離婚後の親権と扶養義務の違い|子どもの扶養控除の申請方法
離婚の前に、親権と扶養義務の違いを知っておきましょう。親権とは、親が未成熟の子(未成年者)を育てる義務のことで、扶養義務は直系の血族あたる兄弟や姉妹がお互いを扶養する義務を意味します。
本記事では離婚後の親権と扶養義務の違いをはじめ、親権を持つ上で注意すべきポイントや、生活に必要な「扶養控除の申請方法」をご紹介します。
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離婚後の親権を決める方法
離婚後の親権者は、話し合いで決定します。親権者は「母親」がなるパターンが多いものの、父親が親権を持つ場合も少なくありません。
離婚後の親権は、子ども一人につき一人の親権者が決定されます。ただ(稀なケースですが)未成年の子どもが二人以上いる場合、それぞれ異なる親権者を定めることがあります。
例えば、10歳の兄と6歳の弟がいる夫婦の場合、父親が兄の親権を持ち、母親が弟の親権を持つといったケースです。同様に間の親権を母親が持ち、弟の親権を父親が持つなど、さまざまなケースが考えられるでしょう。
平成29年(2017年)の厚生労働省「人口動態統計」を見ると、夫が子どもの全権を持つケースは全体の11.8%、母親が子の全権を持つケースが84.6%、父親と母親で親権を分けたケースが3.6%と発表されています。
平成29年(2017年)離婚後、親権を持つ者の割合(総数123,397組)
誰が親権を持ったか | 組数 | 全体の割合(百分率) |
---|---|---|
離婚後、父親が子どもの親権を持っている | 14,555組 | 11.8% |
離婚後、母親が子どもの親権を持っている | 104,423組 | 84.6% |
離婚後、父親と母親で親権を分けた | 4,419組 | 3.6% |
離婚時、未成年の子を持つ夫婦の数は全体の60%程度とされており(上の結果からも)多くの場合母親が親権を持っていることが分かります。もちろん、最近では父親が家事を担当する家庭もあり、将来においては父親が全ての親権を持つ割合が増えてくるでしょう。
なお、親権をどちらも放棄するということは認められず、調停離婚や離婚裁判においても、子ども1人につき親権者を1人を定める必要があり、親権者を決定しない限り、離婚はできません。
また離婚後の夫婦が、共同して親権を持つこともできません(※ 日本では認められないが、海外の場合は共同親権を認める国がある)。一人が親権を持つと、もう一人の親は「非親権者」となり親権を失うことになります。
こうした「日本の親権制度」については、有識者の間で度々議論の的となっています。ただ(本記事の後半でも説明しますが)日本の親権制度については、誤解されている部分も多く、親権を失った非親権者も「子どもの身上監護権」を持つことが認められています。
結果、子どもへの世話や教育、しつけを親権者と同様に行うことができ、親子の交流が断絶される訳ではありません。子どもとの交流や親権の獲得については、夫婦で話し合い納得できる結果を出すのが一番ですが、話合いが難しい場合には離婚弁護士に依頼をし、双方の話合いがまとまるよう(相手側と)交渉をしてもらいましょう。
海外では主流の共同親権、国内ではなぜ認められないの?
日本では両親が共同で親権を持つことは認められていません。しかし海外の場合、離婚をする親が共同で親権を持つことがほとんどで、両親だけで無く社会や地域、国が共同で子どもを守るという考えのもと共同親権を認めています。
一方日本は、離婚をすると親権を分けることはできず、どちらかの親が親権を失うといった形を取ります。とは言え、非親権者は面会交流などを通じ、子どもと接することができ、養育費の支払いによって子どもの生活を支えることができます。
離婚をする母親(または父親)が、「子どもと会わせない」などの強硬手段に出ることは子に会いたい非親権者だけでなく、子どもの心を傷付ける行為です。親権問題でトラブルにならないためにも、離婚弁護士に相談をし、親権者の決定は慎重に進めてください。
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親権と扶養義務の違いを比較
親権とは、親が未成年の子を育てる権利のことです。具体的には子どもの身の回りの世話をし、教育を受けさせ、必要な躾(しつけ)をおこなうほか、子どもに代わって財産を管理したり、法的な行為を行うなどの内容を指します。
子どもはある程度大きくなるまで、親が身の回りの世話をしたり、場合によっては、法的な行為を代行してもらう必要があります。例えば、非親権者に養育費を請求する場合は、親権者が子どもに変わって、養育費を支払うよう請求を行います。
親権の形は、婚姻時と離婚後で大きく変わります。夫婦が離婚をする前は、夫婦が共同で子どもの親権を持ちますが、離婚後は妻か夫のいずれかが親権者となり、片方は非親権者(親権を失う)になります。
扶養義務と親権は、似て非なるものです。親権は既に説明をしたとおり、親が子どもを育てる権利(身上監護権+財産管理権)のことです。
対する扶養義務は、直系の血族にあたる兄弟姉妹がお互いを扶養する義務のことで、離婚をした後も、親には子どもへの扶養義務があります。
扶養義務とは?
