「使いたくない」が6割?電動キックボードの認知・利用経験に関するアンケート実態調査
このたび交通事故弁護士相談広場では、東京・大阪・神奈川(横浜)・京都など、電動キックボード シェアサービスが普及している地域、国内1都9県に在住の16歳~59歳の男女 計440名を対象に、電動キックボードに関するアンケート調査を実施しました。
近年、都市部のあちこちで見かけるようになった電動キックボードの駐車ポート。2023年7月からは道路交通法改正により特定小型原付のカテゴリが新設され、対応する電動キックボードは免許不要での乗車が可能になりました。都市部や観光地を中心に普及が進む一方、電動キックボード利用者の交通ルール・マナー違反、悪質な運転者の存在に注目が集まり、SNS上では動画や画像付きでの告発が多く行われているのも事実です。
新たな移動手段である電動キックボードによって地域の移動にまつわる課題の解決が期待される中、実際のところ消費者は電動キックボードの普及をどのように受け止めているのでしょうか。調査データをもとに現状を見ていきましょう。
電動キックボードの認知・利用に関するアンケート
実施:交通事故弁護士相談広場 編集部
回答方法:Webアンケート調査
調査日時:2024年07月24日~27日
調査対象:宮城県、栃木県、東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、広島県、福岡県の16歳~59歳までの男女
回答者数:440人
目次[非表示]
電動キックボードを知っている人・乗ったことのある人はどれくらい?
まず、電動キックボードの認知度・利用経験について質問を行いました。
Q2: あなたは電動キックボードという乗り物を知っていますか?
- 知っている: 87.95%
- 知らない: 12.05%
回答者のうち、8割以上の人は電動キックボードの存在を知っていました。
なお、この設問の前に質問した今回のアンケート対象者の普通免許有無の状況と、電動キックボードの認知状況についてかけ合わせたのが以下の表です。
Q2 あなたは電動キックボードという乗り物を知っていますか? | |||||
---|---|---|---|---|---|
知っている | 知らない | ||||
Q1 あなたは普通免許を持っていますか? | 持っている | 291人 | 30人 | ||
90.70% | 9.30% | ||||
ない | 96人 | 23人 | |||
80.70% | 19.30% |
普通免許を持っている人で90.7%。持っていない人の80.7%と、今回の調査対象地域においては、普通免許ありなしに関わらず8割以上と、電動キックボードの認知率は非常に高いことがわかりました。
Q3: あなたは電動キックボードに乗ったことはありますか?
8割以上の認知度がある電動キックボードについて、それでは実際に乗ったことがある人はどのくらいいるのでしょうか。
「電動キックボードを知っている」と回答した方に、電動キックボードへの乗車経験の有無を質問しました。
- 乗ったことがある: 13.18%
- ない: 86.82%
電動キックボードの存在は多くの方に認知されている一方で、電動キックボードを知っている人のうち実際に乗ったことがある人は1割強に留まりました。
免許のない人は電動キックボードにほぼ手を出していない
Q3 あなたは電動キックボードに乗ったことはありますか? | |||||
---|---|---|---|---|---|
乗ったことがある | ない | ||||
Q1 あなたは普通免許を持っていますか? | 持っている | 47人 | 244人 | ||
16.20% | 83.80% | ||||
ない | 4人 | 92人 | |||
4.20% | 95.80% |
特に免許を持っていない人は4.2%のみと、電動キックボードの実利用にはほぼ手を出していない状況です。
免許所有者でも電動キックボード乗車経験のある人は2割も満たしません。8割を越える認知度がある一方で、電動キックボードの利用者数はそのうち1割程度に留まる現状がわかりました。
電動キックボード利用者の利用動向
続いて、前の質問で「電動キックボードに乗ったことがある」と回答した方に、電動キックボードを利用した際の状況や乗車時の経験・印象について伺いました。
Q4: あなたが乗った電動キックボードは、どのように手に入れましたか?
