離婚するには?確実に離婚する方法と押さえておくべきポイントは?

離婚する方法

確実に離婚をするためには、状況に応じて最も適した方法を実践することが大切です。まずは離婚手続きの種類を知り、相手の対応や離婚原因の有無、支払いを受けられそうなお金や子どものことなどを考えて、不利益のないように対応しましょう。協議離婚をするとき、特に養育費や慰謝料などの金銭支払いを受けるなら、離婚公正証書にしておくべきです。

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確実に離婚するには「正確な法的知識」が重要!

離婚をするとき、対処方法によって大きな結果の違いが発生することは理解できたと思います。それでは、具体的に離婚をすすめるには、どういうところに気をつけたらいいのでしょうか?先ほど「冷静さ」が大切と言いましたが、もちろん冷静さだけで有利な離婚を勝ち取れるわけではありません。離婚を上手にすすめるには、「正確な知識」が必要です。この場合の知識は、夫婦の知恵などのものではなく、「法的な知識」です。離婚には、意外とたくさんの法律問題が絡みます。たとえば、相手が離婚してくれない場合には裁判で離婚しないといけませんが、そのときには「裁判上の離婚原因」が必要です。慰謝料や財産分与、養育費などもすべて法律上の制度です。

そこでまずは離婚についての基礎知識として、離婚の種類を押さえておきましょう。

離婚の種類、知ってる?

日本では、大きく分けて3種類の離婚方法があります。1つは協議離婚、2つ目は調停離婚、3つ目は裁判離婚です。もう1つ、審判離婚という方法もありますが、こちらは適用される場面が少なく、実際にはほとんど利用されていません。順序としては、協議離婚→調停離婚→裁判離婚、の流れで進みます。

協議離婚

協議離婚とは、夫婦が話合いをして離婚することに合意し、離婚届けを作成して役所に提出する離婚方法です。離婚条件を取り決めていなくても、子どもの親権さえ決まっていたら協議離婚はできます。協議離婚は、日本でもっともよく利用されている離婚方法で、離婚する夫婦の9割以上が協議離婚の形で離婚をしています。上記で紹介したAさんのケースもBさんのケースも、協議離婚で離婚をした例です。諸外国では、裁判をしないと離婚できない国も多いので、日本人は話し合いによる解決を好むことが見て取れる場面です。

このように日本では協議離婚が多いので、離婚をするためには、まずは協議離婚を有利にすすめる方法を検討しなければなりません。協議離婚をするときには、市区町村役場から離婚届けをもらってきて、必要事項を書き込み、夫婦それぞれが署名押印をして、2人の証人に証人欄に署名押印してもらいます。そして、完成した離婚届けを役所に持っていって提出すると、離婚ができます。また、協議離婚では、親権以外の離婚条件を取り決める必要がないため、「とりあえず離婚する」ことだけを決めて、離婚してしまうことがありますが、このように他の問題を放置すると、離婚後にトラブルが発生するので、おすすめできません。

調停離婚

離婚方法の2つ目として、調停離婚があります。調停離婚とは、家庭裁判所の調停手続きを利用して離婚の話合いをする方法です。多くのケースでは、協議離婚の話し合いをしてもお互いが合意できない場合に、どちらかの申し立てによって離婚調停を開始します。ただ、協議の話し合いをしないと調停ができないというものでもないので、話合いのステップを飛ばしていきなり離婚調停をすることもあります。たとえば、DV事案などでは、協議離婚の話合いをすると身に危険が及ぶことがありますし、話し合いをしても平行線になる可能性が高いので、協議離婚は始めから考えず、いきなり離婚調停をすることも多いです。

離婚調停をするときには、相手の住所地の管轄の家庭裁判所に調停申立書と戸籍謄本を性出して、申し立てをします。すると、家庭裁判所で月に1回くらい、話合いの期日が開催されます。当日は、調停委員が間に入ってくれるので、相手と直接顔を合わせて話をする必要はありません。合意ができたら、家庭裁判所で調停調書が作成されるので、それを役所に持参したら、離婚の手続きができます。また調停で離婚をする場合には、通常離婚条件についてもすべて定めるので、問題が離婚後に持ち越されることは少ないです。

裁判離婚

離婚の方法の3つ目が、裁判離婚です。裁判離婚とは、離婚訴訟をして、裁判所に離婚を認めてもらう方法です。これは、協議離婚や調停離婚とは異なり、話合いの手続きではありません。離婚訴訟をするときには、必ず先に離婚調停を経ている必要があり、いきなり訴訟をすることはできません。離婚をしたいときには、どんなに相手と意見が対立していても、まずは調停をしないといけないのです。

訴訟をするときには、「裁判上の離婚原因」がないと、離婚が認められないことにも注意が必要です。相手が離婚を頑なに拒絶している場合、離婚原因を証明できないと、そもそも離婚すら認められないおそれがあります。裁判によって離婚をするときには、裁判官が判決で離婚することと離婚条件を決めてくれます。そこで、判決書を役所に持っていって提出したら、離婚届けをすることができます。

また、裁判離婚の場合も、必要な離婚条件は裁判所が決めてくれるので(申し立ては必要です)、離婚後にトラブルが持ち越されるおそれはほとんどありません。

どの方法が一番いいのか考えよう!

