自己破産手続きを弁護士に依頼|メリットや流れを紹介
一般の方にとって自己破産の手続きを知る機会は僅かしかなく、正しい知識を持っている方はほとんどいません。
それにも関わらず、借金免除のためには膨大な必要書類を集め、裁判所への申立後も名称の難しい手続きをいくつも乗り越えなければならないのです。
そこで本記事は、自己破産の方法と手続きの流れについて誰にでもわかりやすく解説します。
自己破産手続きは弁護士に依頼しよう
自己破産は必要書類を準備した後、管轄となる裁判所に申立をし、見慣れない名称の手続きをいくつも経由し、初めて借金が免除になる手続きです。
すべてを個人でやろうと思えば、必要書類の作成・取得に悪戦苦闘したり、裁判所とのやり取りに必要な専門用語を覚えたりと、膨大な時間と手間がかかってしまいます。
しかし、時間がかかればかかるほど、自己破産は債権者からの差し押さえといった危険が迫ってくるため、解決は早いに越したことはありません。こうした理由からも、自己破産を迅速にこなせる弁護士に依頼すべきです。
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では、弁護士に自己破産手続きを依頼するとどういったメリットがあるのでしょう。
必要書類の取得と作成を任せられる
まず、必要書類の取得と作成の大半を任せることができます。自己破産の申立には、専門家でも取り寄せできない書類があるため、その書類の取得は自ら行わなければなりませんが、裁判所へ提出する書面はすべて作成してもらえるメリットがあります。
裁判所とのやり取りも任せられる
自己破産は、裁判所が免責決定を認めるか否かにかかっています。よって、裁判所とのやり取りは欠かすことができません。弁護士は裁判手続きのプロなので、どういった状況下でも抜かりなく対応可能です。
申立後も安心して任せられるメリットがあります。
審尋に同席してもらえる
自己破産の手続きの中で、審尋が嫌だなと感じた方は多いのではないでしょうか?裁判官と面談と聞いただけでも冷汗が出てきそうです。しかし、弁護士に自己破産を依頼していれば審尋に同席してもらえます。
裁判官から答えにくい質問をされても、弁護士が適時対応してくれるので心配いりません。
弁護士は、本人の代理人として代わり回答することが認められています。
免責決定後に困ったことがあればまた相談できる
弁護士に自己破産を依頼したということは、人と人とのつながりができたということ。
自己破産手続きがすべて終了した免責決定後も、法律問題で困ったことがあれば弁護士に気軽に相談できるというのも、1つのメリットと言えます。多くの弁護士が手続き終了時、「またなにか困ったことがあればご相談ください」といってくれますので、日々の生活の中で心強い支えになってくれます。
自己破産手続きの方法と流れ
自己破産といっても、具体的にどういった手続きになるのか、わかる方は少ないのではないでしょうか?
実際に自己破産を過去にされたことがある方も、多くは専門家に任せきりだったため、どういった流れだったかわかっていないという方が多いのです。
そこで今回は、実際の自己破産の方法と手続きの流れについてご説明します。
これを知らないでいると、勝手に手続きは終わったと勘違いし、解決していないまま手続きを放置することにもなりかねません。
また、今後、専門家への依頼を考えている方も、以下の知識を事前に知ることで、現在どの程度手続きが進んでいるのか理解できるようになるため、ぜひ知っておきましょう。
自己破産の前準備
自己破産は、裁判所に申立てをすることで本格的にスタートする手続きです。しかし、実際は申立後よりも申立前の準備のほうが大変な手続きとも言われています。
まずは、債権調査と平行して必要書類を集めなければなりません。
債権調査
自己破産における債権調査とは、簡単にいえば現在総額でいくら借金があるのか調査することです。裁判所には、債権者一覧(どこからお金を借り入れているのかがわかる一覧)と借金総額をまとめて報告しなければなりません。
具体的な方法としては、借入先に取引履歴の開示請求と共に「債権調査票」を作成してもらい、それを元に債権者の一覧表を作成して裁判所に提出するというのが一般的です。
また、手続きの中で裁判所から債権者に債権調査票の提出を求めることもあります。裁判所としても、債権調査は自己破産が必要か判断する上で、非常に重要な資料なのです。
自己破産の必要書類
自己破産申立の際に提出しなければならないのは、主に以下の書類となっています。
自己破産申立書・陳述書 | 裁判所に自己破産の申し出をするために必要となる書類です。これがなければ自己破産手続きは始まりません。陳述書というのは、破産に至った事情を記載したもので、申立書に添付します。 |
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住民票・戸籍謄本 | 自己破産では原則、住民票の提出が必要になります。戸籍謄本については、家族関係を証する事情がある場合に裁判所から提出を求められます。 |
