離婚後に親が子どもの幸せのために守るべき約束とは?
養育費を最後まで支払う
親の義務として、養育費は必ず支払わなくてはなりません
離婚をする際、夫婦の間では“養育費の支払い”に関する取り決めがなされます。養育費の支払いは、たとえ子どもと一緒に暮らさなくても親として当然の義務であり、約束の期日まで滞りなく支払わなくてはなりません。
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お互いの話し合いの後に「離婚協議書」を作成した場合は、多少の文章的な誤差はあるものの、つぎのような文面が記載されているでしょう。
離婚協議書
夫○○○○(昭和○年○月○日生、以下「甲」という)と、妻○○○○(昭和○年○月○日生、以下「乙」という)は、離婚協議をした結果、次条下記の通り契約を締結合意した。
記
※前文省略
第〇条(養育費)
甲(または乙)は乙(または甲)に対し、丙の養育費として平成○年○月○日から丙が二十歳に達する日の属する日まで、毎月○万円ずつ、毎月末日に支払う。
前項の養育費の支払いは、次の丙名義の口座に振り込む。
○○銀行○○支店
口座番号 第○○○○○○○○号
口座名義人 氏名 ○○○○
人によっては、公証役場に行ってさらにこの離婚協議書を「公正証書」として残している場合もあります。それによって離婚協議書は法的に揺るぎのないものとなり、養育費の支払いは絶対的な効力を持つはずです。
ところが、実はそう書面通りにはいかないのが、日本の現状なのです。離婚後に子どもと別れた父親は、離れて暮らすことで子どもに対する愛情が薄くなり、養育費の遅滞や不払いをし始めます。早い人では数ヶ月後になると、指定日に指定口座に振り込まれないなど、兆候が表れ始めます。
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このとき、給与の差し押さえといった法的な措置を取ることはできるのですが、会社を辞めるなど逃げ道はいくらでもあります。本人が銀行口座に多額の預金を持っていたとしても、民事の事件では口座を差し押さえることができません。その結果、子どもを養育する妻は生活に困窮し、食べる物も満足に食べられない子どもたちが、いま日本国内には大勢います。
養育費に関して書面を交わしていないケースもある
日本では裁判離婚は数少なく、協議離婚をする夫婦がほとんどなので、ときには「養育費に関しては口約束だけで書面に何も残していない」という人もいます。日本では実に8割の人が、養育費をもらえない状況に追い込まれているため、書面での約束がないとなると、支払われない可能性は極めて濃厚になるでしょう。
しかし、たとえどのような状況で約束をしたとしても、養育費の支払いは親としての義務です。もしも支払われなくなった場合は、速やかに弁護士に相談するか、下記のような支援施設に相談しましょう。
「養育費相談支援センター」 (http://www.youikuhi-soudan.jp/) |
厚生労働省の委託事業を行っている施設で、養育費の不払いなどに悩む人の相談を受け付けています。面談だけでなく、電話やメールによる相談も可能です。 |
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「母子家庭等就業・自立支援センター」 | 各自治体に相談員が配置されており、養育費のほか、母子家庭のさまざまな相談に応じています。最寄りの相談センターに連絡をして、まずは相談することから始めてみましょう。 |
子どもの健やかな成長を願う
親権のあるなしに関わらず、子どもを見守る気持ちが大切
離婚をすると、親権者が子どもを扶養することになるので、子どもと離れて暮らす親の中には「自分はもう子どものことを気にしなくていいんだ」と思ってしまう場合があります。しかし、そうではありません。
離婚によって便宜上どちらかが子どもを養育しなければならないために、一方の親だけが親権を持つことになりますが、二人の子どもであることにはまったく変わりありません。子どもの健やかな成長を願い、支えていくことは、法律の枠を越えた親としての約束といえます。近くで支える親も、遠くで見守る親も、子どもがより良い人生を歩めるよう最善の努力をすることが大切です。
離れていても、ときには面会交流をして子どもの成長を確認しましょう
離婚によって子どもと離れ離れになると、子どもを引き取った親は「離婚相手に子どもを会せたくない」と思う人が多く、離れて暮らす親は子どもと疎遠になりがちです。
しかし、子どもと面会交流をすることは、たとえ離れて暮らしていても親として当然の権利です(ただしDVなどの事情がある場合は、これに該当しません)。ときには父と子で会って、健やかな成長を確認する機会を持ちましょう。そのことで親は子どもに対する愛情を再確認し、養育費支払いへの意欲にもつながるのです。
離婚をしても父母が共に子どもの幸せを願う海外の家庭
まるで“離婚ガラパゴス”状態の日本
日本はここ数年の間に離婚が急増していますが、社会はまだ離婚する夫婦にどう対応して良いかわからず、離婚した夫婦も「いったい養育費はどうしたらいいの?」「子どもとの面会?そんな言葉があること自体知らなかった」というような状況です。
そのため、シングルマザーの子どもの多くが貧困に苦しんだり、父親が子どもと会えないというような現実が、まさに表面化しつつあります。まるで“離婚ガラパゴス”のような状態といってもいいでしょう。
では海外は?というと、アメリカやヨーロッパなどは離婚する親子の問題も国がしっかりと管理しているため、シングルマザーの家庭が貧困であえいだり、親が子どもと会えないなどということはありません。では、海外の離婚家庭は、いったいどのようにして親子の絆を深めているのでしょうか?
離婚をしても元夫婦が一緒に子育てをする、欧米の事例
欧米の多くの国々では、たとえ離婚をしても元夫婦が共同で子育てに関わることが、一般的になっています。日本にいると、思わず「信じられない!」と、叫びたくなってしまいますね。
つい数十年前まで、「俺の言うことが聞けないなら、子どもをおいて出て行け」と妻を追い出す夫が、社会的に何の非難も浴びなかった日本。そんな封建社会がいまだに色濃く残る日本と欧米とでは、家族の在り方も子育ての歴史も、かなり違うのでしょう。
アメリカ人の夫と離婚後、ごく自然に子育てをするAさんの事例
日本からアメリカに渡って現地の男性と結婚し、子どもが3歳のときに離婚をしたAさんは、離婚後に子どもを引き取って育てています。夫はAさん宅から車で20分ほどの所に住み、毎週末は迎えに来て、子どもと一緒に遊びに出かけます。
また、Aさんが仕事で残業をするときは、子どもの送り迎えを父親が引き受けてくれることもあります。元夫婦の電話でのやり取りは頻繁に行われ、子どもの誕生日にはレストランに行って3人で食事もします。養育費も順調に支払われ、Aさん自身も結婚・出産に関わらず仕事を続けていたため、生活に困窮することはありませんでした。
Aさんにとっては、「夫婦が一緒に暮らさなくなった」という事実を除けば、後はほとんど変わらない暮らしが続いています。また、子ども自身も親の離婚に関係なく両親が愛してくれているので、スクスクと順調に育っています。
時代の変化に合わせて、日本の離婚夫婦も意識変革を
こんなAさん元夫婦のような離婚のカタチを、私たち日本人はいつか実現することができるでしょうか?シングルマザーの困窮の大きな原因であった“就労”に関しては、働くママが激増したことで、改善の方向に向かうかもしれません。
あとは、“面会交流”に対する意識を、どこまでお互いが持つことができるか…。時代の変化とともに、さまざまな親子関係を受け入れる心の準備が、離婚する日本人夫婦にも求められているといえるでしょう。
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