- シェアリングやレンタルサービスを利用した: 70.59%
- 家族や友人・知人から借りた・もらった: 17.65%
- 自分で購入した: 11.76%
乗車した電動キックボードをどのように入手したかの質問に対しては、その7割以上が「シェアリング・レンタルサービスを利用」と回答しました。
次に、家族や友人・知人などからの借り物が17.65%、自身で購入して乗車している人は11.76%と最も少数となりました。
この調査結果には、今回の調査を電動キックボードのシェアサービスが展開されている地域に限定している点が大きく影響しています。
とはいえ、これらの地域でシェアリング・レンタル利用が7割と大半を占める結果を踏まえると、こうしたシェアサービスもない地域では電動キックボードはより縁遠い乗り物となりそうです。利用者数も、電動キックボードを知っている人の1~2割、あるいは1割すら割り込むごく少数だけが乗る物に留まるかもしれません。
Q5: 電動キックボードに乗った時にあなたが行った行動として、あてはまるものをすべて選択してください。
次に質問したのは「電動キックボードに乗った時に行った行動」です。
この設問では「道路交通法が定めた電動キックボードの交通ルール」を選択肢として設定しました。
そのため、「歩道の走行」の選択肢を除き、選択している項目が多い人ほど、道路交通法を守って電動キックボードに乗っている人と言えます。
逆に、選択されていない項目ほど、ルールとして遵守されていない、あるいは遵守が必要とあまり認識されていない項目です。
- 飲酒運転の回避: 54.90%
- ヘルメットの着用: 50.98%
- 法定速度の遵守: 49.02%
- 歩道の走行: 45.10%
- 自賠責保険への加入: 35.29%
- 交差点での二段階右折: 29.41%
この視点で見ていくと、最も多くの電動キックボード利用者が守っていたのが「飲酒運転の回避」。
また、道交法上の努力義務となっている「ヘルメットの着用」も、半数程度の方が履行していました。
一方で、その数の少なさが顕著に目立ったのが「交差点での二段階右折」。
道交法上、電動キックボードは交差点の通行時、二段階右折が基本とされていますが、履行した人が3割に留まるこの結果からは、実際の電動キックボード利用者が二段階右折をあまり行っていない現状がうかがえます。
あるいは、そもそも二段階右折が必要であることが、電動キックボード利用者にあまり認識されていない可能性も高そうです。
歩道走行した人の8割は歩道モードを使用
また「歩道の走行」を選択した方に対し、歩道の走行時、歩道モードを使用したかどうかをあわせて質問しました。
歩道モードを使用した | 使用しなかった |
---|---|
82.61% | 17.39% |
歩道を走行した電動キックボード利用者の8割以上が「歩道モードを使用した」と回答。
電動キックボードで歩道を走行する人の8割以上は歩道モード利用の必要性を認識し、対応していることがわかりました。
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Q7: 電動キックボードに乗った際、車道や歩道を通行していて危険は感じましたか?
続いて、電動キックボードに乗った人に対して、通行中に危険を感じたか質問しました。
- 危険を感じた: 62.75%
- 特に感じなかった: 37.25%
電動キックボードに乗った人の6割超が運転中に危険を感じたと回答。
実際に電動キックボードを利用した人の間でも、安全性には懸念を感じるという現状が浮き彫りとなりました。
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電動キックボードに乗った方が危険を感じたこと
前の設問で、電動キックボードに載った際に「危険を感じた」と回答した電動キックボード利用者の方に、どんな点に危険を感じたかを自由に回答してもらいました。
Q8:どんなことで危険を感じましたか?危険に感じた点や実際にヒヤリとした出来事について、なるべく具体的に教えてください。
集まった意見を内容別でとりまとめると、おおまかに以下のようなものが上がりました。
車との距離の問題
- 車道では車に近くて、あたりそう。
- 車道を走行していて身体がむき出しなので危ないと感じた
- 狭い道を走行する時、車とかなり距離が近かったので接触しないか不安だった。
基本的には車道走行となる電動キックボードは、身ひとつで車の脇を走っていくことになります。
車との距離感の近さに接触の危険性を感じる声が多く上がりました。
