借金救済制度とは?国が認めた債務解決方法の仕組みとデメリット
「国が認めた借金救済制度」なんてフレーズを、借金にお悩みの方ならインターネットの広告やSNSで見かけたことがあるかもしれません。
若干漠然として掴みどころがない借金救済制度という言葉、具体的にどういう制度を指すものなのでしょうか。
この記事では、借金の圧縮減額や支払い免除、払いすぎた返済金を取り戻せる借金救済制度
の種類やメリット・デメリット、利用の流れに費用、利用者のクチコミまで、詳しく紹介します。
また、借金救済制度以外の借金を減らす方法もいくつか紹介します。
借金の返済で困ったら、早めの対処が重要です。この記事を参考に借金問題の解決方法を探るヒントにしてください。
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借金救済制度(債務整理)の利用を検討している方へ
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借金救済制度とは
借金救済制度とは、一般的に債務整理(任意整理・個人再生・自己破産、特定調停)の手続きと、過払い金返還請求のことを指します。
債務整理とは、借金が多額に膨らみ返済するのが難しくなった方へ、借金総額の圧縮・毎月支払い額の減少・支払い自体の免除などを認める制度です。
過払い金返還請求とは、過去の返済支払いの際に、消費者金融・クレジットカード会社など金融業者が法律上取りすぎとされた利息分(過払い金)がある場合、払いすぎていた差額分を請求して取り戻す手続きです。
そうした借金解決の手段を指して「借金救済制度」という言葉がインターネット広告や、ラジオ・テレビのCM、新聞・雑誌広告など様々な場面でよく使われています。
借金救済制度はあやしい?
借金救済制度という呼び方に、あやしい印象を感じる方も少なからずいます。実際、国は法律で「借金救済制度」という名のルールを定めているわけではありません。
言ってしまえば、借金救済制度というフレーズはあくまでひとつの広告表現です。
ただし、何の根拠もなく「国が認めた借金救済制度」というフレーズを使っているわけではありません。実際に、借金を救済する目的で国が法律で定めている制度は存在します。
個人再生・自己破産は裁判所を通じて行う、法律で定められた条件・ルールに基づいて進められる手続きです。詳細は後ほど解説しますが、過払い金返還請求も貸金業法という法律に基づいて請求することが認められています。
厳密に言えば任意整理は借金救済制度の対象外
任意整理は、債権者と債務者の間での交渉で借金返済の負担が軽くなるよう調整する債務整理方法です。裁判外での手続きにあたるので、厳密に言えば、任意整理は「国が認めた借金救済制度」に含むのは少し無理があります。
とはいえ、任意整理が「国が認めていない方法」であるわけではもちろんなく、むしろ債務者にとって最もハードルの低い債務整理方法でもあることから、広告表現上では、任意整理も借金救済制度のひとつとして紹介されることが多々あります。
借金救済制度は、法律の定めに則った、正当な借金問題の解決方法
以上のように、借金救済制度が意味する借金解決の方法は、いずれもあやしい手続きではなく、債務者の借金問題を解決する正当な方法です。
法律の定めに則ったものなので、「国が認めた」は本当とも言えますし、少なくとも嘘ではありません。
一方、債務者の弱みや心理に付け込み、本来不要な費用や不当な対応を行う、あやしい業者が広告出稿をしているのも事実です。借金救済制度の利用を検討する際は、適切な債務整理手続きを進められるところか、依頼先についても冷静に確認することが重要です。
借金救済制度は、正しく利用すれば、経済的な再起のチャンスとなります。しかし、利用することで一定のリスクや生活への影響が生じるケースもゼロではありません。
借金を抱え不安に感じている方は、まず弁護士などが設けている無料相談窓口への相談をご検討ください。
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借金救済制度の種類
借金救済制度は、大きく分けて
- 債務整理
- 過払い金返還請求
の2つがあります。
債務整理は、さらに3つの方法
に分けられます。それぞれ確認していきましょう。
任意整理
