交通安全対策なにしてる?歩行者・自転車・自動車利用者が事故を避けるためにしていることをアンケート調査

このたび交通事故弁護士相談広場では、全国の20~60代・男女500人を対象に、日常の移動時(徒歩・自転車・自動車等)に行っている交通安全対策についてアンケートを実施しました。
その結果、日常の交通において安全対策につながる行動は、20代から60代にかけて基本的には年齢層が高くなるほど意識的に行われていることがわかりました。特に自動車等の運転では、20代と50代・60代で割合の隔たりが非常に大きく、年齢による取り組みの差が最も顕著に表れました。
また、歩行者や自転車利用者の場合、運転免許の保有者は免許なしの方に比べ、安全対策行動を多く取ることもわかりました。
本記事では、アンケート結果をふまえ、歩行者・自転車・自動車等利用者が持つ交通安全に対する意識・行動の実態をレポートします。
あなたの日常の移動・交通に関するアンケート
実施:交通事故弁護士相談広場 編集部
回答方法:Webアンケート調査
調査日時:2025年10月07日
調査対象:全国の20歳~69歳までの男女
回答者数:500人(20代〜60代 各100名 合計500名)
目次[非表示]
徒歩時に行っている交通安全対策
徒歩での移動を日常的に行っている方に、交通安全を意識して行っていることについて、複数選択式の質問で尋ねた結果、以下グラフの通りとなりました。

「車の動きの確認」「信号・横断歩道を必ず守る」は半数以上が遵守
歩行者が最も意識している安全対策は「道路を横断するときは、車の動きを確認してから渡る」の66.49%。
「信号や横断歩道を必ず守る」の59.04%と、この2つは全体の半数以上が意識して行っていました。
「歩きスマホをしない」歩行者は4割のみ

一方、歩きスマホをしない(歩行中にスマートフォンを見ない)と回答した人は4割程度に留まりました。
なお、この結果は運転免許の有無で分けても大きな差がありませんでした(免許あり 43.9%/免許ナシ 43.1%)。
免許の有無・運転者か非運転者かを問わず「歩きスマホをしない」と答える人は4割程度、半数以下であることが読み取れます。
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目立つ服色・反射材など運転者に気づかれやすくする工夫は1割前後
また、「目立つ色の服を着る」「反射材の利用」など、車の運転者に気づかれやすくする工夫は10%前後と、他の項目に比べて割合が顕著に低い結果となった。
年代別で見る歩行者の安全行動の傾向
歩行者が取った安全行動を年代別に整理・集計したのが以下の表です。
なお、オレンジ色塗りのセルは全世代で比較したときの最高値、カーキ色塗りが最低値を表します。
加齢に伴い安全意識が上昇する傾向

安全意識のバランス良好な50代
全体として、20代から年代が上がるごとに安全行動の選択数が増加していく様が確認できました。
なお、選択された安全対策行動の合計値が最も多かったのは50代でした。50代は他世代に比べ極端に多い項目・少ない項目の波が小さく、世代ごとの安全行動への取り組み数ではピークとなりました。
警戒心が高い一方、他者への意識・配慮を欠く60代
50代を越えて60代になると「道路横断時の車の動き確認」「歩行中にスマホを見ない」など世代間で最多の項目が多い一方、「目立つ色の服を着る」「反射材の使用」「歩道はなるべく左側を歩く」など他世代よりも顕著に低い項目も増えました。
警戒心を持って自分の目や耳で警戒する一方、周囲からどう見られているか、歩道や車道を利用する他者の交通に対して配慮のやや欠ける様子がうかがえます。
交通安全への危機感が薄い20代
若年層では「歩きスマホ」や「イヤホン・ヘッドホンを外して歩く」の低さをはじめ、全体に行動割合が低く、他世代に比べ交通安全への危機感の薄さが表れた結果となりました。
自転車利用時に行っている交通安全対策
自転車を日常的に利用している方に、交通安全を意識して行っていることについて、複数選択式の質問で尋ねた結果、以下グラフの通りとなりました。

