催告書とは?届く意味と無視した場合に起きること、対処法を解説
借金の滞納期間が長期に渡ると、金融機関などから催告書が届きます。
本記事では、催告書が届くケースや催告書を無視した場合に起こるトラブル、催告書への適切な対応方法について詳しく解説します。
催告書とは
催告書とは、借金返済が長期に渡って滞り、債権者から支払いを求める督促を複数回されても返済できなかったときに送付される、返済を強く請求する書面です。
内容証明郵便として届いた催告書は、それまで郵送されてきた督促状と異なり、法的な効力を伴います。
届いたままで支払いも連絡もせず放置すると、債権者は裁判所に「支払督促」や「貸金返還請求訴訟」を申し立て、最終的には強制執行で財産を差し押さえられます。
催告書が届くケース
催告書は、以下に当てはまる場合に届きます。
借金やローンの滞納
借金・ローンを指定期日までに支払えず、返済を複数回督促されても返済しなかった場合に、消費者金融やクレジットカード会社などの金融機関から送付されます。
年金や税金の未払い
国民年金保険料を滞納した場合に、日本年金機構から送付されます。
また、税金を滞納した場合に市区町村などの自治体から送付されます。
自治体により表題は異なる場合も
ただし、市区町村などの自治体の場合、「催告書」と同様の役割を持つものの、表題が「催告書」ではなく「督促状」となっているものもあります。
個別の表記は自治体ごとに異なる場合があるため、注意が必要です。
催告書と督促状の違い
「催告書」とよく似た書面に「督促状」がありますが、この二つの違いは何でしょうか?
催告書は督促状より深刻な通知
「催告書」と「督促状」はどちらも返済を請求するという点は共通で、単に表現が違うだけです。
ただし実務上は、「催告書」が訴訟提起も辞さないという金融機関の最後通牒であり「内容証明郵便」で送られてくるのに対し、「督促状」は滞納当初に複数回、「催告書」よりも穏やかな文面で送られてくる、文字通り支払いの督促を目的とした書類です。
また、法的観点から見ると、内容証明郵便による「催告書」の送付には、消滅時効の完成が6ヶ月間先延ばしにされる法的効力(時効の完成猶予事由)が発生します。
一方で、「督促状」の送付には何ら法的効力がありません。
つまり、催告書は督促状よりも深刻度の高い通知だと言えるでしょう。
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催告書を無視した場合に起きること
催告書が届いた後、何も対処しなければ、以下のトラブルが起こります。
借金を一括請求される(期限の利益の喪失)
催告書では、残債と利息に遅延損害金を加えた金額を一括返済するよう求められます。
これは、長期間の滞納により、借金を将来に渡って分割返済できる利益(期限の利益)を喪失したために起こります。
裁判所から支払督促や訴状が届く
一括返済に応じなければ、裁判所から「支払督促」や「訴状」が特別送達で送付されます。
支払督促とは
支払督促とは金融機関が裁判所に支払督促の手続きを申し立てたことを意味する書面です。
訴状とは
訴状とは貸金返還請求訴訟を申し立てたことを意味する書面です。
つまり、これらの書面の送付は、金融機関が法的手続きを行ったことを表します。
この際、支払督促については異議申し立てを、貸金返還請求訴訟では裁判所から指定された期日に出頭する、答弁書を提出するといった対応をする必要があります。
書面の名称 | 届くケース | 届いた際にすべき対応 |
---|---|---|
支払督促 | 支払督促を申し立てられた場合 | 異議申し立てをする |
訴状 | 貸金返還請求訴訟を申し立てられた場合 |
|
強制執行による財産の差し押さえ
支払督促への異議申し立てや、貸金返還請求訴訟での裁判所への出頭、答弁書の提出をしなかった場合には、相手方の主張が全面的に認められてしまいます。
そして最終的には、金融機関が申し立てた強制執行によって
- 預貯金
- 不動産
- 自動車
- 給与の一部
などの財産が差し押さえられます。
催告書が届いた時の対処法
こうした事態を避けるために、催告書が届いた場合はどのような対処をすればよいでしょうか?
