債務整理(任意整理)の弁護士費用の相場はいくら?借金で手持ちがなくても行う方法
債務整理を弁護士に依頼する場合、まずはじめに弁護士費用の支払いに関する心配があります。債務整理に踏み切るほど経済的にひっ迫しているのに、どのようにして弁護士費用を支払ったらよいのか不安に感じるのは致し方ないことでしょう。
ここでは債務整理における弁護士への報酬金額について、詳しく説明したいと思います。
債務整理の弁護士費用に相場や基準はない
結論から言うと、弁護士に債務整理等を依頼する場合、その報酬額に基準はありません。
債務の多寡や返済状況、債務者の収入や生活の状況などによって事件の難易度は変わりますし、また「任意整理」「個人再生」などの債務整理の種類によっても報酬額は異なります。そのため弁護士は依頼主と協議をして報酬額を自由に決めることが認められています。
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相場がないと言っても、弁護士の報酬に関する原則の規制はある
弁護士の債務整理における報酬額に相場はありませんが、2011年2月、日弁連は臨時総会で「債務整理事件処理の規律を定める規定」を定めており、同年4月1日以降に受任した債務整理事件はこの規定に沿うことになっています。
例えば、非事業者等任意整理事件の着手金に上限規制はありませんが、報酬金については、解決報酬金、減額報酬金、過払金報酬金のそれぞれに上限の規制が設けられています。
法的事件解決によっては弁護士費用が高額になることも
債務整理の事件によっては、弁護士は債権者との細かな交渉が必要になったり、債務額確定のための調査や過払い金がある場合の返還交渉、裁判所提出書類の作成や裁判所等への同行、無事債権者と合意したときは合意書の作成、また訴訟になった場合は、訴訟に拘わる書類の作成や手続き、交渉が必要になってきます。
別途、訴訟費用等が必要になり、弁護士費用は高額になってしまうこともあります。
債務整理に必要な報酬・費用の内訳
債務整理における弁護士に支払う報酬は、着手金、報酬金・過払い金返還報酬金、手数料などがあります。それらは債務整理の種類や債務額、また債権者の数などによって異なってきます。
種類ごとの目安はどれくらいになるのでしょうか。
法律相談料
債務整理を弁護士に依頼するときには、まずは法律相談料が必要です。法律相談料とは、借金問題を弁護士に相談するときにかかる費用のことです。
債務整理をするときには、いきなり手続を依頼するのではなく、まずは法律相談を受けないといけません。そして、法律相談料は、だいたいどこの事務所でも30分5,500円(税込)が通常です。ただ、今は多くの弁護士事務所が借金問題の無料相談を実施しています。
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着手金
債務整理にかかる費用には、着手金があります。着手金とは、弁護士に債務整理手続きを依頼したとき、当初に支払うお金です。債務整理をするための初期費用のようなものです。
着手金の金額は、依頼をする弁護士事務所と依頼する債務整理手続きによって金額が異なります。
手続きごとの相場は、だいたい以下の通りです。
任意整理の場合 | 債権者1件について2万円~4万円 |
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特定調停の場合 | 債権者1件について2万円~4万円 |
個人再生の場合 | 30万円~50万円(住宅資金特別条項がつくと高額になることが多い) |
自己破産の場合 | 20万円~50万円(同時廃止よりも管財事件の場合に高額になることが多い) |
同時廃止とは、財産がほとんどない人のための簡単な手続きであり、弁護士の着手金は20万円~30万円前後です。管財事件とは、財産がある程度ある人のための複雑な手続きであり、弁護士の着手金は30万円~50万円程度となります。
報酬金
債務整理の弁護士費用には、報酬金があります。報酬金とは、事件が解決されたときに、その解決内容に応じてかかる費用のことです。これについても、依頼する事務所と利用する債務整理方法によって異なります。
債務整理の報酬金は、だいたい以下の通りとなります。
任意整理の基本報酬金 債権者1件について2万円
基本報酬金とは、任意整理で相手と合意ができたときにはかかる費用です。基本報酬金はかかる事務所とかからない事務所があります。
