不倫の代償。バレたら失うモノと支払う慰謝料の考え方
不倫を行い、周囲や配偶者にバレると様々な代償を支払う結果になります。相手に言えないようなことをしていると、最終的に良い結果に終わらないことがほとんどです。
今回は、不倫がバレた場合どのような代償があるのか、慰謝料が発生した場合の相場や不倫を清算するためにはどうしたらよいかなどを解説します。
不倫にはどのような代償が待っているのか、家庭や社会生活の破滅を避けるため、うまく不倫を解消する方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
不倫がバレた場合の代償とは?
不倫がバレた時、様々な代償を払う可能性があります。一般的に不倫が露呈した時、どのような代償があるのかを見ていきましょう。
家庭が崩壊する
不倫が家族にバレると、配偶者はもちろん、親や親族からの信用もなくなります。信用のない相手と円満に家庭を続けるのは非常に困難であり、家族の関係性は確実に悪化するでしょう。様々な事情から別居を免れたとしても、同じ家にいながら会話や関わりを全く持たない家庭内別居状態になるケースも多々あります。
また、もし子供が不倫の事実を知ると、親としての信頼を失うばかりか「家族よりも不倫相手のほうが大切なんだ」と心の傷となり、長期に渡り親子間のしこりとなるかもしれません。
不倫の影響は、家庭だけにとどまらず、家族それぞれの人生に激震を与え、狂わせるおそれもはらんできます。
離婚を請求される
結婚している人が不倫相手と1度でも肉体関係を持った場合、その行動は「不貞行為」にあたります。
不倫をした側は有責配偶者となり、自分からの離婚請求は認められなくなります。
また、不貞行為は法廷離婚事由とみなされ、離婚調停・審判など裁判所を介した折衝となった際は、有責配偶者の賛否に関わらず、裁判所が離婚を認める根拠のひとつとなります。
不倫の発覚をきっかけに、夫婦が離婚に至るのは実によくあることです。実際、ある調査では浮気が発覚後の離婚率は、浮気発覚発覚前の離婚率に比べ、非常に高い水準になると言われています。
現在、不倫をしている男性は、万一妻に不倫がバレた際には、相応の夫婦関係トラブルは起こり得ると、事前の覚悟が必要です。
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別居の場合、婚姻費用の支払いが続く
不倫した結果、離婚まではいかずとも夫婦で別居生活になることもあります。
収入が多い方の配偶者は、もう一方の配偶者に対して別居中の生活費(婚姻費用)を支払う義務があります。これは、民法第760条が「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。」と定めていることによるものです。
婚姻を継続していても別居生活では家賃も食費・生活費も2軒分がかかってくるため、家計に対して生じる負担は決して小さくはありません。
たとえば不倫をした夫の妻が専業主婦だった場合は、夫は妻に対して毎月婚姻費用を支払う必要があります。
婚姻費用は夫婦双方の収入・家庭を営む上で必要な支出金額などに応じて決めていくことになりますが、原則的には夫側で一方的に妻に対する支払いをやめたり、減らすことは認められません。
さらに、不倫が原因で別居となったケースでは、有責配偶者自身の意思で離婚することはできません。
配偶者が納得し、離婚を承諾するまでの間は、婚姻費用の支払いは続きます。
子どもに会えなくなる
不倫が露呈し離婚に至ると、子どもに会えなくなる可能性があります。
夫が不倫して離婚するケースでは、子どもの親権(身上監護権)は母親である妻側が取ることが一般的です。もともと親権争いは母親優位になる傾向がある中、離婚原因が夫の不倫となれば、夫側が親権を望んだとしても獲得するのはまず困難でしょう。
自分が非親権者となった場合、子どもの養育は親権者である母親に委ねる形となり、自分と子どもは離れて暮らすことになります。
子どもと会えるのは、面会交流の取り決めに従い、限られた時間のみ。面会交流の階数は1~3か月に1回程度が一般的ですが、面会交流の実施自体に消極的で、次第にあまり会わせてもらえなくなるケースも多々あります。
もちろん、不倫によって信頼を失い子ども自身が面会を拒否すれば、現実的に顔を合わせることはまずできなくなるでしょう。
高額な慰謝料・示談金の負担
