成年年齢引き下げで18歳からの借金が問題に。新成人が取るべき対策

18歳成人のリスク

成年年齢引き下げによって、契約知識の少ない18歳・19歳新成人に借金問題が生じる可能性があります。

そこで本記事では、18歳・19歳新成人が借金問題に苦しまないための対策と、借金問題を抱えた場合の対処法を解説します。

成年年齢引き下げで18歳からクレジットカードやカードローンが利用可能

2022年4月1日から、これまで20歳だった成年年齢(成人年齢)が18歳に引き下げられます。
これにより、18歳からクレジットカードやカードローンの利用が可能になります。

親の同意不要で契約ができるようになる

成年年齢に達すると、本人の意思ひとつで契約ができます。
クレジットカードの発行もカードローンの利用も契約ですから、成年年齢引き下げ後は契約者が18歳・19歳であっても、本人の意思による契約だと認められれば親の同意なしで契約が成立します。
  

未成年者取消権で保護されず、借金は本人の責任になる

本来、未成年者の契約には親など法定代理人の同意が必要なため、法定代理人の同意のない契約は取り消しが認められています。
そのため18歳・19歳による契約は、成年年齢引き下げ前には未成年者取消権により取り消しができました。

ところが成年年齢引き下げ後は、18歳・19歳による契約は未成年者取消権で保護されなくなり、クレジットカードの発行やカードローンの利用といった借金もすべて本人の責任になります。

成年年齢引き下げへの貸金業者・銀行の対応は?

成年年齢の引き下げに対する貸金業者・銀行の対応は、各業者・各行で対応が異なるものの、日本貸金業協会と全銀協(全国銀行協会)は協会としての方針をそれぞれ発表しています。

日本貸金業協会

日本貸金業協会では、協会員の貸金業者に若年層顧客への貸付対応のアンケートを実施しました。

アンケート結果(2021年10月15日付)によれば、調査有効回答数420者の25%にあたる105者が、成年年齢引き下げ後に18歳・19歳の一般顧客を貸付対象とすると回答しています。

また、そのうち35.2%にあたる37者が、貸付時に親権者(親)の同意を不要とする方針でした。

日本貸金業協会は、これらの結果をふまえ、18歳・19歳の新成人が過大な債務を負わないよう、成年年齢引き下げに向けて「効果的な取組」の業界への横展開を推進していくと表明しています。

具体的には以下のとおりです。

  • ・資金使途の確認(申込書に資金使途の記載欄を設けるなど)
  • ・貸付金額が50万円以下の場合であっても、年収証明書を取得
  • ・架電などによる勤務先への在籍確認 
  • ・慎重な与信審査の実施(申告年収と利用目的や申込額・返済計画などに不自然な点が見受けられる場合は、顧客へのヒアリングを行うなど)
  • ・借入れに関するアドバイスの実施(借り過ぎになっていないか等、無理のない返済計画の提案などのアドバイスを行う) 

参考:日本貸金業協会「若年層の顧客に対する貸付方針・取組状況等に関する調査結果」(PDF)
  

全銀協

全銀協(全国銀行協会)では、髙島誠会長が、2022年1月20日に行われた記者会見で成年年齢引き下げについて意見表明しています。

その内容は、成年年齢引き下げに伴う金融商品の契約対象年齢の見直しは個別各行の判断事項である、というものでした。

もっとも、18歳・19歳の新成人にカードローンを提供する場合、過剰な借入れや詐欺などの犯罪被害を防止するため、銀行がしっかりと顧客保護に努める必要があるとも述べており、具体的な対応として以下をあげています。

  • ・契約に当たって収入証明書類の提出を必須とする
  • ・極度額を通常よりも低く設定する
  • ・資金使途の確認をしっかり行う

参考:全国銀行協会「髙島会長記者会見(三井住友銀行頭取)」

悪徳業者に狙われる18歳新成人

成年年齢が引き下げられると、18歳・19歳の新成人が悪徳業者のターゲットとなり、消費者トラブルに巻き込まれるおそれがあります。

契約の知識・経験が少ない新成人が狙われる

18歳・19歳は一般的に社会経験が不足し、契約についての理解が浅い方が多いです。

悪徳業者はそうした18歳・19歳新成人の知識・経験の乏しさに付け込み、契約者に不利な内容の契約締結を狙ってきます。  
  

若者によくある消費者トラブル

では、18歳・19歳新成人が悪徳業者による被害を避けるにはどうしたらよいでしょうか?

