離婚のタイミングは子どもが18歳になってから?子供の成長を待つメリット・デメリット
さまざまな理由から離婚を考えているとしても、まだ小さい子どもがいる場合、どのタイミングで離婚をすればいいのか悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
子どもが自立するまでは離婚しない方がいいのか、それとも子どもが物心つくまでに離婚した方がいいのか。
離婚後の学校や経済面への影響など、子どものことを最優先に考えれば考えるほど、事前に決めておかなくてはならないことがたくさんあります。
この記事では、子供が自立するまで離婚を待つ場合のメリットとデメリット、また子どものいる夫婦が実際にどのタイミングで離婚をしているのか、統計データの内容も参照しながら解説していきます。
お子さんにとって最適なタイミングで離婚できるよう、事前知識をしっかりつけておきましょう。
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離婚は子供が自立するまで待つべき?
離婚をするひとつの目安となるのは、子どもが自立(成人)するタイミングでしょう。
多感な時期の子どもにとって、両親がいる安心感は何にも変え難いものがあり、離婚して両親と離れ離れになると、子どもの成長にも悪影響が出てしまうかもしれません。
子どもが自立してから離婚すれば、転校することによるストレスを与えることもありませんし、経済的にも安定することで、子どもに日々の生活で我慢をさせることなく育てることができます。
子どもの精神面だけを考えるのであれば、子どもが自立するまで離婚をしないという選択肢は、一つの有効な選択肢であるといえるでしょう。
子供の自立を待てれば穏便だがデメリットも
このように、子どもが自立するのを待って離婚するのが一番ベストな方法かもしれませんが、すでに夫婦関係が破綻している場合、いくら子どものためとはいえ、このまま生活を続けるのは精神的に耐え難いものがあるでしょう。
もし、精神的に辛くなってしまい、夫婦喧嘩や子どもにあたってしまうような事があると、むしろ子どもにとっては悪い影響を与えてしまうかもしれません。
家庭の雰囲気に敏感な子供に悪影響を与える可能性
子どもにとって両親は特別な存在で、私たちが考えている以上に、親の愛情や家庭の雰囲気を敏感に感じ取ります。
一緒に住んでいるにもかかわらず、夫婦同士でほとんど会話しない家庭内別居のような状況でいると、離婚するよりもお子さんに気を使わせてしまい、精神的に辛い思いをさせてしまう可能性があります。
一緒に住んでいることで子どもがつらい思いをするようであれば、家族全員の幸せのためにも、離婚について前向きに考えるようにしてください。
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離婚を子供が自立(成人)するまで待つメリット
子どものことを最優先で考えるのであれば、離婚をする時期について慎重に考える必要があるでしょう。
まずは、子どもが自立(成人)するまで離婚を待つメリットについて考えてみます。
両親のいる環境で育てられる
離婚すると、夫婦のどちらか一方が子どもを引き取り育てていくことになります。
もちろん、離婚したら二度と子どもに会えなくなってしまうわけではありませんが、いつでも自由に会える訳ではなくなってしまうため、家族で今まで通りの日常生活を送ることは難しくなるでしょう。
子どもの精神面を考えても、成人して自立するまで両親と生活することができるのは、大きなメリットであるといえるのです。
経済的に安定した状態を保てる
専業主婦などで収入がない場合や所得の低い場合、夫婦2人で家計を支えることで、経済的に安定した生活を保つことができます。
もし、経済的に安定しないまま離婚をしてしまうと、塾代や習い事にお金をかける事ができず、子どもが周りの友達との差を感じてしまうかもしれません。場合によっては、共通の話題について話すことができず、仲間はずれにされてしまうこともあるかもしれません。
親の経済的状況で、子どもの成長する機会を奪ってしまうようなことがあってはなりませんが、両親2人で生活していた方が、経済的に子どもの選択肢を広げやすいことが多い、ということを頭に入れておくと良いでしょう。
養育費などの取り決めが不要
離婚の際に未成年の子どもがいる場合、財産分与や年金分割、慰謝料などの離婚にかかる取り決めだけでなく、親権や面会交流、養育費など、子どもに関することについても決めなくてはなりません。
子どもに関する権利は、夫婦どちらも主張する場合には泥沼化しやすく、話し合いでまとまらない場合、離婚調停や離婚裁判にまで発展してしまうケースもあるでしょう。
どちらが親権をもらうのか、親権がない親が週に何回くらい子どもに会えるようにするのか、養育費は毎月どれくらい支払うのかなど、離婚後、子どもが自立するまでの生活に関する重要な決め事です。
子どもが成人してから離婚するのであれば、これらの問題を考える必要がないため、離婚の時に揉める可能性が少なくなると言えるでしょう。
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財産分与・年金分割の金額が増える
