債務整理時期、借金の原因等を債務整理相談者177名対象に調査|2021年3月 調査報告
2021年3月、債務整理弁護士相談広場 編集部は、借金問題・債務整理を弁護士に相談・依頼した経験のある方 177人を対象にアンケート調査を実施しました。
借金問題を弁護士に相談して解決した債務整理経験者のリアルな声には、今まさに借金に悩んでいる方に役立つヒントが多く含まれています。
アンケート調査結果をもとに、債務整理経験者の回答を数値化・分析することで見えてきた「債務整理のいま」、そして経験者が振り返る「債務整理が生活にもたらした本当の効果」をレポートします。
実施 :債務整理弁護士相談広場 編集部
回答方法:Webアンケート調査
調査日時:2021年3月10日 ~3月15日
調査対象:
[予備調査]全国の20~74歳以下の男女計6,000人
[本調査 ]弁護士に債務整理を相談し、実際に依頼したことがある方
回答者数:177人(男性 142人 女性 35人)
目次[非表示]
弁護士への債務整理相談は5年で3倍強に
今回のアンケートでは、まず予備調査として全国の20~74歳以下の男女計6,000人の中から「弁護士に債務整理を相談し、実際に依頼したことがある方」を抽出しました。
リストアップされた債務整理相談経験者177名に本調査を行う上で、回答者層の属性を把握するため、最初に債務整理を弁護士に相談した時期について質問を行いました。
Q1. 借金問題・債務整理を弁護士に相談したのはいつ頃ですか?何年くらい前か、はじめて相談した時期を教えてください。
弁護士にはじめて債務整理を相談した時期は、5年以上前を選択した方が64.41%。今回の回答者の半数以上は5年以上前に債務整理を弁護士に相談した方でした。
過去5年以内に弁護士へ債務整理を相談していた方は、回答者全体の35.59%でした。
「ここ最近の債務整理の傾向」を把握するため、今回のアンケートでは、この35.59%、過去5年以内に債務整理相談を行った方々について特にフォーカスした分析を行っています。
債務整理の相談時期を過去5年内と答えた回答者について、相談者数の推移を各年度別で見たところ、2016年から2020年にかけての5年間で、相談者数は3.2倍に増加していました。
特に、2016年から2017年にかけては最も増加率が高く、1年間で2.6倍強の急増を示していました。
借金の原因は「生活苦・低所得」が最多
続いて、債務整理に至った借金がなぜできた借金なのか、具体的な原因について調査しました。
Q3.あなたが弁護士に相談した借金の原因はなんでしたか?以下よりあてはまるものをすべてお選びください。
借金の原因として最も多かったのは「生活苦・低所得」でした。「生活苦・低所得」を選んだ回答者は全体の1/3強にあたる36.16%にのぼり、同率2位の「給料の減少」「ギャンブル」(17.51%)と倍以上の差がつきました。
直近2年間の債務整理相談者の45%は、外出自粛の影響で借金に悩み
債務整理相談を行った時期として「1年未満」「1年以上2年未満」を選択した方、すなわち2019年3月~2021年3月まで、直近2年間に債務整理相談をした方だけを対象に、借金問題に対する外出自粛の影響について、質問しました。
Q2.ご自身の借金問題・債務整理の原因に外出自粛は関係していますか?(失業・減収・雇止め等)
直近2年以内に債務整理を弁護士に相談した方31人を対象に、借金の原因に外出自粛は関係しているかを質問したところ、45.16%にあたる14人が「はい」と回答しました。