電動キックボードのバランス・安定性の問題
- ブレーキが取りにくいことと自転車などに比べ安定性が低くちょっとした段差でもひやりとする
- 自転車などよりもバランスがとりにくく道で凸凹に車が通るなどで不安を感じた
- 段差や道路のくぼみで転倒しかけた。
- 視界が見えづらく感じた。また走行中の安定性も不安を感じた
二輪が多い電動キックボードの走行時の安定性に不安を感じた方も多いようです。
電動キックボードはタイヤが小さいこともあり、車道・歩道にあるちょっとした段差や凸凹の路面状態で影響が大きく出る点も、電動キックボード乗車時に危険を感じるポイントのようです。
スピード感に対する怖さ
- スピードを出さないとバランスが悪いので、転びそうになった。
- スピードは出なくても原付バイクと変わらない印象
- スピードがおもっていたよりも出たので怖かった
電動キックボードの走行時のスピードに怖さや不安さを指摘する声もありました。
速いと感じるか遅いと感じるかは人によっても異なるようですが、身体むき出しで走ることから自動車やバイク、自転車に比べても、走るスピードをダイレクトに感じる面もありそうです。
歩行者や自転車と衝突の懸念
- いきなり歩道に人が走ってきた
- 人とぶつかりそうになった
- 歩行者に衝突しそうになった
- 信号無視の自転車
- 自転車の飛び出し
特例特定小型原付自転車にあたる電動キックボードが歩道を走行する場合、歩行者との衝突が懸念されます。
また、自転車と電動キックボードは、道路状況により同じ車道や歩道を走ることになります。自転車と電動キックボードで走行経路が重なりやすい点は、衝突につながる潜在的リスクとも言えそうです。
利用者以外が街中で感じる電動キックボードの危険度
ここまで電動キックボードに乗ったことがある利用経験者の方からの実体験や印象を確認してきました。
ここからは「電動キックボードの存在を知っているが、乗ったことはない」と答えた方からの回答です。電動キックボードと見かけた経験や遭遇した際の印象について調査していきます。
Q9: 街中で車道または歩道を走る電動キックボードを見かけたことはありますか?
まず、電動キックボードを街中で見かけたことがあるかを質問しました。
- 見かけたことがある: 79.46%
- ない: 20.54%
約8割の方は街中を走る電動キックボードを見かけたことがあると回答。
実際に電動キックボードに乗ったことがない方でも、多くの方が車道や歩道を走る姿を目撃しており、街中で電動キックボードが存在感を示していることがわかります。
Q10: 車道または歩道を走る電動キックボードに遭遇した際、危険を感じたことはありますか?
街中を走る電動キックボードを見て危険に感じたことがあるか、自分で電動キックボードに乗ったことがない方が電動キックボードをどう見ているか、その印象を尋ねました。
- 危険を感じたことがある: 58.43%
- 特にない: 41.57%
この問に対しては、街中で電動キックボードを見かけた人の6割弱が危険を感じたと回答しました。
街中で見かけただけの方も、6割近くは「電動キックボードは危険な乗り物」という印象を受けていることがわかりました。
電動キックボードを車道や歩道で見た方が危険を感じたこと
前の設問で、街中を走る電動キックボードと遭遇した際に「危険を感じたことがある」と回答した方に、どんな点に危険を感じたか回答してもらいました。
Q11:どんなことで危険を感じましたか?具体的に教えてください。
集まった意見を内容でとりまとめると、以下のようなものが上げられました。
- 車との距離、接触の危険性
- ハイスピードでの車道・歩道の走行
- 信号無視・逆走・ルール無視
- ふらつき、バランスの問題
- ノーヘルでの利用者
車との距離、接触の危険性
- 車道で車とぎりぎり触れそうな感じで走っている
- 車道で車にひかれそうになっていた
- 狭い道を走行する時、車とかなり距離が近かったので接触しないか不安だった
- 道路沿いをギリギリに走っているのを見ると、何の安全装置もないので、万が一の事故があった時はどうするのかなっていつも思います
- 車道を2台横に並んで走っていた時
- 車道の中央を走行しているとき
傍から見ている人にとっても、自動車が走行するすぐそばを走っている電動キックボードは、危険なものに映っているようです。
自動車との接触の懸念は電動キックボード利用者の感想にも多く上がっていました。
電動キックボードの車道走行は法律上定められたルールながら、電動キックボードに乗る人にも乗らないに人にも、誰の目にも危険な印象を与えているようです。
