株やFXで作った借金は債務整理できる?投資による負債への対処法と注意点

FXによる破産

株式投資やFXは、大きな利益を得られる可能性がある一方で、多額の借金を背負ってしまうリスクがあります。
もしも、投資で多額の借金を背負ってしまった場合、任意整理や自己破産、個人再生などの債務整理をおこなうことで、投資で作った借金を減らしたり、返済を免除してもらうことができます。

この記事では、株やFXで作った借金の債務整理について、その注意点や借金を放置すべきではない理由について、わかりやすく解説していきます。

株やFXで作った借金の債務整理は可能?

株やFXによる借金も債務整理は可能

株やFXなど、投資で作った借金を債務整理をすることは可能です。
投資で作った借金だとなにか特別に感じるかもしれませんが、投資による借金も借金であることには変わりないので、債務整理の対象とすることができます。

信用取引と違い、レバレッジを効かせて保有資産以上の大きな取引を行うことができるFXでは、気づいたら保証金を大幅に超える額の損失が発生する可能性があります。

投資をする上で、損失が出るリスクはつきものです、
もしこれらの借金を抱えてしまった場合には、債務整理を行うことで効率良く返済することをおすすめします。

注目!

株やFXによる借金の悩みは弁護士に相談を!

株やFXは免責不許可事由により自己破産できない場合もあります。確実に債務整理を進めるには弁護士への依頼をご検討ください。

株やFXで借金を負う原因

そもそも、FXには損失が大きくなる前に取引を強制終了する「強制ロスカット」というルールがあります。
そのため、通常FXだけで負債を背負うことはありません。ただし、フラッシュクラッシュのように相場が瞬間的に急落した場合は例外で、サーバーが落ちてロスカットが一切機能せず、負債が発生することもあります。

強制ロスカット回避のため借金して追加証拠金に回してしまう

しかし、それでも多額の借金を背負ってしまうのは、強制ロスカットの執行を避けるため、消費者金融やカードローンでお金を借り、追加証拠金(追証)に回してしまうケースです。

強制ロスカットが執行されると、FX会社で保有しているすべてのポジションが強制決済に回り、損失が確定し、その後のFX取引は行えなくなります。
投資家が借金をしてまで追加証拠金を入金してしまうのは「相場変動を乗り切り、なんとか利益を回復したい」という投資家心理によるものです。

借金して追証したにもかかわらず改善せず、最終的に強制ロスカットが執行されると、手元資金なし、借金だけが残る状態が出来上がります。

投資詐欺の被害に遭い借金を抱える

また「SNSや動画サイトなどの広告で「絶対に儲かります」と記載されている高額な情報教材を購入したが、まったく儲からなかった」など、投資にまつわる詐欺まがいな行為に騙され、借金を背負ってしまうケースもあります。

株やFXによる借金でも債務整理はできる

株やFXが原因で作った借金を債務整理する方法は、以下の3つです。

  • 任意整理
  • 自己破産
  • 個人再生

3つの手続きにはそれぞれ異なる特徴があり、借金の原因であるFXや株の取引内容、残りの債務額、投資以外の収入・保有財産、家計の状況など、もろもろの事情を総合的に考慮して、どの手続きにするか決めることになります。

任意整理で毎月の返済負担を減らす

任意整理とは、弁護士が金融業者やクレジットカード会社と直接交渉し、利息カットや分割回数の変更により、毎月の返済負担を減らす手続きです。

FX・株による借金問題を誰にも知られず解決できる可能性

任意整理の一番の特徴は、自己破産や個人再生と違い、裁判所を通さない手続きである点にあります。そのため、弁護士費用もそこまでかからず、手続きもすべて任せることができます。
また、借金の借り手・貸し手間での直接交渉であることから、家族や友人に手続きのことがバレる可能性もほとんどありません。
FXや株で借金を背負ってしまった事実を、誰にも知られずに借金問題を解決することが可能です。