任意整理とは、裁判所を介さず債務者と債権者が借金について直接交渉し、利子の減免含め返済計画を立て直す手続きのことです。
任意整理は、借金の利子支払い分をカットした上で、返済期間を延長し、毎月の支払金額を減らす債務整理です。借り入れ先の数や借金額にもよりますが、毎月の返済額を約1/2 ~1/3に減額できます。収入はあるものの毎月の支払い負担が重く、なかなか借金の返済が進まない方におすすめの手続き方法です。
任意整理は債権者と債務者との直接交渉
任意整理は、債権者と債務者との間で直接交渉を行います。そのため、不動産や車のローンなどを任意整理の対象から外し、それら以外の特定の借金についてだけを任意整理することも可能です。
そのため、持ち家や車を手放したくないが、他の返済が厳しい借金についてだけ債務整理したい方にも向いている方法です。
個人再生
個人再生とは、裁判所を介して借金を約1/5に減額し、債権者への返済計画を見直し、返済していく手続きです。
借金の80%程度を減らせる高い減額効果
個人再生の任意整理と比べた大きな違いは、その減額効果です。任意整理の減額効果が借金の利息カット程度に留まる手続きである一方、個人再生は裁判所を通じて手続きすることで抱えた借金そのものを約80%程度も減額できます。
残り20%の借金は基本3年間、それが難しいと認めてもらえれば最大5年間をかけた分割払いで返済していきます。
任意整理で利子を減額・免除されても完済できない、大きな借金がある方に向いています。また、住宅資金貸付債権に関する特則(住宅ローン特則)により、住宅ローンの返済は除外して、それ以外の借金の減額が行えるため、マイホームを残しながら借金を減らしたい方にも最適な方法です。
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自己破産
自己破産とは、借金の返済が不可能な状態に陥った債務者が、破産法に則って、裁判手続により財産の清算を図るとともに、債務・借金の支払い義務を免除してもらう手続きです。
支払い義務が免除され、借金をゼロに
自己破産して免責決定を受けると、税金・損害賠償金・養育費などの非免責債権を除き、借金の支払いは全て免除されます。借金がゼロになって返済の必要がなくなる点は、他の債務整理方法にはない大きな違いです。
ただし、20万円以上の財産は清算の対象となり、原則、家や車などはすべて手放すことになります。また、手続き開始から免責決定(借金が免除になる決定)が出るまでの期間は、一部の職業・資格が制限され、該当する職種で働いている場合、仕事をできなくなるおそれがあります。
それでも、大きな借金で身動きも取れない状況の方にとって、自己破産は、借金地獄から解放させ、人生をリスタートできる非常に強力な手続きです。
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利用が減少傾向の特定調停
ここまでに紹介した任意整理・個人再生・自己破産の3つが借金救済制度として最もよく紹介される債務整理手続きです。
一方で、債務整理を行う方法には、もうひとつ特定調停と呼ばれる手続きもあります。
特定調停は債務者自身が簡易裁判所に申し立てを行う債務整理方法のひとつです。
手続きにかかる費用が安い、裁判所の調停委員が主導して債権者と調停案を策定・進行してもらえるなどのメリットはある手続きですが、
- 債務者自身で複雑な手続きに対応する必要がある
- 借金額があまり減らない場合がある
- 返済できなくなった場合、個人再生か自己破産する必要がある
- 特定調停後に滞納すると強制執行となる場合がある
- 成功率が申立件数の14.4%程度
など、多くのデメリットも存在する手続きです。
借金問題解決の手段としては結果を見通しづらく、債務整理手段としては不十分なところがあるため、現在は利用件数が大幅に減少しています。
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過払い金請求
過払い金請求とは、過去の借金で法定利率を超える利息のついた返済金を支払っていた場合、法定利率を越えた利子分の差額を取り戻すことができる制度です。過払い金請求は、債務整理とは異なり、借金や借金の支払額を減らす手続きではなく、払いすぎた返済金を取り戻すための手続きです。
そのため、任意整理・個人再生・自己破産など債務整理を行う際も、通常は事前に過払い金の有無を確認します。
