個人再生は家族に内緒でできる?妻(夫)にバレずに個人再生する方法
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別居の家族に知られる可能性はほとんどない
家族とは言っても同居しているとは限りません。独立して1人暮らししている方もおられますし、単身赴任されている方もいるでしょう。
このように家族と離れて暮らしている場合には、個人再生をしてもほとんど知られる心配はありません。別居の家族には個人再生手続きの関係で協力をお願いすることもありませんし、別居の家族宛に郵便物が届くこともないためです。後に説明する官報公告をみられるリスクはありますが、現実には官報を見られる可能性は低いと言えます。
個人再生が同居の家族にバレるパターン
一方同居の家族がいるときに個人再生すると、バレる可能性が高くなります。特に以下のようなきっかけで知られてしまうパターンが多数です。
給与明細書をお願いしてバレる
個人再生をするときには、その世帯全体の「家計収支」が問題になります。家計収支とは、世帯全体の収入と支出の内訳です。つまり申立人本人と同居の家族の収入と支出の状況を説明しなければなりません。
同居の配偶者に収入があれば、資料と共にその内容を報告しなければならないのです。具体的には配偶者の給与明細2か月分の提出を求められるケースが多くなっています。すると配偶者に「給与明細を貸してほしい」とお願いせざるを得ません。日常では夫婦であっても給与明細を渡すことは少ないので「何事か」と思われ、問い詰められて個人再生がバレてしまいます。
配偶者が働いていなければ給与明細は不要なのでバレにくいですが、たとえパートであっても働いて収入がある限り収入証明が必要となり、バレる危険性があります。
家の財産関係を尋ねてバレる
個人再生をするときには、申立人の財産が問題となります。たとえば預貯金や保険、不動産や車などの保有状況を報告し、資料を提出しなければなりません。預貯金については、基本的に申立人名義のものだけでかまいませんが、光熱費の引き落とし通帳は同居の家族名義であっても提出が必要です。
自分で預貯金通帳や保険証書などの管理をしている方であれば家族に知られにくいのですが、妻に管理を任せている場合などには「通帳や保険証書など、どこにしまってあるの?」などと尋ねたことをきっかけに不審に思われて個人再生がバレる可能性があります。
また光熱費の口座が妻名義になっている場合には、その通帳を借りなければなりません。その際に「何に必要なのか」と思われて個人再生を知られる可能性もあります。
家に裁判所や債権者からの書類が届いてバレる
個人再生をするときには、裁判所や債権者からのいろいろな書類が届きます。封筒には「〇〇地方裁判所」「株式会社〇〇」「〇〇銀行」などと送り主の名称も書いてあります。個人再生を利用する方は日中働いているでしょうから、家にいる家族が郵便物を受けとることになります。そうなると「あなた宛に裁判所や金融業者からたくさんの書類が届くけれど、これは一体何?」と聞かれて個人再生がバレます。
ブラックリスト状態になってバレる
個人再生をすると、いわゆる「ブラックリスト状態」となります。つまり、個人信用情報に異動情報や官報公告情報が登録されて、ローンやクレジットカードを利用できなくなるのです。
個人再生後は10年間程度、カードやローンの申込みをしても通らなくなります。すると家族が「なぜ年収が低くないのにカードも作れないのか?何があったのか」と不審に思い、問い詰めてきて個人再生を知られるケースがあります。
官報公告について
個人再生をすると「官報公告」されます。官報公告とは、政府が発行している新聞のような機関誌である「官報」に、個人再生や自己破産の情報が掲載されることです。個人再生の申立人の氏名や住所、個人再生の事件番号などが3回掲載されます。
官報は誰でも購読できますしネットでも公表されているので、家族に見られる可能性も0ではありません。
最近までは「官報など普通の人は読まない」と言われてきましたが、2019年始め頃、ネット上に官報の自己破産者の情報をまとめたサイトが公表されて物議を醸した事件がありました。そのサイト自体は問題になってすぐに閉じられたのですが、今後も似たような悪質な情報利用や公表が行われる可能性はあります。
「官報」という誰でもアクセスできる媒体に情報が公表される以上、家族を含めた周囲に知られるリスクは0ではないのです。
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個人再生をしなくても家族にバレる
ここまで「個人再生をすることによって家族にバレる可能性」を考えてきましたが、実は「借金があると個人再生などしなくても同居の家族に知られる可能性が極めて高くなります。」特に借金を「放置」していると家族にバレないのは困難です。以下で個人再生をしなくても家族にバレるパターンをいくつかご紹介します。
借金を放置して督促状が届く