以上のように、離婚の方法には協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3種類があります。一般的には当たり前のように協議離婚をすすめますが、それぞれの手続きに良い点と悪い点があります。事案によっては、協議離婚の話合いをするより、いきなり離婚調停をした方が良いこともあります。

また、夫婦の対立が激しい場合には、話合いでの離婚が難しくなる可能性が高いので、当初から離婚訴訟を見越した準備が必要になることも多いです。将来訴訟を起こすなら、離婚話を始める前に、証拠を集めることが必須です。

そこで、離婚をすすめるためには、自分のケースでどの離婚手続きが最も適しているのかを考えて、把握する必要があります。自分ではどの手続きが最も向いているのか判断できない場合には、弁護士に離婚問題の相談をすると良いです。

離婚をしたいなら、弁護士に相談しよう!

以上のように、後悔のない離婚をしたいなら、まずは冷静さを失わないこと、そして正確な知識をつけることが大切です。冷静さを失わないためには、まずは気持ちを落ち着けることと、人に話を聞いてもらうことです。自己判断で拙速に動いてしまうと、どうしても誤った行動をしてしまいます。また、離婚では法的な知識が必要なので、弁護士の助けを借りる必要性が高いです。弁護士なら、ケースごとにもっとも適した離婚の方法を提案してくれますし、協議離婚の交渉の代理人や離婚調停、離婚訴訟の手続きを依頼することもできます。

離婚をすすめるためには、まずは一度、離婚問題に強い弁護士に相談をしてみましょう。

相手は離婚してくれそう?

離婚届

離婚をすすめるため、まず何を考えたら良いでしょうか?押さえておきたいポイントは、「相手が離婚してくれそうかどうか」ということです。相手が離婚に応じてくれるなら、離婚原因があってもなくても離婚することができます。相手が悪くても悪くなくても、自分が不倫していても離婚できます。これに対し、相手が離婚に応じてくれないなら、そもそも離婚できるかどうかが問題になってしまいます。離婚調停などで相手が気持ちを変えてくれたら良いですが、相手の態度が頑強な場合、離婚訴訟で「法律上の離婚原因」を証明しないと離婚することができなくなってしまいます。

離婚してくれそうな場合

相手が離婚してくれそうな場合には、あまり問題にはなりません。この場合、離婚することを前提として、それ以外の離婚条件を考えましょう。たとえば、慰謝料や財産分与、親権や養育費などの問題です。自分が不倫している場合には、バレると相手が離婚してくれなくなったり高額な慰謝料を請求されたりするので、なるべくバレないように注意して、離婚を済ませてしまう必要があります。

離婚してくれなさそうな場合

これに対し、相手が離婚してくれなさそうな場合には、問題は困難です。この場合、法律上の離婚原因があるかどうかを検討しなければなりません。

法律上の離婚原因がある場合

相手が不貞(不倫・浮気)をしている場合やDV事案、生活費不払いがあるケースなど、明確な離婚原因がある場合には、相手が離婚に応じなくても裁判をして離婚することができます。ただし、裁判で離婚を認めてもらうためには、証拠が必要ですから、相手の有責原因(不倫やDVなど)についての証拠を集めなければなりません。

相手が不倫していても、不倫の証拠がなかったら、裁判で負けて離婚もできないし、慰謝料ももらえない、と言うこともあり得ます。裁判所も万能ではないので、真実を見抜けないことはありますし、「証明できていないことは、無いもの」と判断されてしまうからです。

法律上の離婚原因がない場合

法律上の離婚原因がない場合には、さらに問題が困難です。この場合、離婚訴訟をしても離婚を認めてもらうことができません。そこで、法律上の離婚原因が認められるように別居期間を作ったり相手に気持ちを変えてもらうように交渉を繰り返したりする工夫が必要になります。

離婚理由はある?

離婚を上手にすすめたいなら、「離婚理由」について知っておくことが大切です。法律上の離婚原因には、以下の5つがあります。

不貞

1つ目は、不貞(不倫)です。相手が他の異性と性的な関係がある場合に離婚が認められます。単にお互いに「好き」と言っていたり、デートを楽しんでいたりしているだけの状態では、離婚が認められないので注意が必要です。相手が不貞をしている場合には、慰謝料請求も可能です。

悪意の遺棄

2つ目は、悪意の遺棄です。これは、簡単に言うと、悪意をもって相手を見捨てることです。典型的なのは、生活費を支払わないパターンです。不貞をすると、同時に給料を入れなくなるケースが多いですが(上記のBさんのケースでもそうでしたね)、その場合、不貞と悪意の遺棄が両方成立してしまいます。また、悪意の遺棄があった場合にも慰謝料が発生します。

3年以上の生死不明

離婚理由の3つ目は、3年以上の生死不明です。これは、生きているか死んでいるのかがわからないことが必要で、どこにいるのかわからないけれども確実に生きているという場合には認められません。そうよくあるケースではありませんが、相手が完全に失踪して、心当たりに連絡をしても一切音信不通というケースなどで認められます。

回復しがたい精神病

4つ目は、回復しがたい精神病です。これは、相手が統合失調症や躁うつ病、偏執病や若年性認知症などで、程度が酷いケースにおいて認められます。単なるアルコール依存や程度の低いうつ病、ギャンブル依存症やノイローゼ、ヒステリーなどでは離婚は認められません。また、これが原因で離婚を認めてもらうためには、離婚に至るまでに配偶者のケアを十分に行ってきたことや、離婚後の配偶者の生活の目処が立っていることなどが必要です。