過払い金請求が可能な場合は、実際に引き直し計算を実施、過払い金請求の手続きを行い、残債と相殺を図るのが通常です。
過払い金を請求できる条件
過払い金が請求できるのは、以下の条件を満たす借金がある方、または過去にあった方です。
- 2006年1月13日以前から借金をしていた
- 完済から10年以内
2006年1月13日というのは、最高裁判所が、この過払い金請求を認める判決を下したタイミングです。
過払い金として請求できる「グレーゾーン金利」範囲の利息
当時、借金の上限金利を定めた法律には利息制限法(上限金利20%)・出資法(上限金利29.2%)の2つがありました。
ただし、利息制限法には上限金利を越えた利息を設定しても具体的な罰則が存在しなかったため、貸金業者の多くが利息制限法の20%以上~出資法の29.2%以内の範囲に金利を設定し、貸し付けを行っていました。この20%~29.2%の範囲がいわゆる「グレーゾーン金利」にあたります。
2006年1月13日、最高裁判所にて、グレーゾーン金利の範囲の利息を支払った債務者が、債権者に対して法定利息を越えた分を返還請求することを認めた判決が下りました。
この判決を受け、多くの貸金業者が2007年までに上限金利の引き下げを済ませるとともに、2010年6月に施工された貸金業法により、上限金利は正式に20%と引き下げられました。
過払い金返還請求には期限がある!
こうした経緯から、最高裁判決が出る前の2006年以前に借り入れた借金については、当時、グレーゾーン金利で貸し付けを受けている可能性が高いです。
民法の規定により、過払い金返還請求が認められるのは完済(最後の取引)から10年とされており、10年を越えると時効が完成し、請求権が消滅します。
「自分の借金は条件に合うかも」と感じた方は、債務整理に強い弁護士へお早めに相談することをおすすめします。
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過払い金請求は弁護士に相談を!
過払い金請求には期限があります。2006年以前から借り続けてきた借金をお持ちの方は急いで弁護士にご相談ください。
借金救済制度を利用する費用の相場
任意整理の費用
任意整理の費用は、弁護士・司法書士によって異なりますが、一般的には以下のような費用がかかります。
法律相談料 | 無料または30分5,500円(税込) |
---|---|
着手金 | 債権者1社あたり2〜4万円程度 |
基本報酬金 | 債権者1社あたり2万円 |
減額報酬金 | 減額された金額の5~10% |
実費 | 5,000円前後 |
任意整理の費用は、債権者の数や交渉内容によって変わるため、事前に見積もりを取ることが重要です。
債務整理の相談については、相談料無料、分割払いや後払いに対応している弁護士や司法書士も多くいます。費用面で不安な方もまず相談してみましょう。
個人再生の費用
個人再生の費用は、任意整理よりも高額になります。
一般的には以下のような費用がかかります。
費目 | 金額 | 備考 |
---|---|---|
法律相談料 | 無料または30分5,500円(税込) | |
着手金 | 30~50万円 | 住宅資金特別条項をつける場合、高額になる |
実費 | 3万円 | 裁判所への申立手数料・予納郵便切手・官報公告費用など合計 |
予納金 | 15~20万円 | 裁判所の指示により個人再生委員が選任される場合に発生 |
個人再生手続きは弁護士費用で50万円程度、個人再生委員を選任する場合は予納金等をふくめトータル70万円程度の範囲になるのが通常です。
弁護士費用は着手金として50万円を請求されるケースと、30万円程度の着手金+成功報酬でトータル50万円程度に収まるケースがあります。
※個人再生の成功の定義は「裁判所から再生計画の認可を得られること」となるのが通常です。
費目の設定は弁護士事務所により異なりますが、再生計画に準じた借金残債の返済とあわせて弁護士費用の清算を進める分割払いに対応してもらえるケースが一般的です。
自己破産の費用
自己破産の費用は、個人再生よりも高額になります。一般的には以下のような費用がかかります。
同時廃止 | 管財事件 | 備考 | |
---|---|---|---|
法律相談料 | 無料または30分5,500円(税込) | ||
