養育費が払われないとき泣き寝入りしないための3つの対処法

支払いが滞ったら

子どもの父親から養育費を払ってもらえなくなったとき、どう対処すればよいのでしょうか。養育費を継続して受け取っているひとり親は3割に届かないという厳しい現状がありますが、泣き寝入りをするしかないわけではありません。2026年4月に施行された改正民法により、養育費を回収する手段は大きく強化されています。

養育費を受けている家庭は3割に届かない

途中から養育費を不払いになる父親が驚くほど多い

離婚をしたときには、離婚協議書などで養育費の取り決めをしたため、必ず払ってもらえると思っていた人も多いことでしょう。実際に養育費が不払いになってしまったとき、「まさか払ってもらえなくなるとは、夢にも思わなかった」と落胆する人が多いのが現状です。

厚生労働省の全国ひとり親世帯等調査によると、離婚後に現在も養育費を受けていると答えた母子世帯は3割に届きません。離婚後に働く環境が厳しいにもかかわらず、この水準にとどまっています。

取り決めをしないまま離婚できてしまう協議離婚の構造

日本では、ほとんどの夫婦が二人の意思によって協議離婚をします。誰に遮られることもなく離婚を決断できるという利点がある一方、養育費の取り決めをしないまま離婚届が受理されてしまうという問題もありました。裁判所が関与しないため、支払いが滞っても手続きの拠り所がないというケースが多かったのです。

欧米の多くの国では離婚に裁判所が関与し、その過程で養育費の取り決めがなされます。日本でも改正民法によって、取り決めがない場合に一定額を請求できる法定養育費の制度が設けられ、この差は縮まりつつあります。

【養育費不払いへの対処法1】法律のプロに相談する

離婚に詳しい弁護士に相談するのが、解決への早道

養育費の不払いが生じたときに、自分だけの力で解決することは極めて難しいと考えた方がよいでしょう。経済的な問題もあるかもしれませんが、事情が許す限り、離婚に詳しい弁護士などの法律のプロに相談することをおすすめします。

当サイトで離婚問題に強い弁護士を検索し、まずは事情を伝えて解決策があるかどうかを訊ねてみるのが、一番賢明な方法です。さまざまな離婚のパターンを熟知している弁護士であれば、これまでの解決事例を例に挙げて、解決の方法を一緒に考えてくれるでしょう。

「法テラス」に弁護士費用を立て替えてもらうこともできる

弁護士費用に余裕がない場合でも、国の司法支援センターとしての機能を持つ「法テラス」という組織があり、無料で相談できると共に無利子で費用を立て替えてもらうこともできます。ただし、弁護士選びには相性の問題もあるので、法テラスだけでなくいくつかの弁護士事務所で法律相談を受けてみることも非常に有益です。

実際に、養育費が不払いになっても、弁護士に相談することで支払いを復活させた人も大勢います。自分と子どもとの安定した生活を確保するためには、けっして諦めることなく、養育費問題に正面から立ち向かっていく勇気が必要です。

<対処の事例1>内容証明郵便を出す

養育費の不払いで弁護士に相談をした場合、多くのケースがこの方法を実践します。支払いを求める旨の内容を書いた手紙を、内容証明郵便で相手に送るのです。ボクシングに例えれば、ジャブを送るような方法です。

内容証明郵便自体に法律上の効力はありませんが、養育費を支払わない相手に対して、十分にプレッシャーを与えることはできます。内容証明郵便は個人でも送ることができますが、弁護士が代理人として差出人になっていることで、相手がビックリして支払ってくるというケースは少なくありません。

<対処の事例2>裁判所から「履行勧告」を出してもらう

もし離婚の際に調停や裁判で養育費が決定されていた場合は、内容証明郵便でも支払いが行われなかったときに、裁判所から「履行勧告」を出してもらうこともできます。履行勧告とは、調停や審判の決定事項を守らない相手に対して、裁判所が約束を守るように勧告をしてくれるというものです。それでも守らないときには、「履行命令」「強制執行」へと進むことも可能です。

<対処の事例3>相手の勤務先や口座を裁判所に照会してもらう

差押えをしようにも、相手の勤務先や口座がわからないというケースは少なくありません。2020年4月に施行された改正民事執行法により、裁判所を通じて金融機関に預貯金口座を、市町村や年金機構に勤務先を照会できる「第三者からの情報取得手続」が整備されました。これにより、相手が転職や口座の変更をしていても、財産を特定して差押えに進める道が開かれています。

調停や裁判の実績が無い場合は、この時点で調停を起こす方法もあるでしょう。その場合は弁護士のアドバイスをしっかりと聞きながら、慎重に物事を進めることが肝心です。

【養育費不払いへの対処法2】国や自治体の相談窓口を訪ねる

養育費の不払いを、社会的な問題ととらえる国や自治体

ひとり親家庭の貧困問題が問題視される中、養育費の不払いについては国や地方自治体も強く憂慮しています。こども家庭庁の委託により、養育費の取り決めや不払いに関する相談窓口が設けられており、面談や電話、メールによる相談に応じています。

各自治体の「母子家庭等就業・自立支援センター」などにも、相談員が配置されています。自治体によって対応はさまざまですが、本気で解決を望むのであれば、まずは一歩を踏み出してみることです。最寄りの相談センターに連絡をして、事情を相談してみましょう。そのことで、いい解決策が得られる場合もあります。

法改正で回収の手段が大きく強化された

養育費の不払いが横行している現状を受けて、法制度は段階的に整備されてきました。

まず2020年4月に改正民事執行法が施行され、支払義務があるのに養育費を払わない相手の預貯金口座を金融機関に照会できる制度が設けられました。相手の口座や勤務先が特定できれば、強制的に養育費を回収する道が開かれます。

さらに2026年4月に施行された改正民法では、養育費の債権に先取特権という優先権が付与されました。これにより、公正証書などの債務名義がなくても、取り決めをした文書などをもとに差押えの手続きを申し立てられます。取り決め自体がない場合にも、子どもを監護する親が一定額の法定養育費を請求できる制度が導入されました。

かつては、離婚問題の範囲で個人の口座を照会することができず、相手が姿をくらませば回収を諦めるほかありませんでした。現在は、諦める前に取り得る手段が確実に増えています。

養育費の「合意書」を配る自治体もある

離婚をする夫婦に養育費の「合意書」を配る取り組みに乗り出した自治体もあります。兵庫県明石市では、2014年4月から離婚届の用紙を取りに来た夫婦に対して、養育費の金額や支払期間などを記入する独自の「合意書」を配り始めました。その後、同様の書式を用意する自治体は各地に広がっています。

合意書自体に強制力があるわけではありませんが、調停や公正証書を作る際の資料にはなります。取り決めをしないまま離婚してしまうことを防ぐという点で、意味のある取り組みです。

離婚届を提出する市区町村の窓口で、養育費や親子交流に関する取り決めの書式や相談先を案内している場合があります。離婚の手続きを進める段階で、一度確認しておくとよいでしょう。

【養育費不払いへの対処法3】自力で相手に立ち向かう

よほどの用意周到さが無い限り、独断での行動は控えるべき

養育費問題に悩む人の中には、「どうしても弁護士費用を払いたくない」「自分の力で何とかしたい」という人もいます。しかし、これはその人によほどの図太さと用意周到さが無い限り、けっしてお勧めできるものではありません。法律に関わる問題は、一度やり方を間違えると、かえって取り返しのつかない結果を招いてしまう可能性もあるからです。

法律に詳しく、かつ冷静に物事を進めていくことができる自信があるのであれば、自力で相手に立ち向かうという選択肢もないとはいえないでしょう。

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