その他婚姻を継続し難い重大な事由

5つ目は「その他婚姻を継続し難い重大な事由」です。これは、1~4に該当する事情がなくても、夫婦関係が破綻しているならば離婚を認めよう、という考え方です。そこで、もともと性格の不一致が原因で不仲になったケースなどでも、別居期間が長期化して、お互いにやり直す意思を失っているケースなどでは、裁判によって離婚が認められます。

法律上の離婚原因がある場合

以下では、離婚原因がある場合に具体的にどのような方法で離婚をすすめたらいいのか、説明します。この場合には、まずは離婚原因についての証拠を集めることが重要です。協議離婚なら証拠は要りませんが、将来裁判になる可能性もないとは言えないので、どのような事案でも証拠は必要です。たとえば、相手が不貞(不倫)しているなら、不倫についての確実な証拠を集めます。そのためには、興信所の報告書や相手と不倫相手が交わしたメール、一緒に移っている写真、相手が不倫相手の所に通っていることがわかる交通費の領収証やデートの際に使った明細がわかるクレジットカードの明細書、電話の通話記録などがあります。DVの場合には、診断書やけがの様子を撮影した写真、日記などが証拠となります。相手が生活費を支払っていない場合、給料が入金されていた通帳の写しや給与明細書なども必要になります。

離婚理由がある場合、証拠さえあればかなり強気で離婚交渉をすることができます。相手に対し、堂々と離婚と慰謝料請求(できる場合)をしましょう。相手が拒絶したら、裁判によって離婚を認めてもらうことができますし、慰謝料も支払ってもらうことができます。

法律上の離婚原因がない場合

離婚理由がない場合には、離婚の交渉に工夫が必要です。この場合、何とかして相手に「離婚しよう」という決意をしてもらわないといけません。そのためには、まずはストレートに「離婚したい」と告げるのが基本です。できればこじれずに離婚できるのが一番なので、相手の気持ちを損ねることなく、円満に離婚をしましょう。もし、相手がどうしても離婚をしない、という場合には、相手とかかわるのをやめて家庭内別居状態にしたり、実際に家を出て別居状態を作ったりすることも必要です。もともと法律上の離婚原因がなくても、別居期間が数年以上に及んで夫婦の実態がなくなったら離婚が認められるケースもあります。

また、弁護士に依頼して、離婚交渉の代理人になってもらう方法も効果的です。相手にしてみると、配偶者が自分で「離婚したい」と言っているだけなら、一字の気の迷いかもしれないと思って戻ってきてくれることを期待しますが、弁護士を雇って通知を送ってきたら、本気であると考えざるを得ないので、離婚を考えるようになります。

裁判所に離婚調停を申し立てるのも、相手の気持ちを離婚に傾けるのに有効です。

お金はある?

離婚をするとき、お金は非常に重要です。離婚前にも離婚後にも、両方の場面で困らないように準備しておく必要があります。

別居の際にかかる費用

離婚をするとき、最後まで同居したまま手続きする人もいますが、途中で別居する夫婦が非常に多いです。別居をする際には、夫婦のどちらかが家を出ないといけませんが、自分が家を出るときにはまとまったお金が必要です。引っ越し費用も必要ですし、賃貸住宅を借りるなら敷金礼金も必要です。家具家電も最低限は揃えないといけないでしょう。子どもを連れて出るなら、なおさらお金がないと不安です。

離婚前の別居中の生活費

離婚前に別居した場合、その後の生活費も問題です。話合いによって別居した事案で、別居時に生活費の支払いについて話合いができていたら、別居後もスムーズに生活費の支払をしてもらえますが、実際にはそううまくいかないことが多いです。別居後しばらく相手から生活費を支払ってもらえない期間が発生する場合には、その間、自分で生活費を何とかしないといけません。自分も働いていて、そのお金で生活できる場合には問題になりにくいですが、専業主婦だったケースなどでは重大です。別居をするためには、事前にまとまったお金を貯めておく必要があります。

離婚時にお金がもらえないケースもある!

離婚後の生活についても考えておく必要があります。離婚時に財産分与や慰謝料がもらえたら、しばらくはそのお金によって生活をしていくことも可能ですが、これらの給付が受けられないケースもあります。「お金がもらえないなら、離婚しなければいいんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、慰謝料や財産分与がなくても、どうしても離婚したいケースがあります。たとえば、DVが酷くて耐えがたいケースもありますし、どうしても相手の性格が許せなくなって、一緒にいるとノイローゼになりそうな人もいます。DVが酷くても、相手が無資力なら最終的に慰謝料をもらえない可能性もありますし、「とにかく親権だけとって、離婚さえできたらいい」、と考えることも多いのです。

離婚時にお金がもらえないなら、なおさら離婚前に離婚後の生活についての準備もしておく必要があります。もちろん、永続的に貯金で生活していくことは不可能ですが、離婚後もしばらくの間は生活できるくらいお金が手元にあったら安心です。また、離婚後は働くなどしてお金を得るので基本的にはその収入で生活するとしても、手元にある程度まとまったお金があると、何かあったときにも安心です。

お金はどのくらい貯めたらいいの?

離婚前にお金を貯める場合、どのくらい貯めたらいいの?と疑問に思う方も多いでしょう。もちろん多ければ多いほど安心ですが、最低でも100万円くらいあると安心です。

また、夫婦の共有財産がある場合、財産の一部を持ち出して使ってもかまいません。その場合、使った分は、後で婚姻費用や財産分与の計算をするときに清算されることになるためです。つまり、夫婦の預貯金を持ち出してそれを生活費に使ってしまった場合、後から相手に請求できる婚姻費用や財産分与を減らされることになるだけであり、犯罪や有責事由にはならないので、安心して使いましょう。

別居する?