着手金 | 20~30万円 | 30~50万円 | 手続きの複雑な管財事件の場合、高額になる |
実費 | 2万円程度 | 申立手数料、郵便切手代、官報公告費用 | |
予納金 | なし | 最低20万円 | 管財事件の場合のみ管財予納金が最低20万円 |
借金の支払い義務が免責される自己破産は弁護士費用で20~50万円、管財事件の場合は予納金なども発生しトータルで70~80万円程度で収まるのが通常です。
上記は一般的な相場で、実際には借金の総額や債権者の数、申立時の保有財産の状況など、対応の複雑さにより金額は増減します。
個人再生同様、着手金と成功報酬を分けるケースと、着手金無料で成功報酬のみのケースなど、料金設定は法律事務所ごとにさまざまです。
過払い金請求の費用
過払い金請求は、一般的には以下のような費用がかかります。
費目 | 金額 | 備考 |
---|---|---|
法律相談料 | 無料または30分5,500円(税込) | |
着手金 | 債権者1社あたり5万円~10万円 | 法人の場合数十万~50万円程度 |
成功報酬 | 減額金額の10~20% |
過払い金請求はそれ単体で手続きするケースの他、他の債務整理手続きを行う際にあわせて行うケースもよくあります。
債務整理と同時に過払い金請求を行う場合も、それぞれ別項目として精算されるのが基本ですが、着手金や相談料はまとめて1回分として対応してくれる場合もあります。
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借金救済制度のメリット
借金救済制度を利用するメリットには以下のようなものがあります。
借金の負担を軽減できる
債務整理を行うことで、借金の将来発生する利子分のカットや、借金元本の減額・免除を受けられます。特に自己破産であれば借金の支払い義務そのものが免除されますし、個人再生の場合でも返済額を大幅に減らした上で、3年~5年での分割返済として毎月の支払額をグッと下げることが可能です。
また、過払い金返還請求を行うことで、支払いすぎた利息を取り戻し、結果、借金総額を減らせる可能性もあります。
借金救済制度は、債務整理方法ごとそれぞれに借金の総額や毎月の返済額を減らせる仕組みを備えています。自分の債務状況に合わせて、返済や生活に困らないレベルまで借金の負担を軽減することができます。
債権者からの取立・督促がストップする
弁護士に債務整理への対応を依頼すると、弁護士はまず債権者に自分が債務者の代理人として対応する旨を伝える「受任通知」を送付します。受任通知を受け取った債権者は、債務者に対して直接の取り立てや督促を行うことが法的に禁止され、できなくなります。
弁護士や認定司法書士に借金救済制度の適用を相談することが、債権者からの返済の督促や取り立てを受けるストレスや恐怖感からの解放につながります。
債権者との交渉、裁判所での法的手続きも任せることができる
弁護士には債権者への対応や裁判所での煩雑な手続きも任せることができます。
債権者との交渉は、専門的な知識や技術が必要な場面が少なくありません。弁護士や司法書士は、債務者の利益を最大限に守るために、債権者と交渉します。債権者からの不当な要求や圧力にも対抗できます。
また、独力でやるには複雑な裁判所での手続きや対応も、債務整理に精通した弁護士であればスムーズに対応することができます。
債権者や裁判所への対応を弁護士に任せることで、債務者本人は自身の生活再建に注力することができます。基本的に借金問題を債務者本人が独力で解決することは債権者との関係値をふまえても難しく、個人が無理を押して独力で対応するよりも、弁護士に依頼した方が良い結果につながるケースは多いです。
借金救済制度のデメリット
借金救済制度を利用することで、借金の悩みを解決・軽減できるメリットがある一方、デメリットもあります。代表的なものが以下です。
信用情報に傷がつく(ブラックリストに載る)
債務整理を行うと、債権者個人の信用情報に事故情報が登録されます。いわゆる「ブラックリストに載る」状態になります。
信用情報に事故情報が登録されると、カード会社や貸金業者の与信審査で参照され、日常生活にも以下のような弊害が出ます。
- クレジットカードの作成・利用ができなくなる
- カードローンや住宅ローンなどの借入れができなくなる
- 携帯電話の分割払い(割賦購入)契約ができなくなる
