離婚後に子供が「会いたくない」と言ったら?それは本心?それとも気遣い?
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「会いたくない」が本心なのかどうか、見極めが大切
こんな場合に、子どもは本当に会いたくないと思っている
母親が父親から暴力を振るわれていた場合や、DVやモラハラを受けていた場合、長い間不倫をしていた場合などは、子ども自身が「もう父親とは会わなくてもいい」と本心から思っている可能性が高いと考えられます。
「子どもだから、事情はよくわかっていないはず」と思うかもしれませんが、けっしてそうではありません。幼いながらも、親の理不尽な行動を目の当たりにして、深く心を傷つけているのです。父親に会いたいという気持ちがないわけではありませんが、「たとえ会っても、嫌な思い出が蘇るだけ」という思いもあるでしょう。
このようなケースの場合、たとえ父親が面会交流を求めたとしても、会うことでかえって子どもを傷つける結果になることもあり得ます。場合によっては、子どもの身に危険が及ぶ可能性もあるでしょう。弁護士を通じて面会の要請があった場合でも、子どもの幸せを第一に考え、慎重に検討する必要があります。
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こんな場合には、母親に対して遠慮している可能性がある
父親と母親の性格が合わず、「性格の不一致」が理由で離婚に至った場合には、子どもは離れた親と会いたいと思っても言い出せずにいる可能性があります。日本の場合は母親が親権をとって引き取る場合が多く、苦しい生活の中で何とか家族を支えている母親を見ていると、「とても自分から会いたいとは言い出せない」と考えてしまうのです。
この場合、母親が父親に憎しみのような感情を持っていると、面会交流は難しくなります。父親の悪口を何回となく子どもに聞かせ、父親とはもう絶対に会わないのだと思い込ませていることもあります。
こんなに違う、日本と海外の面会交流制度
面会交流制度が充実している海外では、どうしているか?
日本はこれまで離婚自体が少なかったこともあり、面会交流に関する制度づくりが遅れているのですが、海を隔てた外国ではどうなっているのでしょうか?
離婚の多いアメリカでは、たとえ暴力が原因で離婚した場合でも、子どもに害を及ぼさない限りは面会交流をさせるケースがあるようです。暴力を防ぎながら会うことのできる施設や組織も作られているとか。日本人とは国民性の違いもあるので、そのまま当てはまるわけではありませんが、考え方として見習うべきものはあるでしょう。
すでに離婚する時点で、面会交流を取り決めているアメリカ
日本とアメリカの離婚の大きな違いは、日本は二人の約束によって協議離婚が成立しますが、アメリカでは裁判所の許可が必要だという点です。アメリカの場合、子どもを持つ夫婦が離婚をすると、監護権を持つ親が裁判所から引っ越しの許可を得ると同時に、もう一方の親がどのような面会交流を行うかも取り決めます。
たとえば別れた夫婦が遠方に住んでいれば「夏休みにパパと長期間の面会を行う」と決めたり、近くに住んでいれば「毎週火曜日と金曜日はパパと過ごすことに決めよう」と話し合ったり、といった具合です。個人主義が徹底しているアメリカだからこそ、こうしたことも自然にできるのでしょう。
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面会交流に関する意識が薄く、調停が年々増えている日本
では日本はどうかというと、面会交流に関する意識は、残念ながら極めて希薄です。子どものいる夫婦の離婚が格段に増えながらも、面会の取り決めに関する意識は薄く、「面会交流」という言葉すら知らずに離婚する人も少なくないのが現状です。もちろん日本人の国民性も影響していますが、役所に離婚届を出せばすぐに離婚できるという手続きの簡易さも、このことに大きく関わっているでしょう。
面会交流に関わる調停も、年々増えています。調停の申立人のほとんどは男性で、「もっと子どもと関わりたい」という思いを持っています。2011年に民法が改正され、離婚後の子どもの監護にあたって面会交流の内容が明記され、離婚届に面会交流について取り決めたかどうかの確認欄も設けられました。しかし、離婚届はこの確認欄が未記入でも受理されるので、大きな影響力には至っていないようです。
審判によって面会交流が許された、Aさんの事例
家庭裁判所の審判によって、面会交流が認められる
一般的には母親が子どもを引き取るケースが多いのですが、中にはAさんのように、母親が子どもと離れて面会できないケースもあります。
40代になるAさんは、性格がまったく合わない夫との生活に疲れ、2年前に協議離婚をしました。そのときの夫との約束が、「子どもの親権を夫に与える」というものでした。家庭の主婦をしていたAさんは、「これから先、自分が働いて子どもを養っていくことは難しい。身を切られるほど辛いけれど、親権は諦めよう」と考え、週に1回は子どもと会えるという約束のもとに、泣く泣く子どもと別れたのです。
ところが、週に1回会えていたのは最初のうちだけ。次第に面会交流の機会は少なくなり、ついにAさんは子どもと会えなくなってしまいました。元夫に連絡を入れても返事はなく、Aさんは家庭裁判所に調停を申し込みました。
この調停は、元夫の欠席によって不調に終わり、審判へと移りました。そして「1か月に1回、8時間の面会交流を認める」という決定が下され、晴れてAさんは子どもと会えるようになったのです。
成長した子どもから面会を拒否され、結果的に会えなくなったAさん
Aさんは小学3年生になる子どもと、毎月テーマパークや公園などで会い、楽しいひとときを過ごしました。しかし、子どもが中学生になった頃から、今度は子どもの方から面会を拒否するようになったのです。
その理由は、やはり父親に対する遠慮でした。新しい家庭での生活を大事にしたいという、子どもなりの思いがあり、Aさんは遠くから我が子の幸せを祈るしかありませんでした。
面会交流を受け入れるかどうかのポイント
子どもにとって、本当に会うことが幸せにつながるのか?
子どもを引き取って育てている親とすれば、離婚相手が子どもと会いたがっている気持ちはわかるものの、本当に会わせるべきかどうかは非常に悩むところでしょう。では、どんな場合に子どもと離婚相手の面会交流を受け入れ、どんな場合に拒否すべきなのでしょうか?
面会交流を受け入れるべき状況
- 子ども自身が会いたがっている
- 夫婦の性格の不一致が、離婚の原因だった
- 離婚しても相手がきちんと養育費を払い、親としての務めを果たしている
面会交流を受け入れ難い状況
- 子ども自身が会いたがっていない
- DVやモラハラ・不倫・精神疾患などが、離婚の原因だった
- 支払い能力がありながら、養育費を払わない
- 慰謝料を払わないなど、離婚の際の約束を守っていない
- アルコール依存症や精神疾患などの症状がある
- 子どもを連れ去る恐れがある
- 子どもに監護者の悪口を言う恐れがある
- その他、子どもにとって好ましくない行為がある
これはごく一般的な例であり、本当にどうすべきなのかという判断は、それぞれの夫婦によって違うでしょう。ただひとつ、はっきり言えることは、夫婦が離婚しても、子どもにとって二人が両親であることに変わりはないということです。
そして、どうすれば子どもにとって一番幸せな選択ができるのかを、真剣に考えてあげることが、親としての務めと言えるでしょう。
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