過払い金返還請求をするとクレジットカードの利用に影響する?
- 監修記事
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弁護士法人札幌パシフィック法律事務所
佐々木 光嗣弁護士
クレジットカードには、キャッシング機能とショッピング機能があります。キャッシングも他の貸金業者からの借入と同様に借金として扱われるため、利息制限法の上限を超えた金利で返済をしていた時期があれば過払い金が発生している可能性は高いです。ただし、過払い金請求を行うと、そのカードを利用できなくなるため注意しなければなりません。
クレジットカードと過払い金の関係とは
クレジットカードには、ショッピング機能の他にキャッシング機能があります。カードを利用したキャッシングも他の貸金業者からの借入と同じ借金として扱われるため、利息を払いすぎていれば過払い金返還請求ができる可能性があります。
クレジットカードの2つの機能
クレジットカードにはショッピングとキャッシングの2つの機能があり、ショッピングとキャッシングにはそれぞれ限度枠が設定されていることが多いです。
ショッピング機能とは?
クレジットカードには、店舗やインターネットで買い物ができるショッピング機能があります。買い物に利用できる限度額のことをショッピング枠といい、ショッピング枠が50万円であればクレジットカードを利用した買い物は50万円までしかできないようになっています。
キャッシング機能とは?
一方のキャッシングはクレジットカードを利用してお金を借りる機能です。こちらにも限度額がありキャッシング枠と呼んでいます。一般的にキャッシング枠の方がショッピング枠に比べて限度額が低く設定されていますが、金利が高くなるため注意が必要です。
ショッピング枠とキャッシング枠の関係
カード会社にもよりますが、ショッピング枠とキャッシング枠はそれぞれ独立して存在しているのではなくショッピング枠の中にキャッシング枠が含まれています。つまりショッピング枠が50万円、キャッシング枠が20万円のカードの場合、ショッピングで40万円使用したら、キャッシング枠の借入最大可能額は20万円ではなく10万円となります。
クレジットカードで過払い金返還請求ができる可能性
消費者金融等と同様、クレジットカード会社でもかつて利息制限法の上限を超えた金利で貸付を行っていた時期があります。この期間に借入と返済を繰り返していた場合には、過払い金が発生している可能性が高いでしょう。
違法な利息による貸付
オリコやニコス、エポスカードなどのクレジットカード会社は、過去に利息制限法の上限金利を超えた違法な利息で貸付を行っていました。2006年12月に貸金業法が成立し、多くのカード会社で2007年中に現行の利息制限法に合わせた金利に改定されましたが、それ以前に借入を行っている場合には過払い金が発生している可能性があります。
グレーゾーン金利
貸金業法の成立と同じ2006年12月の改正まで、出資法の上限金利は29.2%となっていました。利息制限法の上限金利は15~20%でしたが、これ違反しても出資法上の上限金利を越えなければ罰せられなかったため、クレジットカード会社を含む多くの貸金業者は2つの金利間のいわゆる「グレーゾーン金利」で貸付を行っていたのです。
2006年の改正で出資法の上限金利が20%に引き下げられたことにより、それまでの利息制限法の上限を超えた支払い分は過払い金が返還されるケースが多くなっています。
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キャッシングを利用した経験があれば過払い金返還請求できる
クレジットカードには、ショッピング枠とキャッシング枠がありますが、このうちのキャッシング枠を利用した場合に過払い金返還請求ができるケースが発生します。
クレジットカードによるキャッシングとは
クレジットカードというと、ショッピングの際の立替払いをイメージされるかもしれませんがキャッシング機能を利用してお金を借りることもできます。
クレジットカードでキャッシングをするには
クレジットカードを作成した際にキャッシング枠を設定していれば、買い物だけでなく借入をすることが可能です。方法は簡単で、キャッシング枠の限度額までなら預金を下ろすのと同じように銀行やコンビニのATMからお金を引き出すことができます。ただし、分割返済やリボ払いを選択すると利息が嵩むため注意が必要です。
