特定調停で調停調書の無効を主張できるのってどんなとき?
特定調停の成立は裁判の確定判決と同じ効力があり、返済が滞ると強制執行されてしまいます。ただし債権者が虚偽の報告をしていたために本当は過払い金が発生していたり、大幅な債務の減額が生じていたにも関わらず合意に応じてしまったケースは、調停調書の効力が無効であると認められる可能性があります。
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特定調停が成立した場合の効力は絶対的なもの
特定調停では、裁判所が選任した調停委員主導のもとで交渉を行い、債務者と債権者の双方の合意が得られれば調停が成立となり、調停調書が交付されます。裁判所が作成する調停調書は、合意内容を記した公的な文書として強い法的効力があります。
調停調書は裁判の確定判決と同じ効力がある
債権者が和解に応じて調停が成立すれば、申立人である債務者はほっとするでしょう。しかし、調停調書には裁判の確定判決と同じ強制執行力があることをよく理解しておかなければなりません。
調停成立後に滞納すると強制執行もある
債務者が調停調書に従った借金返済をしない場合、債権者は訴訟を起こすことなくただちに給与の差押えや没収など強制執行を行う事ができます。通常、強制執行を行うには債権の存在や範囲を記した債務名義が必要ですが、調停調書はこの債務名義と同じ効力を持つものだからです。このような強い効力は、任意整理で結ばれる和解書にはない調停調書だけの特徴です。
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調停調書通りに完済できる返済計画を
調停調書は債務名義にもなる強い効力があるので、滞納は何としても避けなければなりません。返済が2回以上滞れば、債権者には強制執行ができる権利が認められています。債務者には、最初から無理のない返済計画を立てた上で調停を成立させること、「必ず調停調書で決められた通りに完済する」という強い覚悟が必要です。
特定調停の決定を覆すことは難しい
調停調書は債務名義になるだけではなく、公的な合意文書としての強い拘束力があります。特定調停で一度決定がなされると、その内容については絶対に守らなければならず、基本的にはその内容を覆すことは不可能です。そのため、返済が遅滞することのないように細心の注意を払う必要があります。
調停調書は双方の「合意」に基づいている
特定調停は、債務者と債権者が歩み寄って和解することで成立する債務整理の方法です。そのため、調停調書の内容はお互いが納得のうえで合意したものとして考えられます。たとえ調停成立後に債権者側の小さな計算ミスに気が付いたり、合意するべきでなかったと思っても決定を覆すのは難しいのです。「早く成立させてすっきりしたい」と慌てて合意をする前に、調停調書の内容は慎重に確認しておきましょう。
話し合いで解決に至らなければ17条決定
特定調停で和解ができなかった場合は、「調停に代わる決定」として裁判所から17条決定が出されることがあります。17条決定が出されてから2週間以内に意義申し立てがなければ当事者は内容に合意したことになり、調停成立と同じ効力が発生することになります。
調停調書の効力を無効にできる事例とは?
非常に強い効力を持つ調停調書ですが、例外的にその決定が覆ることがあります。債権者が悪質であったり、債権者側が提出する計算書の内容に問題があることが発覚した場合は、調停調書の無効を主張することが可能です。
虚偽の報告をする悪質な債権者もいる
調停での話し合いで双方が合意した結果作成されたものが調停調書です。しかし、合意の基になる計算書に明らかな虚偽や誤りが認められるケースも存在します。泣き寝入りしないためにも、まずは計算書について知っておきましょう。
貸金業者が裁判所に提出する「計算書」とは
計算書とは、債務者の借金を法定利息に基づいて再計算して借金総額を記した文書のことで、第一回調停までに債権者側から裁判所に提出されます。債務者も閲覧することができますので、自分の持っている明細書や記憶と相違がないか、または計算に誤りがないかじっくり精査しておきましょう。
虚偽の計算書を提出されるケースもある
計算書は、債務者の残りの借金額を示す調停の肝となる文書です。しかし、貸金業者が虚偽の報告をしていたり計算書が途中開示だったために、本当は過払い金と相殺されて借金がゼロになっていたにもかかわらず、まだ債務があると信じて和解してしまったケースもあります。
調停委員が専門家ばかりではないことも一因
このような計算書の内容の虚偽やミスが調停時に発見されないのは、調停委員が必ずしも債務整理に詳しい専門家ばかりではないことも一因となっています。債務整理の経験に乏しい調停委員に当たってしまうと、債務者にとって不利な条件で合意させられることも少なくありません。
まずは債務整理に強い弁護士などの専門家に相談を
以上のように、計算書の内容が間違っていれば特定調停の調停調書を覆せる可能性もあります。相手方が出してきた計算結果に不審な点があれば、債務整理に強い弁護士などの専門家に相談するのがベストでしょう。
特定調停の無効を主張すべし
貸金業者の虚偽の計算書によって、誤って合意をしてしまったのなら特定調停の無効を主張しましょう。ただし特定調停の決定を覆すのは、法律などの専門知識が必要になるので、特別知識を有していない個人の場合は簡単なことはありません。自己判断をせずに、債務整理に詳しい弁護士などの専門家に協力してもらうことが必要です。
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債権者から正しい計算書を取り寄せる
例えば、自分ではもっと以前から取引していたと記憶しているにもかかわらず、債権者から提出された取引履歴が最近の取引しか開示されていない場合には、弁護士などに相談しましょう。専門家が正しい計算書の提出を求め、真実の計算書と和解の内容に齟齬があれば、過去に決定された特定調停の効力を無効にすることができます。
調停調書が無効になれば返済金の返還も可能
特定調停の効力が無効になれば、特定調停の調停内容に従った返済金を返してもらえます。本当の計算書による残債務を支払えばよく、過払い金が発生していればその分の返還も求めましょう。ただし、調停の内容によっては過払い金返還請求が難しい場合もあります。過払い金返還請求ができるかどうかは、どのような和解をしたかで異なってきますので、正確に確認したい場合は、弁護士や司法書士などの法律の専門家に相談してみるとすぐに分かります。
債権者からの報告に疑問を感じたら弁護士に相談を
このように、特定調停が成立すると法的に強い効力があるため、債務者は調停調書通りに完済することが大原則です。ただし、特定調停完了時点で本当は過払い金が発生していたり、特定調停の確定効力を覆すほど大幅な債務の減額が生じていた事例は、調停調書の効力が無効であると認められる可能性があります。債権者からの報告内容に疑問を抱いたら、まずは弁護士など専門家に相談することをおすすめします。
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