ここ2年内の債務整理相談者のおよそ半数に近い方が、外出自粛が自分の借金に影響したことを認めた形となります。
外出自粛で生活が回らなくなる債務者の現状
具体的な借金原因の比較でも、【回答者全体】と【外出自粛関連原因による債務整理者】では、両者で異なる回答傾向が見られました。
順位 | 回答者全体 | 外出自粛関連原因による債務整理者 |
---|---|---|
1位 | 生活苦・低所得 | 生活苦・低所得 |
2位 | 給料の減少 | 病気、医療費 |
3位 | ギャンブル | 失業・転職 |
4位 | 商品・サービス購入(クレジットカードやカードローンの多用) | 給料の減少 |
5位 | 失業・転職 | 事業資金の補てん |
6位 | 保証債務・他人の借金の肩代わり | 住宅ローン |
【回答者全体】で上位だった「ギャンブル」、「商品・サービス購入(クレジットカードやカードローンの多様)」ですが、【外出自粛関連原因による債務整理者】の回答結果に限定すると、上位に入りませんでした。代わりにランクインしたのが【外出自粛関連原因による債務整理者】では「病気・医療費」「給料の減少」「事業資金の補てん」。
ギャンブルによる出費・買い物のしすぎといった原因と比べ「本人だけの責任」とは言い切れない項目が上位に上がる結果からは、昨今、借金に悩む債務者の置かれた厳しい状況が透けて見えます。
外出自粛を発端とした不況や健康問題が、債務者自身の想定していなかった収入減・出費増につながり、生活が回らなくなったケースも少なくないようです。
「任意整理」と「自己破産」2極化する債務整理手続き
債務整理では、どの手続き方法を選ぶべきなのでしょうか。
債務者ひとりひとりごとに最適な方法は異なりますが、リアルの債務整理の現場では、一体どの手続きが支持されているのでしょうか。
債務整理相談者の方が、実際に行った手続きについて、回答いただきました。
Q4.あなたが弁護士に依頼して行った手続きを教えてください。
債務者が弁護士に依頼して行った債務整理手続きで最も多かったのは「任意整理」(35.59)次いで「自己破産」(29.94%)となりました。
これら以外の債務整理である手続き方法「個人再生」「特定調停」を採用したケースは10%に満たず、大きな差がつきました。
弁護士に相談して行われる債務整理手続きは、債権者との交渉で利息カット・毎月の返済額や返済期間を見直す「任意整理」と、原則すべての財産放棄と引き換えに債務の免責を得る「自己破産」とで、両極化する傾向が見てとれます。
債務整理後の生活について
- 任意整理で、なるべく今の生活形態は維持したまま、返済の苦しさを緩和する
- 自己破産で借金全体の免除を受けることで、根本的な生活再建・リスタートを図る
どちらかの方向性を選択する方が多いものと考えられます。
弁護士への相談は、9割以上の借金問題に効果あり
借金問題に対する「債務整理の弁護士相談」の有効性を図る指標として、弁護士に相談することで債務者の借金は解決・改善したのか、うかがいました。
Q5.弁護士に相談・依頼することで、借金問題は解決しましたか?
弁護士に相談・依頼することで、借金問題が「解決した」と回答した方は64.97%。
借金全体の解決までは行かないものの「改善した」と回答した方が25.42%となりました。
両者を合計すると、債務整理を弁護士に相談した方の90.39%には「弁護士への相談・依頼」をすることで、借金問題の解決・改善につながるプラス効果があったとわかりました。
債務整理の弁護士相談満足度は84%の高レート
Q6.弁護士に「借金問題・債務整理」の相談をして良かったと思いますか?
