督促状とは?催告書との違い、届いた後の流れと対処法

督促状

借金返済が滞ると、金融機関から督促状が送られてくる場合があります。
督促状とは金融機関から届く返済を促す書類ですが、届いたままで放置していると段階を踏んで最終的には財産を差し押さえられる事態へと至ります。

本記事では、督促状が届いた後どのように差し押さえへと進んでいくのか、行われる手続きの流れと、督促状を受け取った場合に取るべき対処法について、詳しく解説します。

督促状とは

督促状とは、指定期日までに借金を返済できなかったときに、消費者金融やクレジットカード会社などの金融機関から送付される、返済を促す書面です。

督促状に法的な効力はない

督促状には支払いを強制する法的な効力はありません。
そのため、督促状通りに返済せずとも、それを理由に財産を差し押さえられることはありません。

けれども、督促状をそのまま放置してしまうと、「連帯保証人や保証人に連絡が行く」「ブラックリストに載る」などの事態となり、最終的には財産を差し押さえられることなります。

督促状と催告書の違い

金融機関から返済を促されるという意味で「督促状」と共通する書面に、「催告書」があります。

「督促状」と「催告書」は単なる言葉の違いに過ぎませんが、実務上は「督促状」が滞納当初に複数回送られてくるのに対し、「催告書」は、金融機関が法的手段を取る最終通告として「内容証明郵便」で送られてきます。

この「内容証明郵便」で「催告書」を送られた場合には、消滅時効の完成が先延ばしにされる時効の完成猶予事由が発生します。

督促状の内容

督促状は金融機関ごとに様式が異なりますが、一般的な内容は以下のとおりです。

  • タイトル
  • 支払い期日に入金が確認できていない旨
  • 振込先
  • 連絡先

タイトル

「督促状」「支払通知書」「お支払いのお願い」などの書面のタイトルが書かれています。

支払い期日に入金が確認できていない旨

「お客様のお支払い期日は毎月◯日となっておりますが、現時点でご入金の確認が取れておりません」など、支払期日に入金確認ができていない旨が書かれています。

支払期日と請求金額の入金依頼

「◯月◯日までにご請求金額◯◯円のご入金のお手続きをお願い申し上げます」など、支払期日までに滞納分を入金するよう依頼されます。支払期日は具体的な日付ではなく「すみやかに」となっている場合もあります。

振込先

お振込先
◯◯銀行
◯◯支店
普通
口座番号◯◯◯◯
口座名義◯◯◯◯株式会社

金融機関の振込先口座が書かれています。

連絡先

〒◯◯◯-◯◯◯◯
◯◯県◯◯市◯◯町◯丁目◯号
◯◯◯◯株式会社
担当部署 ◯◯部◯◯センター 
電話番号 ◯◯◯◯

金融機関担当部署の連絡先が書かれています。

督促状を放置して払わないとどうなる?

督促状をそのままにした場合の流れは次の通りです。

  1. 督促状が届く、督促の電話が来る
  2. 連帯保証人、保証人に請求が行く
  3. 信用情報機関に事故情報が登録される(ブラックリストに載る)
  4. 催告書が届き、借金の一括返済を求められる
  5. 裁判所から特別送達が届く
  6. 財産を差し押さえられる

督促状が届く、督促の電話が来る

借金返済が滞ると、何度も督促状が届いたり、督促の電話が来たりします。

最初に来る督促状は借金滞納から1週間以内くらいで届き、比較的丁寧な物言いで当月分の返済を求めてきます。

それを放置すると、1週間から1ヶ月ほどの間、新たな督促状や督促電話が複数回来ますが物言いはどんどん厳しくなります。

さらに放置すると、1〜2ヶ月ほどで元金、利息だけではなく遅延損害金の請求をする督促状が届くようになります。

遅延損害金とは、借金の返済を滞納した場合に、返済期限の翌日から発生する損害賠償金です。
上限年利は20%(利息制限法7条1項)と、消費者金融やカードローンの一般的な利息よりも高いため注意しましょう。

連帯保証人、保証人に請求が行く

督促状を放置し2ヶ月ほどが経過すると、連帯保証人や保証人に請求が行く場合があります。

連帯保証人と保証人の違い

連帯保証人と保証人の違いは、連帯保証人には、保証人の持つ以下の権利・利益がないという点です。

保証人の持つ権利(※連帯保証人にはなし)
催告の抗弁権 先に主債務者に請求するよう主張する権利
検索の抗弁権 主債務者の財産を強制執行するよう主張する権利
分別の利益 連帯保証人や保証人が複数いるケースで、返済義務が頭割りできる利益

保証人が持っている権利・利益のない連帯保証人は、主債務者と同等の返済義務を負っています。
そのため、主債務者が督促状を放置すると、連帯保証人を借金滞納問題に巻き込むことになります。

連帯保証人との金銭トラブルに発展してしまうのを避けるためにも、すみやかに何らかの手を打つべきだと言えるでしょう。

信用情報機関に事故情報が登録される(ブラックリストに載る)

2ヶ月以上滞納が続くと、「CIC(株式会社シー・アイ・シー)」「JICC(株式会社日本信用情報機構)」「KSC(全国銀行協会)」という信用情報機関が管理する「信用情報」に事故情報が登録されます。

「信用情報」とは、借り入れの申し込みや返済状況などの個人情報を指します。

「信用情報」に事故情報が載ることを「ブラックリストに載る」と言うこともありますが、一度ブラックリストに載ってしまうと、事故情報を金融機関で共有され、5年程度は新たな借り入れやクレジットカードの利用ができなくなります。