また、そもそも車道の左端を走る走行ルールが守られていないケースもあるようです。2台横並びの走行などコメントに挙げられている軽々しい運転態度は、「誰でも気軽に乗れる」という電動キックボードの利点が、裏目に出た部分とも言えそうです。
ハイスピードでの車道・歩道の走行
- チョロチョロ隙間を縫ってまあまあのスピードで走る
- 一心不乱にスピードを出して、周りを気にかけず、車道を走行していた
- けっこうなスピードを出し歩道を走っていて危険だと思った
- すれ違いざまに相手は電動キックボード、自分は自転車を乗っていたので上手く避ける事はできたが機体を掠めたためかなり危険であった
- 見境なくスピードを出して、歩道を走ってくる時
- 歩道を明らかに20km/h以上のスピードで走ってきて、こちらが避けなければならなかった
- 歩道を車道の速度のままで走る、歩行者を避けない
電動キックボードが走るスピードに怖さを感じたという声、中でも歩道での高速走行を危険を感じた理由として挙げる声も多くありました。
道交法上、特定小型原付にあたる電動キックボードは、歩道走行時、歩道モードを利用して時速6km以下での走行を義務付けられています。
時速6km以下という速さは、ほぼ徒歩での早歩きに相当する程度の速度です。
歩道での高速走行を挙げる声の数を鑑みれば、現実には、歩道モードを使用せず、車道走行と同等程度のスピードで歩道を走る電動キックボード利用者も少なくなくいるものと考えられます。
信号無視・逆走・ルール無視
- 赤信号で走っているのを見たり、逆走してきたり、細い道でもスピードを飛ばしていたりして危ない
- 信号無視、過剰なスピード、車の間のすり抜け、飛び出し
- 横断歩道を横切って走行し、ぶつかりそうになった。完全に信号無視だが、当人は車やバイクほどの車両認識がないのか、平然としていた
- ぶつかりそうになった。信号無視をしていた。たばこを吸いながら運転していた、
- 殆どの方々が、歩行者や通行車両等を考えず、身勝手に運転操作している
- 横断歩道を青で渡っていたら、信号無視したキックボードと接触しそうになった
- 自分のことしか見ていなくて、周りを見ていない
- スピードが早くてあまり周りを見ていない
- キックボードに乗った若者が、左右も見ずに横断歩道を、かなりのスピードで通過したなど、最近かなり危険だと感じることが多い。
- スマホながら運転、イヤホンしている
残念な話ながら、信号無視や逆走、身勝手な運転など、電動キックボード利用者のルール違反・周りを顧みない自分勝手な使い方を指摘する声も非常に多く届きました。
免許不要、自転車よりも駆体が小さく気軽な乗り物であることが、自転車と同じか自転車以上に気軽な感覚で違反行為をしてしまう事態につながっているのかもしれません。
ふらつき、バランスの問題
- 小さいタイヤで路肩のボコボコしたところを速いスピードで駆け抜けていく
- バランスが良くないと感じた。後ろから見ていてもとても怖いと感じた
- バランスが悪いと思います
- スマホなどをみてふらふらと車道を走っていたので、怖かった
電動キックボード利用者からの意見にも上がったバランスの悪さは、まわりで見ている人からも指摘がありました。
車輪の小さいものが多く、乗り物としてふらつきやすい特性もあることから、根本的な改善はなかなか難しい部分かもしれません。
ノーヘルでの利用者
- ノンヘルメットで車の横をスレスレでとおるところ
- ノーヘルで車道を走っているのを見ると、怖いと思う
- ノーへルで走っている
- 車道をヘルメットなしで走っており、若干ふらついていた点
2023年7月の改正道路交通法施工にともない、電動キックボードの運転時、ヘルメットは着用必須から努力義務へと変わりました。
電動キックボード利用時のヘルメット着用は自転車と同じく任意であり、ヘルメットを着用していなかったからといって道交法違反にはあたりません。
違反ではないとはいえ、上述の通り、電動キックボードは車道の自動車の非常に近くを走るもの。
ノーヘルで電動キックボードに乗る方の姿には、まわりで見ているだけの方も肝を冷やしているようです。
電動キックボードに関する道交法改正に対する評価
今回のアンケート調査の全回答者440人を対象に、2023年の道路交通法改正で定められた電動キックボードの利用条件についてどう思うか、法改正内容に対する支持・不支持を5段階に分け、回答してもらいました。
Q12: 道路交通法改正について、あなたはどのように評価しますか?
