任意整理で賃貸は追い出される?引っ越しや審査への影響

「任意整理をしたら、今の賃貸を追い出されるのでは」「引っ越したくても審査に通らないのでは」。賃貸暮らしの方にとって、住まいへの影響は借金そのものと同じくらい切実な不安でしょう。任意整理をしたことを理由に賃貸物件を追い出されることはなく、引っ越しが制限されることもありません。不動産会社や大家さんは信用情報を照会できず、任意整理の事実を知る手段がありません。
注意が必要なのは3つの場面です。家賃をクレジットカードで払っている場合は、任意整理でカードが止まり、家賃が引き落とせなくなること。家賃保証会社が信販系(クレジットカード会社や信販会社、その系列の保証会社)の物件では、入居審査で信用情報を照会され、任意整理の記録が影響することがあること。また、滞納中の家賃を任意整理の対象に含めると、大家さんから立ち退きを求められるおそれがあります。
この記事では、任意整理と賃貸の関係を、保証会社の仕組みから入居審査の対策まで解説します。
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任意整理が賃貸に与える影響の早見表
任意整理をしても、今の賃貸に住み続けることや契約の更新には、原則として影響がありません。影響が出るのは、引っ越し先の入居審査と、滞納家賃を任意整理の対象に含めた場合です。住み続ける・更新・引っ越し・滞納の4つの場面ごとに、影響と注意点をまとめると次のとおりです。
| 場面 | 任意整理の影響 | 注意点 |
|---|---|---|
| 今の賃貸に住み続ける | 影響なし | 家賃をカード払いにしている場合は支払方法の変更が必要 |
| 契約の更新 | 原則影響なし | 家賃を滞納していなければ通常どおり更新できる |
| 引っ越し(新規契約) | 引っ越しは自由。入居審査は保証会社しだい | 信販系保証会社の物件は審査に通らない可能性 |
| 家賃の滞納分を任意整理する | 立ち退きのリスク | 家賃は対象から外すのが基本 |
賃貸保証の仕組み
賃貸の保証には連帯保証人と家賃保証会社の2つがあり、任意整理の影響が出るかどうかは、家賃保証会社の種類によって変わります。
連帯保証人と家賃保証会社
賃貸物件を借りるときは、不動産会社や大家さんによる入居審査を通過し、連帯保証人を立てるか、家賃保証会社と契約するのが一般的です。連帯保証人も家賃保証会社も、入居者が家賃を滞納したときに代わりに支払う存在です。連帯保証人なら費用はかかりませんが、家賃保証会社を使う場合は、家賃の数割から1か月分程度の保証料を支払います。保証会社は不動産会社が指定することが多く、入居者が自由に選べないケースが大半です。連帯保証人のリスクについては、こちらの記事で解説しています。
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家賃保証会社には信販系と独立系がある
近年は、連帯保証人ではなく家賃保証会社を利用する賃貸契約が増えています。大家さんにとっては家賃を確実に回収でき、入居者にとっては保証人を探す手間が省けるためです。家賃保証会社には、クレジットカード会社や信販会社とその系列の保証会社(信販系)と、それ以外の独立系があります。任意整理後の入居審査に影響が出るのは、信用情報を照会できる信販系の保証会社です。
任意整理後の信用情報はどうなる?
