固定資産税を払い忘れたらどうなる?払えない場合の問題と対処法

固定資産税の滞納

固定資産税を払い忘れていた、気づいたら納期限を過ぎていた。そんなときでも、すぐに納めれば過度に心配はいりませんが、放置すれば延滞金は増え、やがて差し押さえへと進みます。

この記事では、固定資産税の払い忘れに気づいたときの対処から、延滞金、督促状から差し押さえまでの流れ、払えない場合の対処法までを解説します。

固定資産税を払い忘れた・納期限が過ぎたらどうなる?

固定資産税をうっかり払い忘れても、気づいた時点ですぐに納付すれば、大きな問題にはなりません。
ただし納期限の翌日から延滞金がかかり始め、そのまま放置すると督促状の送付、最終的には財産の差し押さえへと段階的に進みます。慌てず、できるだけ早く納めることが大切です。

払い忘れに気づいたら、すぐ納付しよう

固定資産税の払い忘れに気づいたら、まずはできるだけ早く納付しましょう。

手元に納付書があれば、金融機関や自治体の窓口のほか、コンビニ、ペイジー、クレジットカード、スマートフォン決済アプリなどでも納付できます。
利用できる方法は自治体や金額によって異なるため、納付書に記載された納付方法を確認してください。

納付書をなくしても再発行は可能

万一、納付書を紛失してしまっても、固定資産を所有している自治体の窓口や電話で再発行を依頼できます。

納付書が見当たらないからと納付を後回しにしていると延滞金が積み上がってしまいます。早めに連絡しましょう。

納期限を過ぎた納付書はまだ使える?どこで払う?

納期限を過ぎていても、納付書が手元にあれば金融機関や自治体の窓口で納付することが可能です。

一方、税金の支払いで一般的に良く使われるコンビニは、バーコードの有効期限が切れていると支払えない場合が多いです。
納期限を過ぎてしまった場合は、面倒でも金融機関の窓口や自治体(役所・都税事務所など)に足を運んで納付するようにしましょう。

たとえば東京都では、納期限を過ぎていても、納付書を持参すれば金融機関などで納付できます。
延滞金がかかる場合は、後日、延滞金分の納付書が別途届きます。(東京都主税局「都税Q&A」)

納期限の翌日から延滞金は発生する

延滞金は、納期限の翌日から納付の日までの日数に応じて、1日単位で発生します。

ただ、数日程度の短い遅れで税額もそれほど大きくないときは、延滞金はごくわずかで済みます。後述しますが、算出した延滞金が一定額に満たなければ、そもそもかからないこともあります。

すぐ払えば差し押さえにはならない

固定資産税の支払いを1日納め忘れただけで、いきなり自治体が財産を差し押さえることはありません。

差し押さえに至るまでには、督促状の送付・催告・財産調査といった段階があります。
おおよそ(法的対応の予告がなされる)催告が届いたあたりまでに納付できれば、差し押さえを回避できる可能性は高いでしょう。

具体的な流れは次の章で解説します。

固定資産税を滞納するとどうなる?時系列でわかる差し押さえまでの流れ

固定資産税を滞納したまま放置すると、納期限の翌日から延滞金が発生し、納期限後20日以内に督促状が発送されます。

督促状のあとは催告書、財産調査と段階を踏み、最終的には自治体が財産を差し押さえます。
とはいえ一気に差し押さえへ進むわけではないので、前段階で納付を済ませれば差し押さえは回避可能です。

延滞金が発生する(納期限の翌日~)

まず、納期限の翌日から延滞金が発生します。
延滞金がいつから・いくらかかるのか、かからないケースは、こちらの章にくわしくまとめています。

督促状が発送される(納期限後20日以内)

固定資産税の納付がないと、滞納者のもとに自治体から督促状が届きます。地方税法は、納期限後20日以内に督促状を発送するよう定めています。

督促状には、滞納している税額、延滞金、新たな納付期限などが記載されており、この段階で納付すれば、差し押さえは回避できるでしょう。

なお、督促状が届かなくても、滞納がなくなるわけではありません。法律上は、督促状を発した日から10日を過ぎても完納しなければ差し押さえに進めます(地方税法 第三百七十三条 固定資産税に係る滞納処分)が、実務ではこのあとの段階を順に踏むのが一般的です。

納付してから自治体で確認が取れるまでには4~5日ほどかかることもあるため、すでに納めていても行き違いで督促状が届く場合があります。
心当たりのある人は、慌てず納付の記録(領収印や引き落とし)を確認しましょう。

催告書が届く(2ヶ月後~)

督促状のあとも納付がないと、次に催告書が届きます。催告書の発送されるタイミングについて法律が定めたルールはないですが、おおよそ滞納から2ヶ月後以降に届くのが一般的と言われています。

催告書は支払いを促す文書で、法的手続き・差し押さえに進む前の強い催告として送られるのが通常です。自治体によっては「差押予告通知書」という名称でも呼ばれることもあります。

