交通事故の弁護士費用の相場はどのくらい?弁護士特約が費用を抑えるカギ
交通事故を弁護士に依頼する場合の費用相場は着手金で10~20万円程度、別途で成功報酬(経済的利益の11%+22万円(税込)程度)・交通費や手続きで発生した実費がかかるケースが多いと言われています。
相談料(5,000~1万円程度)がかかることもありますが、実際に依頼すれば相談料を無料とするケースや、はじめから初回相談料無料を謳う法律事務所も少なくありません。
ただし、もしあなたが自動車保険のオプションとして契約できる弁護士費用特約に入っていれば、最大300万円までの弁護士費用はこの特約にカバーしてもらえます。
弁護士費用特約に契約していると、交通事故を弁護士に依頼するハードルは大きく下がるのです。
本記事では、弁護士費用特約を活用することのメリットや効果をご紹介する点を中心に据え、交通事故の弁護士費用相場などを解説していきます。
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交通事故の弁護士費用には弁護士費用特約の有無が大きく影響
交通事故の被害に遭った際、弁護士への相談を検討しつつも「弁護士費用が高いのでは?」と費用の相場感がわからず、依頼を躊躇してしまう方も少なくありません。
こうした時、自動車保険の特約である弁護士費用特約に入っていると非常に役立ちます。
交通事故の解決を弁護士に依頼する場合、弁護士費用特約の契約があるか・ないかが、被害者の方の費用負担に大きく影響するのです。
本記事でわかること
- 交通事故の弁護士費用の内訳には何があるか?
- 交通事故の弁護士費用計算方法は、「弁護士費用特約なし」と「弁護士費用特約あり」のケースとで異なる
- 実際の弁護士費用は、成功報酬型、旧報酬規程型など事務所により相場が異なる
- 弁護士用特約には、費用の不安なく弁護士に相談できる、受け取れる慰謝料を最大化できるなど多くのメリットがある
- 弁護士費用特約は少額の保険料で大きな補償があり、デメリットが少ない
- 弁護士費用は、示談で解決した場合より、裁判になった場合のほうが相場は高額
- 弁護士費用は、弁護士費用特約の利用などで費用を抑えられる
- 「人身事故」「相手の過失による事故(過失割合10:0)」などでは弁護士に相談すべき
- 交通事故は弁護士に依頼したほうがスムーズな解決につながる
- 交通事故加害者の弁護士費用相場と弁護士に依頼すべき理由とは?
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交通事故の弁護士費用の相場
では、実際の弁護士費用の相場はどの程度でしょうか?
弁護士報酬の内訳
弁護士費用の相場を知る前提として、弁護士報酬の内訳を理解する必要があります。
弁護士報酬の内訳は、主に、
- 相談料
- 着手金
- 成功報酬
- 実費
の4種類です。
相談料
相談料とは、弁護士に法律相談をする際に発生する費用です。対面での法律相談のほか、電話での法律相談でも発生するケースがあります。
30分5500円(税込)、1時間1万1000円(税込)などの時間単位や回数単位で料金設定されています。交通事故では、初回相談料を無料にしている弁護士も多いです。
着手金
着手金とは、弁護士に依頼した際に支払う費用で、示談交渉・損害賠償請求の成功・不成功に関わらず返還はされません。
交通事故では、着手金は22万円程度(税込)と設定している弁護士が多いですが、最近は無料にしている弁護士も増えています。
成功報酬
成功報酬とは、示談交渉・損害賠償請求が成功で終わった場合に、事件終了とともに支払う費用です。
金額は成功の程度に応じて異なりますが、交通事故の場合には、経済的利益(弁護士が介入したことにより増額した示談金・損害賠償金)に応じた金額とするのが一般的で、経済的利益の11〜22%+22万円(税込)などと設定している弁護士が多いです。
こちらも読まれています経済的利益とは?交通事故事件の弁護士報酬の基礎となる計算方法 交通事故の被害者となり、慰謝料などの金銭を請求することになった場合には、弁護士に依頼する方が多いと思います。このページで...この記事を読む
実費