任意整理の減額報酬金 減額できた分の5%~10%
減額報酬金とは、債権者との話合いによって借金を減額出来たときにかかる費用です。減額できた度合いによって費用が異なります。減額報酬金も、かかる事務所とかからない事務所があります。
- 過払い金が回収できた場合、 回収した過払い金額の15%~20%
- 個人再生や自己破産の場合、報酬金はありません
実費
実費とは、債務整理をするときに実際にかかる費用のことです。たとえば、交通費や裁判所に納める手数料、郵便切手代などがこれにあたります。実費は、以下の通りです。
任意整理の場合、だいたい5000円前後
任意整理でかかる実費は、債権者とのやり取りにかかる郵便切手代くらいですので、非常に安いです。費用的には5000円もあれば足りることが多いです。
特定調停の場合、だいたい1万円前後
特定調停では、簡易裁判所への申立の際に裁判所の手数料がかかります。手数料は債権者1社について500円です。また、郵便切手も必要になります。あとは、裁判所の往復の交通費がかかります。合計で1万円もかからないことも多いです。
特定調停をするときには弁護士に依頼しないことが多いですが、その場合、全部で1万円前後で債務整理ができることになります。
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個人再生の場合、だいたい3万円~18万円前後
個人再生の場合には、申立の際に裁判所に1万円の手数料を支払う必要があります。また、予納郵便切手も必要です。さらに、官報公告費用として13000円程度が必要です。
さらに、個人再生委員が選任されるケースでは、個人再生委員の予納金として15万円が必要になります。個人再生委員が選任されない場合には3万円前後ですが、個人再生委員が選任されると18万円前後かかります。
自己破産の場合、同時廃止なだいたい2万円前後
自己破産の場合、申立時に1500円の手数料が必要です。また郵便切手代徒官報公告費用が1万円強かかります。
管財事件ならだいたい23万円前後
同時廃止の場合にはこれだけで終わりますが、管財事件の場合には、さらに管財予納金として最低20万円が必要です。
そこで、自己破産の同時廃止なら2万円前後になりますが、管財事件になると23万円前後が必要です。管財事件では弁護士の着手金も高額になるので、自己破産が管財事件になると、弁護士費用と実費の合計でかなり高額な費用がかかる結果になります。
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債務整理の種類ごとの弁護士費用の合計目安
債務整理の弁護士費用の相場はありませんが、おおよその平均的な金額をご紹介します。
任意整理の弁護士費用目安
「任意整理」は、裁判所などを通さずに行えますが、債権者との交渉が必要になるため、弁護士や司法書士に依頼する必要があります。
弁護士に依頼するときの平均的な費用は、1債権者当たり、着手金として4万~5万程度、成功報酬として減額された債務金額の10%となっているところが多いようです。過払い金の返還を受けた場合の過払い報酬は過払い金の20%が平均です。
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個人再生の弁護士費用目安
個人資産を守れる「個人再生」では、着手金は30万円程度。減額された金額の10%~20%が成功報酬となっており、事案が簡明な場合は20万円程度が平均になっています。
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自己破産の弁護士費用目安
「自己破産」の場合、手続きは本人でもできる場合がありますが、迅速に確実に手続きを進めるために、やはり弁護士などの専門家に依頼することが多くなります。
自己破産をすると債務はなくなりますが、手続きを弁護士に依頼をすると着手金が20万円程度必要になり、万一債権者が訴訟を起こした場合は、裁判費用が別途請求されることになります。
報酬金は、免責が決定された場合のみ発生する場合がほとんどです。
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過払い金返還請求の弁護士費用目安
利息制限法と出資法のいわゆるグレー金利差に生じた「過払い金返還請求」については、個人の場合、債権者一社につき着手金5万円~10万円程度、事業者や法人の場合は、数十万~50万円程度になります。
