任意整理すると借金はいくら減額できる?計算方法やシミュレーションも掲載
任意整理をすると、利息や遅延損害金がカットされるので借金が大幅に減額されるケースが多々あります。返済期間を延ばしたら、月々の支払額も減って生活が楽になるでしょう。
任意整理には「債権者を選べる」、「手続きが簡単で費用が安い」など、減額以外にもメリットがあります。
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任意整理で借金はいくら減額できる?
任意整理すると、借金をどのくらい減額できるのでしょうか?
金額的にはケースバイケースなので、明確に「〇円減ります」という答えはできません。ただ「任意整理によって減額される金額」を知ることはできます。
任意整理によって減らせる金額には「総返済額」と「毎月の返済額」の2種類があります。
まずは「総返済額」をどのくらい減らせるか、みていきましょう。
任意整理によって減額できる総返済額は?
総返済額とは、完済までに支払う総額です。たとえば今300万円の借り入れがあって返済を遅延している方は、本来なら元本300万円と利息、遅延損害金を完済まで払い続ける必要があります。
その元本と利息、遅延損害金の合計額が「総返済額」です。
任意整理をすると、以下の3つの支払金額を総返済額から減らせます。
- 合意後の将来利息
- 完済時までに発生する遅延損害金
- 経過利息
- 過払い金(2008年以前から借金をしている場合)
それぞれどういった支払なのか、みていきましょう。
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合意後の将来利息
将来利息は、債権者と合意した後、完済時まで発生し続ける通常利息です。借金している以上、本来であれば完済時まで利息を払い続けなければなりません。もともとのカードローンやキャッシングの約定でも、月々「元本+利息」を払っているはずです。
任意整理すると、この「利息分」を全額カットできて「元本のみの返済」でよくなります。利息がなくなる分総支払い額が大きく減り、毎月の返済も楽になる方が多数です。
完済時までに発生する遅延損害金
一般的に、借金返済を延滞すると「遅延損害金」が発生します。本来なら、遅延を解消するまで遅延損害金を払い続けなければなりません。
ただし任意整理する場合には、もともとの約定とおりに払えなくなった分の遅延損害金がカットされます。その分も総返済額から減額されます。
経過利息
経過利息とは、任意整理の手続きを開始した後、合意時までに発生する利息です。
本来なら、任意整理開始後合意するまでの間も約定とおりの利息(経過利息)が発生するはずですが、任意整理で合意するときにはカットしてもらえるケースが多数です。
ただし債権者によっては経過利息を払うよう要求してくるケースもあるので、必ずカットしてもらえるとは限りません。依頼している弁護士と相談しながら対応しましょう。
過払い金(ある場合)
2008~2009年以前から借金をしている方の場合「過払い金」が発生している可能性があります。当時は利息制限法の制限利率を超過する高い利率で貸付が行われていたからです。
制限利率を超過する利息は「本来払う必要のないもの」といえます。そして払いすぎた利息を取り戻すのが「過払い金請求」です。
過払い金が発生していると、その分を元本から差し引けるので返済額を減額できます。
利息や遅延損害金をカットできるだけではなく、大きく元本まで減らしてもらえるのです。また元本より過払い金の方が多い場合には、残債を0円にしたうえで、払いすぎた分を返してもらえます。
任意整理をすると「元本だけ」返済すれば良くなる
過払い金が発生していない原則的なケースでは、任意整理をすると、将来利息や経過利息、遅延損害金をカットしてもらえて「元本だけ」を返せば良い状態になります。
これまでは高額な利息や遅延損害金を支払っていた方も、その返済が不要になって楽になるでしょう。
任意整理でどのくらい返済額が減るか知りたい場合、まずは「現在の元本がどのくらいあるか」調べてみましょう。
任意整理で減額できる月々の返済額
次に「月々の返済額」がどのくらい減額されるのか、みてみましょう。
月々の返済額は「毎月払う金額」です。任意整理をすると、総返済額だけではなく月々の返済額を減らせて、毎月の生活が楽になるケースが多数あります。
月々の返済額の計算式
月々の返済額は以下の計算式で算出します。
毎月の返済額=総返済額÷支払期間に対応する月数
月々の返済額は「支払期間」で変わる
「支払期間」を何か月に設定するかにより、毎月の返済額は変わってきます。支払期間が長くなれば毎月の返済額は低くなりますし、短くすると毎月の返済額が上がります。