財産分与は、「婚姻中に夫婦が協力して築いた資産」を分ける制度です。
現金や預金はもちろん、不動産や車、保険の解約返戻金や、退職金に至るまで、基本的には夫婦で分割することになります。
そのため、子どもが18歳成人あるいは大学卒業・就職して自立するまで待つと、その分夫婦でいる期間が長くなることから、財産分与でもらえる金額が増える可能性があります。
また、離婚したあとに、一方が経済的に困る可能性が高い場合に、一定期間生活を援助する「扶養的財産分与」が認められる可能性も高くなるでしょう。
年金分割とは、夫婦が婚姻中に払い込んだ年金の保険料を、夫婦2人で分割してもらう制度です。
当然、子供が自立するのを待ち、夫婦でいる期間が長くなればなるほど年金の払い込み額も増えていくため、もらえる年金分割の金額も高額になります。
毎月、数万単位でもらえる年金額が増えることは、大きなメリットになると言えるでしょう。
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離婚を子供が自立(成人)するまで待つデメリット
ここまでは、離婚を子どもが成人するまで待つメリットについて見てきましたが、もちろん、離婚を先延ばしにすることで発生するデメリットも存在します。
メリットだけでなく、デメリットも把握しておくことが、適切な離婚のタイミングを決めるには重要です。
不和を抱えた結婚生活が続く
現在、離婚を考えている状態なのであれば、すでに婚姻生活がうまくいっていないケースが多いでしょう。
いくら子どものためとはいえ、一緒に住みたくないと考えているパートナーと何年も一緒に生活しなければいけないのは、大きな精神的な苦痛を伴います。
精神的に疲弊しきってしまうと、自分の生活で手一杯になってしまい、子どもに対して強くあたってしまうこともあるかもしれません。
子どもに影響を与えないためにも、自分自身の体調面や精神面のことも考える必要があります。
慰謝料が認められない可能性
もしパートナーの浮気や不倫が原因で離婚を考えている場合、離婚をするタイミングで、パートナーや不倫相手に慰謝料の請求をすることになると思います。
しかし、慰謝料請求にはそれぞれ時効があり、一定の期間が過ぎてしまうと請求することができなくなってしまうおそれがあります。慰謝料請求の時効は以下の通りです。
- 配偶者に対する慰謝料:離婚後3年間
- 不倫相手への慰謝料:不倫の事実と不倫相手を知ってから3年以内
つまり、浮気や不倫が発覚してもなんとか我慢して子どもの成人・自立を待ち、離婚の手続きと一緒に慰謝料の請求までしようと考えていると、時効により慰謝料の請求ができなくなってしまう可能性があります。
また、仮に不倫の事実があったとしても、子どもが成人する頃にはすでに関係を断っていて、証拠が何も残っていないケースでは、慰謝料を請求することはできません。
もしも、浮気や不倫を原因として離婚を検討しているのであれば、早い段階から証拠を確保しておくようにしてください。
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子供に不安感・悪影響を与える可能性
毎日夫婦喧嘩が絶えない場合や、家族間での会話がほとんどないなど、冷え切った夫婦の関係性や家庭内の重苦しい空気を、子どもはいち早く感じ取ります。
そのような状態だと、同居生活を続けることで、離婚するよりもかえって子どもに精神的に辛い思いをさせてしまう可能性すらあります。
「両親の仲が悪くなってしまったのは自分のせいでではないか」と子どもに思わせないためには、離婚せずにいることがむしろ悪影響になるケースもあります。
場合によっては別居をするなどして、子どもの生活を最優先に考えるのもひとつの判断です。
DV・モラハラ等の被害は悪化するおそれ
DVやモラハラなどの被害を受けている場合、婚姻生活を続けることで被害が収まる可能性はほとんどありません。そのため、同居することで被害が拡大してしまうおそれがあります。
暴力や暴言などは、それを見ている子どもにとっても悪影響を及ぼすどころか、最悪の場合、子どもが被害者になってしまうケースもあります。
心身ともに未熟な状態である子供が重度の後遺症や精神病を負ってからでは手遅れです。
DVやモラハラの被害を受けているのであれば、自分のためにも子どものためにも、一刻も早く離婚を検討すべきです。
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自分の人生の浪費になる
今後、何歳まで生きることができるか誰にもわかりませんが、限りある人生を精一杯楽しむためにも、つらい結婚生活を何年も続ける必要はありません。
まだ自分が若ければ、人生をやり直すことは十分可能です。別の人と再婚することもできますし、自分の趣味や新しい仕事に挑戦することもできるでしょう。
子どもにとっても、毎日夫婦喧嘩や家庭内別居状態の冷え切った両親を見ているよりも、生き生きとした両親を見ている方が、精神的にも安心するのは間違いありません。
年齢が若ければ若いほど、いろいろなことにチャレンジしやすくなるので、自分の人生を浪費しないためにも、離婚の先延ばしはしない方が無難でしょう。
子供が何歳のときの離婚が多い?