扶養義務(ふようぎむ)とは、扶養義務は民法877条以下に定められた法律で、一定範囲の親族が、お互いの生活を保障する義務を意味する。扶養義務者は親子だけでなく、直系血族と兄弟姉妹も該当し、特別の事情があれば3親等内の親族が扶養義務を負うことがある。
ただし、最低限度の生活保障は家族間に扶養義務を求めるのではなく、国が最低限の生活を保障するのが一般的となっている。
また親権では「未成年の子を育てる」定めがありますが、扶養義務には子の年齢(未成年者かどうか)制限はなく、子どもが病気や怪我、その他やむを得ない事情があり、自立が困難な場合には、親が「扶養義務」を負います。
子がある程度成人し、扶養の目的が子の浪費やその他、回避できる理由であれば、自身の生活を犠牲にしてまで子の扶養義務を負うことはありません。特に、親権者の生活をひっ迫するような場合は、子がはやく自立するよう促すか、自立が難しい場合は、最寄りの自治体で相談をしたり、親権問題に詳しい離婚弁護士に相談してみましょう。
離婚弁護士の専門は、離婚調停や親権だけで無く、子の扶養義務など広い範囲に及びます。親族の金銭トラブルについても、頼りになる弁護士に相談しましょう(初回相談料無料の弁護士事務所が多いので安心です)。
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親が再婚をした後も、扶養義務は継続される
離婚をした親が、将来再婚した場合、扶養義務は消滅するのでしょうか…?
実は、離婚をした夫婦が再婚をした場合にも、子どもへの扶養義務は消滅しません。また子どもから見た親権者が再婚をし、別の親と養子縁組(=普通養子縁組)を行った場合にも実親(じつおや)の扶養義務はなくなりません。
普通養子縁組とは?
普通養子縁組(ふつうようしえんぐみ)とは、実親との親子関係を継続させたまま、別の人物の養子になること。
ただし特別養子縁組の場合、実親と子どもの親子関係は消滅となり、扶養の義務もなくなります。
特別養子縁組とは?
特別養子縁組(とくべつようしえんぐみ)とは、子どもが6歳未満で戸籍上の記載が長男・長女の場合、実親と同等の権利を持つよう「新たな親子関係を創設する」ための養子縁組。
特別養子縁組(とくべつようしえんぐみ)は、子が小さい間に「より深い親子関係を築く」目的で結ばれる養子縁組の仕組みです。
ここで、普通養子縁組と特別養子縁組の違いを分かりやすく、表にまとめておきます。
普通養子縁組と特別養子縁組の違い
区分 | 普通養子縁組 | 特別養子縁組 |
---|---|---|
子どもの年齢 | 制限なし | 6歳未満 |
戸籍上の記載 | 養子/養女 | 長男/長女 |
実親との関係 | 親子関係は継続 | 離縁 |
成立 | 育ての親が親権者と協議を行い契約をする | 裁判所に申し立てを行い審判を受ける |
養育費の受給 | なし | なし |
実親の扶養義務 | あり | なし(新たな親が扶養義務を持つ) |
このように普通養子縁組は、実親との親子関係は継続したまま、二重の親子関係が形成される仕組みです(親権者が再婚をした場合)。一方の特別養子縁組は、6歳未満の長男/長女が新たな家庭のもと、新しい親権者によって扶養が行われます。
とはいえ、特別養子縁組が行われるのは「年間500件程度」と非常に少なく、多くの場合は普通養子縁組によって実親と子の関係は継続されたまま、二重の親子関係が築かれています。
養子縁組と里親制度の違い
里親制度とは、子を育てられない親の代わりに里親が一時的に子どもを預かり養育をする制度です。里親は自治体などから手当や補助金を受け取り子どもの世話を行います。なお、里親と子どもには法的親子関係はありません。
対する養子縁組は、民法に基づき法的な親子関係を成立させる制度です。このため、(養子縁組を行った親子は)子に対し親が親権を持ちます。
養子縁組にも普通養子縁組と特別養子縁組があり、普通養子縁組は親権者があるものの、実親と子の扶養義務は生じない制度です。
一方の特別養子縁組は、実親と子の関係を法的にも絶ち、新たな親子関係が「実親と子」の関係に近いよう、安定した家庭が築けるといったメリットを持ちます。