たとえば総返済額が200万円の方が「3年」で完済する場合、毎月の返済額は55,500円程度です。支払期間を5年に設定すると、毎月の返済額は33,300円程度にまで下がります。
通常、任意整理後の返済期間は3~5年間の範囲で設定します。
将来利息がカットされるので、返済期間を延ばしても総返済額は上がりません。できるだけ毎月の負担を抑えたいなら、支払期間を長くしてもらうと良いでしょう。
毎月の支払額が少なすぎると合意してもらえない可能性も
ただし多くのカード会社や消費者金融会社は、あまりに毎月の支払額が少額になると合意しません。
たとえば「毎月800円ずつ支払う」などの条件では合意してもらえない可能性が高いと考えましょう。一定以上の支払は必要になるので、必ず支払期間を5年まで延ばしてもらえるとは限りません。
支払期間と毎月の返済額を設定する際には、支払能力と債権者の意向をうまく調整する必要があります。
1人で決めるのは難しいので、依頼している弁護士に相談しながら決定しましょう。
任意整理の減額事例のシミュレーション
実際に任意整理をするとどのくらい借金が減額されるのか、具体例をみてみましょう。
200万円を年利15%で借りているケース
借金返済額 | 任意整理後の総支払額 | |
---|---|---|
総返済額 | 2,671,728円 | 200万円 |
月々の返済額 | 55,661円 | 33,300円 |
200万円を年利15%で借りており、返済回数48回(4年払い)にしているとしましょう。
この場合、毎月55,661円の返済が必要です。総返済額は、元本200万円と利息671,728円の合計2,671,728円となります。
この方が任意整理をすると、総返済額は200万円となり671,728円の支払が不要となります。
返済期間を5年にした場合、毎月の返済額は33,300円にまで減額できます。
もともとの返済期間が3年の場合
借金返済額 | 任意整理後の総支払額 | |
---|---|---|
総返済額 | 2,495,888円 | 200万円 |
月々の返済額 | 69,330円 | 33,300円 |
同じ条件でもともとの返済期間が3年だったら、月々の返済額は69,330円です。
発生利息は495,888円なので、総支払い額は2,495,888円となります。
この場合、任意整理によって200万円に減らせるので495,888円分総返済額を減額できます。
月々の返済額も33,300円になるので、毎月の生活は随分楽になるでしょう。
100万円を年利15%で借りているケース
借金返済額 | 任意整理後の総支払額 | |
---|---|---|
総返済額 | 1,247,934円 | 100万円 |
月々の返済額 | 34,665円 | 16,600円 |
100万円を年利15%で借りているとしましょう。返済期間は3年とします。
この場合、完済までの支払い利息は247,934円、月々の支払額は34,665円となり、総返済額は1,247,934円です。
任意整理をすると、100万円を5年払いで返済できます。この場合、総返済額は100万円となり、月々の返済額は16,600円にまで減らせます。
もともとの返済期間が2年の場合
借金返済額 | 任意整理後の総支払額 | |
---|---|---|
総返済額 | 1,163,668円 | 100万円 |
月々の返済額 | 48,486円 | 16,600円 |
同じ条件でもともとの返済期間が2年に設定されていたら、月々の返済額は48,486円となります。完済までの利息は163,668円となり、総返済額は1,163,668円です。
この方が任意整理をすると100万円を5年で返済すれば良いので、月々の返済額を16,600円まで減らせます。
50万円を年利18%で借りているケース
借金返済額 | 任意整理後の総支払額 | |
---|---|---|
総返済額 | 650,721円 | 50万円 |
月々の返済額 | 18,076円 | 8,300円 |
50万円を年利18%で借りている方のケースをみてみましょう。もともとの支払期間が3年の場合、完済までの発生利息は150,721円、月々の支払い額は18,076円となります。総返済額は650,721円です。
任意整理によって5年払いにできたら、総返済額は50万円、月々の返済額は8,300円になります。
もともとの返済期間が2年の場合
借金返済額 | 任意整理後の総支払額 | |
---|---|---|
総返済額 | 599,079円 | 50万円 |
月々の返済額 | 24,962円 | 8,300円 |
同じ条件でもともとの返済期間が2年の場合、完済までに発生する利息は99,079円、毎月の返済額は24,962円となります。総返済額は599,079円です。