また、催告は文書だけでなく、電話や自宅への訪問という形をとることもあります。
自宅へ直接連絡・訪問が来る段階になると、滞納の事実が同居する家族にバレる可能性も出てきます。

財産調査・身辺調査が行われる

催告にも応じない場合、自治体は差し押さえの準備として財産調査に入ります。

具体的には、固定資産税の対象となっている不動産はもちろん、金融機関への預貯金残高の照会や、勤務先への給与の問い合わせなど、すべての財産が調査の対象です。

また身辺調査では家族や勤務先、取引先にまで調査が及ぶケースもあり、その場合は税金滞納者であることが多くの人に知れわたり、社会的信用を大きく失うリスクが生じます。

財産の差し押さえ

財産調査や身辺調査によって差し押さえる財産があると分かった場合、実際に財産の差し押さえが行われます。

税金の滞納による差し押さえは裁判所に申し立てを行う必要はなく、行政処分として即行うことができます。

まずは預貯金や給与から回収、不動産は公売処分へ

対象となる財産は、預貯金・給与・不動産・自動車・生命保険など多岐にわたります。差し押さえた財産だけでは滞納額(税額・延滞金)に満たない場合、財産を公売(入札などによる売却)にかけ、その売却代金を滞納分に充てます。

滞納額にもよりますが、いきなり不動産を公売にかけるのは稀で、まずは預貯金や給与を差し押さえて延滞金や税額を回収していくのが一般的です。
住宅ローンの残債がある不動産には金融機関の抵当権が設定されていることが多く、固定資産税の滞納だけで自宅がすぐに公売されるとは限りません。それでも不動産が差し押さえの対象になる可能性はあるため、注意は必要です。

差し押さえや公売による具体的な影響(口座凍結や給与の差し押さえなど)については、こちらの記事で詳しく解説しています。

固定資産税の延滞金はいつから・いくら?かからないケースも解説

延滞金は納期限の翌日から発生し、納期限後1ヶ月までと1ヶ月経過後で利率が変わります。ただし、算出した延滞金が1,000円未満ならかかりません。短期間・少額であれば、負担はごくわずかです。

延滞金はいつから発生する?

延滞金は、納期限の翌日から発生します。納付の日までの日数に応じて1日ずつ積み上がるため、早く納めるほど金額は少なくてすみます。

利率は、納期限の翌日から1ヶ月までと、それ以降の2段階に分かれ、1ヶ月を過ぎると高いほうへ切り替わります。

延滞金の計算方法と利率

延滞金は、次の計算式で算出します。

延滞金 = 滞納している税額 × 延滞金の割合(年率)× 滞納日数 ÷ 365日

東京都の例では、令和8年(2026年)中の延滞金の割合は、納期限の翌日から1ヶ月までが年2.8%、それ以降が年9.1%です。

例:東京都・固定資産税10万円を3ヶ月滞納した場合

たとえば固定資産税10万円を3ヶ月ほど滞納した場合、延滞金は概算で約1,700円程度です。

延滞金 = (10万円 × 2.8% × 30日+10万円 × 9.1% × 60日) ÷ 365日=1,726円(100円未満切り捨てで1,700円)

実際の金額は納期限や納付日によって前後します。
延滞金の割合も毎年見直されるため、最新の正確な数値は自治体の窓口や公式サイトでご確認ください。

参考:東京都主税局「税金の支払い」

延滞金がかからない・少額になるケース

算出した延滞金が1,000円未満のときは、その額は切り捨てとなり、延滞金はかかりません。

また、もとの税額全額が2,000円未満の場合は、そもそも延滞金は生じません。

納期限の翌日から1ヶ月以内に納付すれば、高い方の利率はかからず、低い利率の分だけで済みます。
うっかり数日~1ヶ月程度の払い忘れであれば、延滞金はごくわずか、または結果的にかからないこともあります。

固定資産税を払えない場合の対処法(分納・猶予・減免・不服申立て)

経済的な事情で固定資産税を払えないときは、放置せず、できるだけ早く自治体に相談することが何より大切です。
分納・猶予・減免など状況に応じた制度があり、相談する姿勢を見せることで、差し押さえを回避できる可能性が高まります。

まずは自治体に連絡・相談する

固定資産税を払えないときは、まず固定資産があり納税先となる自治体に連絡しましょう。連絡先は納付書や督促状に載っている他、自治体の窓口で直接相談することもできます。

傷病や失業など支払いが難しい事情がある場合は、診断書や離職票など、その事情を証明できる書類を用意しておくとよいでしょう。「払う意思はあるが事情があって払えない」ことを誠実に伝えることが大切です。

分納(分割納付)を相談する

一括で払えない場合、事前に相談することで、分納(分割納付)を認めてもらえる可能性があります。手続きは電話や自治体の窓口で相談でき、特別な書類が不要なことも多く、納める額は相談のうえで決まります。

ただし、分納は支払いを分けるだけで、延滞金そのものが消えるわけではありません。延滞金も含めた額を、分割して納めていきます。
計画どおりに納付できないと差し押さえに進むこともあるので、注意が必要です。

