共同親権とは?2026年4月施行・離婚後共同親権のメリット・デメリット

2026年4月1日、改正民法の施行により、日本でも離婚後の共同親権が選択できるようになりました。
これまで日本では離婚後の親権は単独親権のみが認められてきましたが、父母が協議のうえ共同親権を選択できる制度が正式にスタートしています。
離婚後の共同親権とはどのような制度なのか、メリット・デメリット、そしてこれまでの導入経緯とあわせて解説します。
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共同親権とは?
共同親権とは、父母両者に親権を認める制度
共同親権とは、父母両者に親権を認める制度・考え方のことです。婚姻中の夫婦はともに子どもの養育に直接関わる、共同親権の状態にあります。
これまで離婚時に「親権がほしい」と悩む親は多く、親権争いになることも少なくありませんでした。
離婚時に親権をめぐる争いが生じるのは、日本では離婚後の親権は単独親権になることが法律上定められていたためです。実際に親権争いに発展した場合には、離婚時に壮絶な経験をする方も多く、特に、父親の場合、親権を得るのが難しいケースが多く、弁護士に相談する人も多くいらっしゃいます。
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改正前の民法は、離婚後は単独親権制度だった
今回の改正前、日本の民法は、「親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う(令和8年改正前民法 818条3項)」と定め、婚姻中の共同親権を規定していました。
一方で、「父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。(令和8年改正前民法 民法819条1項)」と定められており、離婚後の単独親権が規定されていました。
令和8年(2026年)4月1日に施工された改正民法では、この離婚後に関する規定が「父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その双方又は一方を親権者と定める。(民法819条1項)」と変更され、離婚後に共同親権も選択できるようになりました。
離婚後共同親権の導入により、親権争いはなくなる可能性
今回導入された共同親権とは、いわゆる離婚後共同親権について、離婚後も婚姻時と同様に父母の両者に親権を認める制度を指します。
離婚後共同親権が導入され、父母の双方に親権が認められるようになったことで、DV・モラハラなど共同親権を選択しかねる問題がない限り、離婚時に親権争いをする機会はなくなります。
これまでは親権争いそのものが離婚で揉める原因となっていた面もあり、親権を巡って家族関係に亀裂が入るケースも少なくなるものと考えられます。
共同親権の導入による変更点
2026年4月1日の改正民法施行により、離婚後の親権制度は大きく変わりました。
これまで日本では離婚後の親権は必ず一方の親のみに帰属する単独親権制度が採られてきましたが、改正後は父母が共同親権を選択できるようになっています。ここでは、制度・手続きの面で具体的に何が変わったのかを整理します。
離婚時の親権の決め方が変わった
これまでは、離婚する際に必ずどちらか一方を親権者と定めなければなりませんでした。
改正後は、父母の協議によって共同親権か単独親権かを選択できるようになりました。
協議で合意できない場合は家庭裁判所が決定する
父母間で親権の方針について折り合いがつかない場合や、子の利益の観点から必要と判断される場合は、家庭裁判所が親権の在り方を決定します。当事者同士の話し合いが前提となりますが、合意できなければ裁判所が判断する仕組みが整えられています。
DV・虐待がある場合は単独親権が定められる
共同親権の導入に際して、特に懸念されていたのがDVや虐待がある場面での運用です。改正民法では、暴力その他の事情により子の心身に害悪を及ぼすおそれがあると認められる場合、家庭裁判所は一方の親の単独親権を定めることとする規律が明確に置かれています。
被害を受けている側の親が不利にならないための配慮
DV被害者が共同親権の枠組みの中で加害者と関わり続けることを強いられないよう、子の安全を最優先とした判断が裁判所に求められています。DV・虐待の事実がある場合には、共同親権ではなく単独親権が定められることが原則的な対処となります。
施行前に離婚済みの場合も共同親権への変更が可能
改正民法の施行日である2026年4月1日より前に離婚が成立し、すでに単独親権となっているケースについても、施行後に家庭裁判所へ共同親権への変更を申し立てることができます。