実費とは、事件処理のために実際に支出する費用で、弁護士が示談交渉・損害賠償請求のために移動する際の交通費や、収入印紙代、切手代、コピー代、通信費、後遺障害診断書取得料などが含まれます。
弁護士報酬や経費は依頼内容によって異なる
なお、弁護士報酬や経費は、民事か刑事か、また交通事故なのか遺産相続なの、はたまた離婚問題なのかなど、依頼する内容によって変わってきます。
今回は、交通事故の示談交渉を依頼する場合に典型的なケースで説明していきます。
弁護士費用の計算方法
弁護士費用の計算方法は、
- 弁護士費用特約なしの場合
- 弁護士費用特約ありの場合
で大きく異なります。
弁護士費用特約とは、自動車のもらい事故などの被害に遭った場合に、ケガやクルマの損害に対する示談交渉(損害賠償請求)を弁護士に依頼する際の弁護士費用や、相談料などを補償する自動車保険の特約です。
弁護士費用特約では、
- 契約者(記名被保険者)と配偶者
- 同居家族
- 別居の未婚の子
- 契約自動車の所有者
- 契約自動車に搭乗中の者
までが保険でカバーされます。
弁護士特約なしの場合
まず、弁護士費用特約なし、または利用しなかった場合の相場は以下の通りです。
相談料 | 0円~30分5500円程度(税込) |
---|---|
着手金 | 0円~33万円程度(税込) |
成功報酬 | 弁護士介入後の示談金(損害賠償金)増額分の11~22%+22~33万円程度(税込) |
実費 | 交通費、切手代、後遺障害診断書取得料などの実費分 |
以下は、モデル事案を用いた弁護士費用の計算式です。
ひとつのモデル事案について、弁護士特約がない場合・弁護士特約がある場合でどう費用感が変わるか、確認していきましょう。
モデル事案
被害者Xは、自転車を運転中に人身事故に巻き込まれ、加害者側保険会社と交渉している最中だが、保険会社の提示する示談金に納得できず弁護士に相談した。相談料は30分5500円だった。
その後、正式に弁護士へ依頼し、着手金22万円を支払った。成功報酬は経済的利益(弁護士介入後の示談金・損害賠償金の増額分)の16.5%+22万円とした。
保険会社が当初提示していた示談金は500万円だったが、弁護士が介入して保険会社と示談交渉したところ、当初の示談金提示額より500万円増額し、示談金は最終的に1000万円となった。
示談交渉中に発生した実費は、合計5万円だった。
弁護士費用計算式(弁護士特約がない場合)
- 相談料:5500円
- 着手金:22万円
- 成功報酬:104万5000円(経済的利益500万円×16.5%+22万円)
- 実費:5万円
- 合計:132万0500円
※すべて税込みでの金額例です。
モデル事案の場合、かかった弁護士費用は132万0500円(税込)です。
示談金は最終的に1000万円でしたので、被害者には差し引き867万9500円の示談金が残ります。
モデル事案では、弁護士に依頼したことで132万0500円(税込)の弁護士費用を支出しましたが、示談金は最終的に500万円増額していますから、この経済的利益を差し引いた367万9500円が、弁護士に依頼したことで得した金額となります。
なお、有料とした相談料や着手金ですが、最近は無料にしている弁護士も多いです。最初の持ち出しを抑えたい場合には、相談料・着手金無料の弁護士を探してみるとよいでしょう。
弁護士特約ありの場合
次に、弁護士費用特約ありの場合をご説明します。
弁護士費用特約ありで特約を利用した場合には、被害者加入の保険会社が弁護士費用をカバーするため、定められた保険金の上限額までは被害者の負担はありません。
弁護士費用特約で補償される一般的な保険金上限額は、以下の通りです。
- 弁護士費用等(弁護士費用、訴訟等に要した費用など):1事故につき被保険者1名あたり300万円まで
- 法律相談費用:1事故につき被保険者1名あたり10万円まで
- 収入印紙代などの実費:社会通念上必要かつ妥当な範囲でカバーされます
弁護士特約ありの場合、弁護士費用の計算方法は、被害者加入の保険会社の規程に沿って行いますが、多くの保険会社は、「弁護士保険における弁護士費用の保険金支払基準」、通称「LAC基準」を採用しています。
以下は「LAC基準」での弁護士報酬の保険金計算方法です(日弁連リーガル・アクセス・センターより)。