離婚をするときには、別居するかどうかも悩ましいところです。別居することがプラスに働くこともありますし、マイナスになることもあります。上手に別居する方法を見てみましょう。

自分が出る場合

まず、別居する場合で自分が出るケースでの注意点をご紹介します。この場合には、必ず証拠を集めて持って出ることが重要です。たとえば、夫婦の共有財産があれば財産分与ができますが、後に財産分与請求をするためには、財産の内容を証明しなければなりません。証拠がないと、相手が「そんな財産はない」と言い出したら、分与を受けることができないのです。相手の不貞などでも同じです。

ところが、家を出てしまうと、証拠を集めるのは非常に難しくなります。別居したら家の財産資料を探しに家に入ることは難しいですし、相手の行動パターンがわからなくなるので、興信所をつけて相手の行動調査をするのもハードルが高くなります。そこで、別居前に必要な証拠をあらかた確保しておく必要があるのです。夫婦の預貯金や生命保険、不動産や投資信託などに関する財産資料を確保して、不貞やDVなどについての資料も集めて確実に持って出ましょう。

相手が出ていく場合

別居の際、相手がでていくケースもあります。この場合にも、事前に証拠をとっておくことが重要です。また、別居後相手に生活費を支払ってもらう場合には、金額や支払い方法についても取り決めをしておきましょう。口頭だけではなく、合意書を作成しておくことをおすすめします。もし、別居時に生活費の取り決めができなかった場合には、家庭裁判所で婚姻費用分担調停を申し立てて、裁判所に婚姻費用の支払いを決めてもらう必要があります。婚姻費用分担調停では、申し立てたときからの費用しか認められないので、別居後支払いを受けられないなら、なるべく早めに調停の申し立てをする必要があります。

別居しない場合

別居しない場合には、相手と同居のまま離婚の話し合いをしないといけないので、非常に大きなストレスが溜まります。相手が耐えかねて途中で出ていくことも多いです。ただ、お互いが意地になって家をでず、夫婦同居のまま離婚調停や訴訟をする人もいるので、「離婚で激しく争うなら、必ず別居」というものではありません。

同居をしていても、相手が生活費を支払ってくれないなら、婚姻費用分担調停をして、家庭裁判所で生活費についての決定をしてもらう必要があります。

また、同居していると、相手の行動もよくわかりますが、自分の行動も筒抜けになることに注意が必要です。たとえば、異性の友人とメールしていたり会っていたりすると、「不貞」と言われて問題が複雑化してしまうこともあります。

子どもの親権をとりたい?

離婚をするときには、子どもの親権について考えておくことも大切です。夫婦に未成年の子どもがいる場合、必ず子どもの親権者を決めなければなりません。親権者は、離婚トラブルの原因になることが非常に多いですが、トラブルにはいくつかのパターンがあります。

夫婦両方が親権者を希望する場合

1つ目は、夫婦の双方が子どもの親権者を希望する場合です。この場合、自分が親権者になるために、当初から賢く対応しておくことが必要です。もし何の準備も対策もせずにやみくもに行動をしていると、本来親権者になれるはずの人でも、親権を失う結果になってしまいます(Aさんの事案がそうでしたね)。

親権者になりたいなら、もともと子どもとの関係を良好にしておくことが必要ですし、別居するときに必ず子どもと一緒に過ごせる環境にすることが必須です。別居時に子どもと別れてしまったら、その後子どもを取り返すのが非常に困難になります。中には、裁判所が子どもの引き渡し命令を出しても従わない人もいます。親権をとりたい場合、お金の問題以上に思慮深くなり、慎重に対応する必要があります。

夫婦が両方とも親権者になりたくない場合

親権に関するトラブルとして、悲しいことですが、夫婦が双方とも親権者になることを望まないケースがあります。また、子どものことは大切だけれども、生活していけないから子供を育てられない、ということもあるでしょう。しかし、親である以上、どちらかが親権者にならないといけません。自分一人で育てられないなら実家の親に頼ったり行政の助けを借りたりして、生活していくことを考えましょう。

養育費はどのくらいもらえるの?

離婚後、子どもの親権者になったら、相手に対して養育費を請求することができます。養育費は、子どもが成人する月まで支払ってもらうことができますが、子どもが大学に行く場合などには、大学を卒業する年の3月まで支払ってもらうなどの取り決めもできます。養育費の金額は、夫婦の双方の収入状況によって異なる金額になりますが、具体的には、養育費の算定表にあてはめることにより、決定されます。

離婚する際には、こういった養育費の計算もしておくべきですし、取り決めをして確実に支払ってもらう必要があります。

参考:養育費・婚姻費用算定表

離婚の失敗にはどのような例がある?