変更申し立ての際も子の利益が判断基準となる
申し立てに際しては、現在の単独親権の場合と同様に、子の利益の観点から家庭裁判所が判断します。自動的に共同親権に切り替わるわけではなく、申し立てと審査のプロセスが必要です。
養育費・面会交流のルールも整備された
共同親権の導入にあわせて、子の養育に関する周辺制度も見直されています。主な変更点は以下のとおりです。
養育費の確保が強化された
養育費の不払い問題への対応として、養育費債権に先取特権が付与されました。これにより、取り決めた養育費が支払われない場合に、他の債権よりも優先して回収できる法的根拠が整備されました。具体的には公正証書や調停調書などの債務名義がなくても、養育費に関する父母間の合意書があれば上限8万円までの強制執行(差し押さえ)が行えるようになりました。
また、法定養育費制度が新設され、夫婦間で養育費の取り決めが行われていない場合でも、子どもと暮らす同居親は別居親に対して月額2万円を請求できるようになりました。
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面会交流は親子交流としてルールが明確化
離婚後の面会交流についても、親子交流と名称を変え、ルールが明確化されました。
子の利益を中心に、共同親権・単独親権いずれの場合においても、子が双方の親と関わる機会が確保できるよう配慮する形で、面会交流の実施に関する考え方が整理されました。
親子交流の方法としては、従来からある面会交流(対面で会って話をする、一緒に遊びに行くなど)に加え、プレゼントの贈呈、手紙、電話やビデオ通話、メール、SNSなどでの交流も含めて広く認められます。
また、子どもの利益に「特に必要がある場合」を条件として父母以外の親族(祖父母・兄弟姉妹など)との交流も認められるようになりました。ただし、両親以外の交流を申し立てた場合、その必要性について裁判所は親の面会よりも厳しく判断します。
一方、交流することで身体的・精神的暴力などのおそれがあり子の安全を確保できない場合や、子ども自身が親子交流を拒否する場合などは、裁判所が親子交流の実施を制限する場合もあります。そうした判断のすべては子の利益を中心に検討・判断されます。
父母の基本的責務が法律上明確化された
今回の改正では、親権の選択制度にとどまらず、父母としての基本的な責務が民法上に明文化されました。
具体的には、子の人格の尊重、年齢・発達段階に応じた養育、同程度の生活水準を維持するための扶養、そして婚姻の有無を問わない父母間の相互協力が、子の利益を中心とした養育の原則として位置づけられています。
離婚後も「親としての義務」は続く
共同親権・単独親権の別にかかわらず、父母はともに子の養育に責任を持つという考え方が、今回の改正によって法律上の根拠を持つことになりました。離婚は夫婦関係の解消であり、親子関係の解消ではないという原則が、より明確に制度に反映されています。
日本での離婚後共同親権導入検討の背景

離婚後共同親権の制度取り入れが議論されてきた背景には、以下のような意見があるためです。
- 離婚後に元妻が子どもに会わせてくれない
- 親権がないため、子どもの教育に口を出せない
- 離婚後に子どもと関わることを制限された
このような問題点をなくすために、共同親権の取り入れが検討されています。
日本での導入検討が進んできた離婚後の共同親権
日本での共同親権導入については、数年以上前から有識者からの指摘はありましたが、最近では2020年7月に欧州連合の欧州議会本会議にて、日本の親が日本国内で子どもを連れ去る事例についてハーグ条約を履行する措置を講じるように日本政府に要請したのがきっかけです。これを受けて、法務大臣が共同親権の導入について検討していることを明かしました。
国際離婚の事例で特に問題視される
初期に報告されたのは、日本人の女性と外国人の男性が国際結婚し、子どもをもうけたものの、離婚時に妻が子どもを連れ去り日本に帰国してしまったとする事例です。離婚した男性は、子どもを連れ戻す術がなく重要な課題となりました。
これを受けてハーグ条約が締結され、現在では海外からの連れ去り事例に対しての多くは対処できるようになりましたが、国内での離婚時に連れ去る事例はなかなか解消していないことから今のような議論が始まっています。
専門家の意見からは、離婚時に単独親権となり、一方の親が永続的に子供と会えなくなってしまうのは人権侵害だとも指摘されています。このような背景から日本でも父母両者に親権を認める制度の採用に関する議論が始まっているのです。
外国では共同親権が優勢
日本では「離婚時に単独親権」が法的に定まっていますが、諸外国ではどうなのでしょうか?