(1)相談料
相談時間1時間までを1万1000円(税込)とし、以降は超過15分までごとに2750円(税込)が加算されます。
(2)着手金
LAC基準における一般的な着手金は下記の通りです。
経済的利益の額が125万円以下の場合 | 11万円(税込) |
---|---|
125万円を超え300万円以下の場合 | 経済的利益の8.8%(税込) |
300万円を超え3000万円以下の場合 | 経済的利益の5.5%+9万9000円(税込) |
3000万円を超え3億円以下の場合 | 経済的利益の3.3%+75万9000円(税込) |
3億円を超える場合 | 経済的利益の2.2%+405万9000円(税込) |
ただし、事件受任時において事件の種類、委任事務処理の難易などの事情により、 上記の金額が不相当であると認められる場合は、疎明資料を示し、 受任弁護士と依頼者が協議の上、上記の着手金を30%の範囲で増額することができます。
(3)成功報酬
LAC基準における一般的な成功報酬は下記の通りです。
経済的利益の額が125万円以下の場合 | 22万円(税込) |
---|---|
125万円を超え300万円以下の場合 | 経済的利益の17.6%(税込) |
300万円を超え3000万円以下の場合 | 経済的利益の11%+19万8000円(税込) |
3000万円を超え3億円以下の場合 | 経済的利益の6.6%+151万8000円(税込) |
3億円を超える場合 | 経済的利益の4.4%+811万8000円(税込) |
ただし、委任事務の終了時において、委任事務処理の難易などの事情により、上記の金額が不相当であると認められる場合は、疎明資料を示し、受任弁護士と依頼者が協議の上、上記の報酬金を30%の範囲で増額することができます。
(4)実費
収入印紙代、切手代、後遺障害診断書取得費料など実費分
以上がLAC基準ですが、モデル事案をLAC基準で計算すると以下のとおりです。
弁護士費用計算式(弁護士特約がある場合)
- 相談料:1万1000円(法律相談1時間以下(30分利用)のため)
- 着手金:37万4000円(経済的利益500万円×5.5%+9万9000円)
- 成功報酬:74万8000円(経済的利益500万円×11%+19万8000円)
- 実費:5万円
- 合計:118万3000円
- →300万円以下のため全額弁護士費用特約で補償(被害者の自己負担0円)
※すべて税込みでの金額例です。
弁護士費用特約の保険金上限額は、相談料10万円まで、弁護士費用300万円まで、実費は社会通念上妥当な範囲で出ますので、モデル事案の相談料1万1000円(税込)と、着手金37万4000円(税込)および成功報酬74万8000円(税込)を合算した弁護士費用118万3000円(税込)、実費5万円は、被害者の持ち出しがなく全額、弁護士費用特約で支払われます。つまり、被害者が負担する弁護士費用はゼロです。
実際の弁護士報酬は事務所により異なる
以前、弁護士費用は日弁連の報酬規程により統一の金額ルールで決まっていました。つまり、どの弁護士に相談しても、かかる弁護士費用は同じだったのです。
2004年にこの報酬規定は廃止、弁護士費用は自由化され、現在は弁護士がそれぞれ自由に報酬価格を決めていいことになっています。
自由化されたとはいえ、弁護士自身が自らの弁護報酬を極端に高額あるいは低額に設定しているケースは稀で、事務所の方針ごとに一定の相場は存在します。
弁護士事務所の費用設定における代表的なモデルには
- 成功報酬型の弁護士費用
- 旧報酬規程に基づく弁護士費用
と、大きく2つの方向性があります。
ここでは、それぞれのモデルにおける費用相場をご紹介していきます。
成功報酬型の場合の費用相場
完全成功報酬型の弁護士の場合、相談料や着手金は無料で、詳細は以下のとおりとしているケースが多いです。
- 相談料:0円
- 着手金:0円
- 成功報酬:経済的利益の11〜22%+22〜33万円程度(税込)
- 実費
旧報酬規程に基づく弁護士費用相場
旧報酬規程に基づく弁護士費用は、廃止こそされていますが、報酬金額を決める際の基準にしている弁護士は今も多いです。
旧報酬規程に基づく弁護士費用の相場は以下のとおりです。