親権を持つ上で気をつけたいこと
親権を持つ上で気をつけたいのは、養育費の問題です。子どもを愛するあまり、急いで親権を取得しようとする親がいます。また、親権を取りたいという理由だけで「養育費なしでも良いので、親権を譲って欲しい」と相手側に提案し養育費を放棄する人がいます。
母親が親権を持ったとしても女でひとつで子どもを育てるのは「経済的負担」が大きくなります。もちろん、離婚後すぐに再婚相手が生活の面倒を見てくれるというのであれば話は別ですが、養育費を放棄した方の多くのが、育児と仕事の両立によって疲弊しています。
このため、親の一時的な感情で「養育費を放棄」してしまっては、後々後悔する可能性が高くおすすめしません。なぜなら、教育費を除く子どもの養育費は平均1,600万円前後必要だからです。これに教育費(進学費用)を含めると…母親一人ではカバーできない程の金額に相当します。
また養育費を放棄しなくても、母子家庭の約7割が養育費を受け取っておらず、子どもの進学費用がかさんだ場合には(母子ともに)苦しい生活を強いられています。
養育費を放棄する前に、親権や扶養の問題は自分一人で解決できるのか、冷静な判断が求められます。みなさんも、お子さんが成人するまでにかかる費用(生活費や教育費の総額を)をシミュレーションしてみましょう。
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子どもが成長するまでに、最低3,000万円の養育費が必要
子どもが成人をするまでに必要な費用は、約3,000万円〜6,000万円とされています。例えば公立幼稚園、公立小学校、公立中学校、公立高校、国立大学という道を選んでも約3,000万円の費用が掛かる計算です(成人までの基本養育費を1,640万円とした場合)。
また、私立幼稚園、公立小学校、私立中学・高校、私立大学に進んだ場合には3,800万円、さらに私立の医科・歯科大学に進んだ場合には約6,000万円もの費用が掛かります(成人までの基本養育費を1,640万円とした場合)。
子どもを一人育てるのに「家を一棟建てる」くらいの費用が掛かるのですから、親一人で子どもの教育や生活を支えていくのは厳しく、シングルで育てるのには金銭的負担が重すぎます。
実際にどちらかの親が「親権を獲得」しても非親権者の扶養義務は消滅しません。このため、親権の問題に関わらず、子どもの扶養はそれぞれの親が責任を持って行うべきです。
離婚後の親権と扶養の取り決めは、弁護士立ち会いのもと書面に残しておくと安心
親権や養育費の問題は夫婦間で話し合いを行い、取り決めをした内容は書面に残すようにしましょう。公正証書を作成しておけば、後々養育費や扶養の問題についてトラブルが起きにくく、子どもが安心して暮らせるようサポートできます。
なお公正証書の作成方法や、子どもの養育費、親権問題は、離婚問題に強い弁護士に相談しておくとさらに安心です。離婚弁護士であれば、親権者の決定や協議内容を公正証書にする方法、扶養義務の取り決めを(離婚をする)双方の間に立って手続きを進めてくれます。
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扶養義務を持つ上で気をつけたいこと
親になるということは、子どもの一生を預かるという「大きな責任」を負う行為です。子どもには自身を育て養ってくれる親が必要で、親は子に対する扶養義務を一生に渡って持ち続けるのです。
本記事の冒頭で、親権はどちらかの親が持つ以外「共同親権は認められていない」と説明しました。しかし、親権と監護権を分けることは認められており、非親権者であっても身上監護権を持つことが認められています。
民法第766条第1項には以下の通り、監護権を認める根拠が示されています。
民法第766条第1項
父母が協議の上の離婚をするときは、子の監護をすべき者(中略)は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