2019年に行われた外務省の調査によると、調査をした24か国中離婚後も父母に親権を認めている国は多数派でした。数にして、24カ国中22カ国が共同親権を認めています。
関係24カ国で共同親権を認めていないのは、2カ国のみ
調査結果によると父母双方の親権を認めていないのは、インドとトルコだけです。父母双方の親権を認めている国としては、アメリカ、フランス、イタリア、スイス、イギリス、ドイツ、スペイン、インドネシア、ブラジル、韓国など、日本とも関係が深い国が数多くあります。先進国の中で単独親権制度を取り続けている国は少数派となっていました。
共同親権といっても、それぞれの国で何を共同とするかは異なります。イタリアは教育等に限定して双方に親権認め、ドイツでは子供にとって重要な事項につきそれぞれが親権を行使するケースが多いようです。抽象的に元夫婦に共同親権を認め、揉めたら裁判にて決着をつけるというケースもあります。
離婚後共同親権の導入が必要とされてきた理由

共同親権の導入が必要とされてきた主な理由についてご説明いたします。また、父母両方の親権を反対する理由についても見ていきましょう。
国際カップル間の親権問題に対処できない
先に少しご説明しましたが、国際カップルの離婚時に、日本人女性が子供を勝手に日本に連れ帰る事例については国際的に大きな話題となりました。日本は、離婚時に女性が子供を連れて出て行っても、逮捕されるほどの事案とはなりませんが、海外では見解が異なります。
日本で「親が子を連れ去る」という事象は、海外では「誘拐」と表現されるのです。
例え自分の子であっても他方の親の了解なく、勝手に連れ去ってしまう場合には誘拐であると考えます。
2019年にG20で来日したフランスのマクロン首相は、日本人妻に子供を連れ去られたフランス人男性らと面会し、話を聞いています。いずれも、いきなり妻が子供を連れて家を出て行ってしまった事例であり、それ以来子供と一緒には暮らせていないのです。
ハーグ条約では、日本国内の事例は対処できなかった
子を連れ去る事例を規制する法律には、ハーグ条約があります。
2014年に日本もこの条約に署名しており、仮に日本人が勝手に子供を日本に連れ帰った場合でも、「子を元の居住国に返すこと」を原則とし、「親子の面会交流権を確保すること」を定めています。
しかし、この条約では日本に住む国際カップルには対応できません。
日本でも国際カップルは多く暮らしており、日本国内で子供を連れて逃げ去ってしまった場合には対処できないという課題がありました。
国際間の法律の違いが現実の課題を生む
また離婚時に面会交流権を得たとしても、現実には数回ほど実行されただけで十分な親子の交流が保たれていないという現実もあります。
海外では父母ともに親権が認められている国が多いことから、親としての権利が侵害されていると考える人もいます。法制度の違いから現実の課題が発生していました。
日本では、父親の親権は認められにくい
日本では、母親が親権を獲得するケースが9割を占めており、例え父親が親権を望んだとしても退けられてしまうケースが一般的でした。
これは、「子供は母親に育てられるべき」との思想が根強いことや、父親がフルタイムで働きながら子供の世話をするのが現実的でないと考えられる側面があるためです。
継続性の原則が、父親が親権を獲得できない1つの理由
また、法律に明記されているわけではありませんが、「継続性の原則」が父親の親権を認めにくくしていたとも言われています。継続性の原則とは、子供の現状を尊重することを指します。できるだけ環境を変えないことが子供の福祉に資すると考えられることから、離婚時にどちらが子供の世話をしていたのかが問題となりやすくなるのです。
現実問題として、日本では男性がフルタイムで働き、女性はパートをしながら育児・家事を担うという家庭が多いため、母親が継続して育児をする方が子供のためになるという考えが一般的でした。
日本人夫婦でも「子どもの連れ去り」事案は起きる
