交通事故の原因ランキング統計に見る傾向、要因と事故を防ぐ対策

交通事故の原因として最も多いのは安全不確認で、脇見運転、動静不注視、漫然運転と続きます。
警察庁交通局が公表している「令和7年中の交通事故の発生状況」によると、これらはいずれも安全運転義務違反の区分として整理されており、運転者の安全意識が交通事故の発生と大きく関係していることがわかります。
今回は令和7年(2025年)の統計資料をもとに、日本の交通事故の原因をランキング形式で紹介、また、統計から読み取れる傾向と要因、事故を防ぐための対策まで解説していきます。
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交通事故の原因ランキング【令和7年(2025年)版】
では早速、交通事故の原因ランキングを見てみましょう。
交通事故の原因 上位トップ10
警察庁交通局の「交通事故の発生状況」表3-2-1 一般原付以上運転者(第1当事者)の法令違反別交通事故件数の推移によると、平成27年(2015年)~令和7年(2025年)までの交通事故の原因上位トップ10およびランキング推移は以下の通りです。
表3-2-1の件数は、事故の当事者のうち最も過失の重い人(第1当事者)が、どの交通違反をしていたかを数えたものです。

【1位】安全運転義務|安全不確認

交通事故の原因として最も多いのは、安全運転義務違反の中の、安全不確認です。安全不確認とは、一時停止や徐行はしたものの、十分な安全確認をしなかったため、車両や相手の見落としや発見が遅れることを言います。
例えば、交差点を右折する際に左側の歩行者に気を取られ、右折先の歩行者に気が付かず事故が発生するようなケースです。
【2位】安全運転義務|脇見運転

続いて多いのは脇見運転です。脇見運転とは前方から視線を外して運転をする行為のことをいいます。
例えば、車外の景色に気を取られたり、車内に落ちたものを拾おうとしたりして発生するケースです。またカーナビ等に気を取られて脇見運転が発生することもあります。
【3位】安全運転義務|動静不注視

第3位は、動静不注視です。動静不注視とは、他の車や歩行者の存在には気づいているものの、危険ではないと判断し、それらの動静への注意を怠ったことを言います。「大丈夫だろう」と判断し安全確認を怠ることから「だろう運転」と呼ばれることもあります。
例えば、対向車は確認していたものの、こちらが先に行けると判断し無理に右折したため対向車と衝突するようなケースがあります。
【4位】安全運転義務|漫然運転

第4位は漫然運転です。漫然運転とは、「内在的前方不注意」という表現をされることもありますが、前は見ているものの、ぼんやりとしていたり、何か考え事をしていることにより、危険を見落としてしまう状態のことです。
【5位】交差点安全進行

交差点安全進行とは、交差点に入るときや交差点内を通るときに、交差する道路から来る車、対向から右折してくる車、横断中の歩行者に特に注意し、できる限り安全な速度と方法で進行する義務のことです(道路交通法36条4項)。交差点の手前で速度を落とさずに進入する、周囲への注意を欠いたまま通過するなどの運転は、交差点安全進行義務違反となります。
【6位】安全運転義務|運転操作不適

運転操作不適とは、危険は認識しているものの、それに対する措置を誤ってしまったことによる運転操作全般のミスを指します。
例えばブレーキペダルの踏み間違いや、ハンドル操舵の誤り、ギヤの入れ違い、片手運転などがあります。
【7位】一時不停止

一時不停止とは、一時停止を指定された場所で停止行為を行わないことです。一時停止の標識や「止まれ」の路面標示のあるところでは、一時停止をしないと一時停止違反に問われます。
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【8位】歩行者妨害等

歩行者妨害等とは、横断歩道を渡っている、または渡ろうとしている歩行者がいるにも関わらず、走行車が一時停止をしなかった際に該当します。
【9位】信号無視

信号無視とは、道路に設置された信号機の表示を無視して走行することで、赤信号で停止線を越えて交差点に進入することのほか、黄色信号に変わった時点で安全に停止できたのに停止線を越えて進入することも信号無視に該当します。
【10位】優先通行妨害