過払い金が発生しているカード会社
過払い金が発生しているとよく言われるカード会社は、ニコス、セゾン、オリコ、イオン、セディナ、クオーク、エポスなどです。多くの会社で2007年中に利息制限法の上限内の金利に改定されているため、2008年以降の借入では過払い金が発生しているケースは少ないでしょう。
過払い金返還請求ができるのはキャッシング枠のみ
クレジットカードに発生する過払い金は、キャッシング枠を利用した時にのみ発生します。ショッピング枠では過払い金が発生することはありません。
キャッシングは借金のため利息が付く
クレジットカードによるキャッシングは、借金の扱いとなり当然利息が付きます。そのため、利息制限法の上限金利を超えた利率で借入と返済を行っていた場合には過払い金が発生している可能性が高くなります。
ショッピング枠で過払い金は発生しない
一方のショッピング枠では、買い物などの際にその代金を限度額内で立替えて支払います。借金ではないため、利息制限法の対象となることはなく過払い金が発生することはありません。あくまで立替なので、分割払いやリボ払いは別として、一括払いであれば利息も付かなくなっています。
過払い金返還請求をするとカードが使えなくなる?
クレジットカード会社に過払い金返還請求をするにあたっての一番の注意点は、その対象のカードが利用できなくなることです。弁護士などの専門家に相談しながら、デメリットの少ない過払い金返還請求をするようにしましょう。
過払い金返還請求を行ったカードは解約処分に
過払い金返還請求を行ったカード会社のカードは、原則として解約となり利用できなくなります。キャッシングだけでなくショッピング枠も使えなくなるため注意が必要です。
請求対象のカードは利用できなくなる
カード会社によっても異なりますが、原則として過払い金返還請求を行ったクレジットカードは、一旦解約処分となり利用できなくなるケースが多いです。水光熱費などの公共料金や電話料金をクレジットカードで支払っている場合には、引き落としもできなくなります。
ショッピング機能も使用不可に
クレジットカードにはキャッシング機能の他にショッピング機能がありますが、過払い金返還請求の対象のカードがキャッシング専用でなければ、ショッピング機能も利用できなくなります。キャッシング部分に対してのみ過払い金返還請求をすることは不可能なので注意してください。
他社のカードは利用できる?
過払い金返還請求をすると、その対象のカードは原則として使用不可となります。では、過払い金の請求を行わない他社のカードの利用はできるのでしょうか。
過払い金返還請求をした会社以外のカードは利用可能
幾つかのクレジットカードを利用している場合、債務を完済後に過払い金返還請求を行うのであれば、過払い金返還請求をした会社以外のクレジットカードはショッピング機能もキャッシング機能も特に支障なく利用することができます。
別のカード会社でも注意が必要なケースとは
ただし、借入やショッピング枠の支払に残高がある状態で過払い金返還請求を行うと、まず過払い金と相殺されます。この際に過払い金が借入や支払の残高を上回っていれば問題ないのですが、下回っていると債務整理の扱いとなり信用情報機関に登録されてしまうため、結果として他のカードの利用もできなくなる場合があります。
専門家に相談しよう
過去に借入をしていたクレジットカード会社に過払い金返還請求を行う場合には、弁護士などの専門家に相談してみるのがおすすめです。経験豊富な弁護士に依頼すれば、引き直し計算や和解交渉がスムーズに進むのはもちろん、カード会社へ過払い金請求をする際の注意点についても的確なアドバイスがもらえるでしょう。
クレジットカードでキャッシングを利用したことがあれば、貸金業者から借り入れをしたときと同じように過払い金返還請求をすることが可能です。ただし、そのカードが利用できなくなるなど注意した方が良い点もあるため、過払い金返還請求の際には弁護士などの専門家に依頼することをおすすめします。
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