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信用情報への事故情報の掲載期間
信用情報に登録される期間は、債務整理の方法によって異なりますが、一般的には以下のようになります。
JICC | CIC | KSC | |
---|---|---|---|
任意整理 | 5年 | 5年 | 登録無し |
個人再生 | 5年 | 5年 | 5年 |
自己破産 | 5年 | 5年 | 10年 |
おおむね完済から5年程度と考えるのが通常です。ただし、実際は債務整理手続きの開始から完済までに2~3年程度の期間が必要となるため、債務整理の手続きをはじめたタイミングからすると約7~8年程度は事故情報が掲載されると考えるのが妥当でしょう。
過払い金返還請求による信用情報への影響
なお、過払い金請求が信用情報に影響するかどうかは、借金の残債状況によります。
過払い金があり、引き直し計算を行った結果、残債がなくなる場合は信用情報に影響しません。実際は、手続き後、一時的に事故情報が記録されるものの、残債がないことの確認が取れた後、事故情報は消去されます。
引き直し計算の結果、借金が1円でも残る場合、過払い金請求は債務整理を行った場合と同じに扱われ、事故情報が記録されます。
また、過払い金請求を行った債権者からは、以後は期限なく一切借り入れできなくなる可能性が高いです。これは債権者自体が保有する契約禁止リスト、いわゆる社内ブラックと呼ばれる状態に登録されることによるものです。
財産を失う可能性がある
債務整理を行うと、一定以上の価値がある財産を手放すことになる可能性があります。
実際に財産を手放す必要があるかどうかは、債務整理の方法によって異なり、一般的には以下のようになります。
財産処分の影響 | 備考 | |
---|---|---|
任意整理 | 影響なし | 維持したい家や車の返済を任意整理の対象から除外することで影響を回避できる |
個人再生 | 原則 影響なし | 手続き内で財産処分の必要はなし。ただし、住宅を除く高額財産は債権者への返済に充てるため引き上げられる可能性がある。 高額財産を維持する場合、最低弁済額が高くなる可能性がある。 |
自己破産 | 必ず処分される | 99万円までの現金、20万円以下の財産、家財道具などを除き財産はすべて換価処分される |
過払い金請求は、債権者に対して債務者が支払った過払い金の返還を求める手続きなので、自身の財産を手放す必要はありません。
保証人に請求が行く可能性がある
債務整理を行うと、保証人に対して債権者が請求を行う可能性があります。これは、保証人が債務者に代わって借金の返済義務を負うことになるからです。
個人再生・自己破産では保証人に一括請求が行く
保証人に請求が行くのは、特に個人再生・自己破産の場合です。その際、請求は債務者が支払っていた分割払いではなく残債を一括請求されます。また、保証人が連帯保証人である場合は、この一括請求に対して抗弁する権利がなく、無条件で応じる必要があります。
任意整理については、債権者・債務者の直接交渉にあたるため、交渉の結果、なんらかの形で債務者の分割払いが継続すれば、保証人への一括請求は発生しません。ただし、任意整理交渉後も返済が滞る事態が続いた場合、債権者は最終的に保証人への請求を行うことになります。
過払い金請求については、債務整理とは異なり、債権者・債務者間の過払いに関する手続きのため、債権者が過払い金請求が行われたことをきっかけに、保証人へと請求を行うことはありません。
官報に掲載される(個人再生・自己破産)
裁判所を介して手続きを行う個人再生・自己破産については、債務整理を行った事実が官報に掲載されます。
官報とは、政府や各省庁などが法令や公告等を広く告知する目的で、国が発行する機関紙です。官報は紙媒体またはインターネットで閲覧可能で、読んだ個人や事業者に債務整理した事実を知られるおそれがあります。
ただし、官報を日常的に購読している方はごく稀です。一般に官報を参照していると言われるのは以下のような職種・組織に在籍している人です。
- 信用情報機関
- 金融機関の官報を参照する部署
- 不動産業者
- 官報への掲載を取り扱う担当者・部署
- 闇金業者・名簿業者
インターネット検索で直接個人の債務整理に関する事実がヒットするものでもないため、官報に載ることで、一般的な職場や家族に債務整理をした事実を知られることはまずないでしょう。