結論から言えば、若者に起こりうる消費者トラブルを事前に把握することが重要です。
    
   

定期購入

まず気をつけたいのが、動画投稿サイトなどから流れる広告などを経由しての、商品の定期購入です。

例えば、1ヶ月分だけお試しのつもりで購入したサプリメントが、気づいたら定期購入されてしまったなどのケースが考えられます。   
   
   

美容医療

次に、美容外科クリニックで受ける美容医療です。

リスクや副作用を理解しないまま施術を受け、思いもよらない副作用で生活に支障が出るといったケースです。   
   
   

もうけ話

そして、情報商材やマルチ商法、暗号資産などの安易なもうけ話です。

知り合いなどから「簡単にもうかる」「絶対にもうかる」などの甘い言葉をささやかれ、もうけ方の高価なマニュアル(情報商材)を買わされたのに、実際にはもうかるどころか大損をしてしまうケースです。
   

インターネット・SNSや友人の口コミが消費者トラブルの入り口

インターネット・SNSには、実際には効果のないダイエット商品や情報商材など不誠実な広告があふれています。

また実際の友人の口コミでも、友人自身がその商品の契約内容をよくわかっていないまま、高額な費用の割に内容の乏しい商品を勧めてくるといったケースもあります。

つまり、インターネット・SNSや友人の口コミは、消費者トラブルの入り口になりうるのです。

借金に苦しまないよう18歳・19歳の新成人が取るべき対策

消費者トラブルにともなう借金を避けるため、18歳・19歳の新成人にできることは次のとおりです。

自分の収入を超える買い物はしない

第一に、自分の収入に見合わない買い物はしないようにしましょう。
自分の収入を超える買い物は、借金の原因となります。
  

商品購入・サービス利用・借金も、安易な契約は絶対に避ける

また、商品購入・サービス利用・借金といった契約をする際には、契約内容を十分に確認することが大切です。

理解不足のまま安易な契約を結ぶことは絶対に避けてください。
あとあとになって不利な契約だと気づき、後悔することが多いからです。
  

もうけ話は毅然と断る

リスクなく簡単にもうかるという話にも注意しましょう。うまい話には裏があります。

SNSでつながった知人はもちろん、身近な友人からでも、手軽なもうけ話を持ちかけられた場合にはハッキリと断ることが大事です。  
  

もし新成人になって借金をかかえてしまったら

18歳・19歳の新成人にとって、消費者トラブルや借金問題に巻き込まれないことが一番ですが、仮に借金問題に巻き込まれてしまった場合でも3つの対応策があります。

クーリングオフや消費者契約法で契約取消を図る

  
契約形態によっては、契約日から8日以内(ケースによっては20日以内)であれば無条件で解約ができるクーリングオフ制度を使える場合があります。

クーリングオフは特定商取引法にもとづく制度で、適用されうる契約には、訪問販売、電話勧誘販売、エステや美容医療などがあります。

また、消費者契約法では、相手に嘘を言われたり、「帰りたい」と告げたにも関わらず帰してくれなかったりなど不当な勧誘によって締結した契約を、あとから取り消すことができるとしています。

さらには、「消費者に損害が発生しても、事業者は損害賠償責任を負わない」「商品に不具合があっても一切キャンセルできない」などの不当な契約条項は、無効となります。

不当な契約には、このように、クーリングオフや消費者契約法で契約の取り消し・無効を主張しましょう。  

参考:消費者庁「早わかり!消費者契約法」(PDF)

消費者センターに相談する

消費者生活センターでは、商品購入やサービス利用などに関する苦情や問い合わせについて、専門の相談員が相談に乗ってくれます。

消費者生活センターは「消費者ホットライン」という全国統一の電話番号を持っており、局番なし「188」で電話が繋がりますので相談するのもひとつの手です。
  

債務整理をする

 
弁護士に相談し、債務整理するという方法も効果的です。債務整理をすれば、借金が減額されたりゼロになったりすることが可能です。

債務整理には大きく分けて3種類あります。

任意整理

債権者との直接交渉によって、将来の利息を減額し、残った金額を3〜5年程度で分割返済する方法

個人再生

裁判所に申し立てて、借金を5分の1〜10分の1程度に減額し、残った金額を3〜5年程度で分割返済する方法

自己破産

裁判所に申し立てて、借金の返済額をゼロにしてもらう方法
 

なお、債務整理をする過程で、サラ金やクレジットカード会社に支払いすぎた利息(過払い金)が見つかることがあります。

過払い金がある場合には、相手に返還請求することで過払い金が戻り、借金が減ったりゼロになったりするケースも存在します。

まとめ

成年年齢が引き下げられる2022年4月以降は、18歳・19歳でも新成人として扱われ、クレジットカードやカードローンの利用といった借金は本人の責任になります。

貸金業者や銀行は、成年年齢が引き下げられても各業者・各行の判断で18歳・19歳の新成人に貸付を行うことが考えられますので、安易な借金には注意しましょう。

また、新成人には、借金の原因になりやすい定期購入や美容医療などの契約で消費者トラブルに巻き込まれる可能性もあります。ですから、軽々しい契約は避けることが大切です。

それでも借金をかかえてしまった新成人には、弁護士への相談が有効です。弁護士であれば、クーリングオフや消費者契約法に詳しいだけではなく、これらの制度で契約取消ができないケースでも、債務整理という方法で借金を減額したりゼロにしたりすることができます。18歳・19歳新成人の契約トラブル・借金問題は、ぜひ一度弁護士へ相談してみましょう。

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