これは子を連れ去る問題でも同じです。例え母親が子供を勝手に連れ去ったとしても、母親の養育環境下で子供が生活してきたのであるから、そのままの環境が子供のためになると考えられてしまうでしょう。国際間の夫婦だけでなく、日本人同士の夫婦の場合でも「子供の連れ去り」は同様の事例を引き起こすのです。
離婚後共同親権には反対の声も

上記のように、国際間の離婚の際の親権トラブルや父親の親権獲得が難しいことなどを理由に、父母両者の親権の必要性が説かれていますが、実際には反対の声もあります。反対の理由としては、以下が挙げられます。
- 子どもの負担が大きい
- 一方の親が虐待、育児放棄、薬物中毒の危険を持つ場合、子どもの権利が脅かされる
以下、内容を具体的に見ていきましょう。
子どもの負担が大きい
共同親権に関しては、「子供と過ごす親の権利」をメインに主張が展開されていますが、子供の視点がないことが問題視されています。父母の両者が親権を持つことで、子供は良心の家を行き来したりしなければいけなくなる、生活環境が不安定になる可能性があるなど、子供が不安定な状態に置かれてしまいます。子供の視点から見て、本当に「共同親権」が子供のためになるのかをきちんと考えるべきだとの指摘です。
一方の親が虐待、育児放棄、薬物中毒の危険を持つ場合、子どもの権利が脅かされる
仮に父母に親権が与えられた場合、両方の親に居処指定権、懲戒権、監護権、教育権などは父母が2人で決定できることになります。
しかし、片方の親が虐待をする親であるならば、このような権利が濫用される危険もあるでしょう。また育児放棄をしている親に子供を預けるのは不安しかありません。薬物中毒などを抱えていれば、子供の世話をすることができるのかも疑問です。
このような状況下では、子供を危険に晒してしまうため、導入検討を進める中では、一方の親に問題がある場合に備えた法整備が必要だという主張がありました。
離婚後の共同親権を導入するメリット

共同親権の必要性が議論されていますが、実際に採用されると、どのような利点があるのでしょうか? 父母両者が親権を持つことメリットについてご説明いたします。
離婚後も育児を平等に分担できる
離婚すると、一方の親が子どもと一緒に住み、子どもの世話に関しては一方に比重が高くなってしまいます。離婚時に夫婦の関係が悪化していない場合には、共同で育児をする方法をうまく練り出し、実行している方もいますがあくまでも理想といえる形にとどまるでしょう。
仮に離婚後に父母に親権が認められるならば、夫婦が協力して育児を分担することになります。夫婦の取り決めにもよりますが、海外の事例を見ていると子どもがお互いの家を行き来する、あるいは両親ぞれぞれが子どもの住む家を行き来することになるため、育児関しても平等に分担しやすくなります。
シングルマザーの貧困化の問題解消にも繋がりやすい
日本では、シングルマザーに養育の負担がのしかかり、十分にお金を稼ぐことができず、貧困に陥ってしまうケースが社会問題化していますが、このような問題を解決できるきっかけになるかもしれません。
親権争いの激化を防げる
離婚の際は、子どものことだけでなく、お金のことや家のこと、その他のことなどさまざまなことを決めなければいけません。離婚には合意しているという夫婦でも、その他の条件で揉めてしまい離婚調停や離婚裁判になる、弁護士に仲介してもらうなどに発展するケースも実際にあります。
親権問題に関しては、特に争いが大きくなりがちです。
日本では「親権=子ども一緒に住む権利」という要素が強く、「親権を失う=子どもを奪われる」という印象が強いため、真剣が危うい理由がある場合、どうしても親権を獲得したい場合には、必死になるでしょう。
また離婚する相手への恨みなど、強い感情もあわさると「離婚後は子どもと関わらせたくない」と考えてしまう人もいます。
両親の揉め事が減ることは、子どもにとってもメリット
共同親権が認められれば、離婚条件の中でも争いやすい問題が1つ減ることになるため、熾烈な離婚劇にならずに済みます。両親の中が必要以上に悪化することは子どもにとっても辛いことになってしまうため、このような事態が避けられるというのは良いことではないでしょうか。