任意整理によって5年払いにすると、総返済額は50万円、毎月の返済額は8,300円にまで減らせます。
30万円を年利18%で借りているケース
借金返済額 | 任意整理後の総支払額 | |
---|---|---|
総返済額 | 359,441円 | 30万円 |
月々の返済額 | 14,977円 | 5,000円 |
30万円を年利18%で借り、2年の予定で返済している方の場合、完済までに発生する利息は59,441円です。毎月の支払額は14,977円となり、総返済額は359,441円となります。
任意整理をすると、総返済額は30万円にまで減額されます。5年払いにすれば毎月の支払額は5,000円にまで減らせます。
もともとの返済期間が1年の場合
借金返済額 | 任意整理後の総支払額 | |
---|---|---|
総返済額 | 330,044円 | 30万円 |
月々の返済額 | 27,503円 | 5,000円 |
同じ条件でもともとの返済期間を1年に設定していた場合、完済までに発生する利息は30,044円、毎月の返済額は27,503円となります。総返済額は330,044円です。
任意整理で5年払いにすると、総返済額は30万円、毎月の返済額は5,000円にまで減額されます。
任意整理すると借金返済が楽になる!
借金額が数十万円程度でも数百万円ある場合でも、任意整理すると総返済額と月々の返済額を大きく減らせます。
総返済額があまり減らなくても、月々の返済額を減額できれば生活がずいぶん楽になるでしょう。
上記の具体例をみると、借入金額が数十万円程度でも月々の返済金額を「4分の1以下」に減らせるケースもあることがわかります。
利息の高いキャッシング・カードローンに任意整理は効果的
任意整理の主な効果は「利息のカット」なので、特に利息の高い「キャッシング」「カードローン」を利用している場合に有効な対処方法となるでしょう。
現在サラ金やクレジットカード、カードローンなどで年利10%以上の利息を払っている方は、ぜひ任意整理を検討してみてください。
任意整理による借金減額にデメリットはある?
任意整理には
- 保証人に迷惑をかけない
- 親戚や友人知人など個人の債権者に迷惑をかけない
- 車のローンがあっても車を残せる
- 必要書類が少ない
- 手続き費用が安い
- 官報公告されないため、身内バレやプライバシーのリスクもなし
など、多くのメリットがありますが、借金減額の方法として考える上では、いくつかデメリットも存在します。
その最たるものが減額効果の低さでしょう。任意整理で減らせるのは利息と遅延損害金のみですので、元本はそのまま残ります、
個人再生なら元本も圧縮できますし、自己破産なら全額免除ができます。借金額が高額の場合は任意整理以外の手段を選ぶ必要も出てくるでしょう。
他にもブラックリストに載るなどのデメリットがあります。そちらは以下の記事でメリットとともに詳しく解説しておりますので合わせてご覧下さい。
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任意整理による借金減額が適している人
以上を前提にすると、任意整理は以下のような方に適していると考えられます。
- 借金額が300万円以下の人
- キャッシング、サラ金、カードローンやリボ払いを利用している人
- 保証人つきの借金がある人
- 車のローンを利用している人
- 最低限の支払能力のある人
- 周囲に知られたくない人
借金額があまりに高いと任意整理で解決できない可能性があります。ただ300万円を超えていても充分な返済能力があれば利用可能です。
消費者金融やサラ金を利用している場合、これらの借金は利息が高いので、任意整理による減額効果を期待できます。
任意整理は誰にもバレずに借金減額が可能
また、任意整理は他の債務整理に比べて周囲に知られにくい手続きです。家族や職場の人にバレずに借金の利息を減額し、毎月の支払いをラクにさせることができます。
ただし個人再生や自己破産も秘密で進めることはできます。「誰にも知られたくないから債務整理しないでおこう」とは考えないでください。借金を抱えているなら早めに解決しましょう。
任意整理による借金減額まとめ
任意整理すると、状況によっては大きく借金を減額できます。多くの方の借金問題を解決できるので、悩んでいるならまずは弁護士に相談してみましょう。どのくらい借金が減るか知りたい場合にも、専門家に聞けばだいたいの減額割合を教えてもらえます。まずは一度、相談してみてください。
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