視覚・聴力の確保など安全運転につながる取り組みは自然と意識
最も多かったのは「スマホを見ながら運転しない」(56.2%)で、自転車利用者の半数以上は「ながら運転」を避けていることが分かりました。次いで「夜間はライトを点灯する」(52.3%)、「イヤホンをつけて運転しない」(45.4%)が続きます。
自転車の運転は身体一つで操作し車道を走ることもあり、安全上、視界・聴覚を確保する重要性が非常に高い乗り物と言えます。
こうした運転特性もあってか、自転車利用者は安全運転につながる取り組みを、自然と意識できていることがうかがえます。
事故を防ぐための取り組み・日常の備えには無自覚で不十分
一方「自転車の保険に加入している」(33.9%)や「ブレーキ・タイヤの点検を定期的に行う」(20.8%)など、日常の備え・メンテナンスに関する行動は3割未満にとどまりました。
また、「自転車用ヘルメットを着用する」と回答した人は16.2%、「交差点を右折する際は二段階右折する」は12.3%と、いずれも低水準となりました。
総じて、自転車利用者の多くは「安全運転するための注意・配慮」は意識できている一方、乗車時の装備や日常のメンテナンス、交通ルール遵守など、事故を防ぐための取り組み・備えには無自覚な面があり不十分であることが確認されました。
年代別で見る自転車利用者の安全行動の傾向
自転車利用者が取った安全行動を年代別に整理・集計したのが以下の表となります。(オレンジ色塗りのセルは全世代の比較したときの最高値、カーキ色塗りが最低値)

中高年層で安全意識が顕著に向上
自転車利用者では、「夜間のライト点灯」「イヤホンをつけて運転しない」「歩行者を優先して走る」など安全行動が年代とともに増加。
50代・60代では複数の対策を取る割合が高く、経験に基づき慎重な姿勢が定着している様子が見て取れます。
一方、20代では「ヘルメット着用」が約1割と低く、自転車乗車時の安全意識よりも日常使いでの利便性・手軽さを優先する項目選択傾向が見られました。
自転車を日常利用することの多い若年層ほど、初期段階からの交通安全教育が求められる結果となりました。
自動車等の運転時に行っている交通安全対策
車道を利用する自動車(四輪車・二輪車・原付・電動キックボード等を含む)運転を行う人に、交通安全を意識して実践している行動を複数選択式で尋ねたところ、以下グラフの結果となりました。

車間距離の確保などドライバー自身で行える安全運転行動は広く浸透
自動車運転時に行っている安全対策行動として最も多く選ばれたのは「車間距離は十分に取る」(57.3%)。続いて「速度制限を守る」「飲酒後は運転しない」(いずれも53.0%)、「スマートフォンを操作しない」(52.0%)「雨天や夜間など視界が悪い時は減速など注意して運転する」(50%)まで、上位5つの項目は回答者の半数以上が行っていると回答しました。
ドライバー自身で行える基本的な安全運転行動は広く浸透していることが確認できます。
体調管理や他者配慮など事故予防につながる取り組みは不十分
一方「高齢者や子どもの多いエリアでは注意して運転する」(37.7%)、「通勤・通学時など危険なルートを避ける」(31.3%)など、周囲の歩行者や交通環境への配慮を伴う行動は4割未満にとどまりました。
また、「長時間運転時にこまめに休憩を取る」(35.7%)や「体調が優れない場合は運転しない」(39.0%)など、自身のコンディションに関する行動も半数以下となり、“安全運転=運転技術・ルール遵守”に偏った意識構造が見られました。
総じて、運転者の多くは速度・距離・スマホ操作など「事故を起こさないための直接的行動」には意識的である一方、体調管理や他者配慮といった事故を予防する取り組みは十分に定着していないことがうかがえます。
年代別で見る自動車等運転者の安全行動の傾向
自動車などの運転者が取った安全行動を年代別に整理・集計したのが以下の表となります。(オレンジ色塗りのセルは全世代の比較したときの最高値、カーキ色塗りが最低値)

20代と60代で顕著な差。加齢とともに運転姿勢は慎重に
自動車などの運転者が取る安全行動では、徒歩や自転車と比べても、世代の違いによる安全意識の差が最も大きく表れました。
若年層で「スマートフォンを操作しない」「速度制限を守る」「車間距離を保つ」など運転上の基本行動の選択率が4割前後にとどまるのに対し、60代では6〜7割に達しました。
安全行動の選択数合計を見ても50代・60代は40代以下に比べ顕著に大きくなっており、加齢にともない慎重な運転姿勢が定着していく様子がうかがえます。
高年代層は運転経験に基づく慣れや過信がリスク要因に
一方「運転時は道路の速度制限を守る」で50代・60代が30代よりも低率となっているように、長年の運転経験に基づく「慣れ」や「過信」が運転行動にあらわれるケースも少なくない。特に高齢ドライバーの場合、加齢にともなう身体・認知能力の低下が運転行動に影響していく面は避けられません。
世代や経験を問わず、日常から自動車運転のリスクを伝え、交通安全意識を高める継続的な教育・啓発が必要と言えるでしょう。
運転免許の有無による交通安全意識の違い
なお、徒歩や自転車利用者についても、免許保有者と非保有者では、交通安全への意識に明確な差が見られました。


