借金地獄から抜けだすには?債務整理することの意味
借金の返済が毎月厳しくて苦しい生活が続く、いわゆる「借金地獄」から抜け出すにはどうすればいいのでしょうか。
借金地獄を抜け出す有力な手段が債務整理です。
債務整理の仕方には「任意整理」「個人再生」「自己破産」「特定調停」の4パターンがあり、それぞれにメリットやデメリットがあります。
また、払い過ぎた利息の返還請求ができる「過払い金返還請求」も債務整理の方法の1つです。過払い金の請求は時効が10年なので、気づいた時点で早期に対策をすることが重要になります。
借金地獄を抜け出す4つの債務整理
債務整理には、以下の4つの方法があります。
- 任意整理
- 個人再生
- 特定調停
- 自己破産
また、払い過ぎた利息を返還請求する「過払い金返還請求」も、広く言えば債務整理のひとつです。
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任意整理
裁判をしないですむ方法
債務整理の中で、裁判所を介さずにできる唯一の手続きが任意整理です。裁判を利用しないため、決められた方法はありません。債務者側で整理案を作成し、貸金業者と直接交渉して合意を得ながら進めていく手続になります。
将来の利息をカット
任意整理の中で、利息制限法に基づき利息を再計算することで残債務が確定します。将来の利息はカットされるため、借金額を圧縮することが可能です。債務者自身の収入や生活費のことも考慮に入れて、無理のない返済計画を立てる必要があります。
整理する債権者・借金内容を選べる
任意整理は、一部の債権者や一部の借金について個別に整理することができます。家や車のローンが残っていれば、そのローン会社を債務整理の対象からはずして、家や車を手放すことなくローンを支払い続けることも可能です。
個人再生
裁判所を通して債務整理を行う方法
個人再生とは、裁判所に申立をして債務整理を行う手続方法です。現在抱える借金が返済能力を超え、経済的に窮地に陥っている人が対象となります。債務は大幅に圧縮されることが多く、手続時の借金額の10分の1まで減額されることもあります。
債務総額5000万円以下が対象
個人再生は、借金の総額が5000万円以下となる人が対象です。個人再生の中で「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」という2つのパターンがあり、申立を行う際にはこのどちらかを選ぶことになります。
裁判所の認可が下りれば再生開始
債務者側で再生案を作成して裁判所に提出しなければなりませんが、その内容には一定の制約があるので注意が必要です。弁済すべき最低金額や弁済の最長期間をクリアした上で、書面による決議や裁判所の認可を受けて再生開始となります。
自己破産
自己破産とはいったん債務者の借金をリセットして経済的に立ち直らせることを目的としてつくられた制度です。
様々な事情から借金の弁済ができなくなった人の債務を帳消しにすることで、経済的に立ち直る機会を与えられます。
もちろん必要最低限の家財道具を除き、財産があれば手放す必要がありますが、手放した財産を換金して返済にあてることができます。
戸籍にキズをつけることはない
自己破産をすれば、官報にその情報が載ることになります。しかし、官報はよほど関心のある人しか見ないので、自分から言わない限り家族や友人、勤務先に知られる心配はありません。また、戸籍にキズをつけるものでもないので、安心してよいでしょう。
資格・行動などの制限はある
自己破産者は、裁判所の許可なく長期旅行をしたり引越しをすることができません。また、就くことができる職業にも一定の制約があります。後見人、保佐人、遺言執行者などにもなれないので注意が必要です。
特定調停とは
特定調停とは、支払不能に陥るかもしれない状態になったときに利用できる手続です。
調停委員会が間に入ってくれるので、素人にも利用しやすい制度です。
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自力で手続きすることも可能
特定調停の場合、手続書類でわからないことがあれば裁判所の書記官が教えてくれます。また、債務者と貸金業者との間に入って合意に向けて尽力してくれるので、法律をよく知らない人でも自力で手続することが可能です。
調停委員が主導で調停を進めてくれる
調停は裁判所で執り行われます。そのため2回以上は裁判所に出頭しなければなりませんが、調停では調停委員が主導で調停を進めますので、当事者同士の言い争いになることはありません。また、調停成立の代わりに「調停に変わる決定」が出されることもあります。
メリットとデメリットを知った上で利用
費用が安くおさえられ、自力で手続できるのが特定調停のメリットです。しかし、調停が成立したら調停調書が強制力を持つことになり、弁済が滞った場合にただちに差押えなどの強制執行がなされるというデメリットもあります。
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過払い金返還請求で利息を取り戻し借金地獄を脱する
払い過ぎている利息は取り戻せます
「過払い金返還請求」とは、法定利率を大幅に超えた金利が設定されることにより発生した利息を取り戻すことです。
借金を完済したはずの人の中にも、過払い金に気づかず謝金返済を続けている人がいます。過払い金は返還請求をすることで取り戻すことが可能です。
過払い金は「グレー金利」により生じた問題
過払い金の問題は、出資法と利息制限法の法定金利差、「グレー金利」によって生じたものです。利息制限法では金利が上限15%〜20%である一方、貸金業法が改正されるまでの間、出資法では金利の上限が29.2%という非常に高い利率になっていました。貸金業者はこぞって後者の利率を採用していたのです。
過払い金請求ができる人とは
5年以上の長期借り入れをしていて18%以上の金利で借金していた人は、利息を払い過ぎている可能性があります。過払い金返還請求をすることでお金が取り戻せるので、その分を借金返済や生活費にあてることが可能です。
時効は10年!急いで請求を
過払い金返還請求の時効は借金の完済から10年です。過払い金の可能性に気づいたら、すぐにアクションを起こすことが重要です。
借金完済した人は要注意
借金の完済から10年以内であれば、過払い金請求ができますが、10年を超えると時効になり請求ができません。過払い金請求をした人の中には100万円以上のお金が戻ってきたケースも数多くあるので、借金を完済していても再確認してみることをおすすめします。
いち早く行動を起こすべし
過払い金請求ができるかもしれないと感じたら、すぐに行動しましょう。たとえば、2007年の年末に貸金業者との取引が終了していれば、過払い金返還請求ができるのは2017年の年末までです。
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借金地獄の生活を変えたいなら弁護士や司法書士に相談を
過払い金請求だけでなく、すべての債務整理の手続で悩んだりわからないことがあれば、弁護士や司法書士などの専門家に相談しましょう。貸金業者は一般人には対応してくれないこともありますが、専門家であればすんなり応じてくれることも多いです。困ったときには遠慮なく専門家に協力を求めるのが、借金問題解決への第一歩となります。
債務整理は、借金の減額・免除などを通じて債務者を経済的に立ち直らせるための方法です。すべての手続方法について知った上で、専門家にも相談しながらどの制度を利用するのがベストなのかをよく見極めてくださいね。
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