任意整理をすると、債権者から信用情報機関に通知が届き、「異動」などの事故情報として登録されます。いわゆる「ブラックリストに載った」状態です。クレジットカード会社や金融機関は、カードやローンの申し込みがあると信用情報機関に照会して審査するため、事故情報が残っている間は新規の借り入れやカード作成が難しくなります。
事故情報は完済から5年程度残る
任意整理の事故情報は、和解後の返済を続けている間も残り、完済から5年程度で消えます。賃貸では、返済中と完済後5年程度の間に引っ越すと、信販系の家賃保証会社を使う物件で入居審査に影響が出ることがあります。
なお、記録が消えた後も、任意整理の対象にした会社の社内には記録が残り続けることがあるので注意が必要です。対象にした会社や同じグループの会社では、審査に通りにくいと考えておいたほうがよいでしょう。信用情報の仕組みは次の記事で詳しく解説しています。
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任意整理で賃貸を追い出されることはない
任意整理をしても今の部屋に住み続けられ、引っ越しも自由です。不動産会社や大家さんは入居者の信用情報を見られず、任意整理には転居を制限する決まりもありません。例外は、滞納している家賃を任意整理の対象に含めた場合です。
不動産会社や大家さんは信用情報を照会できない
信用情報機関に照会できるのは、クレジットカード会社や金融機関などの加盟会社だけです。不動産会社や大家さんは加盟していないため、入居者の信用情報を調べることはできません。家賃を任意整理の対象に含めない限り、任意整理をしたことが不動産会社や大家さんに知られることはなく、任意整理を理由に退去を求められることもありません。
滞納家賃を任意整理の対象にすると立ち退きのリスクがある
家賃は任意整理の対象から外し、通常どおり支払い続けるのが基本です。任意整理では対象にする債権者を選べるため、家賃を外しても手続きに支障はありません。
家賃を対象に含めると、弁護士は大家さんや家賃保証会社にも受任通知(弁護士が債務整理の依頼を受けたことを債権者に知らせる通知)を送り、滞納分の分割払いを申し入れます。大家さんは消費者金融などの貸金業者と違って受任通知に拘束されないため、申し入れを断り、滞納を理由に賃貸借契約を解除して明け渡しを求めることができます。一般に、家賃を3か月以上滞納していると、契約の解除と明け渡しが裁判でも認められやすい状況です。
すでに家賃を滞納している場合も、滞納分は任意整理に含めず、先に解消するのが安全です。受任通知が届くとカード会社や消費者金融への返済が止まるため、和解までに払わずに済んだ返済予定額を滞納家賃に回せます。滞納分を解消するまでの間も、毎月の家賃は期日どおりに払い続けてください。止まった返済分を回しても滞納分を払いきれない場合は、依頼する弁護士に滞納家賃の額も伝え、滞納を解消するまでの家計の組み方を相談しましょう。
任意整理後の引っ越しに制限はない
任意整理をしても、転居に制限はかかりません。債務整理の中で裁判所の許可なしに引っ越しができないのは、自己破産の管財事件の手続き中だけです。新しい賃貸物件を探すときは、入居審査で使われる家賃保証会社の種類に注意が必要です。
任意整理後の賃貸契約・更新で注意すべきポイント
任意整理後の賃貸契約や更新で確認したいのは、家賃の支払い方法、家賃保証会社の種類、家賃と返済の両立です。
家賃の支払い方法がクレジットカードになっていないか
家賃をクレジットカードで払っている場合は、支払い方法を口座引き落としか振込に変える必要があります。任意整理をするとクレジットカードは使えなくなり、任意整理の対象に含めなかったカードも、更新時や途上与信(カード会社が定期的に行う審査)のタイミングで利用停止になることが多いからです。カードが止まると家賃の引き落としができず、気づかないうちに家賃を滞納してしまいます。
これから任意整理を依頼する場合は、依頼する前に支払い方法を変えておくと安心です。すでに任意整理を始めている場合は、すぐに管理会社や大家さんに連絡し、支払い方法の変更を申し出てください。カードがもう止まっているときは、家賃が未払いになっていないかを確かめ、未払いの分は振込で支払いましょう。任意整理とクレジットカードの関係はこちらの記事をご覧ください。
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信販系の家賃保証会社かどうかを確認する
不動産会社や大家さんは信用情報を照会できませんが、信販系の家賃保証会社は信用情報機関に加盟しているため、入居審査で申込者の信用情報を照会できます。信販系の家賃保証会社とは、クレジットカード会社や信販会社が自ら手がける保証事業や、その系列の保証会社のことです。保証会社の利用が入居の条件になっている物件では、信販系の保証会社が任意整理の記録を見て保証を断ると、入居審査に通らないことがあります。