親子の関わりを失わずに済む
離婚時に単独親権下の日本では、子どもの親権が取れないと一緒に住むことができなくなるケースがほとんどです。この場合、一緒に住むことができない親は、子供との関わりのほとんどを失ってしまうことになります。子どもがまだ小さいうちは、ちょっとした成長を見るのも親の楽しみですが、このような楽しみは奪われてしまいます。
一緒に住まずとも面会の権利の実効性は高まる
しかし、共同親権が認められれば、親子の関わりの機会は増えるはずです。仮にどちらか一方と住むことになったとしても親権があるため、今よりも積極的に子どもと会う機会増やすことを主張できるようになります。どこの学校に行かせるかなど、子どもの教育に関わる権利も持つことができるのはメリットといえるでしょう。
子どもも親との関わり続けられる
離婚することにより、親と子の繋がりが失われるのは悲しいことです。離婚は親の勝手ですることですが、子どもには関係のないことです。子どもにはどちらの親とも関わる権利があり、その機会が奪われてしまう今の制度よりは子どもにとっても利点があります。
養育費の支払いが今より実行力を持つ
共同親権の場合、養育費に関するこのような状況を打破することができる可能性があります。子供との関わりを失わなければ、「この子のために」と支払う親は多いですが、関わりがないと「誰に支払っているのかわからない」「前の配偶者が信用できない」として支払わなくなるケースを防げます。
厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」という統計では、養育費の支払い状況についての調査が行われています。養育費の取り決めをしている家庭は、母子家庭で約43%、父子家庭で21%でした。
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養育費を「現在も受け取っている」と回答した母子家庭はたった24%
また、養育費の取り決めをして受け取っている家庭のうち、現在も受け取っていると回答したのは母子家庭で24%、父子家庭で3%です。この調査結果からは、例え養育費の取り決めをしたとしても、きちんと支払われていない状況が明らかです。最初は養育費を受け取ることができても、相手が再婚したことをきっかけになくなったとする意見もあります。
「父親の親権獲得が難しい」問題を解消できる
共同親権が認められれば、親の両者が親権を持つことになるため、父親の親権問題の多くは解消されるはずです。「どちらが一緒に住むか」という課題も今よりは母親優先の考え方は和らいでいく可能性があるでしょう。
日本では父親が親権を獲得することはかなりハードルが高いといわれています。母親が働いていない場合でも、子どもを連れ去った場合でも、母親が親権を持つ可能性は十分にあるのです。このような状況に対して、不公平であるとの指摘や人権侵害だとの指摘もあります。
ジェンダー的役割解消のきっかけになる可能性も
父母両者に親権があれば、父親、母親、と性別関係なく親として子どもを養育する義務・権利を引き続き負うことになります。日本では、父親が働き母親が家事・育児をする」という考えが今でも根強くありますが、このようなジェンダー的問題も解消できるという副次的効果もあるかもしれません。また両親ともに子どもとの関わりを失わずに済むというのは1つのメリットといえるでしょう。
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離婚後の共同親権を導入するデメリット

多くのメリットがある共同親権ですが、他方でデメリットにはどのような事態が考えられるのでしょうか? 導入することのデメリットについてご説明いたします。
子どもの精神が不安定になる可能性