優先通行妨害とは、信号機のない交差点などで、優先道路や明らかに幅の広い道路を進行する車、左方から来る車、右折時に直進・左折してくる対向車の進行を妨げた違反のことです(道路交通法36条・37条)。道路を通行する際には優先順位が決まっているため、優先順位の低い側は優先順位の高い側の進行を妨げてはなりません。
令和7年の交通事故の原因ランキング一覧
令和7年の上位10の原因を件数で比べると、1位の安全不確認が80,986件と突出しており、2位の脇見運転(31,609件)の2.5倍以上にのぼります。
| 順位 | 原因(法令違反) | 件数 | 構成率 | 前年からの増減 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 安全運転義務|安全不確認 | 80,986件 | 30.6% | -252件 |
| 2位 | 安全運転義務|脇見運転 | 31,609件 | 12.0% | -1,832件 |
| 3位 | 安全運転義務|動静不注視 | 23,781件 | 9.0% | -2,032件 |
| 4位 | 安全運転義務|漫然運転 | 22,854件 | 8.6% | -403件 |
| 5位 | 交差点安全進行 | 19,517件 | 7.4% | +609件 |
| 6位 | 安全運転義務|運転操作不適 | 17,109件 | 6.5% | -240件 |
| 7位 | 一時不停止 | 14,369件 | 5.4% | +96件 |
| 8位 | 歩行者妨害等 | 11,022件 | 4.2% | -187件 |
| 9位 | 信号無視 | 10,900件 | 4.1% | +267件 |
| 10位 | 優先通行妨害 | 8,461件 | 3.2% | -119件 |
| 上位10の合計 | 240,608件 | 91.0% | -4,093件 | |
※構成率は、一般原付以上の運転者が第1当事者(事故の当事者のうち最も過失の重い人)となった交通事故264,348件に占める割合です。
前年より件数が増えたのは、交差点安全進行・信号無視・一時不停止の3つで、いずれも交差点や信号、標識といった交通ルールの基本に関わる違反です。残る7つの原因は、いずれも前年より減りました。
出典元:警察庁「交通事故の発生状況」令和7年(e-Stat)
警察庁統計から読み取れる交通事故の傾向
交通事故の件数はどのように変化しているのでしょうか。警察庁の統計から、交通事故の件数の推移を見てみましょう。
交通事故の件数は10年間でほぼ半減