また、成功報酬は、減額された金額の10%~20%が平均です。先にも述べた通り、債務整理の弁護士費用に相場はありません。ここで紹介しているのは、あくまで平均の金額なので、債務整理を依頼する弁護士や司法書士によって異なってきます。
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債務整理の費用が払えない場合
経済的に行き詰まっているからこそ債務整理を選択するのですから、債務整理にまとまった費用がかかる場合は、手持ちの分だけでは払いきれない場合も少なくありません。
特に、裁判所の手続きとして行う個人再生と自己破産は、弁護士などの専門家に支払う費用だけでなく裁判所に納める費用もあるので、費用の合計は高額になりがちです。
そこで、債務整理の費用が払えない場合にどのような方法があるかを解説します。
分割払い・後払いで支払う
弁護士などの専門家に支払う専門家費用については、分割払いや後払いに対応している事務所が少なくありません。
一括で債務整理の費用を支払うことは困難でも、分割であれば問題なく支払えるのであれば、積極的に債務整理を検討できるようになります。
分割払いできる条件や回数などは事務所によって異なるので、分割払いで債務整理を検討する場合は、一度事務所に問い合わせてみましょう。
分割払い・後払いできるのは弁護士費用だけ
注意点として、分割払いや後払いが可能なのは、弁護士に支払う弁護士費用だけです。裁判所に納める裁判所費用については、手続きをするために一括で全額を納める必要があります。
裁判所を介さない任意整理であれば裁判所費用が発生しないので、分割払いが可能であれば、債務整理という選択肢がより現実的になります。
法テラスを利用する
法テラスは法的なトラブルを解決するための総合案内所としての役割を持つ機関です。法務省所管の公的な法人であり、通称法テラス、正式名称は日本司法支援センターといいます。
法テラスは法に関する情報提供や、相談窓口・専門機関の紹介などが主な業務ですが、業務の1つとして民事法律扶助業務を行っています。
法テラスによる民事法律扶助業務では、経済的に余裕のない人が法的なトラブルにあった場合に、無料で法律相談を行ったり、弁護士・司法書士の費用などの立替えを行ったりします。
法テラスの立替え制度を利用すれば、債務整理に必要な費用を法テラスが立替えて支払ってくれます。その後、法テラスに月5000円〜で返済していきます。法テラスを利用すれば、費用を少しずつ返済できるようになるので、債務整理を実行しやすくなります。
法テラスには利用条件があり、以下の3つを満たす必要があります。債務整理の場合、主に収入が一定以下であることが重要です。
- 利用者や配偶者の収入が一定以下であること
- 勝訴(紛争解決)の見込みがあること
- 民事法律扶助の趣旨に適すること(報復や宣伝などが目的でない)
弁護士事務所を通じて法テラス制度を利用しよう
法テラスを利用して債務整理をする場合、法テラスに直接申込む方法だと、どの弁護士事務所に依頼するかを選択することはできませんが、例外として自分で事務所を選べる方法があります。持ち込み方式と呼ばれる方法です。
持ち込み方式を利用する条件は、依頼したい弁護士事務所が法テラスに登録していること(そのうえで、法テラスを利用することを弁護士事務所が承諾していること)です。
希望する弁護士事務所が法テラスに対応していれば、持ち込み方式を使うことで、弁護士事務所を通じて法テラス制度を利用できます。
持ち込み方式を利用するには、基本的にはまず利用する弁護士事務所に連絡をして、法テラス制度を利用して依頼できないかを聞いてみる必要があります。
弁護士事務所のほうから法テラスの制度を紹介し、かつ法テラスの制度を利用して債務整理を引き受ける可能性はあまりないので、自分から提案するのがポイントです。
断られるのでは、と心配になるかもしれませんが、弁護士も司法書士も、法律扶助制度(法テラスの制度)の説明や教示に努めることが規定されていますので、一度相談してみることをおすすめします。
まとめ
弁護士費用を心配するあまり、債務整理に踏み切れない人は多いと思います。
しかし、手持ちの金額がほとんどなくても債務整理は可能です。弁護士との報酬をめぐるトラブルを回避するため、依頼する前にできる限り報酬基準を提示してもらってから弁護士に依頼することをおすすめします。
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