監護権とは、子どもの身の回りの世話や教育、しつけ、住所や職業を決めるなど、親権にも含まれる「身上監護権」のことです。親は親権を失った場合でも、子に対する世話や教育、住まいや職業を決定する権利(義務)があるのです。
親権は身上監護権と財産管理権によって成り立っている
ここでもう一度『親権』についておさらいをしましょう。親権には「身上監護権」と「財産管理権」という二つの権利があります。
親権を構成する身上監護権と財産管理権
身上監護権 | 子どもの身の回りの世話、教育、しつけ、住所や職業を決めるなどの権利 |
---|---|
財産管理権 | 子どもの財産を管理、子どもの法的行為を代行する権利 |
親権者は、身上監護権(しんじょうかんごけん)と、財産管理権(ざいさんかんりけん)を持つことになります。
一方、親権を手放した非親権者にも①の身上監護権が認められており、親権と身上監護権を(親権者・非親権者でそれぞれ)分けることができます。
離婚後の権利(親権者と非親権者)
親権者 | 身上監護権、財産管理権を持つ(=親権) |
---|---|
非親権者 | 親権と独立した「身上監護権」が持てる |
親権者・非親権者ともに、子に対する扶養義務は継続されます。このため、財産管理権以外の権利については「親権者・非親権者」とも、ほぼ同等の権利が持てるのです。
ただし、養育費の問題については別です。日本では母親が親権を持ち、父親が非親権者として養育費の支払い義務を担っています。
離婚後の養育費と扶養の義務
区分 | 扶養の義務 | 養育費の支払い |
---|---|---|
親権者 | あり | 非親権者から養育費を受け取り、子どもの生活保持に充てる |
非親権者 | あり | あり |
養育費の金額は、夫婦の所得や子どもの数によって異なります。養育費の計算方法や、養育費の目安は以下の記事を参考にしてください。
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離婚後の扶養控除と寡婦・寡夫控除の違い
扶養控除(ふようこうじょ)とは、控除対象の扶養親族がいる方に対し、一定の控除が行われる仕組みのことです。
扶養控除(ふようこうじょ)とは?
ここでの扶養者は配偶者以外の親族(6親等内の血族、3親等内の姻族)や都道府県知事から養育を受託された里子、養護を受託された老人などを指す。
納税者と生計を一にし年間の合計所得が38万円以下であること。青色申告の専業専従者として一度も給与の支払いを受けたり、白色申告の専従者として働いていない扶養者がいる納税者は、一定の扶養控除が受けられる。
扶養控除の対象になれば、所得税と住民税がそれぞれ控除されます。離婚をした後も、子どもが扶養控除対象者であれば、扶養控除の手続きをしましょう。
扶養者控除でいくら税金が控除されるのか
扶養控除制度では、実際に「いくら税金が控除される」のでしょうか。ここで、年齢と対象者の区分によって受けられる、所得税の控除額と住民税の控除額をまとめてみました。
扶養者控除と控除される税金の額
対象者 | 年齢 | 所得税の控除額 | 住民税の控除額 |
---|---|---|---|
一般の扶養控除対象扶養親族16歳〜18歳38万円33万円 | |||
特定扶養親族 | 19歳〜22歳 | 63万円 | 45万円 |
一般の扶養控除対象扶養親族 | 23歳〜69歳 | 38万円 | 33万円 |
老人扶養親族(同居する老人への扶養) | 70歳以上 | 58万円 | 45万円 |
老人扶養親族(その他) | 70歳以上 | 58万円 | 38万円 |
※ 子どもへの扶養を70歳以上まで続ける親はまずいませんが、参考までにすべての扶養控除(所得税・住民税)の金額を掲載しています。
一生のうち支払われる養育費は(全額、離婚協議で決めた金額に沿えば)数千万円にも上りますが、扶養者控除を受ければ、所得税だけで年間38万円〜63万円、住民税も33万円〜44万円まで控除されるため「税の負担」は軽減されます。
ただし扶養控除の該当となるのは、16歳以上の扶養者に限定されます。以前まで、16歳未満の子どもにも扶養控除が適用されていましたが、国の財源などの関係上、16歳未満への優遇措置は廃止されました。