交通事故の件数は、平成27年(2015年)の536,899件から令和7年(2025年)の287,023件へと、10年間で約47%減りました。ピークだった平成16年(2004年)の952,720件と比べると、令和7年の件数は約3分の1の水準です。
10年間で最も大きく減ったのは追突事故です。追突は平成27年の196,868件から令和7年には80,229件と約6割減り、事故全体の減少分(約25万件)のおよそ半分を占めます。原因別に見ても、大きく減ったのは安全不確認(155,446件→80,986件)や脇見運転(85,601件→31,609件)など、前の車や周囲を見落として起きる事故です。
見落とし事故減少につながった自動ブレーキの普及
見落としによる事故が減った背景の一つは、衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)の普及です。運転者が前の車や歩行者に気づくのが遅れても、車が自動でブレーキをかけることで、衝突の回避や被害の軽減につながります。2026年3月に決定された第12次交通安全基本計画も、衝突被害軽減ブレーキの普及などに伴い、交通事故の件数と死傷者数が減少傾向にあると評価しています。
このほか、飲酒運転やスピード違反の取り締まり強化、高齢者の運転免許の自主返納制度なども、国や警察が重ねてきた対策です。
なお、交通事故の件数は平成17年以降18年連続で減少した後、令和5年に一度増え、令和6年から再び減少しています。
出典元:警察庁「交通事故の発生状況」表1-3・表3-5-1(e-Stat)
出典元:中央交通安全対策会議「第12次交通安全基本計画」(2026年3月27日)
上位10の原因だけで交通事故の9割を超える
令和7年の交通事故の原因上位10の合計は240,608件で、一般原付以上の運転者が第1当事者(事故の当事者のうち最も過失の重い人)となった交通事故264,348件の91.0%を占めます。
なかでも、安全不確認や脇見運転などの安全運転義務違反は合計180,812件(68.4%)で、それだけで約7割です。
安全運転義務違反による事故は、いずれも運転者の安全意識次第で防げた事故といえます。
交通事故の死者の半数以上が65歳以上
警察庁の「令和7年における交通事故の発生状況について」によると、令和7年の交通事故の死者2,547人のうち、65歳以上は1,423人で55.9%を占めています。死者数全体は現行の統計が始まった昭和23年以降で最も少なくなった一方、65歳以上の割合は平成27年以降5割台で推移しています。
自転車乗用中の死者では65歳以上の割合が65.4%、歩行中の死者では70.1%と、さらに高い水準です。
一方で、高齢ドライバーがブレーキとアクセルを踏み間違える事故もたびたび報道されています。こうした背景から、近年は75歳以上の認知機能検査・運転技能検査や、高齢者に運転免許証の自主返納を勧める動きが盛んになっています。
75歳以上の運転者の死亡事故は操作不適が最多
警察庁の同じ資料にある「自動車運転者による年齢層別死亡事故の人的要因比較」によると、75歳以上の自動車運転者が起こした死亡事故363件のうち、ハンドルやブレーキの操作を誤る「操作不適」が33.1%と最も多く、75歳未満の運転者(10.7%)の約3.1倍です。
また、全死亡事故に占める75歳以上の運転者による死亡事故の割合は17.6%で、増加傾向にあります。
加齢による身体機能や認知機能の低下は完全には避けられません。そこで国は、後述する運転技能検査や衝突被害軽減ブレーキの義務化などで、高齢運転者の事故を防ごうとしています。
出典元:警察庁「令和7年における交通事故の発生状況について」
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交通事故につながる3つの要因
交通事故につながる要因は様々なものがありますが、ここでは「人」「車」「道路環境」という側面に分けて見てみましょう。
ひと
まず「人」を要因として考えられるものとして分かりやすい例は、
- 飲酒をしていた
- 居眠り運転
- 考え事による注意力の低下
- 長時間運転による過労
- 脇見運転
- 認知、判断、操作ミス
などが考えられます。様々なものがありますが、これらの「人」を要因とした交通事故は全体の大半を占めています。
車
続いて「車」を要因とする事故について見てみましょう。車を要因とする事故は
- 車両の整備不良
- 内輪差
- 死角
- 停止距離
などが考えられます。
近年の自動車技術の向上により、様々な改善が見られていますが、そもそも整備されていない車に乗っているなどの「人」の要因も合わさった事故もあります。
道路環境
環境要因とは、天候や道路状況などの理由による事故のことです。環境要因としては、
- 雨や霧による視界不良
- 路面の凍結
- 信号機の故障
などが考えられます。
道路整備は国や自治体によって行われていますが、国土交通省の「道路メンテナンス年報」(2025年8月)によると、2014~2024年度の点検で早期または緊急に修繕などの措置が必要と判定された橋梁は全国で53,487橋あり、建設から50年以上たった橋梁は増え続けています。
出典元:国土交通省「道路メンテナンス年報」(2025年8月)
交通事故を予防するための対策
では交通事故を予防するための対策としてはどのようなものがあるでしょうか。人、車、環境要因の分野で見ていきましょう。
記事冒頭でご紹介した事故原因のほとんどはこの「人」を理由にした事故となります。この最も事故原因として多い人への対策については、多方面からの対策が必要となります。