- 積極的に支持: 16.36%
- 支持: 27.05%
- どちらともいえない: 22.05%
- 不支持: 20%
- 積極的に不支持: 14.55%
道路交通法改正に対する支持は43.41%、不支持が34.55%と、支持が9ポイント程度やや多いながらも賛否が分かれました。
どちらともいえないと態度を保留する声も2割を越えており、法改正の是非については慎重な姿勢を示す方も多いことがわかります。
道交法改正 支持派の声
道路交通法改正に対して、支持または積極的に支持を選択した人の声として代表的なものとしては以下のものが挙げられます。
安全性の向上を期待する声
道路交通法改正で電動キックボードにまつわるルールが制定されたこと自体を、安全性確保の観点から歓迎する声が多く集まりました。
- ルールも分からないまま乗っていると危ないので
- きちんと取り締まった方が歩行者や車ともうまく共存できそう。
- 事故が減るためになる法改正だと思うから
- まずは規制対象になったこと。細則については順次整備していけばよい。
- 殺傷力のある車両なので最低限のルールはあるのが当たり前
- もっとライセンスや罰則を厳しくしてもよいくらい
これらの意見からは、回答者が電動キックボードのことを潜在的に危険な乗り物であると認識しており、法改正を契機に安全な利用が推進されることを期待していることがわかります。
また、道交法改正への支持はうたいながらも、安全第一の観点から「より厳しい規制が必要」と考える意見も多く見られました。
免許制や保険加入の必要性を訴える声
免許制の導入や保険加入の義務化を支持する意見が集まっています。
免許制については自転車が免許不要であることと比較して必要・不要を考える声が多く見られました。現状の法律としては免許不要であることを認めつつも、規制するのであれば電動キックボードだけでなく自転車も含めた免許制の検討するよう望む声もありました。
- キックボードは危ないので自転車もですができれば免許制にしてほしいくらいですが…そうもいかないと思うので妥当だと思う
- 電動なので、人力で漕ぐものとの区別は必要。スピードも、そこそこ出るので、歩道を走らせるのは危険すぎる。車道を走るには、遅いし無防備なので、ヘルメットや交通法規の知識が必要なので、免許証保持者に限るのも当然だと思うから。
- 自賠責保険に入ってくれるのであれば、保証があるので事故にあった人は保証される。また、自転車に近いイメージの為、ヘルメットは必要ではない。免許についても同じ。もし必要であるなら、自転車も車並みとは言わないが高校入学と同時に許可証を取る形式にした方がよいし、その時は電動キックボードも同じにした方がよい。
- やはり自賠責は入らないと怪我がありえるので
- 保険は必要で他のものも安全の上で必要なものだから。乗ることも乗ってしまうことで自分以外に被害が出ないようにすることでも妥当。
- 自賠責保険加入が必須になったので安心できる
また、事故時の保障の観点から、自賠責保険加入の必須化を歓迎する声も多数集まりました。
歩行者への危険軽減
電動キックボードが歩行者に与える危険性に対する懸念から、規制強化が進むことを支持する意見も多く含まれていました。
- 安全を重視しており、歩行者などの交通弱者を守れると思うから。
- 歩道走行がなくなれば歩行者との事故は少なくなる
- 歩道での安全性に心配がない
- バイクと同じくらい早く感じるので、歩道を走ったりするのは良くないから
ルール・安全意識を高める第一歩
法改正を通じて、電動キックボード利用者の交通ルール遵守や安全意識の向上を期待する声も多く見られました。
- 怪我やマナー違反のニュースをよく見かけたから
- 少しでも責任を持った行動が必要なので厳しくすることはいいこと
- ルールの守れていない人が多いから
- 多少は安全を意識するようになりそうだから。
- ルールはあったほうがいいから
ルールや安全意識に関する意見が集まった背景には、現状の電動キックボード利用者の運転マナーの悪さ・安全意識の低さに対する懸念があります。