扶養者控除は16歳以上の扶養者のみ受けられる
扶養親族のなかで16歳以上の方については「扶養控除」が適用されますが、扶養親族となるには所得者と生計を一にすることが条件となっており、養育費を支払っている子どもの扶養控除は「生計を一にしている」ことになりません。
ただし離婚後、毎月子どもに対して養育費を支払い、実質的に「子どもを扶養している」場合には扶養控除の対象となります。
養育費と扶養控除の条件
- 離婚後毎月、子どもに対し養育費のを継続し支払っている → 扶養控除の対象になる
- 離婚後、養育費の支払いは限定的(継続して支払っていない) → 扶養控除の対象外
このように子どもへの養育費は「生計を一にしているか」で決まってくるのです。子どもに毎月継続し扶養を行っている方は、支払いの負担を軽減するためにも、扶養控除の手続きを行ってください。
なお19歳以上〜23歳未満の扶養親族については、住民税が年45万円、所得税は63万円の特定扶養控除が適用されます。
特定扶養控除とは?
特定扶養控除(とくていふようこうじょ)は、12月31日現在の年齢が16歳以上23歳未満の人)に対する所得税・住民税の控除で、教育費がかさむ世代の税負担を軽減する目的で創設された。
所得税と住民税だけで108万円の控除が受けられるのは、経済的負担を軽減するのに役立ちます。子どもの進学費用を支払う予定の非親権者の方は「特定扶養控除」を必ず申請してください。
参考リンク:No.1180 扶養控除|所得税|国税庁
また子どもへの養育費問題について、法的手続きが必要な方は、離婚問題を専門に扱う弁護士に相談しましょう。
扶養者控除の申請方法
扶養者控除の申請方法ですが、給与取得者の方は年末調整の書類(下の画像を参照)の真ん中部分「16歳以上の扶養家族」該当者の氏名と個人番号、続柄、生年月日、住所氏名などを記入してください。
16歳未満の扶養家族は税控除の対象外ですが、住民税の非課税基準額を計算するために、扶養者の報告が必要です。
同じく「給与取得者の扶養控除等異動申告書」の一番下「16歳未満の扶養家族」の欄に、該当者の氏名と個人番号、続柄、生年月日、住所氏名などを記入してください(下の画像を参照)。
給与所得の源泉徴収票は、支払者の所轄税務署へ支払った年の翌年の1月31日までに提出する必要があります。
なお給与取得者の源泉徴収票の提出範囲と書類提出の仕方については、国税庁のホームページで詳しく解説しています。
参考リンク:No.7411「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数
給与所得者以外(個人事業主など)で、確定申告を行う方
確定申告を行われる方は(給与取得者と申請の)手順が異なります。まず確定申告書の「住民税に関する事項」の部分を見てください。ここに扶養者の氏名、続柄、生年月日、別居の場合の住所、個人番号を記入します(下の画像を参照)。
確定申告書の作成方法、提出方法については国税庁のホームページを参照してください。
参考リンク:所得税(確定申告書等作成コーナー)|国税庁
平成24年に16歳未満の扶養控除が廃止された
平成24年までは、16歳未満の年少扶養親族には33万円の扶養控除が適用されていましたが、平成24年以降は年少扶養親族は廃止となっています。
また平成24年まで存在した、16歳〜19歳未満の扶養者に対する扶養控除の上乗せ(12万円)も廃止。扶養控除は33万円で統一されることとなりました(=一般扶養控除と同じ)。
離婚後の扶養者控除は、寡婦・寡夫控除になる
これまで「配偶者の扶養控除」を受けていた方は、扶養を受ける年の12月31日の時点で配偶者と別れていれば扶養控除は受けられません。
例えば、平成30年の年末調整を行う場合、平成29年の12月31日までに離婚をしていたら29年度の配偶者控除は受けられません。平成29年度の税控除を受けたいのであれば、平成30年の1月1日以降に離婚をする必要があります。
ただし、本項前半で説明した「寡婦・寡夫控除」については、離婚時期や親権者・非親権者の区分に関係無く(自身の税優遇の)申請が行えます。
寡婦・寡夫控除とは?