いっ離婚は結婚より難しいことが知られていますが、離婚にも成功する人と失敗する人がいます。離婚後思ってもみなかった結果になり「離婚するんじゃなかった」と考えて後悔することになってしまうので、離婚するときには「確実な離婚の方法」を押さえておく必要があります。そこでまず、上手に離婚するのと失敗するのとでどんな違いが現れるのか、以下で具体的なケースを見てみましょう。

離婚に失敗した例

まずは、Aさんのケースです。

Aさん(30代 女性)は、夫と子ども(5歳)の3人暮らしでした。夫はおとなしい性格で特に問題行動などはなかったのですが、以前から夫の優柔不断な性格が気に入らず、Aさんはイライラすることが多かったのです。また、Aさんたち夫婦は共働きでAさんはフルタイムで働いていたのに、家事も育児もほとんど100%Aさんがしないといけなかったので、不満がありました。Aさんは、イライラして子どもに八つ当たりしてしまうようにもなり、このままじゃいけないな、と感じていました。

あるとき、Aさんはもう我慢ができないと思い、夫に離婚してほしい、と言いました。夫は、「離婚してもいいけど、子どもは渡さない」と言ってきました。Aさんは、育児はほとんど自分がしていたのに、何を言っているの?と思いましたが、夫は「君は子どもを怒鳴りつけたりしているから、親権者にはなれない」などと言い出しました。Aさんは腹が立って「馬鹿じゃないの?」と言い、子どもに「パパとママ、どっちと暮らしたい?」と聞きました。子どもは黙ってうつむいていました。すると夫は「子どもがかわいそうだろ!」と言って子どもを奥の部屋に連れて行き、出ていくなら出て行ってくれ!と言いました。Aさんは破れかぶれで、家を出てしまいました。

Aさんとしては、母親なのだから後からでも簡単に親権がとれると思っていたのですが、夫と話し合いをしても親権は譲ってもらえませんでしたし、家庭裁判所で調停をしてもやはり親権は認められず、裁判を起こしても、夫に親権を認める判決が出てしまったのです。しかも、Aさんには収入があることから、意外と高額な養育費支払命令も出てしまいました。

Aさんは、母親であるにもかかわらず5歳の子どもの親権をとれず、養育費まで支払われなければならなくなって、踏んだり蹴ったりだと感じています。「こんなことならもっとしっかりよく考えて、慎重に離婚をすすめたらよかった」と後悔する毎日です。

離婚に成功した例

次に、上手に離婚ができたBさん(40代 女性)のケースを見てみましょう。

Bさんは、子どもが3人いる母親で、夫とは5人暮らしでした。夫はもともと優しい性格でしたが、あるとき突然人が変わったように冷たくなりました。家族で一緒に出掛けることもなくなりましたし、Bさんが話しかけても生返事しかしません。夫はもともと子ども好きで、いつも一緒に遊んでいたのに、子どもがまとわりついていくと「うるさい!」と怒鳴って蹴飛ばしたりするので、子どもはすっかりおびえてしまいました。しかも、夫は「離婚したい。自由になりたい。お前はヒステリーな性格だから、今まで我慢してきたけれどもう限界」などと言って、離婚を突きつけてきたのです。同時に、給料も渡してくれなくなりました。

Bさんは大変驚くとともに不審に思い、夫が使っているパソコンやスマホを見てみたら、何と夫は女性と不倫をしていたのです。女性の家らしき場所で一緒に撮影した写真なども残っていて、Bさんは大変なショックを受けました。本当は、夫に対して怒鳴りつけて泣きわめきたい気持ちでしたが、ぐっと抑えて弁護士のところに相談に行きました。すると弁護士は、「まずは不倫の証拠を集めましょう」と言ってくれました。Bさんは、夫がパソコンやスマホにためている写真やメールのバックアップをとり、興信所を雇って夫の行動調査をして、ばっちり不倫の証拠をとりました。そして、夫に対して、「離婚してもいいけれど、親権は譲らないし慰謝料を支払ってほしい。財産分与は全部私がもらう」と言いました。

夫は、「ふざけんな。慰謝料なんか払わないし、財産分与は半分」と言いましたが、Bさんは、「あなたが不倫しているのはわかってる。証拠もある。財産分与と慰謝料をくれないなら、離婚しない。裁判されたって、私が離婚すると言わなければ離婚できないよ」と言いました。夫は怒って暴れ出したので、Bさんと子どもたちは部屋で隠れて落ち着くのを待っていました。その後、夫は弁護士に相談に行ったようで、どうやら自分が不利になったのを理解したようでした。そして、しおらしく謝ってきて「わかった。財産分与は7割にしてほしい。慰謝料は、離婚後分割払いで支払う」と言いました。

Bさんはまた弁護士に相談に行ってアドバイスをもらい、その内容にしたがって夫に対し「うちには財産がほとんどないから、あなたの生命保険と家は私がもらう。慰謝料は300万円を支払ってほしい。もちろん子どもの養育費も必要」と言いました。夫はその条件を受け入れたので、離婚が成立しました。

Bさんは、離婚時に夫婦の財産である夫の生命保険300万円分と家をもらったので、何とか離婚後の生活は保障されています。住宅ローンはBさんが支払をしています。また、Bさん自身仕事をしているので、子ども3人がいても、夫からの養育費を足せば何とか生活ができています。夫の不倫と、夫からの離婚請求という衝撃的な出来事がありましたが、Bさんとしては、その状況の中では最善の解決方法ができたと思っています。

AさんとBさんの違い

上記のAさんは、明らかに離婚に失敗しています。これに対し、Aさんは離婚に成功したと言えるでしょう。両方とも、子どもがいる母親です。また、Aさんの場合、相手には特に問題がなかったのに対し、Bさんの場合、相手は不倫をして「離婚したい」と言ってきて、生活費も渡さなくなったくらいですから、状況としてはBさんの方が厳しかったはずです。それにもかかわらず、どうしてAさんは離婚に失敗して、Bさんは離婚に成功したのでしょうか?