サラ金やカード会社から借入をしている場合、順調に返済できていれば問題はありませんが、返済が滞ると督促が届き始めます。自宅宛に金融業者からのたくさんの督促状が届くようになったら、家族に不審に思われて借金を知られます。実は借金している方が家族にバレるパターンで一番多いのが、この「自宅への督促状」です。家族に借金を知られたくないなら借金を滞納しないこと、支払えなくなったらすぐに債務整理することが重要です。
給料の差押えを受ける
借金を返済できないまま放置すると、債権者から裁判をされて最終的に給与などの差押えを受けます。給与を差し押さえられると手取り額が減少し、その旨も給与明細書に記載されます。裁判は何とかごまかせたとしても、給料の手取りがいきなり減少したら家族に言い訳できないでしょう。
カードを止められる
クレジットカードは、引き落とし日に予定されていた引き落としができないと、カードを即刻止められます。家族カードを渡している場合には、その日から家族カードを使えなくなります。買い物で支払いをしようとしても、いつものカードを使えないので家族は何事かと思い、問い詰めてくるでしょう。返済が苦しくてカードの引き落としができなかったことを知られたら、そこから芋づる式に他の借金もバレてしまうパターンが多々あります。
以上のように借金問題を放置していると、たとえ個人再生をしなくても家族にはいずれ知られるリスクが高くなります。意識しておきましょう。
個人再生をなるべく家族に内緒にする方法
個人再生をするとき、なるべく家族に内緒にするには、以下のような対策方法があります。
配偶者の給料を給与明細ではなく預貯金通帳への記帳などで証明する
配偶者が働いている場合には、基本的に配偶者の給与明細書が必要になります。しかしこのとき「給与明細書を貸してほしい」と言うと、不審に思われて個人再生がバレる可能性があります。
裁判所の運用にもよりますが、実は配偶者が働いていても配偶者の給与明細書を提出せずに済むケースがあります。たとえば配偶者名義の通帳に配偶者の勤務先の名称で給与が入金されている場合、その通帳のコピーの提出で給与明細に代えることができる場合もあります。どこまで厳格に配偶者の給与の証明を求めるかは地域によっても異なるので、一度個人再生を依頼する弁護士に状況を聞いてみるのが良いでしょう。
給与明細を借りる言い訳を考える
どうしても配偶者から給与明細書を借りなければならない場合には、あらかじめ言い訳を考えておくべきです。たとえば以下のようなことを言ってみると良いでしょう。
- 家に全体でどのくらいの収入があるのか自分の目で見て確認しておきたくなった
- 僕の給与明細も見せるから、君のも見せてほしい
- 最近残業代不払いの会社も多いから、ちゃんと払われてるかどうか、みてあげる
- どのくらい年金や保険料が控除されているものなのか、内訳を見てみたい
- 源泉徴収や控除、残業代や組合費用など、他の会社ではどんな風になっているのか見てみたい
このようなことを言って給与明細を見せてもらい、そのまま借りてコピーして返せばバレずに済む可能性があります。
預貯金通帳を借りるときの言い訳を考える
光熱費の引き落とし口座が配偶者名義の場合には、その預貯金通帳を借りる言い訳を考える必要があります。保険証書などの管理を配偶者に任せている場合にも、出してもらわねばなりません。その際には、以下のようなことを言ってみましょう。
- 家関係の引き落としがどのくらいになっているのか確かめておきたい
- 万一の時のため、財産がどこにしまってあるのか教えておいてほしい
- どんな保険に入っていたか忘れたので確認しておきたい
ブラックリスト状態になったときの言い訳を考える
個人再生をすると、ローンやクレジットカードを利用できない「ブラックリスト状態」になり、それをきっかけに家族に知られるパターンがあります。そこでブラックリストになったときに言い訳を考えておかねばなりません。
実は、債務整理以外にもブラックリスト状態になる理由はあります。たとえば借金を2か月分以上滞納してもブラックリスト状態になります。「ブラックリストになったから即個人再生した」ことにはなりません。
そこで個人再生後にローンやクレジットを利用できなくなったら「実は以前にカードの支払いを2か月くらい以上滞納したことがあって」「普段使っていないカードで、督促状が来ていることに気づかなかった」などと誤魔化すことも可能です。
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個人再生の申立手続きは必ず弁護士に依頼する
個人再生は自分でする方法と弁護士に任せる方法がありますが、自分ですると家族にバレずに済ませることはほとんど不可能です。個人再生をするときに家族に知られたくないなら、必ず申立の手続きを弁護士に依頼することが重要です。以下で弁護士に依頼するとバレにくくなる理由をご説明します。
裁判所や債権者からのすべての連絡が弁護士事務所宛に入る
もっとも重要なポイントは、裁判所や債権者からの連絡先です。弁護士に個人再生を依頼するとすべての連絡先が弁護士事務所になります。債権者からの書類も裁判所からの書類もすべて弁護士事務所宛に届きますし、債務者宛には電話すらもかかってきません。