結果の認識とは別に「借金問題・債務整理を弁護士に相談したこと」への満足度を問う質問に対しては、回答者全体の84.18%が「弁護士に相談して良かった」と回答しました。
満足度80%を超える高レートとは言えますが、先の質問で「借金が解決・改善した」を選んだ方 90.39%と比較すると、6ポイント程度低い結果となりました。
一部ではありますが、相談者の中には「債務整理で結果は出たものの、弁護士への不満は残った」という方もいたようです。
こうした回答をふまえ、「弁護士に相談して良かった」と答えた方に「相談して特に良かった点」、「弁護士に不満を感じた」と答えた方には「相談して特に不満を感じた点」を、具体的にあげてもらいました。
弁護士への債務整理相談で特に良かったこと
まず、弁護士に相談して「特に良かった点」です。回答者の8割以上が「良かった」を選んでいることもあり、非常に多様なコメントが集まりました。代表的なものをいくつかご紹介します。
- 得ても勝手もわからなかったのでプロに相談を聞いてもらい適切なアドバイスをもらえたし最終的には自己破産も解決したので助かりました(徳島県・女性・35歳)
- 自分で調べたり問い合わせたり書類を揃えたりしなくてもよかった事。一回の依頼で何もしなくてよかった事。(東京都・女性・44歳)
- 少しでも戻ってきたらと考えていたけど思っていた以上にあったから(徳島県・男性・60歳)
- 債務が減り、月々の返済金額が減った(福岡県・男性・52歳)
- 今も完全に解決したわけではなく途中の段階だが、先が見えてきたようで気持ちに余裕が少しでてきた。(埼玉県・女性・59歳)
- 信頼できる不動産業者を紹介してもらったり、解決の方法について、教えてもらったから。(岩手県・男性・69歳)
- 債務問題が全て片付き、再出発できた。(長野県・男性・73歳)
「借金問題をどうにかしたいと思っても、そもそもどうすれば解決できるのかわからない」状態で、途方に暮れてしまう方も少なくありません。
借金でお悩みの方にとって、この「わからないこと」は大きなストレスであり、自分でどうにもできなかった借金問題を、弁護士が整理し、解決に導いてくれたことを評価する声が多く見られました。
弁護士に相談して不満だったこと
一方、弁護士に相談して「不満だった」を選択した方から、特に不満を感じた理由を聞いたところ、回答は以下の通り。
- あんまり親身になってくれなかった(愛知県・男性・41歳)
- こちらの意をくみ取らず、事務的に処理された(大阪府・女性・58歳)
- 後味が悪い、終わった説明が無い(埼玉県・男性・55歳)
- 途中で投げ出された(兵庫県・女性・52歳)
- あまり返ってこないから損すると言われた(長崎県・女性・32歳)
特に弁護士とのコミュニケーションの問題、意思疎通の点で不満を感じたコメントが多く見られます。
もちろん、こうしたコメントだけを見て「相談した弁護士の対応に問題があった」と判断することはできません。
※「あまり返ってこないから損する」は調査結果をふまえた、適切なアドバイスにも見えます。
一方で、弁護士なら誰でも、相談者の借金問題に対して「親身になって丁寧に説明し、投げ出すことなく完全な解決に導く」仕事ができるとは限りません。
債務整理で納得の行く成果を得るためにも、信頼できる弁護士選びは非常に重要です。
債務整理で生活はどう変わった?債務整理前・後での変化
最後に、回答者に債務整理後の生活がどのように変わったか、債務整理前後での生活状況・心境の変化について質問しました。
プラス面だけではなく、マイナス面も含めた自由な感想を聞いたところ、回答は以下の通り。
Q9.債務整理後の生活について教えてください。債務整理する前とした後で、あなたの生活はどう変わりましたか?
- 債務整理前は、精神的に追い込まれて辛い日々だったけど、債務整理後は、精神的に落ち着いて生活が出来るように、成りました。(兵庫県・男性・48歳)
- 精神的に落ち着いた生活となり、仕事のパフォーマンスが向上し、ボーナス査定が飛躍的に向上した。(兵庫県・男性・51歳)
- 返済金額が減額されたことで、生活費にプラスになった。ただ、減額された債務を月々払っているが、支払先が数か所になるので、面倒ではある(福岡県・男性・52歳)
- 気持ち的には楽になったが、節制生活を心掛けるようになった。(北海道・男性・50歳)
- カードや借入はしばらくできないので持ち金主義になった、完済までは支払いの為に仕事をしていたが、完済後は肩の荷がかなりおりて心に余裕ができた(埼玉県・女性・39歳)
- こんなことがなければ、返済していた分貯金をして、もう少し子供余裕を持って遊んであげることが出来たのではないかと思う。知識がないことでこんなことになるなんて、本当に辛かった。(東京都・女性・34歳)