不倫が妻や夫にバレてしまうと、場合によっては多額の慰謝料を請求させられるケースがあります。慰謝料とは、心を傷つけられた結婚相手の精神的苦痛に対する損害賠償で、不倫期間の長さや頻度によっては、数百万円に達する場合もあります。
慰謝料は妻(夫)から請求されることもありますが、不倫相手の配偶者から請求されることもあります。
20年以内の不倫は慰謝料請求の対象
不倫慰謝料を請求できるのは、
- 不倫があってから時効まで(除斥期間)……20年
- 配偶者が不倫を知ってから時効まで(消滅時効)……3年
たとえ配偶者が不倫の事実にすぐ気が付かなくても、20年以内に不倫をしていた場合、その不倫は慰謝料請求の対象となります。
たった一度きり、記憶もおぼろげというような不倫・浮気でも、除斥期間20年を過ぎるするまで、慰謝料請求のリスクは消えません。
親族や友人、会社での信用を失う
不倫していた事実が周囲にバレると、社会的な信用を失います。親族や友人はもちろん、会社でも信用できない人というレッテルを貼られるもの。
身内や社内での信頼を取り戻すまでには、長い時間、日常生活における真摯な努力が必要となり、真の信頼回復への道のりはなかなか困難です。
職場にいづらくなり失職するケースも
不倫の事実が社内でバレると、いくら仕事で頑張っていても人間性を疑われてしまうため、会社に居づらい雰囲気になります。不倫相手や配偶者が会社に怒鳴り込んでくることもあるかもしれません。
不倫トラブルをきっかけに職場にいるのが精神的に苦しくなり退職する方もいれば、社内不倫が原因で閑職への異動や、解雇・失職に遭うケースもあります。
(本来、不倫のみを原因に会社が社員を解雇することは労働契約法上、認められません。それでも、信頼関係の問題から会社の業務に支障が出るケースは現実として存在し、一定の処分・処遇を行う会社も多々あるのが実際です。)
不倫がバレた場合、家庭だけではなく社会的な生活も脅かされるリスクがあることは理解しておきましょう。
訴訟を起こされる
不倫がバレた後の話し合いで決裂した場合、配偶者や不倫相手から訴訟を起こされる可能性もあります。
不倫慰謝料をめぐる損害賠償請求訴訟の場合、不倫の事実の有無・慰謝料金額の妥当性などが争点となります。
不倫相手のパートナーから訴えられる可能性も
自分が既婚の場合は配偶者だけではなく、不倫相手のパートナーから訴えられるケースも多くあります。
示談交渉や調停で和解に至らず、訴訟にまで至ってしまうと、慰謝料の金額や弁護士費用も大きく跳ね上がります。
裁判に負ければ、相手の裁判費用の負担も求められ、金銭的に大きな負担となるのは確実です。
プライベートな内容を法廷で暴かれる
裁判は1回で終わることは少なく、数か月続くのが一般的です。裁判が長期化するほどに、精神面の負担も大きくなります。
こと不倫にまつわる裁判の場合は、月に1回以上裁判所に出向き、セックスの頻度や内容、不貞行為の詳細までを法廷で問われ、話すことになります。あまりにプライベートな内容を他人の前で事細かに説明させられるのは、そのこと自体が辱めに近い行為で、強い精神的苦痛は避けられません。
罪悪感に苦しめられる
不倫により家族や周囲を傷つけ、その後罪悪感に苦しむ方は多くいます。
不倫中は高揚して気にならなかった行動なども、不倫がバレてから後悔することもあるでしょう。
中には、罪悪感のあまりうつ状態に陥ってしまう人もいます。うつ状態がひどくなってしまい仕事や日常生活に支障が出てしまうと、さらに罪の意識が強くなり負の連鎖となります。
たとえ不倫がお金などで清算できたとしても、罪悪感をすぐに消すことはできません。
具体的事例に見る不倫の代償
不倫の代償として、様々なものを失った人は決して少なくありません。
不倫でなにかを失った3つのケースを事例でご紹介します。
社内不倫で会社を退職。社会的信用を失ったAさんの場合
Aさんは50代のサラリーマン。高校生と中学生の子どもがいて、奥さんと共にごく平凡な家庭を営んでいました。会社は新卒で入って30年目、30代のときに建売の一軒家を購入し、ローン返済があと10年以上残っています。
恋愛で結ばれたAさん夫婦でしたが、結婚生活を20年以上も送っていると、妻とは完全にマンネリの関係でした。「俺の人生もこんなもんか」と思っていたところに、30代で独身の素敵な女性が、中途社員として入社してきたのです。
Aさんはその女性の指導を任され、マンツーマンで丁寧に指導をするうち、いつの間にか不倫関係に陥ってしまいました。そしてある日、残業で残ったAさんとその女性が、不倫関係を結んでいる現場を、なんと別の社員が目撃してしまったのです!