免許の有無はそのまま移動・交通時の危険予測・安全意識に直結
免許保有者では「車の動きを確認して渡る」「横断歩道以外での横断を避ける」など法令遵守を意識した行動が目立つ一方、免許を持たない人では「歩行者専用エリアを歩く」「イヤホンを外して歩く」など、感覚的で経験に基づく安全行動が中心に高い値を示しました。
これらの結果からは、自動車免許の保有(≒道路交通法への理解や運転経験の蓄積)が、徒歩や自転車での移動する時の危険予測や安全意識にもつながっていることがわかります。
逆に、免許非保有者に対しては、免許保有者以上に細やかに、交通ルールの理解や事故予防につながる安全行動の実践を呼びかける必要・意義があるとも考えられます。
6割の人が移動・交通時の「ヒヤリ」を経験
すべての回答者に、徒歩・自転車・自動車などでの移動中に「ヒヤリ」とした、危険を感じたことがあるかを尋ねました。

この質問に「ある」と答えた人は全体の60.2%。約6割の人が、日常的な交通・移動の中で、危険を感じる経験をしたことがとわかりました。
免許アリに限ると7割。免許の有無で危険感度に違い
この質問を免許の有無別で見てみると、免許保有者では69.1%が危険を感じた経験を持つのに対し、免許非保有者に限るとこの割合が36.5%にとどまりました。
免許の有無≒運転経験の有無が、交通・移動の際に危険を感じる感度自体に影響しているものとみられ、免許を持たない層は免許保有者に比べ交通事故リスクの自覚が薄い可能性が示唆されました。
特定小型原付(電動キックボード)の普及などで運転免許非保有者の車道利用が増えるなか、教育・啓発の強化が急務といえます。
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回答者が答えた交通・移動時のヒヤリ経験 生の声
前の質問でヒヤリと危険を感じたと答えた方に、具体的にどんな経験をしたのか、教えてもらったところ、以下のような声が集まりました。
飛び出し・急な出現
- 車と車の間からいきなり歩行者が出てきた時(福岡県・39歳 女性)
- 前から突然人が出てきた(東京都・57歳 男性)
- 飛び出してきた車にヒヤリとした(神奈川県・50歳 男性)
- 子供や動物の飛び出し(石川県・60歳 女性)
- お年寄りが車が来ているのに横断した(埼玉県・68歳 女性)
自転車の危険運転
- 自転車に乗っているとき、交差点で左折する車に巻き込まれそうになった(茨城県・43歳 男性)
- 車を運転してる時に自転車が急に出てきて歩道に沿って曲がった。怖すぎ(千葉県・28歳 女性)
- 見通しが悪い場所から自転車が飛び出てきた(福岡県・67歳 女性)
- 無謀な運転の自転車がすごいスピードで横を通り過ぎたとき(宮城県・49歳 女性)
- 自転車マークのある車道に車が多く停まっており、車線へ移動したら後続車がすぐそばを走り抜けた(東京都・53歳 女性)
信号・交差点でのヒヤリ
- 青信号で渡っていたら左折の青の車が横から中々のスピードで追いついて轢かれそうだった(大阪府・25歳 女性)
- 大型車の後ろに続いて進んだら、すでに赤信号になっていた(愛知県・49歳 女性)
- 自動車が一旦停止をせずに横断歩道を通過してきたため(東京都・50歳 男性)
- 夜間での交差点の横断で歩行者の飛び出し(埼玉県・66歳 男性)
- 信号のない交差点で高校生が一時停止せず進入し、ぶつかりそうになった(鹿児島県・65歳 女性)
接触・衝突
- 車間距離が近すぎてぶつかりそうになった(鹿児島県・37歳 女性)
- 車道の自転車レーンを走っていたら、駐車している車があり、避けようとしたら車と接触しそうになった(大阪府・60歳 女性)
- 視覚の悪い角で車とぶつかりそうになった(神奈川県・33歳 女性)
- 横見をして前の車にぶつかりそうになった(千葉県・34歳 女性)
- ながら運転の人とぶつかりそうになった(大阪府・29歳 女性)
見落とし・不注意・よそ見
- 交差点で確認したつもりが見落としていた(和歌山県・53歳 男性)
- アクセルとブレーキを間違えた(愛知県・31歳 男性)
- 不注意で赤信号になった際、急ブレーキした(岐阜県・27歳 男性)
歩行者との衝突リスク
- 商店街を徐行中に杖を突いた老人が車道に寄ってきたとき(岡山県・64歳 男性)
- 歩行者などが突然進行方向を変更する(神奈川県・59歳 男性)
- 歩行者が転んだ(島根県・56歳 男性)
- 暗い夜道に歩行者がいた(愛知県・49歳 女性)
- 歩行者とのお見合い(埼玉県・22歳 男性)
車間距離・運転マナー・煽り
- 車間距離をとらずに走行したり、何度も割り込んでくる(山口県・38歳 男性)
- 速度違反の車に煽られた(鳥取県・35歳 男性)
- 合流車線(福岡県・39歳 女性)
- 割り込み(愛知県・24歳 男性)
その他
- 段差にぶつかる(静岡県・42歳 男性)
- 冬場の通学路でタイヤが取られスピンした。周りに誰も居なかったが、車体が完全に制御不能だった(北海道・32歳 女性)
- 風で子どもを乗せていた時に横転した(神奈川県・43歳 女性)
- 道路にハンドルが取られた時(広島県・50歳 男性)
- 気づいたら後ろに車がいて、クラクション鳴らされたとき(千葉県・40歳 女性)
集まった意見を内容別で分類・集計し、グラフにまとめたものが以下となります。