一般法律相談料
30 分ごとに5000円以上2万5000円以下
着手金と報酬金
経済的利益 | 着手金 | 報酬金 |
---|---|---|
300万円以下の場合 | 経済的利益の8% | 経済的利益の16% |
300万円を超え~3000万円以下の場合 | 経済的利益の5%+9万円 | 経済的利益の10%+18万円 |
3000万円を超え~3億円以下の場合 | 経済的利益の3%+69万円 | 経済的利益の6%+138万円 |
3億円を超える場合 | 経済的利益の2%+369万円 | 経済的利益の4%+738万円 |
実費
交通費、収入印紙代、切手代などの実費
弁護士費用特約のメリット
弁護士費用特約には、たくさんのメリットがあります。
費用の不安なく弁護士に相談できる
第一に、費用の不安なく弁護士に相談できます。加害者側保険会社との交渉に悩んでいても、経済的に弁護士に相談しづらいという方もいらっしゃるかもしれません。ですが、弁護士費用特約があれば、保険金上限額まで自分が加入している保険会社が費用を負担してくれるので、不安なく弁護士に相談できます。
利用しても保険の等級には影響しない
弁護士費用特約は、利用しても「ノーカウント事故」として扱われ、翌年の自動車保険等級には影響しません。つまり、利用しても等級ダウンすることはなく、翌年の保険料は上がりません。弁護士費用特約を付保しているのであれば使わない手はないでしょう。
加害者との示談交渉を弁護士に任せられる
弁護士費用特約を使い弁護士に依頼すれば、加害者との示談交渉を弁護士に任せられます。
事故により受傷し治療だけでも大変な状況では、被害者本人が加害者と示談交渉するのは大きな負担となります。その点、弁護士に依頼すれば、示談交渉のプロとして加害者と交渉してくれます。
保険会社が動けない「もらい事故」でも効果を発揮
弁護士費用特約は、自分の保険会社が動けない「もらい事故」でも効果を発揮します。
実は、自分が対物賠償保険・対人賠償保険に加入していても、10:0で被害者にまったく責任のない(※無過失と言います)「もらい事故」では、保険会社の「示談代行サービス」を受けられません。つまり、自分の保険会社は動いてくれないのです。
他方で、事故に対して責任・過失のある加害者は、加害者の保険会社が行う「示談代行サービス」を受けられるため、交通事故のプロである保険会社が、加害者に代わって示談交渉を行います。こうなると、専門知識のない被害者は、自分に不利な交渉をされてしまいます。
けれども、弁護士費用特約で弁護士に依頼すれば、豊富な法的知識とタフな交渉力を持った弁護士が、被害者に代わって示談交渉してくれます。
受け取れる慰謝料を最大化できる
弁護士費用特約を使い弁護士に依頼することで、受け取れる慰謝料を最大化できます。
慰謝料には、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」と3つの計算基準がありますが、保険会社は、被害者に最も不利な「自賠責基準」か、それに少し金額が上乗せされた「任意保険基準」での慰謝料を提示することがほとんどです。
弁護士に依頼すると、被害者に最も有利な「弁護士基準」で計算した慰謝料を請求できます。
「弁護士基準」は、過去の裁判などで認められた損害賠償額を根拠に設定されていることから「裁判基準」とも呼ばれており、その損害賠償額は「自賠責基準」「任意保険基準」に比べてより高額です。
弁護士費用特約を利用して弁護士に依頼することで、費用負担は最小限に、最大限多くの慰謝料を請求することが可能となります。
弁護士費用特約は少額で大きな補償、デメリットなし
弁護士費用特約は、どの保険会社でも保険料は年額2200円~4400円程度(税込)と少額ですが、万一の事故に遭ってしまった際、弁護士に費用負担なしで相談できる効果は大きく、その補償内容は非常に頼もしいものです。
近年ではその効果を理解しているドライバーも少なくなく、SOMPOグループのセゾン自動車火災保険の場合、弁護士費用特約の加入率を64.5%と公表しています。
当然ですが、交通事故後の自動車保険契約で弁護士費用特約に加入しても、加入前の事故は適用対象にはなりません。