単独親権のままなら、生活の基盤である住む家が頻繁に変わるということはないため、子供に負担がかからないといわれています。他方共同親権になると、子どもが親の家を行き来して生活するケースは海外では珍しくありません。両方の親が子どもと一緒に住めるというメリットがある一方、子どもの精神面が懸念されています。
子どもは、どこに自分の居場所があるのか把握できなくなってしまう
親の家を行き来する子どもの意見では「居場所がない」と感じる、などこれまでの「両親がいる家」がなくなってしまったことに不安を感じるケースがあるそうです。またしょっちゅうそれぞれの両親に会うことになるため、それぞれの親に気を使って接するようになるとなど影響も懸念されています。子どもは学校に通ながら、習い事もして、家も週によって変わる、という環境では、精神的に疲弊してしまう可能性が指摘されているのです。
子どもの生活に負担がかかる可能性
先に言及した通り父母両者に親権を認める場合、子どもが親の家を行き来することになる可能性があります。この場合、精神的な負担も考えられますが、現実の負荷も考えなくてはいけません。例えば、「毎週末父親に家に行く」などとする場合、子どもが友人と遊ぶ時間がなくなってしまったり、習い事などにいけなくなってしまったりする可能性もあります。
基本的には両親の生活の都合で子どもが動かされてしまうことになってしまうため、子どもの生活への負担は大きくなるでしょう。また子どもは一方の親に会えることを期待していたのに、親の仕事の都合などで予定が変更されるとストレスに感じることもあるかもしれません。
デメリット解消に、親が子どもの住む家に通う選択肢もある
海外では、このような子どもへの負担を避けるために、「子供と一緒に住んでいた家に親が通う」という手法が取り入れられていることもあります。子供からすると、これまでと同じ場所で生活ができるため、それぞれの両親の家に通うよりは負担が少なく住むでしょう。
近くに住む必要があるケースも
共同親権の場合、一方の親と子どもが一緒に住むことになったとしても、面会交流権に関してはこれまでより厳格に対処することになるでしょう。つまり、親の都合で子どもを他方の親に会わせないということは認められにくくなるということです。例えば、二週間に1回は子どもと会う機会を与えるという取り決めがある場合、遠方に住んでいる場合はかなりの負担が伴います。今現在の場所から離れたいと考えている場合でも、遠くの実家に住むなどの選択肢は難しくなるケースがあるでしょう。
両親それぞれが子どもに会う権利を尊重することになるため、会いにいく側が負担を負うケースもあるかもしれません。現実的に、仕事や用事で子どもが住む場所にまでいけない場合は、近くに住むという選択肢を迫られる可能性もあるでしょう。
教育方針で裁判沙汰になってしまうことも
海外の事例を見てみると、教育に関する意見などをめぐって両親が対立することがあります。単独親権の場合には、親権のある親が教育に関する事柄も他方の親に相談することなく決定することができますが、共同親権ではこれは難しくなります。例えば、私立の学校に行かせるのか、公立に活かせるのか、などをめぐって争いになるケースもあるでしょう。
親権に関して意見の対立がある場合には当事者の話し合いをメインで解決していくことになりますが、最終的な調整に関しては調停や裁判になってしまうこともあるかもしれません。こうなると、子どもが両親の対立に巻き込まれてしまいますので、子どもが混乱や不安を感じることになるでしょう。
一方の親にDV等がある場合に逃げられない
反対意見としても指摘されていますが、一方の親にDVがある場合共同親権があると、相手から逃げられないという問題があります。DVを受けている場合には、子どもを連れてシェルターなどに隠れるということもあるでしょう。この場合、離婚が決まったとしても、定期的に相手に合わなければいけないため、親子ともに身体や生命への危険が伴います。
共同親権が認められる場合には、このような課題に対して何らかの措置が取られることが期待されていますが、法律できちんと整備されるのかについてはまだわからないことも多いため、DV被害者である親子に危険が及ぶとの指摘があります。