寡婦・寡夫控除(かふこうじょ)とは、夫や妻と離婚や死別をしたが婚姻をしていない人で、年間所得38円以下の扶養家族がいる場合で、合計の所得が500万円以下の方に適用される所得控除のこと。
寡婦控除と寡夫控除の違いですが、寡婦控除は夫と離婚または死別をし、扶養か親族がいる人のうち、合計所得金額が500万円以下の人を指しています。
参考リンク:No.1170 寡婦控除(国税庁)
一方の寡夫控除は、納税者本人の合計所得金額が500万円以下であり、離婚または死別をした妻がおり、離婚後の妻が再婚をしておらず、生計を一にする子がいる場合(子の総所得は年38円以下で他の控除対象や扶養親族になっていない人)に適用されます。
ここで寡婦・寡夫控除でいくら、税の控除が受けられるのか見てみましょう。
寡婦・寡夫控除でいくら、税の控除が受けられるのか
区分 | 所得金額の要件 | 控除額 |
---|---|---|
寡婦控除 | 合計所得が年500万円以下 | 270,000円 |
寡夫控除 | 合計所得が年500万円以下 | 270,000円 |
また夫が勝手に家を出て行き、生死が不明な場合には「特別の寡婦」として控除額は35万円に変わります。
特別の寡婦(特別の寡婦控除)
一般の寡婦に該当する人が次の要件の全てを満たすときは、特別の寡婦に該当し、所得の控除額は35万円になります。
・夫と死別し又は夫と離婚した後婚姻をしていない人や夫の生死が明らかでない一定の人
・扶養親族である子がいる人
・合計所得金額が500万円以下であること。
寡婦・寡夫控除の条件については、国税庁のホームページを確認してください。
参考リンク:No.1170 寡婦控除(国税庁)
弁護士に親権と扶養義務の問題を相談するメリット
離婚弁護士は親権や慰謝料の問題だけでなく、離婚調停や訴訟など、離婚に関するすべての問題を解決してくれる頼もしい存在です。相談料も初回無料とし、報酬についても成功報酬型を取る弁護士事務所も多いです。
離婚と子どもに関するお金の問題でお困りの方は、信頼できる離婚弁護士に相談しましょう。
一人で悩まずご相談を
- 相手が離婚の話合いに全く応じない
- 話合いが平行線のままで親権者が決まらない
また、離婚にともなう税金の問題(扶養控除、寡婦・寡夫控除)については、税務を専門に扱う税理士に相談すれば安心です。
参考リンク:相続税相談広場 |相続税対策・相続税申告は税理士に無料相談
まとめ|離婚後の親権と扶養義務の問題は離婚弁護士に相談しよう!
ここまで説明した通り、離婚後の親権は子供一人につき一人の親権者が必要で、親権者が決まらないかぎり離婚はできません。また、別れた者が共同で親権を持つことは、日本の法律で認められておらず、一人が親権を持つともう一人の親は親権を失い「非親権者」となります。
親権と身上監護権は分けることができ、親権者は身上監護権と財産監護権を持ち、非親権者は財産監護権を独立して持つことができます。ただし扶養義務は、離婚をした後も両親が持ち続けることになります(特別養子縁組を除く)。非親権者が継続して養育費を支払い続ける場合には、扶養者控除が認められます。
子供の扶養者控除は、16歳以上と年齢の条件はあるものの扶養者控除が申請できるので、該当される方は忘れず控除申請をしましょう。扶養者控除のほか、別れた妻や夫についても寡婦控除や寡夫控除があり、所得税と住民税の控除があります。
離婚後は、養育費の問題を含め何かと経済的負担が大きくなります。親権者の問題だけでなく子育ての費用が不足しないよう、配偶者とともに養育費の問題を話し合ってください。重要事項については、離婚弁護士を間に挟み、協議をした内容は公正証書に残すようにしましょう。
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