信用情報を照会されたくない場合は、次のような物件を選ぶとよいでしょう。
- 連帯保証人を立てれば保証会社が不要な物件
- 信販系ではない独立系の家賃保証会社を利用する物件
- 保証会社を複数から選べる物件
独立系の家賃保証会社は信用情報機関に加盟しておらず、保証会社どうしで共有している家賃の滞納情報や、申込者の収入などをもとに審査するのが一般的です。
どの保証会社を使うかは、物件の募集条件や不動産会社への問い合わせで確認できます。「保証会社はどこですか」と聞くだけで分かることが多いので、契約前に確認しておきましょう。
家賃の支払いと任意整理の返済を両立できるか
任意整理の返済額は、毎月の家賃を払ったうえで無理なく続けられる額で和解するのが基本です。弁護士に依頼するときは、家賃を含めた毎月の支出を正確に伝え、家賃を払い続けられる返済計画を組んでもらいます。返済が苦しいなら、家賃の低い物件への住み替えも選択肢の一つです。生活レベルを下げるのは大きな決断ですが、任意整理後の返済に行き詰まると、個人再生や自己破産に進まざるを得なくなることもあります。
任意整理後に引っ越すときの手順
任意整理後の引っ越しは、家計から家賃の上限を決め、家賃保証会社の種類を確かめてから物件を選ぶ順で進めます。
- 任意整理の返済額を含めた家計から、無理のない家賃の上限を決める
- 物件を探す際に、家賃保証会社の種類(信販系か独立系か)を不動産会社に確認する
- 信販系しか選べない物件は避けるか、連帯保証人を立てられるか相談する
- 家賃の支払い方法は口座引き落としか振込を選ぶ
- 引っ越し費用は分割払いやローンに頼らず、現金で用意する
設例:保証会社の種類と入居審査
任意整理後の入居審査で結果を分けるのは、物件で使う家賃保証会社が信販系かどうかです。物件の条件ごとに、審査への影響と対策をまとめました。
| 条件 | 審査への影響 | 対策 |
|---|---|---|
| 信販系の家賃保証会社が指定されている物件 | 信用情報を照会され、事故情報が影響する可能性 | 保証会社を変えられる物件や独立系保証会社の物件を探す |
| 独立系の家賃保証会社の物件 | 信用情報は照会されない。家賃滞納歴がなければ通常は問題なし | 過去に家賃の滞納がないかを確認しておく |
| 連帯保証人を立てれば保証会社不要の物件 | 影響なし | 保証人を頼める家族がいるか確認する |
任意整理と賃貸に関するよくある質問
任意整理中に賃貸の更新は問題なくできますか?
家賃を滞納していなければ、任意整理中でも賃貸契約は通常どおり更新できます。家賃保証会社と契約している物件では、賃貸契約の更新に合わせて保証契約も更新し、更新保証料を支払うのが一般的です。
UR賃貸や公営住宅は任意整理後でも借りられますか?
UR賃貸住宅と公営住宅は、どちらも任意整理後の住まいとして検討しやすい選択肢です。UR賃貸住宅は保証人や家賃保証会社を必要とせず、申込者の平均月収が基準月収額(家賃の4倍など)以上あるかといった収入の基準で審査します。公営住宅は、世帯の収入が一定の基準以下であることを入居資格の中心にしています。公営住宅で連帯保証人を求めるかどうかは自治体によって異なるので、申し込み先の自治体で確認してください。
家賃保証会社が信販系かどうかはどう見分けますか?
保証会社の名称にクレジットカード会社の名前が入っている場合や、保証会社のウェブサイトに信用情報機関への加盟が記載されている場合は信販系と考えられます。保証会社の「個人情報の取扱い」のページに、信用情報機関への照会が書かれている場合も同じです。迷ったら不動産会社に確認してください。保証会社の種類を尋ねるときに、任意整理をしたことを伝える必要はありません。
任意整理したことを大家さんに伝える必要はありますか?
伝える義務はありません。家賃をきちんと払っていれば、大家さんとの関係に影響はありません。
任意整理と賃貸で不安があれば弁護士に相談を
任意整理をしても、家賃を期日どおりに払い続けていれば、今の賃貸に住み続けられます。家賃のカード払い、信販系の家賃保証会社、滞納家賃の3点は、任意整理をすでに始めている人も、今から確認して対処できます。
任意整理の対象にどの債務を含めるか、滞納している家賃をどう解消するかは、住まいを守るうえで大切な判断です。債務整理の経験が豊富な弁護士に相談すれば、家賃を払い続けられる返済計画を一緒に組み立て、住まいへの影響を抑える進め方を提案してもらえます。今の部屋に住み続けたいときも、引っ越しを控えているときも、早めに弁護士に相談してください。
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