道交法上が電動キックボードの利用ルールを明確に定めることで、電動キックボード利用者に法的な遵守義務を負わせることで、ルールに則った安全な利用環境整備が進むことを期待する意図が読み取れます。
法改正を電動キックボードの事故リスク低減のための取り組みとして評価
総じて、法改正を支持する人の多くは、電動キックボードが事故を引き起こしやすい乗り物であると認識しており、2023年7月の法改正を電動キックボードによる交通リスク低減を図る法的な取り組みとして評価していることがわかります。
免許制の必要有無やヘルメットの義務化など議論となっている部分はあるものの、道交法の範疇で電動キックボードが管理されることで、電動キックボード利用者の安全・責任意識の向上が期待されます。
また、今後の安全な交通環境を実現するために、電動キックボードの乗り物が持つもともとの特徴・特性もふまえた、ハード面・ソフト面双方でより具体的な対策が求められるでしょう。
道交法改正 不支持派の声
逆に道路交通法改正に対して、不支持または積極的に不支持を選択した人の意見はどうでしょうか。
代表的なものとしては以下のような声が挙げられました。
電動キックボード利用の免許制を求める声
電動キックボードの利用に免許制が必要であると考える意見が多く集まりました。
これらの意見からは、電動キックボードが原付などと同じく電動の乗り物であるにもかかわらず免許不要である点を懸念し、適切な知識とスキルを持った人のみが利用すべきだという主張が垣間見えます。
- 危ないので免許制にした方が良い
- 免許不要は危ない
- 乗り方によっては危険性の高い乗り物である以上、最低限免許は必要だと思う
- 原付免許か運転免許証を必須にするべき
- そもそもなぜ免許不要なのか?なぜ歩道を走らせるのか?全く評価できない
ヘルメット着用が努力義務であることへの懸念
ヘルメットの着用が義務から努力義務へと変更された点をリスクの増加と懸念する方も多数いました。
- ヘルメットは着用義務にすべし
- ヘルメットは着用必須のほうがいいと思う。あまり安全な乗り物とは思えない
- ヘルメットなしでは、死亡率があがる
- ヘルメットの着用と免許制度の導入をすべき
- ヘルメットは努力義務ではなく必須、また歩道は走行禁止にしてほしい
電動キックボードが本来時速20~30km程度、原付並のスピードが出る乗り物で、自動車のすぐとなりを走る乗り物であるにも関わらず、ヘルメット着用義務が緩和された点に懸念の声が上がりました。
こうした意見の方の多くは、事故発生時の重大な怪我を防ぎ、安全性を高めるため、ヘルメットの着用義務化を求めています。
歩道走行が認められることへの批判
電動キックボードの利用、特に歩道走行が歩行者に対する危険を増大させる点を問題視する意見も多々見られました。
- 歩道はNGにしてほしいから
- 徒歩の人への危険が増すから
- 歩行者が危険に晒されるため
- 歩道を走れるのはおかしい。制限速度を守るわけがない
- 歩道は歩行者に危険をもたらすので、やめるべき
現在の道交法では、特定小型原付にあたる電動キックボードであれば、最高速度時速6km以下の歩道モードに設定することで、車道を走行できない場合の歩道走行を認めています。
歩道走行に懸念を向ける方の多くは「電動キックボード利用者は制限速度を守らないもの」と考えています。
多くの方が、歩行者の安全を守るため、電動キックボードの制限速度に規制をかけるべき、歩道での走行は禁止すべきと主張していました。
利用者のマナー・安全意識の低さに対する懸念
「歩道走行が認められることへの批判」の内容ともつながりますが、電動キックボード利用者のマナーや交通安全意識が低い点を懸念する声は非常に多いです。
- 交通ルールをわかっていないような運転をする人が多い。歩道の逆走とかも時々見かけるし、危ないから
- 法規に無知な世代が多く利用するのが解っているのに何故利用しやすい方向に舵を切るのか不明
- 利用者のマナーが悪い。交通ルールを知らない人が多い
- 運転免許を持っていても道交法を遵守しないドライバーがいる中で、免許不要にする危険性がある
これらの意見を上げた方は、電動キックボードの利用者に対する教育やマナーの向上が不可欠であり、ルールを守らせるためにも厳しい規制が必要と考えているようです。