借金を減額できるかは業者次第

ただし、任意整理はあくまでも任意での交渉であり、業者側が交渉に応じてくれない場合には、毎月の返済負担を減らすことはできません。

FXや株でできた借金の場合、負債がかなり高額になるケースが多く、仮に分割での交渉がうまくいったとしても、毎月の返済額が高額すぎて、返済できないこともあるでしょう。
その場合、自己破産や個人再生の手続きなども視野にいれる必要があります。

なお、任意整理では、借金を作った原因についてまでは考慮されないため、株やFXで作った高額な借金であっても、とくに問題なく手続きを進めることができます。

個人再生で借金総額を圧縮する

個人再生とは、借金を1/5〜1/10程度に減額して、残りの金額を原則3年の分割で返済していくことを、裁判所に認めてもらう制度のことをいいます。

個人再生は、家や車を残して手続きを進めることができる手続きです。
そのため、

  • 借金の額が高額なので任意整理は難しいが、住んでいる家は残したい
  • 家を手放すことになる自己破産はしたくない

と考える方にとっておすすめの手続きといえるでしょう。

しかし、個人再生の場合、減額された金額を分割で返済していく必要があります。
たとえば、借金の額が2,000万ある場合、借金は300万以下に減額されますが、これを個人再生の原則である3年で分割返済していくとなると、最低でも毎月8万4000円以上の返済が必要になります。

減額しても支払いが難しいくらい多額の借金がある場合、個人再生で借金問題を解決するのは難しいでしょう。
個人再生しても毎月の返済が難しい場合は、債務整理として自己破産を視野に入れることになります。

自己破産で借金の支払いを免除してもらう

自己破産とは、もうこれ以上借金を返済していくことは不可能であることを裁判所に申請することで、借金の免除を認めてもらう制度になります。
FXや株で作った高額な借金を0にできる点は非常に大きなメリットですが、

  • 国の機関紙である官報に個人情報が掲載される
  • 家や車などの財産を手元に残しておくことができない

などのデメリットがあります。

株・FXによる借金の場合、自己破産が認められないケースも

株やFXの投資内容によっては、借金の免除を裁判所が認めてくれない可能性があります。

借金が1,000万以上ある場合など、現実的に分割でも支払いが難しい場合は、任意整理ではなく自己破産を検討することになりますが、場合によっては自己破産の手続も難しい場合もあります。

不動産投資による借金も債務整理は可能

株やFXの場合と同じように、不動産投資で作ってしまった借金についても債務整理は可能です。

不動産投資の場合、まず所有している不動産を任意に売却して借金の返済に充てるのが通常です。
その上で、多額の借金が残ってしまった場合は自己破産を検討します。
不動産を手放したくない場合は任意整理、また条件が合えば個人再生することもできます。

株やFXで作った借金を放置するとどうなる?滞納後の流れ

株やFXなどで借金を作ってしまった場合、投資の失敗を認めることができず、もう少し待てば必ず利益が出るはずだと考えてしまい、借金の返済を滞納してしまうことがあります。
借金を返済せずに放置すると、どんな問題が起こるのでしょうか。

借金を滞納すると、業者は以下のような流れで対応してくることになります。

  1. 業者から督促の連絡が来る
  2. 一括返済の要求と法的措置への移行予告通知が届く
  3. 裁判を起こされる
  4. 給与や口座の差し押さえ

それぞれ詳しく確認してみましょう。

業者から督促の連絡が来る

まずは、借金をしている業者から支払いの督促がきます。
「督促状」と呼ばれる書面が届く場合もあれば、メールや電話で連絡がくる場合もあります。
この段階ではまだうっかり支払いを忘れてしまっただけの可能性もあるため、そこまで強い内容の書面がくるわけではありません。

ただし、この連絡を無視していると、信用情報機関に事故情報が登録されて、いわゆるブラックリスト入りしてしまう可能性が出てきます。

一括返済の要求と法的措置への移行予告通知が届く

督促の連絡を無視していると、業者から一括返済を求められるようになります。

督促から2〜3回連絡を無視すると、最終的には「●月●日までに支払いをしない場合には、法的措置に移行します」などと記載された書面が届くことになるでしょう。

この段階であれば、まだ業者との交渉の余地があるため、返済がむずかしいことを業者に連絡するか、個人で交渉することが難しければ、弁護士に債務整理の相談をすることをおすすめします。

