされており、指定された銀行口座に振り込むなどのケースが多くなっています。
法人破産の予納金を払えない場合はどうする?
不服申し立てをする
法人破産をするためには予納金は必須となります。予納金を裁判所から命じられたにもかかわらず納付しない場合には破産手続開始の申し立ては却下されます。しかし、法律に則りこれに不服を申し立てることもできます。
つまり裁判所の裁量によって決定された予納金額が適切ではないと申し立てるのです。予納金額の決定のほか、予納がないことによる破産手続開始申し立ての却下に対してや、予納金が不足していた場合に命じられる追加予納命令などに対しても不服申し立てができるとされています。
破産をしたいと考える者の持つ正当な権利ですが、なかなか簡単に申し立ての内容が認められるものではありません。あまり考えられることではありませんが想定していた相場の予納金を大きく上回るような場合に取る手段として覚えておくと良いでしょう。
仮支弁の制度を利用する
予納金が払えないと考えられる場合に取れる手段としては、国庫からの仮支弁の制度も設けられています。仮支弁の制度は、破産財団となる財産の状況やその他の事情を考慮し、利害関係人の保護のため特に必要とみられる場合に限って利用できます。
国に立て替えてもらう以上「特に必要とみられる場合」というのは単なる利害調整だけではなく公益的な価値との関連が強い場合と解されています。そのため仮支弁の制度が利用できるのもやはり稀なケースと言えますが、利害関係人が多いことや配当の公的要素がある場合には申し立てると良いでしょう。
第三者による支払いを行う
原則、予納金の支払い義務があるのは申立人です。しかし第三者が代わって納付することもできると解されています。そのため法人が本来その財産から費用を捻出する必要がありますが、代表者が個人の財産から出すことができれば予納義務を果たすことはできるでしょう。
代表者が支払えない場合であっても、家族や知人などに代わりに予納金を出してもらうことができれば破産を進めることができます。
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利害関係人と交渉する
お金がないと思っていても意外なところから回収できることもあります。たとえば、回収しきれていなかった債権が残っている場合、その返済に応じてもらうことで予納金を捻出することができるかもしれませんし、不動産の売却などができる場合もあります。
オーバーローンの不動産しかなかったとしても、抵当権者としては結局不良債権となってしまうため、不動産の売却に同意してもらえる可能性はあります。
ただし、これらの交渉は破産を申し立てる者本人よりも弁護士などの協力を得た方が成功率を上げられます。弁護士に相談して様々な手段を模索してみましょう。
法人破産の予納金は追納・還付の可能性がある
予納金はあくまで事前に想定の費用を納めるものであり、実際にかかった費用と一致するとは限りません。そのため納めた金額では足りないことや、納めた分が使われずに余ることもあります。
納めた予納金では足りなかった場合だと、裁判所から追納要請を受けることになります。当然、予納金を納めていたとしても追納の指示に従わなければ破産手続きを進めることはできなくなります。
予納金が不足するケースとは破産管財人の仕事量が、負債総額から予想された仕事量を超えた場合などです。そこで、少額管財事件であったとしても追納を命じられることがあり得ます。もともと少額管財は、破産管財人の負担が小さいと予想されるケースだけに適用でき、そのため少額の予納金で良いとされている制度です。
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少額管財の要件のひとつに弁護士を代理人として選任していることが挙げられているのは、弁護士がいることで破産管財人の職務が減らせるだろうという考えに基づいているからです。
そこで弁護士に依頼をし、少額管財事件として手続きを進めていたとしても、破産管財人の負担が大きい場合には追納の可能性が出てくるのです。逆に、破産管財人の負担が想定よりも少なくて済んだ場合には予納金の一部が還付されることもあります。
そのため、費用を抑えるためにもできるだけ法人破産について強い弁護士に依頼するようにしましょう。事務所のホームページでどのような分野に強みを持っているのか、またどのような実績を持っているのかなど確認してみましょう。
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法人破産の予納金は弁護士に相談
法人破産の手続きにおける予納金は主に破産管財人への報酬であり、負債総額に対応した金額を前払いしなければなりません。管轄の裁判所による違いはありますが、少額管財の制度を利用した場合でも最低20万円は必要となり、通常の管財事件だと60万円や70万円以上をあらかじめ納めなければなりません。
負債額が数億円に達する場合だと数百万円にもなり、弁護士費用も数十万円から数百万円必要になってきます。
通常、支払いの期限については特に定められませんが、未払いの期間中は破産手続が進められず、場合によっては破産の申立が却下・棄却されることもあり得ます。予納金が納められないという事態を避けるためにも早い段階で弁護士に相談しておき、サポートを受けながら計画的に破産に取り組むようにしましょう。
また、弁護士に多くの手続きを代行してもらうことで申立人の負担も減り、スムーズな破産手続ができるようになるなどの効果もあるため、法人破産についてはなるべく早く弁護士に相談をすることが最も重要だと言えるでしょう。
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