任意整理のお金は分割や後払いでも大丈夫?お金がない不安を解決
お金に余裕がなくても任意整理を弁護士に依頼することは可能です。分割払いや後払いに対応している弁護士事務所が増えています。
弁護士費用は、日本弁護士会の基準では着手金は上限が定められていませんが、解決報酬金は2万円、減額報酬金は減額分の10%相当額以下、過払金報酬金は返還額の20%相当額が上限となっています(いずれも債権者1社当たり)。
任意整理のお金に関する不安
これまで弁護士や司法書士などの法律のプロと関わる機会がなかった方にとっては、弁護士費用に関して不安があると思います。その不安とは、「お金がないのに弁護士費用を払えるのか?」、そして「不当に高い任意整理の費用を請求されないか?」というものではないでしょうか?
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お金がないのに払えるのか?
任意整理を検討している人は、生活レベルはそれぞれ違っても、借金返済が負担でお金のやりくりに困り果てているという点は一緒です。「弁護士費用を払う余裕はない」と考えるのも当然でしょう。でも、多くの債務者が実際に弁護士に依頼をして任意整理をしているのはどうしてでしょうか?
お金を払う価値がある
弁護士を依頼する理由は、明解です。それは、お金を払ってでも専門家の力で借金解決に向けてサポートしてもらう価値があるからです。借金問題は一人で悩んで放置しても悪化する一方です。しかし専門家に依頼すれば、任意整理なら約3か月で借金が減り完済までの道のりが見えます。また、過払い金が見つかった場合は、返還されたお金で弁護士費用が賄えるケースもあります。
費用は分割払いや後払いができる
弁護士費用は安くはないはずなのに、なぜ手持ちのお金が少ない人が弁護士に依頼できるのでしょうか?それは、弁護士費用の分割払いや後払いが可能な事務所があるからです。依頼の段階で手持ちのお金がなくても、弁護士に依頼をすることは可能だということです。
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実際の手続きの流れ
弁護士は任意整理の依頼を受けると、まず債権者に受任通知を送付し、任意整理の手続きを委託されたことを知らせます。そうるすることによって、債権者からの取立や返済をストップさせられますから、精神的にもかなり楽になるはずです。
ここから和解成立まで、債務者は業者への支払いが猶予されるので、浮いたお金で弁護士費用の一部(着手金)を支払うことができます。中には着手金無料や、分割払いOK、借入先が1社からでも対応してくれる事務所もあります。ただ、着手金の支払いが完了するまで交渉を始めないところもあるので注意が必要です。
債権者と交渉して返済額を確定し、返済計画を作成した後に、残りの費用を分割で後払いするという流れになります。
不当に高い金額を請求されないか?
弁護士費用に関しては「不当に高い金額を請求されるのではないか?」という不安を持つ方も多いでしょう。実際に、数年前には一部の弁護士が過払い金請求の依頼などで不適切な弁護活動を行っていて、問題となりました。しかし、現在はそのような行いを許さないルールが設けられています。
弁護士費用は自由
まず原則として、弁護士費用は、依頼者との交渉で自由に決めていいことになっています。依頼者にとってはかえって混乱のもとかもしれませんが、実際、相場はありません。
債務者を食い物にする弁護士が問題に
しかし、一部の弁護士が報酬に基準がないことをいいことに、お金儲けをしていた事件がありました。依頼者が費用の相場に詳しくないことにつけこんで不当に高い報酬を請求したり、過払い金請求の依頼だけを引き受けて債務整理の依頼は受け付けない、などの行為があったのです。また、業務を弁護士自身ではなく、事務員など非弁護士にやらせるなどの違反行為も少なくありませんでした。
日弁連の「債務整理事件処理の規律を定める規程」
こういった問題を受けて、日本弁護士連合会は任意整理と過払い金請求に関するルールとして「債務整理事件処理の規律を定める規程」を2011年に設け、報酬規制を定めました。
日弁連は、国内で弁護士業務を行う全ての弁護士を登録している団体で、弁護士に懲戒処分を科すことも可能です。日弁連が定めたこの規定は単なる指針ではなく、弁護士に一定の効力があるルールとして存在しています。
任意整理にかかる弁護士費用
では、任意整理にかかる弁護士費用とは、具体的にどれくらいの金額なのでしょうか。また、弁護士とのやりとりで注意しておきたい点も紹介します。
弁護士費用の目安
弁護士費用の目安について、東京三弁護士会の「クレジット・サラ金事件報酬基準」(※1)を参考に説明していきます。
相談料
「相談料」は、初めて弁護士事務所を訪ねる際など、任意整理の契約をする前の弁護士との面談にかかる料金です。最近では債務者が利用しやすいよう相談料を無料としている弁護士事務所が増えています。弁護士が借入状況や取引の時期、毎月の返済可能額などについて聞き取り、最適な債務整理の方法や過払い金の有無などを説明してもらえます。
着手金
「着手金」は、貸金業者との交渉が成功するかどうかに関わらず、弁護士に依頼する契約を結ぶと発生します。「クレジット・サラ金事件報酬基準」では債権者1社当たり2万円(ただし、最低5万円)、商工ローンの場合は1社あたり5万円(ただし、最低10万円)です。弁護士事務所によっては、着手金が無料の場合もあります。
報酬金
「クレジット・サラ金事件報酬基準」では、和解成立か過払い金返還が成功した場合に発生する「基本報酬額」は、上限が2万円までとなっています。また、残元金が減額できたら発生する「減額報酬金」は、減額分の10%相当額が上限、過払い金の返還を受けたら発生する「過払い金報酬」は返還額の20%相当額が上限です。
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弁護士費用の注意点
前項で示した費用はあくまで目安なので、実際は事務所によって異なります。どの弁護士に依頼することになっても、費用のことでもめないためには、以下のことに注意してください。
料金体系を最初に確認
費用を尋ねるのは抵抗があるかもしれませんが、のちのちトラブルにならないためにきちんと最初に確認すべきです。契約前に料金体系や支払いの方法・回数の説明を求め、見積書を作ってもらいましょう。また契約時も、契約書に料金が明記されているか、過払い金請求で裁判になった場合など契約書の内容以外に料金が発生する可能性はあるのかを聞いておきましょう。
トラブルに備えて書類を保管
万が一、弁護士との間でトラブルが生じた場合に備えておくおことも大切です。弁護士との間に交わした委任契約書や精算書、報告書等の書類は、ひとつのファイルにまとめておくなど、なくさないように保管しましょう。
相談に来る債務者がお金に困っていることは、弁護士もよく分かっています。なるべく負担が少ない支払い方法に柔軟に対応してくれる事務所もあるので、ぜひ一度無料相談に行ってみることをおすすめします。
※1:参照元:石原豊昭『【借金完全整理】自己破産マニュアル第4版』(出版社、2016) pp.223
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