裁判を起こされる

法的措置への移行予告通知も無視し続けていると、最終的には業者から裁判を起こされます。
裁判所から「訴状」や「支払督促」という書面が届きます。
これら裁判所からの連絡を無視すると、業者の請求通りの金額が認められ、裁判はそこで終了します。

裁判では、借金の有無や利息を含めた借金の額について確認されます。
内容に特に争いがない場合、業者の請求通りの金額が認められ、業者はいつでも財産を差し押さえられる状態になります。

給与や口座の差し押さえ

最終的には、預金口座や給与、手持ちの財産などを差し押さえられます。

財産隠しを防ぐため、事前に差し押さえの連絡がくることはありません。
業者は裁判を起こして差し押さえをする権利を得ているため、この段階では基本的に分割払いの交渉にも応じてくれないケースがほとんどです。

給与に関しても、手取り額から4分の1も差し押さえられます。
生活が立ち行かなくなる場合は、自己破産するしかなくなるでしょう。

株やFXで作った借金を債務整理する場合の注意点

株やFXで作った借金の債務整理で失敗しないための注意点を解説します。

  • 自己破産しても税金や公共料金の支払いは残る
  • 株やFXは自己破産の免責不許可事由にあたる可能性がある
  • 希望通りの債務整理方法を選べない場合も
  • 個人での対応は難しい

自己破産しても税金や公共料金の支払いは残る

借金の額があまりに高額の場合、自己破産をして借金を0にすることを検討すると思いますが、たとえ自己破産したとしても、税金・公共料金の支払いは免除されることはありません。

税金・公共料金の支払いは「非免責債権」と呼ばれ、自己破産しても免責されることのない債権です。
養育費や一部の慰謝料の支払いなども、この非免責債権の一種となります。

自己破産をしたとしても、非免責債権については今までと変わらずに返済していく必要があります。
もし今までに滞納した税金や公共料金の返済が困難ならば、役所で支払い期限の延期や、分割での納付ができないか相談してみましょう。

株やFXは自己破産の免責不許可事由にあたる可能性がある

株やFXで作ってしまった借金の場合、自己破産が認められないおそれがあります。

自己破産に関する法律である破産法では、以下のように規定されています。

第252条1項(免責許可の決定の要件等)

裁判所は、破産者について、次の各号に掲げる事由のいずれにも該当しない場合には、免責許可の決定をする。

四 浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。

参照:破産法252条4項|e-Gov法令検索

「射幸行為(しゃこうこうい)」とは、偶然や運を頼りに利益を得ようとする行為のことで、パチンコや競馬などのギャンブルだけではなく、株やFX、その他の投資行為も含まれます。
つまり、株やFXで作ってしまった借金については、自己破産できないのが原則です。

しかし、株・FXによる借金だからと裁判所が必ずしも自己破産を絶対認めてくれないわけではありません。
裁量免責という方法で免責を認めてもらえるケースがあります。

株やFXの借金でも裁量免責で自己破産が認められるケースはある

裁量免責とは、免責不許可事由が存在している事案でも裁判所の裁量で自己破産を認めるケース・判断のことです。
株やFXで作った借金であっても、自己破産を利用して借金を繰り返すような悪質なケースでなければ、自己破産を認めるのが妥当だろうと裁判所が認めてくれるケースはあります。

もちろん、本来であれば自己破産が認められないケースのため、裁判所が選定した管財人による財産調査が行われたり、裁判官から借金を作った理由に関して詰問を受けるなどの可能性はあるでしょう。

しかし、はじめての破産手続きであれば、ほとんどの場合では自己破産が認められるのが通常です。
株・FXによる借金だからと、過剰に不安になる必要はありません。

希望通りの債務整理方法を選べない場合も

債務整理には、任意整理、自己破産、個人再生の3つの方法がありますが、その人の財産状況や借金の理由によっては、自分の希望する方法を選択できないおそれがあります。

たとえば、以下のような場合には、それぞれの手続きを進めるのは難しいといえるでしょう。

手続きを進めるのが難しいケースの例
任意整理 借金の総額が大きすぎて、分割での返済が困難な場合
自己破産 家や車を手放せない場合
個人再生 借金の総額が5,000万円以上の場合