この2人の大きな違いは、冷静さです。Aさんは、感情にまかせて「離婚したい!」と言ってしまい、その場の勢いで子どもを置いて飛び出してしまいました。このことがすべての間違いの始まりで、まるで「子どもを捨てた母親」のように扱われて子どもの親権もとれなくなってしまったのです。このとき、もっと冷静になって、知識を持ってからゆっくりと離婚に取り組んだら状況は変わっていたはずです。もともと育児を一身に背負っていて子どもは5歳なのですから、親権がとれないはずはないのです。

これに対し、Bさんは非常に落ち着いて離婚に対応しました。夫からの離婚請求と生活費不払い、子どもに対する暴言、そして夫の不倫という理不尽な状況になっても、わめいたりせずに弁護士に相談に行っています。そこでいろいろとアドバイスを受けて、まずは証拠を揃えました。夫との離婚の話合いでも、冷静さを失いませんでした。そして、夫に対して弁護士に聞いたとおりの条件をつきつけて認めさせ、結果的に家も失わず、お金も支払ってもらえて子どもたちとの生活を守ることができました。

上手な離婚交渉のために、弁護士の力を借りよう!

以上のように、離婚をするときには、まずは相手が離婚に応じてくれるのかどうか、法律上の離婚理由があるかどうかが大切です。相手が離婚に応じてくれるなら協議離婚ですんなり離婚できる可能性が高くなりますが、離婚を拒絶されたら裁判が必要になることもあります。また、離婚をすすめるときには、お金の用意も重要です。別居するときには、別居費用やその後の生活費など、ある程度まとまったお金を貯めておくべきです。親権をとりたいなら、別居時に必ず子どもを連れて出ないといけません。

このように、離婚を有利に進めるには、入り口の時点で適切に対応する必要があります。自己判断で適当に対処すると、後に必要な証拠がないことに気づいて慌てることになりますし、子どもの親権もとりにくくなります。そこで、離婚交渉を始める前に、必ず弁護士に相談することをおすすめします。弁護士であれば、ケースごとに最も適切な対処方法をアドバイスしてくれます。自分で相手と交渉するのが不安な場合には、協議離婚の交渉を任せることもできるので、困ったときには依頼しましょう。

慰謝料を請求したい?

離婚の際、慰謝料を支払ってもらえるかどうかも重要です。きちんと準備していないと、慰謝料が発生する場合でも支払いを受けられなくなることもあるので、注意が必要です。適切に支払いを受けるためには、どのような場合に慰謝料が発生するのかや、その場合の慰謝料の相場がどのくらいになっているのかについて、知っておく必要があります。

自分が慰謝料を支払わないといけない場合には、そもそも相手が慰謝料請求の証拠を持っているのかや、どのくらいの慰謝料を支払うことになるのかについての目算を立てておかないといけません。

慰謝料が発生する場合とは?

慰謝料が発生する場合の典型例は、不貞があった場合です。相手が不貞していたら相手に慰謝料請求できますし、自分が不貞していたら、相手に慰謝料請求されるおそれがあります。DVやモラハラがある場合も慰謝料が発生しますし、悪意の遺棄も慰謝料発生原因となります。セックスレスなどのケースでも、慰謝料が発生することがあります。

これらに対し、単なる性格の不一致などのケースでは、慰謝料がは発生しません。慰謝料が発生するかどうかについては「相手が(違法と言えるまでの)問題行動をしたかどうか」によって決まると考えるとわかりやすいです。不倫や暴力、生活費不払いは「問題行動」だから慰謝料が発生しますし、単に性格が悪いとか、自分と折り合いが悪い、生活態度がいい加減というレベルでは「問題行動」とは言えないので、慰謝料が発生しません。

慰謝料を請求する場合

相手に有責性があって慰謝料を請求するときには、慰謝料の相場を把握しましょう。協議離婚の場合、慰謝料の金額や支払い方法は夫婦が話し合って決めることができるので、必ずしも相場にとらわれる必要はありませんが、実際には相場を参考にしながら話を進めることが多いためです。慰謝料の金額は、慰謝料の発生原因と個別の事情によって異なります。

不貞の場合なら、慰謝料の相場は300万円程度と言われますが、夫婦の婚姻期間が短い場合や不貞が一回だけなどの場合には、これより減額されることもあります。DVでも、どのくらいの頻度で暴力があったのかや、一回の暴力の程度が軽い場合などには、慰謝料が安くなります。

自分が慰謝料を支払うかもしれない場合

自分が不倫をしている場合などには、自分が相手に慰謝料を支払わないといけない可能性があります。この場合まずは相手が不倫の証拠を持っているのかを確認しなければなりません。もし証拠を捕まれていないなら、最後までしらを切り続けていたら慰謝料を支払わずに済む可能性もあります。また、離婚の交渉に入った後は、不倫関係を続けないことです。不用意に会っていると、興信所などをつけられて証拠をとられてしまうおそれがありますし、「まだつきあっている」と言われて不利になってしまいます。

また、証拠をとられていて慰謝料を支払うとしたら、いくら支払うのかという腹づもりも必要です。どこまでならお金を支払うことができるのか、一括で支払えないなら分割払いをしなければならない可能性もあります。

財産分与はある?