このことで、家族に裁判所や金融会社からの書類を見られてバレるリスクが一気になくなります。
督促も来なくなる
借金を滞納していると債権者からの督促状が届くので「いつ家族にバレるかわからない」と恐れている方も多いでしょう。そんなとき、弁護士に債務整理を依頼するとそのときから「ぴたっ」と督促が来なくなります。貸金業法により、弁護士介入後は債権者が債務者に直接取り立てを行うことが禁じられるためです。
弁護士に依頼したら、とりあえず債権者からの督促によって家族に借金問題を知られるリスクがほとんどなくなります。
書類作成などの自宅における作業が不要になる
個人再生を自分で申し立てようとすると、たくさんの書類を作成しなければなりませんし、資料もたくさん集めないといけません。そのためには膨大な量の作業を自宅でこなす必要があります。普段働いている方が休日や夜中などに必死で書類作成などの作業をしていたら家族に不審に思われるのは避け難いでしょう。
弁護士に依頼したら、ほとんどすべての書類を弁護士が作成しますし資料も必要に応じて弁護士の指示に従って集めれば良いだけで、作業内容が極めて軽くなります。同居の家族にも不審に思われずに済むでしょう。
家族にバレないためのアドバイスをもらえる
個人再生をするときには、上記で紹介したようにいろいろな「家族にバレやすいパターン」があります。依頼時、あらかじめ弁護士に「家族に内緒で手続きしたい」と伝えておいたら、弁護士の方から「こういう場合にはこのように対応すると良い」とアドバイスをしてもらえます。弁護士にもいろいろなタイプがあり、「家族に知られたくない」という債務者の希望を尊重してくれる方であれば、バレないために協力してくれるのです。
弁護士のアドバイスに従って行動していれば、家族に知られるリスクは大きく低下するでしょう。
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弁護士事務所との連絡方法について
同居の家族に個人再生を知られたくないなら、弁護士事務所と連絡を取る方法にも注意が必要です。弁護士事務所から「〇〇法律事務所 弁護士〇〇〇〇」などと書かれた封筒が届いたら、「弁護士から書類が届くなんて何事か」と家族に不審に思われて個人再生がバレる可能性があるからです。
弁護士事務所から書類を送ってもらうときには、一般の市販の封筒を使い、弁護士の個人名で送ってもらうなどの対応をしてもらいましょう。または協力してもられる友人宅や私書箱宛に送ってもらう方法などもあります。
個人再生がバレても離婚原因にはならない
これだけ対応をとっていても、家族に絶対バレない保証は残念ながらありません。もしバレるとどのような問題が起こるのか、一番心配なのは「離婚」問題でしょう。以下で「個人再生がバレたら離婚されるのか」説明します。
個人再生は直接の離婚原因にならない
世間では「借金で離婚した」という話をよく聞くので、「個人再生がバレたら離婚になる」と思っている方がおられます。しかし個人再生は法律上の離婚原因になりません。そもそも借金自体、民法が定める離婚理由に該当しないのです。
内緒で個人再生したというだけでは夫婦関係が破綻したとはみなされないので、離婚裁判を起こされても離婚判決は出ないことが通常です。
借金がきっかけで夫婦関係が破綻する可能性がある
ただし個人再生を含めた借金問題がきっかけで、夫婦関係に亀裂が入る可能性は十分に考えられます。強い不信感を持たれて別居に至り長期間が経過したら、もはや夫婦関係が修復不可能な状態になってしまうこともあるでしょう。
そのようなときには、直接個人再生が理由ではなくとも、夫婦関係が破綻状態になったことを理由として離婚が認められる可能性があります。
慰謝料について
借金が原因で離婚になったら慰謝料を払わねばならないと考えている方もおられます。しかし借金は有責事由ではないので、借金を作ったり個人再生したりしても慰謝料は不要です。
ただし家のお金を使い込んだり相手に生活費を渡さなかったりしたら、それが「悪意の遺棄」とみなされて慰謝料が発生する可能性はあります。
以上のように、「個人再生しただけ」「個人再生がバレたから」という理由で離婚されることはありません。個人再生を知られても誠実に対応すれば離婚を避ける方法はいくらでもあります。現に「借金嫌いな妻に個人再生を知られ」窮地に追い込まれた方などでも、誠意を持って説明を行い、夫婦関係を継続して普通に暮らしておられる方がたくさんおられます。家族に個人再生を知られる問題について、あまり思い詰めすぎる必要はありません。
個人再生は家族に告げて協力してもらうのがベスト
個人再生を家族にバレずに内緒で行うことは可能です。ただし本当は家族に告げて協力してもらうのがベストです。
また自分一人の力で家族に知られないまま個人再生を成し遂げることはほとんど不可能です。債権者からの督促が来る前に、早めに弁護士に相談して個人再生を依頼しましょう。
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