催告書が届き、借金の一括返済を求められる

滞納から2ヶ月を超えると、内容証明郵便で「催告書」が届きます。

「催告書」では、残債と利息、遅延損害金を一括返済するよう求められます。

裁判所から特別送達が届く

内容証明郵便の「催告書」を放置すると、金融機関が法的手段を取り、滞納から3ヶ月ほどで裁判所から「訴状」もしくは「支払督促」の特別送達が届きます。

訴状が届いたケース

訴状が届いたケースでは、金融機関は「貸金返還請求訴訟」を裁判所に提起しています。

この際、裁判所から呼び出された期日に欠席し、答弁書も提出しなければ、相手方の主張が認められる判決が出ます。
そして金融機関は、この判決を根拠として強制執行を申し立てます。

支払督促が届いたケース

支払督促が届いたケースでは、金融機関は「支払督促」を裁判所に申し立てています。

支払督促手続きでは、2週間以内に異議申し立てをしなければ、金融機関から裁判所への「仮執行宣言」の申し立てにより、裁判所は「支払督促」に「仮執行宣言」を付して「仮執行宣言付支払督促」を送達します。

そして金融機関は、この「仮執行宣言付支払督促」を根拠として強制執行を申し立てます。

財産を差し押さえられる

金融機関から強制執行を申し立てられた結果、「預貯金」「不動産(土地、建物)」「給与の一部」など財産が差し押さえられます。

督促状が届いた場合の対処法

督促状が届いた場合でも、以下の対応をすることで問題が解決する場合があります。

架空請求でないか確かめる

昨今は裁判所や金融機関を騙った架空請求が増えています。督促状の送り元の金融機関から借金した覚えがないか、しっかり確認する必要があります。

なお、借り入れをした金融機関と別の名前の金融機関でも、保証会社(借金返済できなくなった場合に、債務者に代わって債権者に借金返済してくれる会社)や債権回収業者の場合もあります。

もしわからなければ、借り入れをした金融機関に確認してみるとよいでしょう。

時効にかかっていないか確かめる

最後の返済の翌日から原則5年以上が経過していると、消滅時効の完成を主張できる場合があります。
事案によっては10年以上の時間経過が必要なケースもあり注意が必要です。

借金を時効にするためには、「時効の援用」手続きが必要

ただし、5年(事案によっては10年)以上が経過していても、何もせずに借金の返済義務が無くなるわけではなく、借金の返済義務を無くすためには「時効の援用」手続きをする必要があります。

しかしながら、「時効の援用」手続きは一般の方には馴染みのないものですし、消滅時効の完成時期も、民法改正の影響などもあり5年以上なのか10年以上なのか事案により異なるため、判断が複雑です。

自分の事案が時効にかかっているのかどうか、あるいは「時効の援用」手続きをどう進めたらよいかについては、弁護士への相談をお勧めします。

支払い期限内に支払う

督促状が架空請求ではない本物だと確認でき、消滅時効が完成していない場合には、支払い期限内に請求金額を返済すれば、ブラックリストに載ったり差し押さえを受けたりといった事態は免れます。

どうしても支払えないというわけでなければ、支払期限内に支払うのがスムーズでしょう。

督促されても支払えない場合

とは言え、どうしても支払えない場合もあります。そのような場合には、以下の対応を取りましょう。

支払い期限までに金融機関に相談する

まずは支払期限が来る前に、金融機関に連絡し支払いについて相談します。

支払期限までに支払えない場合でも、返済の意思を示すことで支払期日の延長や支払い方法の変更、利息のみの支払いなどを認めてもらえる可能性があります。

債務整理する

どうしても返済ができない場合には、債務整理を検討しましょう。債務整理には、主要なものとして「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3種類があります。

任意整理 支払い過ぎた利息がないか「引き直し計算」を行って適正な残債を算出し、元金を3〜5年の分割返済にすることや将来利息のカットができるよう、裁判外で金融機関と交渉します。
個人再生 裁判所を介し、借金を5分の1〜10分の1程度に圧縮し、減額された金額を原則3年(最長5年)で分割返済します。
自己破産 裁判所を介し、未払いの税金などを除く借金全額の支払いを免除してもらいます。

最適な債務整理方法はケース・バイ・ケース

3種類の債務整理方法でどれが最適かは、事案によって異なります。
というのも、「任意整理」「個人再生」「自己破産」のいずれにもメリット・デメリットがあり、借金総額や現在の収入・支出の状況などを勘案しながら、どの方法がよいか選ぶ必要があるからです。

債務整理方法の選択は弁護士に相談がベスト

自分のケースに最適な債務整理方法を選び、スムーズに手続きを行うにあたっては、利息制限法や民事再生法、破産法などの専門知識や経験が必要となります。
お悩みの場合には、弁護士に相談するのがベストです。

まとめ

督促状の放置は厳禁!届いたら弁護士に相談を

督促状が送られてきただけでは、財産を差し押さえられることはありません。
しかしながら、督促状の放置は厳禁です。

督促状を放置すると、いずれは金融機関から「貸金返還請求訴訟」の提起や「支払督促」の申し立てがなされ、最終的には財産を差し押さえられる事態に陥ります。

もし支払い期限までの返済が難しければ、金融機関に相談する方法もありますが、どうしても返済できない場合には弁護士に相談し債務整理することを検討しましょう。

弁護士に相談すれば自分に合った債務整理方法を提案してもらえますし、その後の法的手続きも円滑に進めてくれます。
また、弁護士が正式に受任し、その旨を金融機関に通知した後は、金融機関から債務者への直接的な督促・連絡は止まります。
金融機関からの督促で心が追い詰められている場合には、これは大きなメリットとなるでしょう。

最近は、督促状など借金問題の相談を無料で受けてくれる弁護士も多いです。
督促状でお悩みでしたら、一度債務整理に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。

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