利息も取り戻せる元本だけじゃない過払い金返還請求項目
過払い金は、元本だけでなく利息も返還請求を行うことができます。債権者が不当利得だと知りながら利益を得ていた「悪意の受益者」であることが条件ですが、お金のプロである貸金業者は、ほとんどの場合これに当てはまっていると考えられます。弁護士などの専門家に相談しながら、利息もしっかり返還してもらいましょう。
過払い金は利息付きで返還請求が可能
過払い金は、債務の元本だけでなく利息も返還請求をすることができます。借入期間が長い場合には、利息を請求するかどうかで返還される額がかなり違ってくるため注意が必要です。
過払い金の利息を返還請求できる理由
そもそも過払い金の返還請求ができるのは、民法で「不当利得返還請求権」が規定されているためです。過払い金の利息についても、この不当利得返還請求権が適用されます。
善意の受益者の場合は「現存利益」の返還請求のみ
債権者が法律上の根拠がないと知らずに利益を受けていた「善意の受益者」である場合には、債務者は債権者が得た「現存利益」にしか返還請求をすることができません。中には、自らを善意の受益者だと主張してくる債権者もいるかもしれませんが、その際には弁護士などの専門家に相談して対策を練ることをおすすめします。
悪意の受益者には元本と利息の返還請求が可能
法律上の根拠がないにも関わらず、他人から不当に利益を得ていた相手にその損害を請求する権利が「不当利得返還請求権」です。さらに、この不当に利益を受けていた相手のことを「悪意の受益者」と呼んでいます。債権者が悪意の受益者である場合には、不当に得た利益を債務者に返還しなければならないため、元本及び利息に関しても返還請求をすることが可能です。
貸金業者のほとんどが悪意の受益者?
過払い金の利息を返還請求するには、債権者が「悪意の受益者」であることが条件です。しかし、実際のところ貸金業者やカード会社はお金に関してはプロのため、利息制限法の上限金利を把握していなかった可能性は低いと考えられます。最高裁判所も「特別な事情がない限り原則として貸金業者は悪意の受益者と推定する」という判決を下しています。
過払い金とみなし弁済
以前は、貸金業法で定められた「みなし弁済」規定を理由に、貸金業者側が過払い金の返還を拒否するケースも多くありました。現在では、みなし弁済規定は廃止され、裁判所もほとんどの貸金業者に対して厳しい判決を下すケースが多くなっています。
グレーゾーン金利時代は高金利だった
グレーゾーン金利での貸付
2010年に出資法が改正されるまで、利息制限法では15~20%、出資法では29.2%が上限金利となっていました。出資法の上限金利を超えると刑事罰が課せられますが利息制限法では罰則がないため、多くの貸金業者は2つの金利間のいわゆる「グレーゾーン金利」で貸付を行っていました。
こちらも読まれていますグレーゾーン金利とは?過払い金問題発生の経緯と請求時の注意点 借金を長期間に渡って返済している人は、過払い金が発生している可能性があります。過払い金の背景には、かつて貸金業者が利息制...この記事を読む
法改正で過払い金請求が認められるように
2006年の改正(2010年完全施行)により出資法の上限金利が20%に引き下げられてから、これまで利息制限法の上限を超えて支払っていた分を過払い金として返還請求できるようになったのです。
「みなし弁済」の禁止へ
多くの貸金業者が「グレーゾーン金利」で貸付をしていたのには、かつての貸金業規制法で「みなし弁済」規定が定められていたことが大きく関係しています。
みなし弁済とは
みなし弁済とは、「一定の条件下で債務者が任意に利息制限法の上限金利を超えた支払をする場合には、その弁済は有効である」とするものです。現在は廃止されていますが、このみなし弁済規定が「グレーゾーン金利」の貸付を助長していたと言えるでしょう。
悪意の受益者でないと主張するにはみなし弁済の成立が必要
貸金業者が悪意の受益者でないと主張するためには、みなし弁済が成立することを立証する必要があります。しかし、現在はみなし弁済が廃止されていると共に裁判所も「特別な事情がない限り原則として貸金業者は悪意の受益者と推定する」と判決を下しているため、貸金業者が自らを悪意の受益者ではないと立証することは困難です。
過払い金は利息も返還請求しよう
債権者が「悪意の受益者」である場合には、過払い金は元本だけでなく利息も返還請求することができます。元本の返還請求と同様、債務者の当然の権利のため支払い過ぎた利息についてもしっかり請求するようにしましょう。
過払い金で返還できる利息の利率
過払い金の返還は元本と同時に利息も請求できますが、この際の利率はどのように定められているのでしょうか。また、過払い金の利息はどの時点から発生するのでしょうか。詳しくみていきましょう。
過払い金に発生する利息の利率は5%
過払い金の利息の利率は、長い間5%か6%かで争われてきました。これは、商事法定利率の6%と民事法定利率の5%で判断が分かれたためです。しかし、最終的に「債務者を守るために設けられた利息制限法によって生じた債権には営利性は認められない」という最高裁判所の判決により、過払い金に発生する利息の利率は5%とされています。
過払い金の利息は元本と同時に発生する
過払い金の利息の発生時期に関しても、取引の終了した時点か元本が発生した時点かで争いがありました。起算の時期によって債務者が返してもらえる額が大きく異なりますが、やはり最高裁が「悪意の受益者は、過払い金の発生時期から所定の利息を支払わなければならない」と判決を下したことにより、元本と同時に利息が発生することが認められています。
債務整理に強い専門家に依頼を
過払い金やそれに付帯する利息の返還請求は債務者本人で行うこともできますが、金利の計算や債権者との和解交渉には相当の時間と労力を要します。自分で行うのが困難な場合には、債務整理に精通した弁護士や司法書士などの専門家に依頼するのがおすすめです。
経験豊富なプロに相談しよう
過払い金やその利息の返還請求は、自分で行うことも可能です。なるべく費用を抑えたい人は自分で請求をしてみるのも良いでしょう。ただし、過払い金の引き直し計算は金利が細かいため苦痛に感じる人もいるかもしれません。また、債権者との和解交渉は、やはりプロの経験がものを言うのも事実です。自分で返還請求をするのが難しいと感じる場合には、無理せず弁護士や司法書士などの専門家に相談するようにしてください。
過払い金は利息もしっかり回収するべし
過払い金は、債務者が取り戻すべき当然の権利です。債権者が「悪意の受益者」である場合には、利息にも同様の権利が認められています。債務整理に精通した弁護士や司法書士に依頼すれば、債権者とスムーズな交渉ができる可能性も高くなります。過払い金は専門家の手を借りて、元本だけでなく利息も全額返してもらうようにしましょう。
適正な金額を取り戻したいなら、弁護士など専門家に相談を
債権者が悪意の受益者である場合には、過払い金は元本だけでなく利息も返還請求することが可能です。過払い利息を請求するかどうかで返還してもらえるお金も大きく変わります。弁護士などの専門家に相談しながら忘れずに請求するようにしてくださいね。
債務整理に強く評判の良い弁護士事務所を探す
債務整理借金問題に悩んでいませんか?
- 複数の借入先があり、返済しきれない
- 毎月返済しても借金が減らない…
- 家族に知られずに借金を整理したい