デメリットは基本的になく、強いて上げるとすれば、毎年の保険料コストが上がることくらいですが、以上のようにメリットが非常にはっきりしている特約なので、自動車保険を契約する際は、必ず弁護士費用特約にも加入しておくことをおすすめします。
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交通事故裁判の弁護士費用
交通事故で加害者と話し合いによる解決を進めてきたものの
- 示談交渉が決裂した
- 調停・ADRが不調に終わった
- 事故の相手が任意保険に未加入
などの理由から、交通事故が裁判に進む場合があります。
交通事故で裁判になった場合、弁護士費用はどのくらいになるのでしょうか。
交通事故の裁判の弁護士費用の相場
裁判だと弁護士費用は示談より高くなる
交通事故の裁判の弁護士費用は、訴訟準備のための着手金や、裁判に特有の実費(裁判所に納める収入印紙や切手代)、日当が必要となるため、裁判をせず示談のみで終わるケースの弁護士費用よりも高くなります。
以下は、最終的な損害賠償金1000万円、経済的利益500万円という事例を基に計算した、示談交渉と裁判の弁護士費用比較表です。
示談交渉 | 裁判 | |
---|---|---|
成功報酬型 | 着手金0円 | 着手金22〜55万円 |
報酬77万円(経済的利益500万円 11%+22万円) |
報酬77万円(経済的利益500万円×11%+22万円)+日当 | |
旧報酬規程 | 34万円(経済的利益500万円×5%+9万円) | 68万円(経済的利益500万円×10%+18万円) |
※すべて税込みでの金額例です。
このように、示談交渉のみの場合、成功報酬型では
着手金0円+報酬77万円(税込)=77万円(税込)
と実費が弁護士費用です。
それが裁判になると、
着手金22〜55万円(税込)+報酬77万円(税込)+日当=99〜132万円(税込)+日当に実費(一般的な実費+裁判に特有の実費)が弁護士費用となるため、裁判では、示談交渉で解決する場合よりも22〜55万円(税込)+日当の分、弁護士費用が高くなります。
また、旧報酬規程でも、示談交渉のみの場合は34万円、裁判の場合は68万円と、裁判のほうが34万円高額です。
費用を抑えた交通事故弁護士の選び方
交通事故で、費用を抑えて弁護士に相談するには、弁護士の選び方にポイントがあります。
成功報酬型の弁護士事務所に相談する
第一のポイントは、成功報酬型の弁護士事務所に相談することです。相談料や着手金がかかってしまうと、最初の持ち出しが増えます。成功報酬型の弁護士事務所では相談料や着手金は無料なので、初期費用の心配なく相談できます。
弁護士の無料相談で見積もりを依頼する
次に、弁護士の無料相談で見積もりを依頼することも重要です。初回相談料を無料にしている弁護士は多いので、その際に弁護士費用の見積もりを出してもらいます。見積もりをきちんと確認することで、費用倒れのリスクも極力下げることができます。
場合によっては、複数の弁護士から見積もりを取って比較するのもよいでしょう。
ネットでの評判をチェックする
ネットで弁護士の評判をチェックすることもポイントです。ネットで検索すれば、実際に弁護士へ依頼した被害者の声が見つかります。弁護士費用と示談交渉・損害賠償請求の結果を考えたうえで、相談者から「この弁護士に頼んでよかった!」「この弁護士は弁護士費用に見合う成果を出してくれた!」といった感想がある評判の良い弁護士であれば、余分な費用をかけずに、より良い示談交渉・損害賠償請求を行ってくれることを期待できます。
加害者への示談条件として弁護士費用を相手に請求する
加害者への示談条件として弁護士費用を相手に請求する、という方法もあります。
裁判であれば、最終的な損害賠償金の10%の弁護士費用を加害者に請求できますが、示談交渉においては、弁護士費用の負担にこだわることで交渉が決裂してしまうリスクもあり、あまり一般的ではありません。
ただし、被害者に過失がなく、かつ後遺障害があるなど被害者側の受けた被害が大きい場合は、示談金の請求額に準じて弁護士費用も高額となるケースもあります。
こうしたケースであれば、示談交渉でも弁護士費用を支払ってもらう余地はあると言えるでしょう。
交通事故の解決に弁護士は本当に必要か?