離婚をするときには、財産分与が受けられるかどうかが非常に重要です。とくに、熟年離婚の場合などには、財産分与の金額が多額になることも多く、主な争点になりやすいです。そこで、離婚を始める前に、まずは夫婦共有財産の状況を確認しましょう。財産分与の対象になるのは、夫婦のどちらかの名義の預貯金や生命保険、不動産や株式、積立金や投資信託、ゴルフ会員権などですが、将来の退職金も財産分与に含めてもらうことができるケースもあります。ただ、財産分与の対象になるのは、婚姻後に積み立てた財産だけです。独身時代に積み立てた財産や、どちらかの実家から入ってきた贈与や遺産の財産は、夫婦の共有財産にならないので、財産分与の対象になりません。

どのような財産があるかがわかったら、それらの財産がどのくらいの評価額になるのかも調べましょう。現金や預貯金などの場合には額面そのままですが、不動産の場合には、時価を調べる必要があります。時価は、近隣の不動産業者などに査定依頼をすると、無料で査定書を出してもらうことができます。

財産分与がある場合の具体的な対処方法

後に効果的に相手に財産分与請求をするためには、まずは財産資料を集めることが重要です。預貯金通帳や相手の生命保険、不動産登記簿や権利証などのコピーをとります。ネット銀行などの場合には、ウェブ上の明細書の画面をプリントアウトしておきましょう。また、財産分与の割合は、基本的に夫婦が2分の1ずつとなります。そこで、財産の評価が終わったら、それを2で割って、具体的にどのくらいの財産を手元に残せそうか計算しましょう。その金額を踏まえて離婚後の生活設計を検討すると、具体的なイメージがしやすくなります。

相手が財産隠しをしたらどうする?

相手が財産を隠して開示しないこともあります。その場合、どのような財産があるのかがある程度わかっていたら、明細などを照会してしらべることが可能です。たとえば、相手が近日中に退職予定の場合には、会社に照会をすることによって退職金の予定額を調べることも可能ですし、相手の預貯金口座がどこの銀行にあるかわかっていたら、裁判を起こしたときに裁判所から銀行に対し、取引履歴を含めて残高などを調査してもらうことができます。生命保険なども同じで、加入している生命保険会社がわかったら、詳細な契約内容などは照会によって調べることができます。そこで、財産分与を受けたいとき、相手が財産隠しをしても、分与を受けられなくなるとは限りません。

ただ、本当に何の資料もない場合(たとえば、相手が「どこかの銀行に預金を持っている」などと主張する場合)には、調査をすることも難しいです。預貯金調査をするときには、最低限どこの銀行のどこの支店かを特定する必要がありますし、生命保険の場合には、生命保険会社を特定する必要があります。

SNSの利用方法に注意しよう!

離婚を進める際、一つ注意点があります。それは、SNSの利用方法です。今、多くの人はツイッターやブログ、フェイスブックなどのSNSを利用して、自分についての情報を発信しています。ここで不用意なことを書くと、相手に思わぬ情報提供をしてしまうことにもつながります。たとえば、ブログで「今日〇〇に行ってきた」と書いたとします。すると、相手がそれを見て「そんなところに一人で行くなんておかしい。男と行ったのではないか?」と疑われて不倫がバレてしまうこともあります。離婚手続き中は、相手が見ているかもしれないことを踏まえて慎重に投稿をすべきですし、できたら投稿は控える方が安心です。

反対に、相手がSNSを利用している場合には、最大限活用すると良いです。ネット上では、相手が見ていないと思って、ついつい不用意なことを書いてしまう人が多いです。たとえば、相手のブログを読んでいると、「お金がない」と言っているのに意外と高級な物品を購入していることがわかることもありますし、相手の不貞の証拠をとりたいときに、相手のブログを読むことで、だいたいの行動パターンがわかって行動調査をしやすくなることもあります。相手のSNSの内容から、相手の不倫相手の素性がわかることなどもあります。

このように、賢く離婚をすすめるためには、

  • なるべく自分はSNSを利用しないこと
  • 相手のSNSをチェックして内容を検討すること

の2点が重要です。

相手と話合いをしよう!

夫婦の話し合い

離婚の準備ができたら、相手と話合いを始めるのが基本の離婚の方法です。離婚の種類には3種類がありますが、一般的には夫婦が話し合いをして合意をすることにより、協議離婚をすることが多いためです。そこで、上記で説明したような準備が整った時点で、相手に離婚の話を持ちかけましょう。相手が離婚に応じるなら離婚条件を話合いますし、離婚に応じてくれないなら、弁護士を雇ったり離婚調停を起こしたりする必要があります。事前にしっかり検討していたら、必要十分な主張をすることができるので、不利益を受けることはありません。自分一人で相手と話し合いをしていて、方向性などが合っているかどうかわからなくなったときには、弁護士に相談してアドバイスをもらいましょう。

協議離婚合意書を作ろう!

相手と合意ができて協議離婚するときには、協議離婚合意書を作成すべきです。協議離婚合意書とは、夫婦が話しあって決めた離婚条件を明確にした書面です。いったん協議離婚合意書を作成すると、当事者はその内容に拘束されるので、契約書に似たものだと考えると良いでしょう。もし、協議離婚合意書を作成しなければ、離婚後に相手から「そんな約束はしていない」と言われて、約束した慰謝料や財産分与などの支払いを受けられなくなるおそれがあります。そうなると、わざわざ家庭裁判所で財産分与調停をしたり、地方裁判所で離婚訴訟をしたりしないといけないので大変ですし、約束したほどの金額が認められないおそれもあります。

公正証書にしておくべき?