仕事や生活への影響
債務整理のうち、自己破産した場合は資格や職業の制限を受けます。制限の対象となる職業についている方の場合、仕事を続けることができなくなる場合があります。
また、自己破産した場合は、財産処分が行われるため、持ち家やマンションは手放すことになり、同居家族がいる場合は生活に大きな影響が出ます。
直接的な影響はなかったとしても、職場や家族に債務整理した事実がバレてしまった場合、周囲の人からの評判や信頼が下がるケースはありえます。絶対にバレずに借金問題を解決したい場合は、弁護士に相談し、最適な債務整理方法を選択し、その他注意すべきポイントについてアドバイスをもらうことをおすすめします。
借金救済制度の利用の流れ
借金救済制度を利用する場合の流れは、選択する債務整理方法によっても微妙に異なります。それぞれ解説していきましょう。
任意整理の流れ
- 弁護士や司法書士に相談・依頼する
- 弁護士から債権者へ受任通知の発送
- 債務調査・引き直し計算による債務の確定、過払金あれば返還請求
- 任意整理案の作成・債権者との交渉
- 同意が得られれば通常3~5年以内での弁済開始
任意整理の手続きについて詳細は下記をあわせてご参照ください。
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個人再生の流れ
- 受任通知を賃金業者へ発送
- 法定金利に基づき引き直し計算、過払金あれば返還請求
- 申し立て書類の準備
- 裁判所に申し立て
- 約一ヶ月後に個人再生手続きを開始
- 賃金業者へ債権届出を送付
- 債権認否一覧表を提出
- 弁護士が再生計画案を提出
- 書面による決議
- 裁判所から再生計画認可決定
- 再生計画に沿って返済
個人再生の手続きについて詳細は下記をあわせてご参照ください。
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自己破産の流れ
- 各種窓口や弁護士事務所などに相談・依頼
- 受任・受任通知
- 債権調査
- 申立書作成
- 破産手続き開始
- 【管財事件の場合】破産管財人との面談
- 【管財事件の場合】財産管理
- 【管財事件の場合】債権者集会
- 【管財事件の場合】分配
- 免責審尋
- 免責許可決定
自己破産の手続きについて詳細は下記をあわせてご参照ください。
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借金救済制度の利用者のクチコミ
借金救済制度を利用した人たちの声を紹介します。
Aさん(40代・男性・会社員):任意整理で月々の返済額が半分以下に
Aさんは、消費者金融から合計300万円ほど借り入れていました。しかし、会社の不況で収入が減り、返済に苦しくなり、任意整理を行うことにしました。
任意整理では、利息を大幅にカットしてもらい、月々の返済額が15万円から6万円になりました。
Aさんは、「任意整理で返済額が半分以下になって、とても助かりました。弁護士さんも親切で丁寧でした。これからは、計画的に返済していきたいと思います。」と話しています。
Bさん(30代・女性・パート):個人再生で借金が3分の1に
Bさんは、夫の借金の連帯保証人になっていました。しかし、夫が亡くなり、Bさんが借金を返済することになりました。
借金は合計800万円ほどあり、Bさんはパートで働いていましたが、その収入では返済が不可能だったため、個人再生を行うことにしました。
個人再生では、借金を3分の1に減額してもらい、月々の返済額が10万円から3万円になりました。
Bさんは「個人再生で借金が大幅に減って、ほっとしました。夫の死後、一人で苦労してきましたが、これからは少し楽になれそうです。」と話しています。
Cさん(20代・男性・学生):過払い金請求で100万円以上が口座に
Cさんは、学生時代からカードローンやキャッシングを利用していました。返しては借り、返しては借りを繰り返していたものの、だんたんと利息の負担が重くなり、毎月の返済を続けるのが難しくなりました。
CMで過払い金の話を知り、弁護士に過払金の確認を依頼したところ、過去に支払った利息が法定利率を超えていたことが判明。過払金返還請求によって残債もゼロになり、債権者から100万円以上の過払い金が返還されました。