交通事故の解決に弁護士は本当に必要かと考えたとき、「弁護士に頼むなんて大げさだ」と思う方は少なくありません。
けれども、弁護士に相談しなかったがために、後々になって示談結果を後悔する方は多いです。
では、交通事故を弁護士に頼むべきケースとは、一体どのようなケースでしょうか?
交通事故を弁護士に頼むべきケース
人身事故
被害者にケガが生じる人身事故は、原則、弁護士に依頼するべきケースです。
人身事故では物損事故と異なり、慰謝料や逸失利益といった高額になりやすい損害を加害者に請求できます。慰謝料は、弁護士に依頼すれば、弁護士にしか使えない「弁護士基準」で計算ができ請求金額を最大化できます。
また、後遺障害を負った場合に請求できる逸失利益は、後遺障害等級によって大きく金額が上下しますが、弁護士に依頼することで適切な後遺障害等級認定が得られ、より高額な逸失利益を請求できます。
相手が弁護士を立てた場合
相手が弁護士を立てた場合には、一般の方はまず太刀打ちできません。それは、素人には法的知識や示談交渉のテクニックなどが不足し、圧倒的に不利だからです。このようなケースでは、被害者側も信頼できる弁護士を立てるべきだと言えます。
相手の過失による事故(過失割合10:0の事故)
相手の過失による「もらい事故」(過失割合10:0)では、被害者の保険会社は示談代行をしてくれません。
このようなケースでは、弁護士に依頼した方が最終的に得をするケースが多いです。前述したとおり、弁護士に依頼すれば慰謝料を「弁護士基準」で計算でき、自分一人では不当に低く提示される慰謝料を満額もらえる可能性が高いからです。
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弁護士を入れると時間がかかる?
交通事故の示談交渉で弁護士を入れた場合、解決までどの程度の時間がかかるのでしょうか?
一般的には治療期間+1〜3ヶ月程度が目安
その答えですが、弁護士を入れた場合の解決までの時間は、重傷事案でなければ、一般的に治療期間+1〜3ヶ月程度が目安と言われています。
しかしながら、
- 過失割合を争っている
- 後遺障害等級認定を申請する
- 後遺障害等級認定で異議申し立てをする
- 加害者が任意保険に未加入
などの場合、ケースによっては示談交渉に時間がかかることがあります。
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被害者自身が示談交渉するよりスムーズな解決につながる
とは言え、弁護士に依頼しなかったがために、保険会社に自分の主張を聞き入れてもらえず示談交渉が難航することも。
被害者自身で示談交渉を行うより、交通事故の示談交渉に詳しい弁護士に依頼したほうが、ずっとスムーズな解決につながります。
弁護士に依頼して費用倒れのリスクは?