どの手続きをとるべきかは、それぞれの手続きのメリットやデメリットを考慮したうえで慎重に検討する必要があるといえるでしょう。

個人での対応は難しい

借金問題を解決するにあたって、個人ですべてに対応することは、非常に困難です。

ここまでご紹介した通り、債務整理の3つの手続きのうち、どの手続きを取るのが最適かは、債務者の方の借金の金額・保有財産・収入・ご家族含む生活状況などをふまえ、慎重に判断する必要があります。

また、いずれの方法を選んだとしても、法律知識や業者との交渉技術、裁判所への対応、多岐に渡る提出書類の収集など、債務整理を進める手続きの中では、過去の経験・知識の蓄積がモノを言うプロセスが多く存在します。
法律知識のない個人がすべて対応するにはハードルが高く、かかる時間や手間を考えると、債務整理手続きは弁護士に依頼するのが良いでしょう。

債務整理は弁護士が関わることで成功に近づく

弁護士であれば、株やFXで作った借金であっても、裁判所にしっかり説明することで自己破産を認めてもらえる可能性は高まります。
任意整理での業者とのやりとりでも、借金を返せない債務者本人に比べれば、弁護士の方が当然有利な交渉を進められます。

また、弁護士に債務整理への対応を依頼すると、弁護士は業者に対して「受任通知」と呼ばれる書面を送ります。
受任通知の送付後、債務者に対する業者からの督促連絡は止まり、以後の交渉は弁護士がすべて代行してくれます。

自分で手続きを進めて交渉に応じてもらえなかった場合や、裁判所に破産を認めてもらえなかった時のリスクを考えると、早い段階から弁護士に相談しておくことをおすすめします。

注目!

株やFXによる借金の悩みは弁護士に相談を!

株やFXは免責不許可事由により自己破産できない場合もあります。確実に債務整理を進めるには弁護士への依頼をご検討ください。

株やFXで作った債務整理に関するよくある質問(FAQ)

株やFXで作った債務整理に関するよくある質問についてまとめました。

債務整理をすると銀行口座を作ることはできない?

FXや株に関することで借金をしていた銀行であっても、債務整理をした後であれば、新規の口座を開設することは可能です。
ただし、債務整理でも残債返済中などの新規口座開設は、いわゆる社内ブラックの状態で拒否されるケースもあるでしょう。

実際の対応は銀行ごとに異なります。基本的には債務整理した銀行以外のところで口座開設する方がスムーズなものと考えられます。

債務整理中にFXや株の口座開設はできる?

FXや株取引を取り扱う証券会社などが信用情報を確認することはありません。
そのため、債務整理中でも専用の口座を作ることができるのが基本です。

しかし、これも作成する会社次第にはなるため、審査次第では口座開設が拒否されてしまう可能性もあります。

ビットコインで作った借金を債務整理することはできる?

ビットコインに代表される仮想通貨・暗号通貨で作ってしまった借金であっても、債務整理をすることは可能です。
ビットコインの場合、株やFXに比べて価格の変動が非常に激しく、あっという間に大きな損失になってしまうおそれがあります。

もし、ビットコインに関わる借金・債務でお悩みの場合は、なるべく早めに弁護士に相談するようにしてください。
 

まとめ

株やFXで作ってしまった借金問題は、債務整理をすることで解決することができます。

任意整理・個人再生・自己破産は、それぞれメリットやデメリットがあり、人によってどの方法をとるのが最適なのかは変わるため、自分に合った方法を適切に選択する必要があるでしょう。

弁護士であれば、どの手続きを選択すべきか、今までの経験に基づいた最適なアドバイスをもらうことができます。
また、「自己破産の許可が降りない」「債務整理の交渉がうまくいかない」などのリスクを極力抑えることが可能です。

株やFXで作ってしまった借金の場合、借金額が高額になるケースも多いため、手続きがうまくいかない確率をできる限り下げるためにも、まずは弁護士に相談し、的確なアドバイスをもらうようにしましょう。

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