支持派も不支持派も問題意識はほぼ同じ
支持派 | 不支持派 |
---|---|
|
|
集まった声を確認する限り、電動キックボードをめぐる道交法法改正への支持派も不支持派も、電動キックボードが交通にもたらす問題点についてはほぼ同等の認識・問題意識を持っていることがわかりました。
電動キックボードには
- 電動キックボードに乗る人・乗らない人双方の安全性の改善
- 歩行者保護の必要性
- 電動キックボード利用者のマナー・遵法意識
といった課題が存在することを前提に、電動キックボードを今後許容し受け入れていく新しい交通とみなすか、既存交通に対するリスク要因とみなすか、個人の考え方の差が両者の立ち位置の違いと言えそうです。
今後の電動キックボードの利用意向
最後に、今後、電動キックボードを利用したいと思うか、今後の利用意向を伺いました。
Q14: 今後、電動キックボードを利用したいと思いますか?
- 積極的に利用したい: 3.18%
- 利用したい: 12.27%
- どちらかといえば利用したい: 18.41%
- あまり利用する気はない: 35.23%
- 絶対に利用しない: 30.91%
今後の利用移行としては「あまり利用する気はない」「絶対に利用しない」の2項目を選択する方が顕著に多く、全体の約66.14%の人は電動キックボードを利用する意向がないことがわかりました。
前の設問では道交法改正を支持する声がやや高い結果であったにも関わらず、実際に電動キックボードの利用意向を示した人が全体の15%程度に留まる、社会的に期待を集める新交通手段としては、ややさみしい結果となりました。
この結果には、やはり電動キックボードで車道を走ることの安全性や、更なる法規制について議論が続いている現状、またルールやマナーの違反が注目されがちな電動キックボード利用者に向けられる社会的な目線も影響しているものと考えられます。
免許非保有者の利用意向は特に低迷
なお、普通免許の有無別で電動キックボード利用意向を見ると、免許を持っていない方で、電動キックボードを積極的に利用したいと考えた人は0。利用意向のない人の割合も免許保有者に比べて低い結果となりました。
Q14 今後、電動キックボードを利用したいと思いますか? | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
積極的に利用したい | どちらかといえば利用したい | どちらともいえない | あまり利用する気はない | 絶対に利用しない | ||||
Q1 あなたは普通免許を持っていますか? | 持っている | 14人 | 42人 | 59人 | 112人 | 94人 | ||
4.40% | 13.10% | 18.40% | 34.90% | 29.30% | ||||
ない | 0人 | 12人 | 22人 | 43人 | 42人 | |||
0.00% | 10.10% | 18.50% | 36.10% | 35.30% |
改正道交法では、特定小型原付にあたる電動キックボードを免許不要と気軽な形態にしたにもかかわらず、免許を持たない消費者の利用意向は免許保有者以上に冷え込んだ状況にあります。
今後より幅広いシーンでの電動キックボード活用を促していくには、利用者の心理的なハードルを下げる意味でも、利用者とその周囲の方々の安全を確保する電動キックボード利用環境の改善が必要です。
電動キックボードをめぐる現状と今後
今回の調査結果によれば、2023年7月に施工された電動キックボードに関する道路交通法改正を支持する意見が不支持を上回り、新しい交通・移動手段としての電動キックボードの登場自体はある程度受け入れられていることがわかりました。
一方で、むき出しの身体で不安定なバランスで車道を走る安全面、歩道を走る歩行者との衝突リスク、電動キックボード利用者のマナー・ルール違反などの課題は依然として残っています。
電動キックボードに対する安全性への懸念は、利用者・非利用者の両方から強く寄せられており、更なる法改正で免許の必須化やヘルメット着用の再義務化などを求める声も少なくありません。