- 親の借金の肩代わりをしてまともな20代を過ごせなかったが、完済、過払金請求をしたおかげで30代で初めて自分の人生を生きていると思うことができた。(埼玉県・男性・42歳)
- 借金問題が解決出来て家計の管理の仕方を改めようと思えた。弁護士さんに依頼をしていなければ玄関先や電話で精神的に物凄く追い詰められていたので依頼をして良かった。ただ、今後クレジットカードを持つことが出来ないのだろうな、という不安がある。(兵庫県・女性・46歳)
- 生活は安定したローン、クレカなど作れなかったが今はクレカを作ることができている。(北海道・男性・43歳)
借金からの解放、心の余裕が有む生活の質の向上
債務整理前後での変化としては「心の余裕」「精神的な落ち着き」を上げるコメントが非常に多く見られました。
金銭問題によるストレスから解放されることで、精神的な余裕が生まれ日常生活の質が向上する流れは、弁護士相談による借金問題解決の理想的なモデルです。
債務整理で減額されたとしても、やはり返済が続いている間は、支払いに追われる生活はなかなか大変なようです。
それでも、完済後に節制や家計管理の見直しを心がけるようになるなど、債務整理を経て借金を完済した経験は、その方のお金の使い方、生活習慣を変えていくひとつのきっかけになります。
債務整理後、クレジットカード・ローンが使えないことを心配する声も
債務整理後の心配事として、クレジットカードやローンが使えなくなることを上げる声も多く見られました。
確かに、債務整理をしてから一定の期間は、審査を通過ができず、クレジットカードの利用や新規発行、ローンなどの借入れはできなくなります。
ただし、クレジットカードやローンが利用できなくなるのは、あくまで一定の期間だけです。具体的には、債務整理した事実が信用情報に記録されている間(ブラックリスト掲載期間中)は、クレジットカード発行、ローン借入の審査は通過できません。
それでも、ブラックリストから債務整理した履歴が消えた後なら、コメントにもある通り、クレジットカードを作ったり、ローンでの借り入れができるようになります。
行った債務整理手続きにもよりますが、ブラックリストから債務整理の履歴が消えるまでの期間は短ければ5年、長くても10年程度です。
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また借金生活に戻ってしまった方の声も
中には、苦労して借金を完済した後、また借金生活に戻ってしまった方もいたようです。
- 借金が完済したのはよかったと思います。しかし、少ない月収から半分は弁護士事務所に支払わないといけなくて、とても苦労しました。完済してしばらくはよかったのですが、勤めていた会社が突然倒産し、仕事が決まらないうえにストレスで病気になって収入が激減し、今再び金融機関からお金を借りて生活しています。(鹿児島県・女性・49歳)
コメントを見る限り、また借金せざるを得なかったのも非常に不運なケースですが、同時に、借金に頼らない生活をするには「安定した仕事を得ての生活の立て直し」「ストレスのない健康的な生活」がいかに重要かがストレートに伝わります。
雇用や健康の問題でお金に困った場合、やむなく借金をしてしまうケースもあり得ると思います。そうした場合はご家族に支援を求めたり、それが難しければ、市役所・区役所など公共福祉の窓口に相談するのもひとつの手です。事態の悪化を招くおそれもあるので、ひとりで抱え込みすぎず、誰かに相談してみることをおすすめします。
債務整理者数は今後も増加の不安
今回のアンケート調査結果によると、債務整理を弁護士に相談した人は過去5年で3倍強に増加しました。うち、直近2年の相談者に限れば、その4割以上が借金の原因として外出自粛の影響を挙げています。
不況に伴う収入減や失業、病気・医療費の負担は、現在借金を抱える債務者の生活を圧迫している可能性があり、外出自粛の終焉がいまだはっきりしない中、今後の債務整理者数の増加に不安を残す結果となりました。
「弁護士への債務整理相談」は有効性の高い借金問題の解決法
一方で、今回の調査では「債務整理相談者の9割以上は借金問題が解決・改善した」「債務整理相談者の満足度は84%」と、借金でお悩みの方に対して弁護士への借金問題・債務整理相談の有効性が非常に高いことも数字で裏付けることができました。
債務整理弁護士相談広場は、いまも借金に悩んでいる債務者の方が抱える不安を軽減し、将来に向けてお金と生活の悩みを解決していくきっかけを提示することをサイトの使命と考え、債務整理の方法やメリットやデメリット、手続きの流れなど、借金問題解決につながる基礎的な知識をご紹介していくとともに、借金問題解決に「弁護士への債務整理相談」が非常に有効であることを、皆様にお伝えしてまいります。
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