モラハラなど慰謝料が難しいケースとは?なぜもらえない?
シングルマザー家庭の貧困が、社会問題になっています。その原因のひとつが、離婚時にまとまったお金が手元にないこと。慰謝料は今後の生活の命綱。もらい損ねないよう入念な準備をしましょう!
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離婚の慰謝料がもらえないケースとは?
「夫に原因があって離婚を決意した。専業主婦だから、離婚後は慰謝料がなければ生活していけなかったのに、実際にフタを開けてみたら慰謝料が認められなかった!」このような辛いケースが、現実の離婚問題では起こっています。いったいなぜ、このようなことになるのでしょうか?
責任の所在が明確でないため、慰謝料がもらえなかったAさん
Aさんの夫は、結婚当初からほとんどAさんの話を聞かず、ほとんど妻のことを無視するような状態でした。物事を決断する時はすべて夫が自分の思い通りにしてきたため、夫婦としての信頼関係はまったくなく、次第に心に亀裂が入って別居状態となってしまったのです。
「私が夫から受けた精神的苦痛は計り知れない。慰謝料をもらって離婚しよう」とAさんは決めます。そして夫の自己中心的な性格で夫婦関係が破綻したとし離婚を決断。慰謝料の請求を起こしました。
「これだけ苦しんだのだから、離婚での慰謝料は当然もらえるはず」と踏んでいたAさんでしたが、実際には離婚をして慰謝料をもらうことができませんでした。それはなぜかというと、Aさんの慰謝料請求に対して夫は「妻のことを虐待していない」と反論し、夫の違法性を具体的に認められなかったからです。
不倫や暴力のように、どちらかの責任の所在が明確な場合は良いのですが、Aさんのように「話をまったく聞かない」「自己中心的」といった抽象的な事柄は、相手の違法性を立証することが極めて難しいのです。
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証拠がないために、不倫をした夫からの慰謝料がもらえなかったBさん
ここ数年夫の様子が何かおかしいと感じていたBさんは、ある日夫の後を付け、愛人がいたことを知って愕然としました。「愛人と別れないのなら、離婚してほしい」と夫に切り出すと、夫は「愛人などいない」とシラを切りました。
そんな夫の傲慢な態度に「自分は裏切られた」と感じたBさんは、思い切って離婚を決意。ところがその頃から夫は、愛人と会うことを控えるようになったのです。「離婚が成立するまで、不倫関係にあることは伏せなくては」と思った夫は、証拠をつかまれないよう用意周到に行動しました。
一方Bさんは夫に慰謝料を求める訴訟を起こすべく、探偵を依頼して証拠集めを始めました。ところが、何日経っても夫が愛人と会う気配はなく、決定的な証拠がつかめません。結局Bさんは痺れを切らしてしまい、訴訟を起こしましたが慰謝料は認められず、わずかな財産分与のみで別れることになってしまいました。
「夫が愛人と会っている現場を見ながら、証拠写真を撮らなかったなんて、私は本当にバカだった。その後、逆上して離婚の話を持ちだしてしまったことも、浅はかとしか言いようがない。離婚を考えるなら、もっと用意周到に動くべきだった」と、猛反省するBさんでした。
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「姑との問題」や「宗教上の問題」も慰謝料の対象外
「姑とのソリが合わずに結婚生活を続けられなかった」「夫の宗教に付いていけなかった」といった親族問題や宗教上の問題も、基本的に慰謝料請求の対象外となります。
性格の不一致で離婚をする場合、ごく稀に慰謝料が認められることもありますが、金額的には不貞や暴力に比べてかなり低くなるでしょう。
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離婚の慰謝料、相手が行った行為に対して謝罪するためのお金
まず、慰謝料を請求する前に、自分自身のケースが慰謝料請求に当てはまるかどうかを確認しましょう。
離婚理由で最も多い「性格の不一致」は、基本的に慰謝料請求には該当しません。慰謝料は離婚時に妻(夫)にお金を分けるという意味のものではなく、相手が自分に対して行った行為に対して、謝罪するためのもの。「夫が長い間不倫をしていて、深く心が傷ついていた」「相手の暴力やモラハラに、もう耐えられない」といった理由がある場合のみ、請求することができます。
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慰謝料を請求できるケース
- 不貞行為(浮気・不倫)をした
- 暴力をふるわれた(DV)
- モラハラ(精神的な暴力)を受けた
- 夫婦でありながら同居を拒まれた
- 家を出ていくように仕向けられた
- 生活費を払わない
- 実家に戻ったまま帰らない
- 健康でありながら夫が定職に付こうとしない
- 専業主婦の妻が家事をしない
- 相手から一方的に離婚を言い渡された
- 共働きの家庭で夫(妻)が家事をしない
- 精神疾患がある
- 度を越した飲酒癖がある
- 性行為を拒否(または強要)された
- 性行為ができない(性的不能)
- 嫁姑の不和を夫が解決しようとしなかった
- ギャンブルなどの浪費癖がある
離婚の慰謝料には大きく分けて2種類ある
慰謝料には、大きく分けて2種類あります。
・離婚原因慰謝料
⇒相手の行った行為(不貞や暴力など)によって被った精神的苦痛に対する慰謝料
・離婚自体慰謝料
⇒離婚により配偶者の地位を失うことによって生じた精神的苦痛に対する慰謝料
あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、離婚自体慰謝料にも細かい計算式は存在します。ただし、その通りに計算すると法外な金額になることが多く、実際にはこの2つは区別せず、ひとつの不法行為として捉えられています。一応こういう分け方があるということだけは、認識しておくと良いでしょう。
慰謝料をしっかりともらうためには、プロの助言が必須
不倫や暴力の立証は、想像以上に大変
「自分の夫(妻)は絶対に不倫をしている」とわかっているような場合でも、それを裏付ける証拠が無ければ、慰謝料をもらうことはできません。DVやモラハラなどの場合も同じです。そして、この「証拠をつかみ立証する」ということが、実は非常に難しいことでもあります。
相手が感情に流されたり、深く考えずに行動するタイプなら別ですが、冷静沈着に行動するタイプの場合は煙に巻かれてしまう可能性が極めて高いでしょう。法律とは、被害を被った弱者を守るためのものでありながら、実はいくらでも抜け道があるのです。
離婚をすると決めた以上、法律の世界を避けて通ることはできません。今までよりもっとしたたかになり、専門家からのアドバイスもしっかりと受けて、慎重に行動することをお勧めします。
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証拠集めの段階から相談に乗ってくれる弁護士事務所もある
弁護士事務所によっては、慰謝料の請求に必要な証拠集めの段階から、相談に乗ってくれる場合もあります。当サイトから離婚問題に強く、証拠集めの相談に乗ってもらえる弁護士を選び、まずは法律相談から始めてみると良いでしょう。信頼できる探偵事務所を弁護士に紹介してもらえるケースもあります。
弁護士に相談することで、どのようにすれば離婚問題を有利に進めることができるか、具体的なアドバイスを受けることができます。特に慰謝料などのシビアな問題に関しては、個人間のやり取りで解決できるケースは少なく、どうしてもプロの介入が必要になってきます。
慰謝料を獲得したいなら、弁護士のフォローを受けるほうが確実
弁護士を依頼すると着手金や日当がかかるほか、慰謝料の1~2割を報酬として要求されるため、決して安い費用ではありません。しかし慰謝料がもらえなくなることを考えれば、たとえ費用を払ってでも、慰謝料を獲得できたほうが良いでしょう。
当面の弁護士費用が用意できない場合は、国の法律支援機関である「法テラス」から、無利子で借りることも可能です。
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