こうした安全面・利用環境に対する懸念は、電動キックボードの利用意向にも大きく響いており、消費者からは「新しく利便性を向上させる交通移動手段ながら、安全上、警戒が必要な乗り物」と認識されているのが社会的な現状と言えそうです。
電動キックボード利用者の交通ルール・マナー改善のための取り組み
特に、電動キックボード利用者の交通ルールやマナーの問題には、非常に多くの指摘が寄せられています
車道での危険走行による自動車の衝突リスクはもちろん、歩道での歩行者との事故、路側帯等での自転車との交錯など、電動キックボード利用者のルール・マナー違反は単なる法令違反にとどまらず、重大な人身事故のリスクもはらんでおり、電動キックボード利用者に対する交通安全に対する意識向上・改善は今後の重要な課題です。
安全を確保する上では
- 免許制の導入
- ヘルメット着用の義務化
- 交通違反者への罰則強化
- 電動キックボード利用者に対する教育プログラムの提供
などの取り組みが考えられますが、規制を強めれば強めるほど利用上のハードルも上がります。気軽に乗れるという電動キックボードの利点も考慮して折り合いをつける必要がありそうです。
歩行者など他の交通との共存
今後、電動キックボードの利用が増加していく中で、当然ながら歩行者など他の交通との共存は不可欠です。
歩行者や自転車、車両との衝突を防ぐためには、電動キックボード利用者のモラル・安全意識向上だけではなく、電動キックボードの走行も考慮した適切なインフラ・ルール・環境整備も重要になります。
歩道での走行ルールの見直し、利用の多い地域では専用レーンの設置も効果的かもしれません。
道路の段差や障害物の除去・滑りにくい路面の整備など一般的な道路補修・改善も、路面状態の影響を受けやすい電動キックボードの安定走行に寄与します。
電動キックボードだけを想定した施策を進めるのは現実的になかなか難しいかもしれませんが、従来の自動車・自転車・バイク以外の車両の走行を考慮した環境整備は、将来の交通の可能性を広げる投資となるでしょう。
バランスの取れた規制と利便性の維持
電動キックボードに関する規制を厳格化することにより、安全性の向上が見込める一方、過度な規制の導入は電動キックボードが本来持つ利便性を毀損しかねません。進めるとしても、段階的な規制の導入により、利用者が新しいルールに適応しやすくする配慮も必要でしょう。
また、実際の利用状況や事故率などデータを基に分析し、どういう運用ルールが最適か、そのものを検討する価値があります。
電動キックボードの利用を規制すること自体が大事なわけではなく、電動キックボード利用者および歩行者ふくむ他の交通の安全確保が最も重要です。
意見も分かれている道路交通法改正の今後の見直しに際しては、制度化によって行えるリスク回避と生じうる利便性やメリットの減少と、バランスを見た取り組みが求められます。
まとめ
今回の調査結果からは、調査対象地域での電動キックボードの認知度は高いものの、実際の利用率は低く、特に電動キックボードに対する安全性への懸念が、消費者の利用意向に影響を与えている可能性が見えてきました。
2023年に施工された道交法改正に対し賛否も分かれている現状もふまえれば、遠くない未来に、再度の道交法改正の可能性も含め、交通の安全をより確保する政策決定が求められている状況とも言えるでしょう。
電動キックボードは、都市や観光地における移動の負担を下げ、いままでにない範囲での街の拡張・地域活性化を実現するポテンシャルを備えています。
人口とともにクルマの数も減少していく今後の社会を想定していく中で、電動キックボードは便利で快適な日常生活や新しい地域の楽しみを支える、普段遣いの足になり得るツールです。
読者の方の中には、お休みの日に電動キックボードを試してみようとお考えの方もいると思います。
あなたが正しく電動キックボードに乗ることで、交通の未来が、少しだけ明るくなるかもしれません。本記事の内容もふまえ、どうか安全運転を心がけ、いつもと違う街中の移動をお楽しみください
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