戸籍謄本から離婚歴(バツ印)を抹消する方法はある?
離婚をすると、戸籍に記載されていた配偶者の名前に大きなバツ印がつき、戸籍から消された状態になります。中には、このバツ印がとても気になり、「再婚する時に支障をきたすのでは」と心配している人もいるでしょう。でも、大丈夫です!このバツ印を、戸籍から消す方法があるのです。
戸籍謄本から離婚歴(バツ印)を抹消する方法はある?
方法1【転籍する】
離婚をすると、配偶者は自分の戸籍から除籍となるため、戸籍に書かれていた配偶者の名前に大きくバツ印がつきます。「バツイチ」「バツニ」という言葉がありますが、これはこのバツ印の数からきているのです。「別にバツイチでも恥ずかしくない」という人は、まったく問題ないのですが、「再婚することになったら支障をきたすかも」と思う人にとっては気がかりでしょう。
そこで、バツ印を消す方法がふたつあります。そのひとつが、本籍地を移す「転籍」です。たとえば離婚をしていったん両親の戸籍に戻ったときに、本籍地もどこかに移動してしまうと、新しい本籍地の戸籍にはバツ印が引き継がれません。つまり、その時点でバツ印が消えてしまうのです。
もし「以前の本籍地に戻りたい」という希望があるなら、数ヶ月後に本籍を元の場所に戻せば、やはりバツ印は記載されません。まるで戸籍の裏ワザのような方法ですが、この方法で間違いなくバツ印は抹消することができます。
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子どもの父母欄には名前が書かれてしまう
ただし子どもがいる場合は、戸籍にある「子どもの父母欄」に、相手の名前が記載されてしまいます。その場合は、せっかく転籍をしてもバツ印が消えるだけで、ほとんどやる意味はないでしょう。
もっとも、すでに子どもがいるのですから、離婚していることを隠す必要自体がないかもしれません。バツ印の抹消は、子どものいない夫婦が別れたときにのみ、行う意味があると言えるでしょう。
戸籍からバツ印を消す方法2【分籍する】
バツ印を消すもうひとつの方法が、「分籍」です。分籍というのは、あまり聞きなれない言葉ですが、戸籍を分けて独立させることを指します。戸籍筆頭者か、またはその配偶者以外であって、成年に達した人であれば、今までの戸籍から分離して新たな戸籍を作ることができるのです。
たとえば女性の場合、離婚をしていったん両親の戸籍に戻ったうえで、元の戸籍とは異なる本籍地・異なる姓(旧姓)で分籍の申請をすれば、バツ印は消えます。新しい戸籍には、離婚した相手の名前もバツ印も記載されません。
もしも不安であれば、試しに戸籍謄本をとってみれば、婚姻の記録が消えていることがわかるでしょう。書類上の記録が消えることで、新たな気持ちで人生の再スタートを切ることもできますね。
ただし、この行為自体に法的な問題はありませんが、戸籍に婚姻歴がないことを理由に「結婚した事実はない」と主張するのは詐欺行為にあたり、隠したまま結婚しても婚姻の取り消し事由となります。その点だけは、くれぐれも気を付けましょう。
男性は分籍によって婚姻歴を消せない
では、男性も分籍によって婚姻歴を消すことができるかというと、これは無理なようです。男性は基本的に戸籍筆頭者になっているため、そもそも分かれる元となる籍が無いからです。男性の場合は、転籍の方法によってのみ、バツ印を消すことができます。
戸籍謄本だけでなく住民票から離婚歴を消す方法
住民票を複数回移動させる
今まで戸籍からバツ印を消す方法をご紹介してきましたが、実はバツ印は「住民票」からもわかってしまうことがあります。気になる場合は、市町村役場で世帯数全員の住民票をとってみましょう。もしも住民票にバツ印が記載されてしまっていたら、「引っ越し」あるいは「住民票の改製」という方法で、消すことができます。
他の市区町村に引っ越しをすると、住民票が移動となり、新しい住所地の住民票には旧姓や元配偶者は記載されません。ただし、以前の住所は記載されているため、探られてしまう可能性が無いとは言えません。
住民票は代理人が自由に取得することができるので、もしも結婚を考えている相手が「念のために」と旧住所地の住民票を請求してしまうと、そこで離婚した事実は判明してしまいます。
しかし、これにもまた対応できる方法があります。それは、さらにまた住民票の移動を行うこと。もとの自治体では、住民票を5年間保存すると、破棄するという仕組みになっています。そのため、複数回住民票の移動を行えば、5年後には離婚の事実がわからなくなるという訳です。
住民票を改製すれば、バツ印も消える?
自治体の考え方によってはやってもらえない可能性もありますが、市区町村役場に頼んで、住民票を改製してもらうという方法もあります。
住民票の改製とは、住民票の内容に消除や修正が多くて余白がなくなった場合など、特別な事情があった際にのみ、新たに住民票を作り直してもらえるというものです。ただしそのためには、同じ市区町村内で何度も転居届を出し、住所欄を一杯にするなど、相当な努力が必要です。何度も転居届ばかりを出していると、不審がられてしまう可能性もあるでしょう。
戸籍謄本の離婚歴(バツ印)は昔ほど再婚に響かない
バツ印にこだわる人は、年々少なくなっている
「再婚に響くから、離婚した事実を隠したい」という気持ちはよくわかりますが、離婚経験の有無を気にする人が昔ほど多くなくなってきているのも事実です。
ある結婚相談所の話によると、再婚希望者の多くは、成婚しているとか。それはなぜかというと、離婚を経験した人は結婚の現実も独り身の寂しさも身に染みてわかっているので、相手に過度な期待をしない傾向にあり、結果再婚生活がうまくいく傾向も高いからだそうです。結婚を望む独身者も、バツ印があることにこだわる人は、年々少なくなっています。
再婚にあたりよく考えなければならない事項としては、離婚しているかどうかよりも、未成年の子どもがいる場合でしょう。子どもが多感な時期に再婚をしてしまうと、本人同士はうまくいっても、相手と子どもの間がうまくいくとは限らないので、相手や子どもへの配慮はかかせません。その点、子どものいない人が再婚する場合は、そうした心配はまったくないので、わざわざ離婚の事実を隠す必要はないかもしれません。
バツ印を隠すことは、デメリットもある
離婚したことを隠して再婚することは、デメリットもあります。たとえば離婚前から知っている知人を、結婚相手に紹介しづらくなるでしょう。また、何かのきっかけで数年後・数十年後に離婚したことがわかってしまうケースも、ないとは言えません。
たとえわからなくても、「いつかわかってしまうのではないか?」という恐れは、常に心から離れないでしょう。もしも結婚数年後にわかってしまった場合、そのことがきっかけで、夫婦関係が悪化してしまう場合も考えられます。
昔とは比べものにならないほど多くの人が、離婚を経験している今の時代。確かに離婚によって周囲を傷つけることはあったかもしれませんが、気まずい関係をごまかさずに新たな一歩を踏み出したという意味では、勇気ある結果と言えるかもしれません。離婚の履歴を恥じることなく、むしろそれを自分の未来への礎として、堂々と胸を張ってこれからの人生を歩いていきましょう。
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