ご参考:「共同親権」導入 法務省は民法などの改正案を今国会提出方針 | NHK | 子育て
共同親権導入に関する議論 これまでの経緯
共同親権はどのような経緯で導入されたのでしょうか。以下に、2026年施行に至るまでの主な動きを時系列でまとめます。
2022年4月19日 「離婚後共同親権」導入前提の議論を開始
2023年4月19日、法務省の法制審議会-家族法制部会が「離婚後の共同親権」導入を前提として議論を進めていくことに合意した、との報道がなされた。
婚姻中にDVがあった場合や、子どもの教育や養育をめぐって意見が対立する場合など、共同親権を導入した場合の問題点もふまえ、今後、具体的な制度設計の検討に入る。
検討の中では、父母両方の同意をもとに共同親権・単独親権を選択できる仕組みを前提に、父母双方で意見が割れた場合の親権の決定方法、共同親権を選択した場合、子どもに対する義務・役割分担・親の権利などに対して適用される内容・範囲などが検討されていく。
2022年6月20日 法務省による離婚後共同親権の導入提案方針の決定
2022年6月20日「法務省は離婚後の共同親権の導入を提案する方針を固めた」旨、報道がありました。
中間試案の取りまとめ、パブリックコメントの実施など、具体的な検討の道筋が示された。
DV・暴力被害の影響など共同親権の一斉導入に一定のリスク・懸念が存在することもふまえ、法務省としては「子の最善の利益にかなう」状況が実現できるよう、父母の話し合いや裁判所の判断で、選択的に共同親権を採用できる形を検討していく方針を固めた。
ご参考:毎日新聞「離婚後の共同親権を提案へ 法務省、法制審部会に 8月にも試案」
2022年7月19日 共同親権を含む親権制度見直し案のたたき台の提示
2022年7月19日、法制審議会 家族法制部会にて、共同親権を含む親権制度見直し案のたたき台が提示された。
ただき台は
- 共同親権を認めるか、現行民法が定める単独親権を維持するか
- 共同親権を認める場合、原則共同親権として単独親権を可能とするか、原則単独親権として共同親権を可能とするか
といった根本的な方針についての各案とあわせて、監護権のあり方や面会交流についてなど、共同親権を導入した場合を想定した試案・考え方を整理したものとなっており、この日の会議で出た意見をふまえ、8月末に中間試案が示す予定とした。
参考:
法務省 法制審議会家族縫製部会 資料18-1「家族法制の見直しに関する中間試案のたたき台(修正版)」(PDF)
2022年11月15日 離婚後の親権のあり方に関する中間試案
当初予定より遅れた2022年11月15日、離婚後共同親権に関する中間試案が示された。
中間試案は、
- 共同親権を原則、条件満たせば単独親権を選択可能
- 単独親権を原則、条件満たせば共同親権を選択可能
- 原則は定めず個別で判断
- 従来どおり単独親権を維持
と、共同親権の方向性は定めず、ひきつづき議論・検討を続ける前提で複数の方針が併記された。
参考:日本経済新聞「離婚後の共同親権で3案提示 単独親権案も併記、法制審 中間試案、方向性定めず」
2022年12月6日 「家族法制の見直しに関する中間試案」に関するパブリックコメント公示
2022年12月6日、上記、中間試案に関して、国民の意見を募るパブリックコメントが公示された。
パブリックコメントの募集は2023年2月18日までの2ヶ月強の間行われた。
参考:朝日新聞DIGITAL「離婚後の子どもの「共同親権」めぐり、6日からパブリックコメント」
e-Gov「家族法制の見直しに関する中間試案」に関する意見募集
パブリックコメントの内容は法制審議会家族法制部第24回会議(令和5年3月28日開催)において「部会資料24」として、中間試案に対して集まった意見として、とりまとめられた。
参考:法務省「法制審議会家族法制部第24回会議(令和5年3月28日開催)」
2023年8月29日 民法改正要綱案たたき台の提示