最多は急な飛び出し。自転車の危険運転にも多くの声
最も多かったのは「飛び出し・急な出現」で、今回回収したコメント全体のうち3分の1以上が該当しました。
2番目となった「自転車の危険運転」は、歩行者からも自動車利用者からも、双方からヒヤリ体験として多く挙げられており、車道や歩道を行き来しながらある程度高速で走る自転車が、日常の交通事故のリスク要因とみられている実態が読み取れます。
まとめ
本調査では、徒歩・自転車・自動車という日常の移動手段ごとに、交通安全への意識や実践行動を比較した結果、3つの移動手段共通で、基本的には「年齢が上がるほど慎重な行動を取る傾向」が明らかとなりました。
一方、若年層ほど安全対策の実践率は低く、特に自動車運転時では「スマートフォン操作」「速度超過」「車間距離の不足」など、自動車の運転で基本的に控えるべき行動について配慮している人が少なく、他の世代に比べリスクが目立つ結果となりました。
また、運転免許の有無によっても意識の傾向が分かれ、免許保有者は交通ルールや法規に基づいた行動を重視。免許非保有者は交通ルールの範囲に含まれる項目の実行率が低く、その場その場で自分が安全と感じた行動を優先して取る傾向がみられました。
免許取得や自動車利用を通じた交通ルールの理解度が、日常の安全行動に直結している可能性があり、歩行者や自転車利用者など免許を持たない方々に対する交通安全教育をすることの重要性を示唆しています。電動キックボードの登場など、地域ごとの交通環境の多様化が進むなか「自分の行動が他者の安全を守る」という意識を広く共有していくことが、今後の事故防止に不可欠と言えるでしょう。
弁護士に依頼すれば交通事故トラブル解決を大きく好転できる可能性
歩道や車道を利用する方が、どれだけ安全対策や安全行動を取っていても、交通事故に遭う可能性をゼロにすることはできません。他のドライバーの判断や技術的なミス、悪天候や路面状態の影響など、細心の注意を払っていても事故に遭うリスクは必ずあるものです。
ちょっとした他者の行動・判断が影響するからこそ、交通事故の被害をゼロに近づけるには、自分ひとりではなく社会全体が交通安全を意識し、取り組みを行っていくことが重要です。
その上で、不幸にも交通事故に遭ってしまった場合、弁護士に相談することで状況を大きく好転できる可能性があります。
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