そのウワサは、次の日になると社内中に広まってしまいました。社員からは白い目で見られ、いたたまれなくなった不倫相手の女性は自主退職。そしてAさんも上司の逆鱗に触れ、会社を解雇されてしまいました。
30年間も勤めた会社を、あっけなく退社させられてしまったAさん。50代ですぐに転職先がきまるはずはなく、残ったローンの支払いに、貯金を食い潰す日々を送っています。「たかが不倫と思っていたら、こんなにも代償が大きいものだとは、夢にも思わなかった」と、今更ながら後悔するのでした。
妻の浮気相手に150万円の慰謝料を請求したBさんの場合
Bさんは結婚17年目。妻と3人の子どもがいて平和な日々を送っていましたが、2年前から妻が不倫関係に陥ってしまいました。一度は離婚を考えたBさんですが、子どもたちのことを考えて離婚は取りやめ、妻とやり直そうと決心しました。
そんな矢先、浮気相手には新しい相手ができ、そのショックで妻は自殺未遂を図ってしまいました。これにはさすがに「許せない!」と感じたBさん。妻の浮気相手に対して、150万円の慰謝料を求める損害賠償請求を起こしたのです。
これを知った浮気相手は、ビックリ仰天!「ただの遊びのつもりだったのに、何でオレがあいつのダンナに150万円も払わなければならないんだ?」と、不倫の怖さを思い知るのでした。
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単身赴任中の不倫で離婚。妻子と別れて後悔するCさんの場合
Cさんは40代のビジネスマン。妻と小学生・中学生の子どもと4人で、平和な日々を送っていました。上司に営業力を買われたCさんは、地方の支社立ち上げのリーダーに抜擢され、「家を買ったばかりだし、子どもたちも転校は可哀想だから、妻と子はおいて一人で行こう」と決意。九州に単身赴任をしたのです。
赴任して数ヶ月後、Cさんはバリバリと仕事をこなしましたが、「電気のつかない暗い家に帰るのは寂しい」といつも感じていました。そんなときに知り合った取引先の事務員さんが、自分に好意を持っていることを知り、つい出来心で不倫関係になってしまったのです。
Cさんはたびたびその女性を家に招き、朝まで一緒に過ごしました。ところが、ある日Cさんと女性が寝ていたときに、突然妻がやってきてしまったのです。「最近連絡がないと思っていたら、やっぱりこういうことだったのね!」と妻は激怒。有無を言わさず、離婚届を突き付けられました。
不倫が理由で離婚に至ってしまったCさんは、3年後に単身赴任が終わって帰ってきたものの、そこには誰も待っている人はいませんでした。マンションの一室で寂しく暮らしながら、「あのとき、寂しさに負けて浮気をしてしまった自分がバカだった。単身赴任は寂しかったけれど、今のとてつもない寂しさに比べたら、何のことはなかった」と、後悔し続けるCさんでした。
不倫の代償となる慰謝料の相場はいくら?