借金の消滅時効を確認する
まずは、借金が時効にかかっていないか確認しましょう。
最後の返済の翌日から原則5年以上(事案によっては10年以上)が経過していれば、消滅時効の完成を主張でき借金がゼロになる可能性があります。
ただし、借金を時効にするには、「時効の援用」手続きを行うことが必要ですので注意しましょう。
催告書には消滅時効の「完成猶予」の効力も
なお、催告書には消滅時効を6ヶ月間延長できる「完成猶予」の効力があります。
例えば、消滅時効が完成する1日前であったとしても、催告書を送付されると、翌日には完成するはずの消滅時効の進行がその時点でストップし、時効の完成が6ヶ月間先延ばしにされてしまいます。
金融機関は、その先延ばし期間内に訴訟の準備・提起をすることが多いため、催告書が届いた場合には早期に適切な対応をする必要があります。
債務承認すると時効完成までの期間はリセットに
しかしながら、催告書に応じて返済の意向を示したり、全部・一部を問わず借金を返済したりする「債務承認」を行うと、消滅時効完成までの時間がリセットされる、時効の「更新」の効力が生じます。
つまり、本来であれば時効が完成し借金がゼロになる期間を迎えていても、「債務承認」により、消滅時効完成までの期間がふりだしに巻き戻ってしまうのです。
このように、催告書が届いた場合の消滅時効の確認は慎重な判断を要します。
安易に自己判断してしまうと、催告書の影響で時効にならない場合があります。
借金の消滅時効の確認は、弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。
架空請求の可能性も確認
その他、催告書が本物か否か、架空請求の可能性も注意すべき点です。
近年は、裁判所や金融機関を詐称する架空請求が増えています。
催告書の送り元から借金した覚えがないか金融機関名を確認し、債務額や債務内容もきちんとチェックしましょう。
借り入れした会社以外の名で催告書が届くケースも
なお、架空請求ではなくても、借り入れした金融機関と異なる金融機関から催告書が送られてくるケースがあります。
これは、送り元が借金の保証会社であったり、借り入れした金融機関から債権譲渡や委託を受けた債権回収会社であったりするケースです。
したがって、身に覚えのない催告書については、借り入れをした金融機関に問い合わせてみることが大切です。
催告書が届いても支払えない場合
借金の時効が成立せず、催告書が金融機関から送られた本物であって、どうしても支払いに困る場合には、以下の対応を検討しましょう。
- 債権者に問い合わせる
- 弁護士に相談して債務整理を進める
債権者に問い合わせる
まずは債権者(金融機関)に連絡し、返済方法を相談します。
請求通りの返済が難しい場合でも、返済の意思や返済の見通しを相談することで、支払い期日の延長や分割払いへの変更、利息のみの支払いを認めてくれる場合があります。
弁護士に相談して債務整理を進める
返済の見通しが立たない場合には、債務整理に詳しい弁護士に相談しましょう。
債務整理とは、借金が減額されたりゼロになったりする法的続きで、大きく分けて
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
の3つの種類があります。
任意整理
裁判所を通さずに金融機関と交渉し、「借金の将来利息をカットする」「残元金を3年〜5年の分割返済にする」ことを目指す手続きです。
なお、残元金を確認する際には「引き直し計算」を行います。「引き直し計算」を行った結果、払い過ぎた借金(過払い金)があれば金融機関に返還請求をします。
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個人再生
裁判所に「再生手続開始」を申し立て、借金を5分の1〜10分の1程度まで減額し、残った金額を原則3年(最長5年)で分割返済する手続きです。
個人再生では、自己破産で処分されてしまう住宅や自動車も、手元に残したまま手続きを行うことができます。
注意点は、債務者に一定の返済能力を求められる点です。将来的に継続した収入が見込めなければ、裁判所に再生計画(今後の返済等についての計画)が認可されない点を押さえておきましょう。
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自己破産
裁判所に「破産手続開始・免責許可」を申し立て、未払いの税金や保険料を除く借金全額を免責(返済免除)してもらう手続きです。
ただし、住宅や自動車など20万円を超える価値の保有財産は処分されてしまいます。
また、一定の期間就業できなくなる職業もあります(生命保険募集人や警備員、会社役員など)。
借金をゼロにできるという点で自己破産は強力ですが、デメリットもあることを理解しておきましょう。
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まとめ
催告書は放置せず弁護士に相談を
内容証明郵便で届く催告書の放置は、絶対にしてはいけません。
催告書を放置すると、金融機関が裁判所に訴え、最終的には「不動産」や「給与の一部」などを差し押さえられる危険性があります。
もし、返済の見通しが立つのであれば金融機関に相談すべきです。
その際には借金が消滅時効にかかっていないかしっかり確認する必要があります。
確認が不十分なまま金融機関とやりとりしてしまうと、本来は時効を迎えている借金でも、債務承認により時効がゼロにリセットされる恐れがあります。
不安な場合には弁護士に相談するとよいでしょう。
弁護士が金融機関との交渉窓口に
また、返済の見通しが立たない場合は速やかに弁護士へ相談すべきです。
弁護士は、あなたに最適な債務整理方法を提案してくれますし、依頼すればあなたの窓口として、金融機関との交渉に対応してくれます。
弁護士が間に入るので、金融機関からの直接連絡はもう来なくなります。
催告書などの借金問題でお悩みの場合には、債務整理に強い弁護士にぜひ一度ご相談ください。
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