物損事故では費用倒れのリスクあり
弁護士に依頼した場合に気になるのが費用倒れのリスクです。
実際のところ、物損事故の場合には弁護士に依頼して費用倒れになるリスクはあります。というのも、物損事故では慰謝料などを請求できないため、示談金が人身事故の場合よりずっと低額だからです。
軽傷の人身事故では、弁護士費用特約利用などで費用倒れのリスク回避を
また、人身事故でも、ケガがすぐ完治するような軽傷事案で、着手金ありの費用設定をしている弁護士に依頼した場合、被害者は最初の持ち出しがある一方で、最終的な示談金は弁護士費用よりも低額となるリスクがあります。
こうした軽傷事案での費用倒れを回避するには、
- 弁護士費用特約があれば特約を利用する
- 無料相談などで弁護士に費用の見積もりを出してもらう
- 完全成功報酬型で着手金ゼロの弁護士に相談する
など、弁護士に依頼する前段階のリスクを避けるための取り組みが大切です。
費用倒れを気にして泣き寝入りするより弁護士に相談を
物損事故、人身事故の軽傷事案のリスクについて述べましたが、通常の人身事故では、弁護士に依頼して費用倒れになるケースはあまりないと言っていいでしょう。
費用倒れを気にして泣き寝入りするよりは、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
交通事故加害者の弁護士費用の相場
交通事故を起こしてしまった加害者が弁護士を依頼した場合、その弁護士費用は「刑事事件」と「民事事件」とに分けられます。
刑事事件
交通事故で被害者を死傷させ、刑事事件の被疑者(容疑者)、被告人になった場合の弁護士費用相場は以下のとおりです。
- 相談料:0円〜30分5500円程度(税込)
- 着手金:0円〜44万円程度(税込)
- 成功報酬:0円〜110万円程度(税込)
- 接見費用:1回2万2000円〜5万5000円程度(税込) ※逮捕、勾留された場合に発生します
- 実費:交通費やコピー代などの実費分
例えば、
・逮捕、勾留されない在宅事件
・被害者と示談成立
・不起訴処分を獲得
した場合の弁護士費用を計算すると下記のようになります。
相談料 | 5500円 |
---|---|
着手金 | 33万円 |
成功報酬 | 66万円(示談成立分22万円+不起訴処分獲得分44万円) |
接見費用 | 0円(在宅事件につき不要) |
実費 | 1万円 |
合計 | 100万5500円 |
※すべて税込みでの金額例です。
民事事件
事故により受傷した被害者に損害賠償金を請求される民事事件の場合、加害者の弁護士費用相場は以下のとおりです。
相談料 | 0円~30分5500円程度(税込) | |
---|---|---|
着手金 | ・示談交渉事件の場合22万円~33万円程度(税込) ・裁判事件の場合33万円~55万円程度(税込) |
|
成功報酬(減額報酬) | 経済的利益(被害者の請求金額からの減額分)の額が300万円以下の場合 | 経済的利益の17.6%(税込) |
300万円を超え3000万円以下の場合 | 経済的利益の11%+19万8000円(税込) | |
3000万円を超え3億円以下の場合 | 経済的利益の6.6%+151万8000円(税込) | |
3億円を超える場合 | 経済的利益の4.4%+811万8000円(税込) | |
実費 | 交通費やコピー代などの実費分 |
例えば、
・示談交渉のみで解決
・相手からの請求金額が1000万円
・最終的に成立した示談金は400万円(600万円の減額に成功)
というケースの弁護士費用を計算すると以下のとおりです。
相談料 | 30分5500円 |
着手金 | 22万円 |
成功報酬(減額報酬) | 85万8000円(減額分600万円×11%+19万8000円) |
実費 | 5万円 |
合計 | 113万3500円 |
※すべて税込みでの金額例です。
交通事故加害者こそ早めに弁護士への依頼を
交通事故加害者には、刑事事件と民事事件、両方の問題が生じます。
刑事事件では、懲役、禁錮、罰金といった刑罰が科される可能性があり、民事事件では、被害者のケガの程度によっては、億単位の損害賠償金を請求される可能性があります。したがって、交通事故の加害者になってしまった場合こそ、早めに弁護士に依頼するのが重要です。
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まとめ
弁護士費用特約を使えば交通事故の弁護士費用は負担を軽減できる
交通事故被害者は、自分自身で保険会社と示談交渉するよりも、弁護士に相談することで、よりスムーズな解決や、より有利で適正な金額の慰謝料獲得につながります。
もし弁護士費用の支払いに不安があっても、弁護士費用特約を利用する、完全成功報酬型の弁護士を選ぶなどの方法で費用負担を軽減できますし、弁護士は相談者の収入状況なども考慮して、相談者が支払いやすい形で弁護士費用を提案してくれます。
交通事故でお悩みの場合には、費用も含めて弁護士に相談するのが得策です。
交通事故に強い【おすすめ】の弁護士に相談
交通事故一人で悩まずご相談を
- 保険会社の慰謝料提示額に納得がいかない
- 交通事故を起こした相手や保険会社とのやりとりに疲れた
- 交通事故が原因のケガ治療を相談したい