被災ローンの減免制度とは?災害時に住宅ローンを整理するための有効な手段
2011年3月、東日本大震災が発生して多くの家屋が全壊したり、津波で流されたりして多くの人がローンを抱えたまま家を失うこととなりました。その教訓を生かしてできたのが「被災ローンの減免制度」です。
被災ローンの減免制度とは
東日本大震災のとき、特別な制度として被災者を対象にローンの減免制度がつくられました。2016年に入り熊本・大分で相次ぐ地震を受けて新たにガイドラインが作られ、同年4月より運用が開始されています。
災害による自己破産を防止する制度
大きな災害が起こると、住宅が被災してローンだけが残ったり、自宅を再建するためにまた借り入れをした結果二重ローンに苦しんだりするケースが数多く発生します。
被災ローンの減免制度とは、そんな人たちが自己破産に追い込まれるのを防ぐためにできた制度です。
被災ローンの減免制度は2011年の東日本大震災の教訓を生かしてできた
東日本大震災のときは、地震の後に一から救済制度を作ったため、制度の開始は2011年8月からと遅いものでした。また、制度の利用条件も厳しく、なかなか周知が進まなかったこともあり、実際に利用した人の数は限られていたのが実情です。そのため、今回は制度のことを迅速に周知すべく、金融庁や地元の弁護士会が情報提供に積極的に乗り出しています。
被災ローン減免制度の対象者は?
被災ローン減免制度は以下の要件を満たす人が対象です。
- 地震の被害によって「ローンが返せない」あるいは、「返せなくなる見通し」になった
- 世帯の年収が730万円未満
- ローンの返済額と、新たに借りる家の家賃などの負担の総額が年収の40%以上
しかしこれはあくまでも目安であり、世帯の人数や世帯主の年齢、ローンの残高などが考慮されます。
被災ローンの減免制度を申し込むときの手順は?
被災ローンの減免制度を利用して特定調停をおこなうときは、「登録支援専門家弁護士」と呼ばれる弁護士のサポートを受けることができます。この制度を利用する場合のみ、弁護士費用は一切かかりません。無料で弁護士による書類や手続きに関するアドバイスを受けることが可能です。
被災ローンの減免制度手続きの申し出をする
一番多くローンを借りている金融機関に、被災者本人が被災ローンの減免制度を利用する旨を申し出ます。金融機関から借入先、借入残高、年収、資産などの状況について質問されるのできちんと応えられるようにしておきましょう。
「登録支援専門家弁護士」の支援を依頼
申し出から10営業日以内に金融機関から同意書が届きます。その同意書のコピーと弁護士会館に置いてある登録支援専門家弁護士委嘱依頼書を持って、地元の弁護士会を通じて「登録支援専門家弁護士」による手続き支援を依頼します。
債務整理の申し出
登録支援専門家弁護士が決まれば、その弁護士のアドバイスを受けながら準備を進めましょう。支援してくれる弁護士が決まってから3か月以内に被災者本人が全対象債権者に債務整理の申出をして、財産目録等を提出することになります。
調停条項案の作成・提出・説明
被災者本人が対象となる債権者全員と協議して調停条項案を作成します。作成した調停条項案は、債務整理開始申し出から3か月以内に全対象債権者へ提出してください。1か月以内に対象債権者全員から同意又は不同意の返事があるので、それを待ちましょう。
簡易裁判所で特定調停の申立てを行う
被災者自身で簡易裁判所に出向き、特定調停の申立てを行います。通常、特定調停を申立てるには裁判所に支払う手数料がかかりますが、この制度では手数料は無料となっています。ただ、債権者との書類のやりとりにかかる郵便切手代などは、被災者側の負担になります。
調停条項の確定
裁判所で調停条項が確定した後は、調停条項の内容に従って弁済を開始します。この調停条項は、通常の特定調停と同じように債務名義となるので注意が必要です。
特定調停は、一般的に住宅ローンを対象にしてもあまり意味がないものの、災害で大きな被害を受けたときにはローンの返済に苦しむ被災者を救うための貴重な手段になりうることがわかります。日本に住んでいる限り、災害から免れることはできません。いざというときのために、このような救済措置があることを覚えておきましょう。
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