不倫の代償として支払う慰謝料は、50万円~300万円程度が相場です。
慰謝料は不倫の経緯や内容、離婚の有無など様々な要素で変わる
慰謝料の金額は不倫の経緯や内容・期間に最終的な離婚の有無など様々な要素で変わります。
不倫後も婚姻を継続したケースよりも、離婚に至ったケースの方が、不倫による精神的損害・影響は大きいものと判断され、慰謝料金額も高くなるのが一般的です。
また、不貞の頻度が多く長期間に渡る、不倫していた期間中に家族を悪質に扱っていた場合、さらに金額は上がります。
長期の不倫関係、離婚トラブルの中でDVやモラハラなども派生した悪質性の高い不倫行為の場合、500万~1,000万以上もの不倫・離婚慰謝料が認められた判例も存在します。
不倫・浮気の慰謝料について詳しくは下記で解説しているので、参考にしてください。
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不倫をやめる場合の解消法
不倫を清算したいとき、間違った方法をとってしまうと話がこじれてしまいます。ここでは、不倫を解消するためのおすすめのアプローチを4種類紹介します。
不倫相手と話し合う
まずは正直に不倫相手と話し合い、関係を解消できるようにしていくのが大切です。
話し合いの中では、不倫を続けるリスクやこのまま関係を継続してもその先はないことなどを具体的に伝えることが効果的と言えます。
中には話し合いで別れようとしても相手が拒否して難しくなるケースもあります。穏便な話し合いが難しそうな場合は、別の手段を考える必要があるでしょう。
物理的に距離を置く、会わない
不倫関係の解消がうまくいかないのであれば、物理的に相手と会わない環境に身を置くのも効果的です。
具体的には、それまで住んでいた場所からの引っ越しや、職場内不倫の場合は転職など、生活環境そのものを変える取り組みです。
一方的に不倫をやめると伝えると角が立ちますが、物理的に交際が困難になることで穏やかに距離を置けるでしょう。
着信拒否は事態を悪化させるおそれも
物理的に距離をおくのは、あくまで自然な流れで行うことが大切です。
急に着信拒否をしたり、一方的に会わないと突っぱねると、連絡がつかないからと自宅などに急に相手が押しかけてくるケースも少なくありません。
着信拒否されたからと恨みが募り殺傷事件に発展する事例も存在するなど、急な態度の変化に相手が思いつめ、思いもよらない行動に出る可能性があります。
話がこじれてうまくいかないからといって、決して強引に関係を断つのは避けた方が穏便でしょう。
解決金を支払う
解決金、いわゆる手切れ金を支払って解決を図るのも一つの不倫解消方法です。
慰謝料代わりの解決金を支払うことで、相手と不倫関係解消の約束を取り付けます。
お金を渡す際、相手には「今後一切不倫について他言しない」などの合意を得て書面で残しておくことで、不倫問題解決後の暴露リスクを軽減できます。
また、不倫を解消する対価としてお金を受け取ったことで、相手がそれ以上追求しにくくなりのもメリットです。
解決しない場合は弁護士に相談する
不倫相手との関係解消を話し合いやお金での解決など様々な手段で試しても解決できない場合は、なるべく早い段階で弁護士に相談するのがおすすめです。
ストーカー、脅迫など相手の対応がエスカレートした場合も相談を
また、別れ話をする中で、脅迫やストーカー行為など不倫相手の行動がエスカレートした場合は、特にすぐ弁護士を間に立てるべきです。
相手がなかなか納得しないからと放っておくと、話がこじれて暴露による社会的ダメージや、最悪は痴情のもつれから傷害事件などに発展してしまう可能性もあります。
不倫は社会的には負い目のある行為です。なんとか自分で解決しようと弁護士に相談しないうちに、かえって悪い方向に話が進んでしまう方は決して少なくありません。
不倫トラブルの悪化を避けるためにも、自分一人で解決が困難と感じた場合は、すぐに弁護士へとご相談ください。
まとめ
ここまで解説しました通り、不倫が周囲にバレた場合の代償は甚大です。
相手への不倫慰謝料の支払いだけではなく、家庭の崩壊や社会的な立場を失い、日常生活の破綻・破滅に至るきっかけとなります。
万一、配偶者以外の相手と不倫関係を持ってしまった場合は、周囲に知られる前に、早めの対応で関係を解消するのがベストな方法でしょう。
不倫問題の解決にも様々な方法があります。自分で解決することが難しい場合は、大ごとになるのを防ぐため早めにお近くの弁護士までご相談ください。
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