公正証書とは?

協議離婚合意書を作成するときには、「公正証書」にしておくべきです。公正証書とは、公務員である公証人が公文書として作成する文書のことです。協議離婚合意書を公正証書にした場合には、「離婚公正証書」とも呼ばれます。公正証書は、一般人が作成した書面より信用力が高いので、証拠としての効力が高いです。相手が「自分が作ったのではない」といっても認められにくいですし、原本が公証役場に保管されるので、紛失のおそれもありません。

相手が不払いになったときに有効!

また、公正証書の最も重要なポイントは、「強制執行認諾条項」です。これをつけておくと、相手が支払いに応じない場合、裁判手続きをしなくてもいきなり相手の財産を差し押さえることができます。たとえば、養育費を支払ってもらう約束をしても、離婚後に不払いになってしまうことが非常に多いです。そうした場合、自分たちで作成した単なる協議離婚合意書しかなかったら、あらためて養育費調停を申し立てて養育費の支払いを決定しないと、相手の財産を差し押さえることができません。時間も長くかかりますし、その間に相手が財産隠しをしてしまうおそれも高いです。

ここで、強制執行認諾条項がついている離婚公正証書があったら、裁判をしなくてもすぐに相手の財産を差し押さえることができるので、相手が財産を隠す前に預貯金や生命保険を押さえることができますし、相手の会社の給料を差し押さえて、確実に毎月支払いを受けることも可能です。

そこで、慰謝料や財産分与の分割払いを受けるとき、養育費など、離婚後に相手から金銭支払いを受けるときには、特に離婚公正証書を作成しておきましょう。

離婚届けを提出しよう!

相手と離婚合意ができて、協議離婚合意書(離婚公正証書)が作成できたら、いよいよ離婚届を作成して、役所に離婚届を提出します。離婚届けはどこの役所でも用紙をもらうことができます。夫婦の署名押印欄(左側のページの一番下の欄)や証人の署名押印欄以外は、誰が書いてもかまいません。そこで、相手の署名押印欄に署名押印さえしてもらったら、後で自分でその他の部分を書き入れて役所に提出したら離婚をすることができます。

相手との離婚交渉中、離婚届を一通書いてもらって持っておくと、「いつでも離婚届を提出して離婚できる」、と思えるので安心です。

勝手に離婚届けを提出されない方法

勝手に離婚届を提出する人がいる

以上のように、協議離婚で離婚をするときには「離婚届」さえ役所に出したら離婚ができます。そこで、ときどき、勝手に相手の署名押印欄を偽造して役所に離婚届を提出してしまう人がいます。特に、子どもの親権争いがある場合などには、相手が自分を親権者にして勝手に離婚届けを出すことが多いです。この場合、離婚無効調停などの裁判手続きによって離婚を無効と認めてもらう方法もありますが、失敗すると離婚が有効になってしまいますし、離婚を無効にするためだけに多大な労力と時間がかかってしまうので、大変です。

離婚届けの不受理申出をしておこう

そこで、相手が勝手に離婚届けを出す可能性がある場合には、役所に申請をして「離婚届け不受理申出」という手続きをしておくことをおすすめします。

この申出をしておけば、申出者本人の申請がない限り、役所は離婚届けを受け付けてくれなくなるので、相手が勝手に離婚届けを提出して離婚になる危険がなくなります。

不受理申出をするときには、市区町村役場に行って、戸籍担当の人に「離婚届け不受理申出をしたい」と伝え、渡してもらった用紙に必要事項を書き込んで提出するだけでできます。身分証明書と印鑑を持参しましょう。

協議離婚の合意ができないなら、弁護士に相談!

自分たちで話し合いをすすめても、お互いに意見が合わないことは多いです。その場合、協議離婚では離婚をすることができず、離婚調停をする必要があります。調停は、自分ですることも可能ですが、有利にすすめるには弁護士の助けが必要です。また、調停手続き自体は自分で行うとしても、事前に弁護士の法的なアドバイスを受けておくべきです。そこで、協議離婚の話合いが決裂したら、まずは弁護士に今後の対応を相談に行きましょう。そのアドバイスに従って離婚調停を進めていけば、希望する条件に近い方法で離婚をすることができるでしょう。

確実に離婚をする方法を知りたいなら弁護士に相談しよう!

以上のように、離婚を成功させるには、いろいろと押さえておきたいポイントがあります。別居の際にも子どもの親権がほしいときにも、それぞれ注意点があります。慰謝料や財産分与をきちんと支払ってもらうためには証拠集めなどが重要です。相手と話合いをするときにも、話の持っていきかたや、相手の提案への回答方法など、状況に応じて臨機応変に対応しなければなりません。また、合意ができたら離婚公正証書を作成しておくべきです。

つまり、離婚をするときにはたくさんの法的知識が必要で、それを的確に利用していくことが必要なのです。自分一人では難しいことが普通なので、法律のプロである弁護士に相談しましょう。

離婚問題に強い弁護士を探したいときには、インターネットで探すと便利ですし、今は多くの弁護士が無料相談をしてくれるので、そのようなサービスを利用すると費用を節約できて助かります。今離婚したいと思っている人、これから協議離婚の話し合いをしようとしている人、もう話合いを始めている人など、一度早めに弁護士相談を申し込んでみることをおすすめします。

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