それでは、実際に子どもがいる夫婦が離婚する場合、子どもが何歳の時に離婚するケースが多いのでしょうか。
内閣府男女共同参画局が、令和3年に行った調査結果を確認してみましょう。
引用:内閣府男女共同参画局「結婚と家族をめぐる基礎データ」(令和3年11月2日)|内閣府男女共同参画局(PDFファイル)
母子家庭では子供が5歳までの離婚が約7割
調査結果を見てみると、ひとり親家庭が離婚した時の一番下の子の平均年齢は、母子家庭の場合4.3歳、父子家庭の場合6.1歳となっています。
また、母子家庭の場合、一番下の子が5歳までに離婚したケースが全体の約7割にも及んでいます。
逆に小学校を卒業する12歳以上で離婚する割合は、8%程度とかなり低い数字になっていることがわかります。
母子家庭と父子家庭における傾向の違い
母子家庭の場合、そのほとんどが5歳未満、もしくは小学校低学年までには離婚する傾向にありますが、父子家庭の場合、5歳未満で離婚している割合は全体の5〜6割と母子家庭の数字よりも低くなっており、子どもの年齢によって離婚する時期に偏りがなく、満遍なく離婚している傾向にあります。
子供の年齢が上がるほど離婚の割合は低下する
また、母子家庭、父子家庭どちらのケースでも、子どもの年齢が上がるにつれて離婚の割合も低下していることがわかります。
特に、15〜17歳の時に離婚するケースはほとんどないと言えるでしょう。
なお、調査した件数に関しても、母子家庭が1627件であるのに対し、父子家庭が296件と、そもそも父子家庭の件数自体が少ないこともわかります。
子供が成人(18歳)・自立してから離婚するケースはわずか
子どもが18〜19歳で離婚する割合は、母子家庭の場合 0.2%、父子家庭の場合は0.7%と、成人(18歳)を待って離婚するケースはごくわずかだということがわかります。
人やご家庭ごとにそれぞれ事情が違いますし、確かに子どもが成人するまで離婚を待ったほうがいいケースも存在するかもしれません。
ただし、統計を見ていく限り、母子家庭・父子家庭いずれにしても成人(18歳)や自立を待って離婚している親はごく少数で、半数以上が5歳未満に離婚しているという結果が数字で出ているのが実際です。
もし離婚にどのタイミングで離婚をするのかいいか迷ってしまった場合には、離婚問題の経験豊富な弁護士に相談してみることをおすすめします。
まとめ
この記事では、子どもがいる場合の離婚について、自立するまで離婚をしないメリットやデメリットについて解説しました。
離婚の問題は、あまり気軽に友人や知人に相談できないことが多く、誰にも相談できずにひとりで抱え込んでしまうこともあるでしょう。
もし、離婚や子どものこと、今後の生活のことでお悩みの場合には、専門家である弁護士に一度相談してみることをおすすめします。弁護士であれば、財産分与や年金分割、
養育費や慰謝料請求など、離婚に関するさまざまな問題に対して、的確なアドバイスをもらえます。
仮に依頼しなかったとしても、相談だけすることも可能なので、まずはお気軽に弁護士に相談してみてください。
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