Cさんは、「過払い金請求で思わぬお金が戻ってきて、驚きました。弁護士さんも親身になって相談に乗ってくれました。これからは、無理な借入れはしないように気をつけます。」と話しています。
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借金救済制度以外の借金を減らす方法
借金救済制度以外にも、借金を減らす方法はあるのでしょうか。
以下で借金を減らせる可能性のある方法を見ていきます。
おまとめローン・低金利ローンへの借り換え
おまとめローン、または低金利ローンへの借り換えを行うことで、複数の高利息の借入れを一本化し、より利息の低いローンに切り替えることで、将来的な返済額を圧縮することができます。
ただし、おまとめローンや低金利ローンへの借り換えを行う場合は、以下の点に注意が必要です。
- 借り換え先ローン会社の信頼性やサービス内容を確認する
- 借り換え先ローン会社の審査基準や条件を把握する
- 借り換え先ローン会社の利息や手数料などを比較する
- おまとめローンで既存ローンを完済にすることで、過払金請求を行いづらくなる可能性がある
おまとめローンや低金利ローンへの借り換えで、信用情報機関に事故情報が登録されることはありません。
しかし、借金をまとめる用途での借入は総額が大きくなるケースが多く、借入が高額なローンほど審査基準や条件が厳しくなる可能性も高まります。最悪は借り換えができない場合もありえるため、その場合は、他の借金救済制度を検討することも必要です。
クレジットカードやカードローン、リボ払いの利用を控える
クレジットカードやカードローンは、発生したお金の支払いを先送りにすることとほぼ同義です。
使えば使うほど、おいおい返済する借金額も増加しますし、利息や延滞金がかさめば返済総額は増えていきます。
リボ払いは借金苦を抱える大きな原因に
特にリボ払いは、毎月の返済額を低額に抑えられる一方、返済額に対して手数料の占める割合が高く、借金元本の返済がなかなか進まないケースがよく起こります。
借金総額を気にせず利用を続けると、気がつけば膨大な借金を抱え、延々と払い続けても一向に残債が減らないという状況に陥りやすく、借金苦を抱える大きな原因となります。
現金払いに切り替え、節制を心がけよう
借金を増やさないためにできる最も簡単な方法は、クレジットカードやカードローンなどの信用決済を利用せず、現金払いに切り替えることです。
支払いを現金中心すれば、手元にないお金を使うことはできません。
クレジットカードやカードローンの利用をなるべく控え、生活もなるべく節制し、手元の借金返済に集中することが重要です。
借金返済のための借金はしない
おまとめローン・低金利ローンへの借り換えではなく、直近発生する借金返済のために、お金を借りているところと別の会社からお金を借りるのは絶対に避けましょう。
借金返済のために借りたカードローンの返済で先々苦しくなれば、また別のところから借金をすることになります。元の借金残債も残っていれば合わせて負担は大きくなり、多重債務問題が悪化する原因となります。
借金返済が厳しくなるのは「収入を支出が上回った状態にあること」が根本原因なので、間に合わせで借入するだけで問題は解決できません。
まとめ
借金救済制度とは、主に債務整理(任意整理・個人再生・自己破産)と過払い金返還請求のことを指します。借金救済制度を利用することで、借金の負担を軽減したり、取り戻したりすることができます。
しかし、利用することで一定のリスク(信用情報への影響・財産の喪失・社会的な影響)も生じます。そのため、利用について不安であれば、専門の無料相談窓口でぜひ相談をしてみてください。
また、借金救済制度以外にも、おまとめローンや低金利ローンへの借り換えという方法もあります。これは、複数の高利息の借入れを一本化し、低利息のローンに切り替えることで、返済額や利息の負担を軽減する方法です。しかし、審査基準や条件が厳しい場合があるため、借り換えができない場合もあります。その場合は、他の借金救済制度を検討することが必要です。
借金は早めに対処することが大切です。借金に悩んでいる方は、この記事を参考にして、自分に合った方法を選択してください。
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