弁護士に依頼したら、過払い金はどんな流れで返還される?
過払い金返還請求を弁護士に依頼した場合の流れは次のとおりです。①貸金業者に受任通知を送付し取引履歴を開示請求する②取引履歴を基に引き直し計算を行い、過払い金を算出する③過払い金返還請求書を送付して交渉を行う④交渉が成立しなければ、過払い金返還訴訟を裁判所に提起する⑤和解契約や判決に従って過払い金が振り込まれる。
過払い金返還請求の方法は3つ
過払い金返還請求すると決めたら、自分で行うのか、弁護士または司法書士に依頼するのか、3つの方法から選択することになります。
自分で行う場合のメリットとデメリット
まずは、自分で請求するのか専門家に依頼するのかを決めましょう。費用面のメリットから個人での過払い金返還請求を検討する人が多いと思いますが、デメリットはあるのでしょうか。
自分でやれば報酬金が節約できる
自分で過払い金請求を行うメリットは、やはり専門家に支払う報酬金を節約できることです。訴訟になった時の裁判費用も、自分でやるのであれば印紙代や郵便切手代など実費だけで済みますが、専門家に依頼していた場合は元々の報酬金にさらに上乗せされることになります。
デメリットも大きいことに注意
自分で過払い金返還請求を行うと、引き直し計算や必要書類の準備、さらに訴訟になった場合に平日に裁判所へ出廷するなど手間と時間がかかります。また個人では貸金業者との交渉が難しいため、希望する金額を返還させにくいという大きなデメリットがあります。
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弁護士と司法書士どちらに依頼するか
もし専門家に依頼すると決めたら、次は弁護士か司法書士のどちらが良いのか迷ってしまうでしょう。両者の違いを説明します。
報酬金には大きな差はない
気になる報酬金は、一般的な事務所であれば弁護士も司法書士も大きな差はありません。具体的な費用の内訳は次のとおりです。
①着手金 | 業者1社ごとに1万~3万円。0円の事務所もある。 |
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②成功報酬 | 返還に成功した業者1社ごとに2万円程度。 |
③過払い報酬 | 返還された過払い金の20%。訴訟になった場合は25%。 |
④別途事務手数料 | 各事務所に確認が必要 |
あくまでも目安ですので、専門家に正式に依頼する前に最終的な費用を示してもらうことが大切です。
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弁護士と司法書士は権限が異なる
弁護士と司法書士を選択する基準は過払い金の額です。司法書士は過払い金の額が1社あたり140万円を超えると和解交渉を行ったり、訴訟になったときに訴訟代理ができません。弁護士にはいずれの権限もあるため、1社あたり140万円以上の過払い金がある場合は弁護士に依頼すべきでしょう。
過払い金返還請求までの準備
次に、過払い金返還請求を弁護士に依頼した場合の流れを説明します。弁護士は依頼者の代理人として必要な手続きをすべてやってくれますが、流れがわかればより安心して任せることができますので、弁護士が行う手順について見ていきましょう。
1:受任通知を送付し取引履歴を開示請求する
弁護士に過払い金請求を依頼すると、弁護士から貸金業者宛てに「Aさんの過払い金返還請求手続きを受任しました」という文書を送付します。この文書は「受任通知」や「介入通知」と呼ばれ、ここから過払い金返還請求がスタートします。
受任通知を送付すると取り立てが止まる
受任通知の目的は、弁護士が過払い金返還請求を開始することを伝えるだけではありません。もし過払い金を請求する借金が返済中であれば、債務者への取り立て・督促を停止させ、返済も中止することができます。債務者本人が請求書を送っても取り立てや返済はストップできないので、この効力は過払い金返還請求を専門家に頼むメリットの一つです。
取引履歴の開示は貸金業者の義務
取引履歴の開示も、受任通知で請求するのが一般的です。取引履歴とは「いつ、いくら借りて、いくら返したのか」を記録した明細書のことで、これを基に過払い金を計算します。貸金業者が開示請求に応じなければ罰則があるため、拒否されることはまずありません。ただし、業者によっては開示までに時間がかかることがあります。
2:引き直し計算を行い、過払い金を算出する
受任通知が送付されると、通常は1~2ヵ月程度で貸金業者から弁護士宛てに取引履歴が送られます。取引履歴が手に入れば、過払い金の金額が正確にわかります。
利息制限法に基づいて引き直し計算をする
弁護士の元に取引履歴が届いたら、これまで支払った利息を改めて利息制限法に基づいて引き直し計算します。利息制限法で定められている上限金利は最大で20%なので、これを超えた金利はすべて過払い金として返還請求します。
計算ソフトでも算出できる
過払い金がいくらになるのかを自分で確認したい場合は、インターネット上に公開されている計算ソフトを利用するとよいでしょう。ただし、借り換えを繰り返すなど取引内容が複雑なケースでは、専門家に依頼するのが確実な方法です。
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貸金業者に過払い金請求を行う
引き直し計算が終了し過払い金返還請求に必要な資料が揃ったら、いよいよ貸金業者に対して請求を行います。
3:過払い金返還請求書を送付して交渉を行う
過払い金返還請求は、証拠を残すために書面などで行います。請求書で「過払い金を期日までに振り込んでほしい」という意思を通知し、貸金業者に届いた段階で弁護士が具体的な交渉を始めます。
過払い金返還請求書には何が書かれている?
過払い金返還請求書の内容について確認しておきましょう。弁護士事務所によって多少異なりますが、だいたい次のような内容が記載されています。
- 取引期間
- 引き直し計算の結果わかった過払い金の金額
- 過払い金の振り込み期日
- 口座番号
- 返還がなされない場合は、民事訴訟の意思があること
弁護士が貸金業者と交渉を行う
過払い金返還請求書が貸金業者に届いたら、弁護士が請求書にしたがうよう交渉します。交渉によって双方が納得できる金額が決まれば和解が成立し、そのまま返還という流れになりますが、この段階で満額が返還されるのは難しいでしょう。ただ訴訟となると弁護士費用がかさんだり、過払い金の返還が先延ばしになります。
4:交渉が成立しなければ、過払い金返還訴訟を裁判所に提起する
過払い金返還請求に貸金業者が異議を唱えるなど、和解交渉が不調に終わった場合は過払い金返還訴訟を裁判所に提起します。このように任意の和解交渉では解決できず、訴訟になるケースも珍しくありません。
過払い金返還訴訟は何をする?
過払い金返還訴訟では、裁判所において月1回程度、双方が主張や反論など口頭弁論を繰り返します。ここでも必要な訴状や書類はすべて弁護士が用意し、口頭弁論にも代理人として出廷します。裁判所が両者の言い分をある程度聞いたら和解をすすめますが、和解が調わなければ判決を下します。
過払い金返還までの期間は訴訟になると長引く
裁判所を介さず任意の和解が成立すれば、通常は3カ月から半年程度で過払い金が返還されます。訴訟になった場合は半年から1年と長期化しますが、任意の和解よりも満額、もしくはそれに近い過払い金を回収できるケースが多くなります。回収金額と費用、期間などを考慮して、納得できる方法を弁護士と相談してみましょう。
過払い金返還請求は、弁護士に依頼する場合、一般的にこのような流れで進められます。「過払い金の額が大きい」「平日は忙しい」などの理由で弁護士に依頼すると決めたら、まずは信頼できる弁護士を見つけることから始めるとよいでしょう。依頼するかしないかは別として、まずは無料相談などを利用してみることをおすすめします。
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