直近の給与明細書 | 裁判所は申立人の月単位のお金の流れを把握するため、直近の給与明細書の提出を求めてきます。裁判所によって若干違いはありますが、2~3ヶ月分も提出すれば十分です。 |
非課税証明書・源泉徴収票 | 裁判所は申立人の年単位のお金の流れを把握するため、1~2年度分の非課税証明書、もしくは源泉徴収票の提出を求めてきます。 |
預金通帳の写し | 裁判所は申立人のお金の使い方などを把握するため、使用している預金通帳の写しの提出を求めてきます。一般的には1~2年分を提出しますが、一括記帳や合算記帳になっている場合、その部分の取引明細書を求められる点に注意が必要です。 |
賃貸借契約書の写し | 現在住んでいるところがどういった契約関係になっているかを確認します。賃貸借契約ではなく、実家に住んでいるという場合は、その家の不動産登記簿謄本や、同居人からの居住証明書などを求められます。 |
その他、保有財産がわかる資料 | その他にも、車を所有していれば「車検証」、保険の契約があれば「保険証券」、病院にかかっているのであれば「診断書」、生活保護を受けているのであれば「生活保護受給証明書」といったように、個々の事情に合わせて必要になる書類が異なります。 とはいえ、裁判所への申立後、必要書類に不足があれば裁判所からの指摘があるため、なにが必要かいまいちわからなかったとしても指摘された後に提出すれば十分です。もちろん、手続き上も特に弊害にはならないのでご安心ください。 |
裁判所への自己破産申立後の流れ
債権調査が終了し、必要書類がすべて集まったところで、裁判所への申立をします。
具体的には、以下の流れにて進んでいきます。
申立後の流れ
- 破産審尋
- 破産手続開始決定・同時(異時)廃止決定
- 免責審尋
- 免責決定・確定
申立時の注意
なお、申立てはどこの裁判所でも良いわけではなく、居住地を管轄する裁判所になります。
ここでいう居住地とは、必ずしも住民票に記載されている住所ではなく、実際に住んでいるという意味です。中には、住民票の記載地に居づらくなり、実家に帰っている、居候させてもらっているという方もいるため、この点は注意を払っておきましょう。
1.破産審尋
裁判所に申立てが済むと、本当に自己破産が必要かどうかを裁判所が審理します。その際、実務では省略されるケースも多いのですが、裁判官の判断や裁判所ごとの運用に従って、「破産審尋(はさんしんじん)」という裁判官との面談が開かれます。
平日日中の時間帯に裁判所へと足を運ぶ必要があり、お仕事されている方は要注意です。
本人にほとんど財産がなく、免責不許可事由(ギャンブルなどの免責決定が不許可になり得る事由のこと)もない場合、審尋を開かずに手続きを進める「書面審理」に付されることが多いですが、あくまでも裁判所ごとに運用は異なるので注意が必要です。
2.破産手続開始決定・同時(異時)廃止決定
破産手続きというのは、簡単に言えば、申し立てた方の財産状況を調査したり、保有財産や見つかった財産を現金化し、それを債権者に配当したり、といった手続きです。この破産手続きを行う必要がない場合(本人に財産がほとんどない場合)、破産手続きは開始と同時に終了するため、これを「同時廃止決定」といいます。
これに対して、破産手続きが必要になる場合は、「破産管財人」が選任されます。そして、破産管財人が一通り職務を終えると、「異時廃止決定」が出るというわけです。
このいずれかの決定がでないと、自己破産の最終目標である免責決定は得られません。
3.免責審尋
同時廃止限定ですが、破産手続き終了の決定が出ると、次は免責決定を出すかどうかの審理へと入るのですが、この際にも裁判官との面談の機会が設けられます。
これを「免責審尋(めんせきしんじん)」といいます。
4.免責決定・確定
上記のすべての手続きが終了すると、裁判所から免責決定が出されます。この免責決定によって、申立人は借金を返済する法的義務が免除されます。
ただし、この免責決定には債権者に対して2週間の異議を申し立てる期間(即時抗告期間といいます)が用意されています。この2週間というのは、免責決定が官報に掲載されてから2週間となり、官報掲載自体は免責決定から10日前後かかることが多いです。
この後、免責決定は確定へと変わり、今後揺るがないものとなります。つまり、免責決定から実際の手続き終了までは1ヶ月程度かかるというわけです。とはいえ、一般の貸金業者がわざわざ異議申し立てをしてくることはまずありません。
免責決定が出た段階で、手続きとしてはほぼ終了したと考えて大丈夫です。
ネクスパート法律事務所は8名の弁護士が所属する債務整理に強い法律事務所です。東京都千代田区と、神奈川県横浜市、兵庫県神戸市の3拠点に事務所があります。本店はJR・東京メトロ「市ヶ谷」駅から徒歩3分、東京メトロ「半蔵門」駅から徒歩9分の駅前にあり、横浜支店は、横浜駅は南12出口から徒歩3分と神戸オフィスは三宮駅から徒歩5分と交通アクセスは良好。仕事帰りの方も相談しやすいように平日の朝9時から夜21時まで営業しています。なお事前に予約していただければ、土日祝日の相談も可能です。
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