2023年8月29日に開催された法務省の法制審議会家族法制部会第30回会議では、共同親権を導入する民法改正要綱案のたたき台が提示された。
このたたき台は、2022年2月までに行われたパブリックコメントの内容をふまえたもので、共同親権に関する部分は
父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その双方又は一方を親権者と定めるものとする。
法制審議会家族法制部会第30回会議(令和5年8月29日開催)部会資料30-1 より引用
と記述された。
たたき台では、虐待が起きた場合の対応や、監護者の定義と監護者ではない親権者との関わりなどについても方針が示された他、養育親がもう片方の親へ養育費を請求しやすい仕組みづくりも含まれており、全体として離婚後の子育てで起こり得る課題を解消する設計を目指していた。
ご参考:法務省が共同親権導入案 離婚後、父母双方または一方に
2024年1月30日 共同親権の導入を含む家族法制の見直しに関する要綱案のとりまとめ
2024年1月30日、法務省の法制審議会・家族法制部会(第37回)において、離婚後の共同親権の導入を含む家族法制見直しの要綱案が取りまとめられた。
要綱案では、離婚時の親権の定め方について、父母の協議により共同親権または単独親権を選択できる仕組みを提示。協議が整わない場合や子の利益の観点から必要がある場合には、家庭裁判所が決定する枠組みが示された。
また、DVや児童虐待等により子の心身に害悪を及ぼす、又はそのおそれがあるケースを想定し、子の安全確保を最優先として裁判所が単独親権を定める規律を置くなど、安全配慮に関する手当ても明確化された。
さらに、父母の基本的責務として、子の人格の尊重、年齢や発達段階に応じた養育、同程度の生活の維持に資する扶養、そして婚姻の有無を問わない相互の協力を位置づけ、子の利益を中心とした養育の原則が整理された。
この要綱案の取りまとめを受け、政府は改正法案の国会提出に向けた作業を本格化。以後の審議を経て、制度化に向けた検討が進むこととなった。
ご参考:法務省 「家族法制の見直しに関する要綱案」(令和6年1月30日)
2024年5月17日 第213回国会「民法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第33号)が可決・成立
2024年5月17日、第213回国会で「民法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第33号)が可決・成立し、同年5月24日に公布されました。
この改正では、離婚後の親権について「父母が共同親権か単独親権かを選択できる」制度が導入され、あわせて養育費や親子交流など子の利益を確保するための関連規定も見直された。
施行日は一部の規定を除き、公布の日(2024年5月24日)から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日とされ、2025年10月31日の閣議では、正式な施行日が2026年4月1日と決定した。
また、施工前の離婚により単独親権となっているケースについても、民法施工後に共同親権への変更申し立てが認められることも発表された。
まとめ
離婚後の親権のことでお悩みの方は弁護士に相談を
離婚の際に親権のことで悩む方は非常に多かった分、共同親権の導入は今後に大きな影響を及ぼします。離婚協議を進める中で、共同親権を認めるべきか、単独親権を求めるか、不安要素があり心配をぬぐいきれない場合は、弁護士にご相談いただくのが一番です。弁護士に相談すれば、離婚前後での親権に関する検討、および離婚後の配偶者や子どもとの関わりについてなど、必要なアドバイスを受けられます。
また、親権や親子関係以外にも離婚時には他にも決めなければならないことがたくさんあります。1人で抱えて辛くなる前に、弁護士にご相談ください。
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