事故実態・社会状況を踏まえた継続的な制度改善
国は、飲酒運転の罰則強化や運転免許の自主返納制度、75歳以上の運転者への認知機能検査などを進めてきました。2022年5月からは、75歳以上で過去3年間に信号無視などの一定の違反歴がある人は、免許更新時に運転技能検査(実際に車を運転する試験)を受けなければなりません。
また2024年4月からは、運転者の長時間労働を抑えるため、トラック・バス・タクシーなどの運転者に時間外労働の上限(年960時間)が適用され、2026年9月1日には中央線も車両通行帯もない一般道路(いわゆる生活道路)の法定速度が時速30kmに引き下げられました。今後も事故の実態に合わせた制度の改善が必要です。
安全運転サポート技術の普及・浸透
人為的なミスはどうしても発生してしまうため、技術面でのサポートを実施していく必要があります。
現在あるものとしては、センターラインや側線を越えた際にドライバーにアラームで知らせるシステムや、「踏み間違い防止装置」として、アクセルとブレーキを踏み間違えてしまった際にアクセルがアイドリング状態になる機能などが代表例です。
高齢ドライバーによる交通事故を受けた対策として、国土交通省は2021年11月以降に新型車として発売される国産の乗用車から、衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)の搭載を義務づけました。義務化の前から販売が続いている国産車(継続生産車)も2025年12月から対象となり、新車の乗用車は原則として自動ブレーキ付きです。ただし国土交通省も注意を促しているとおり、自動ブレーキは作動しない場合もある運転支援装置で、安全運転に代わるものではありません。
参考:国土交通省「乗用車等の衝突被害軽減ブレーキに関する国際基準を導入し、新車を対象とした義務付けを行います。」
飲酒運転対策や高齢ドライバーの意識改善
「意識」や「常識」を変えていくことで交通事故を減らしていくこともできます。飲酒運転を「しない」だけではなく「させない」という意識を持つことや、「ハンドルキーパー(お酒を飲まない人)」を決めることなども政府は推奨しています。
高齢者の免許返納については、2019年に起こった高齢ドライバーの死亡事故をきっかけに意識が高まり、運転免許の申請取消(自主返納)件数は令和元年(2019年)に601,022件で、前年の約1.4倍です。その後は減少が続き、令和5年は382,957件でしたが、令和7年は435,067件(うち75歳以上260,915件)とやや持ち直しています。
地方などでは移動手段としての自動車を手放せない事情もあるため、大きな事故をきっかけにした意識の変化に頼るだけでなく、運転技能検査や自動ブレーキの義務化などの制度と組み合わせて対策していく必要があります。
車両整備と定期メンテナンス
車への対策としては、自家用乗用車の場合、新車登録から初回の車検が3年後、以降は2年ごとに車検を受ける義務があります。車検とは別に、1年ごとの定期点検(法定12か月点検)も道路運送車両法で定められています。
車検が切れた車で公道を走行すると、道路運送車両法違反として「6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金」の対象となり、違反点数は6点です。
また車の課題としてある「死角」については現在ドライバーの目に代わって電波や光、音波などを使って周囲の車両などの存在を確認するシステムなどを搭載した車も開発されています。
車への対策としてできることとしては、
- 定期点検や車検などの必要最低限のメンテナンスは必ず行う
- 運転技術や能力について心配があれば、運転の補助的な機能を持つ車を検討する
というのも良いでしょう。
悪天候時の安全運転への注意と備え
あいにく人間には天候などの外部環境をコントロールすることはできません。
天気が悪い場合は外出を控える、雨や霧で視界が悪いなどの場合にはスピードを落として走行する、光が霧で乱反射しないようヘッドライトを下向き(ロービーム)にする、など、環境の影響による事故の可能性を少しでも減らす対応をしておきましょう。
積雪や凍結した路面をノーマルタイヤで走ることは多くの都道府県の規則で禁止されているため、寒冷地では初雪や路面凍結が始まる前にスタッドレスタイヤへ交換しておきましょう。
危険な道路は地域への働きかけも
その他にできる対策として、例えば視界が悪い道路があれば、カーブミラーを設置するなどの依頼を道路管理者に連絡することもできます。
国管理の国道であれば国土交通省の国道事務所、県管理の国道または県道であれば県庁、市町村道であれば市役所、町村役場に相談すると良いでしょう。
また学校と協力してスクールゾーンの設置に取り組むこともできますし、交通事故の危険を感じたら国や地域への発信をしてくことも将来の交通事故防止に繋がります。
まとめ
今回は交通事故の原因ランキングを解説しました。
統計からわかるように、交通事故の原因の約7割は、安全不確認や脇見運転などの安全運転義務違反です。意識を変えるということは今日からできる小さなことでもありますが、難しい課題でもあります。
しかし、自分の意識を変えることが周囲の意識を変えるきっかけにもなります。今回の記事が安全意識のきっかけになれば幸いです。また万一の事故が発生した際は弁護士にご相談ください。
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