分納の場合、次の期の納期限も数ヶ月後には来るため、その先まで見据えて無理のない計画を立てるのが安全です。

納税の猶予

分納に加えて検討したいのが、納税の猶予です。

納税の猶予は

  • 災害や盗難にあった
  • 本人や家族が病気・けがをした
  • 事業を休廃止した
  • 事業で大きな損失を負った

といった事情があるときに利用できるもので、すべての人が使えるものではありません。

分納に比べ手続きや提出書類は増えますが、認められれば、延滞金の全部または一部免除を受けられます。

換価の猶予

換価の猶予とは差し押さえられている財産が強制的に売却されるのを猶予してもらえる制度のことです。

財産の換価を一時的に猶予してもらえます。
また、換価の猶予の間は延滞金が50%免除になります。

換価の猶予を受けるためには、

  • 財産を売却されると生活に困る、または事業を継続できなくなる
  • 換価の猶予にかかる固定資産税の他に税金を滞納していない
  • 税金を納めることを誠実に考えていると認められる

などの条件を満たしている必要があります。

猶予の期間は原則1年以内

換価の猶予については原則1年以内などと猶予期間が定められています。

こちらも納税義務者による申請が必要になり、申請書のほか、猶予に該当する事実を証明する書類や収支状況、所有財産を明らかにする書類などが必要になります。

減免を受けられる場合がある(生活保護・災害など)

一定の事情があるときは、固定資産税そのものが減額・免除になる「減免」を利用できる場合があります。
たとえば生活保護を受けている人や、災害で被害を受けた人などは対象となり得ます。
高齢者・障がい者・ひとり親など、特定の要件を満たす生活困窮者を対象に含める自治体もあります。

減免の要件や手続きは、自治体の条例によって異なります。原則として納期限までに減免申請書を出す必要があるので、早めに自治体へ確認しましょう。

課税内容に不服がある場合

固定資産の価格について不服がある場合、納税通知書を受け取ってから3ヶ月以内に固定資産評価審査委員会に審査の申し出をすることができます。
参考:東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」

審査の結果固定資産課税台帳に登録された価格が不適当であると認められる場合、登録された価格が修正され税額も修正されます。

価格以外(所有者や減免など)に不服があるときは、審査請求という手続きをとります。

どちらの場合も、固定資産税はいったん納めなければならず、納めないでいれば延滞金が発生します。
審査の結果、価格が下がれば税額も下がり、納め過ぎた分はあとで還付金として返ってきます。

固定資産税の滞納は自己破産・債務整理で解決できる?

固定資産税は、自己破産や債務整理をしても支払い義務はなくなりません。

ただし、税金以外の金融機関などから借りた借金を債務整理で解決することで、固定資産税の支払いに回せる余力が生まれ、結果的に滞納の解消につながることはあります。

固定資産税は自己破産・債務整理では消えない(非免責債権)

自己破産で免責が認められると、金融機関などから借りた借金の多くは、支払い義務がなくなります。

一方で、固定資産税などの税金(租税等の請求権)は、破産法上「非免責債権」と位置づけられており、免責の対象から外されています。
そのため、自己破産をしても支払い義務が消えることはありません。

この非免責債権には、固定資産税のほか、所得税や住民税、贈与税、相続税、自動車税などの税金、国民年金や国民健康保険料なども含まれます。
また、自己破産でなくても個人再生であっても、税金は再生計画で減額されず(全額納付が必要)、行政処分(滞納による差し押さえ)も止まりません。

他の借金を債務整理すれば固定資産税の支払い余力ができる

固定資産税の滞納が他の借金(多重債務)に起因している場合、任意整理・個人再生・自己破産などの債務整理で借金を整理することで、固定資産税の支払いに充てる余裕が生まれることがあります。

保有する不動産を活用もせず、負担となり生活を圧迫している場合は、任意売却してしまうのも選択肢の一つです。

多重債務や生活の立て直しを伴う場合は、早めに弁護士の無料相談を活用するのがおすすめです。
生活保護と債務整理の関係については、こちらの記事でくわしく解説しています。

固定資産税の払い忘れ・滞納を防ぐには

固定資産税の払い忘れは、納付時期の把握と口座振替で確実に防げます。あらかじめ資金計画に組み込んでおくと、納付月の負担も平準化できます。

納付時期を確認しておく

固定資産税の納税通知書は、毎年ほぼ同じ時期に届きます。1月1日時点の所有者あてに、東京23区では6月ごろに発送します。通知書には、1年分を一括で払う納付書と、第1期から第4期までの4分割の納付書が入っています。

東京23区の納期の例は次のとおりです。

固定資産税 東京23区の納付期限(例)
期別 納期限
第1期 6月末ごろ
第2期 9月末ごろ
第3期 12月下旬~翌年1月初めごろ
第4期 翌年2月末~3月初めごろ

自治体によって支払い時期は異なり、4月から納付が始まる地域など納付時期は様々なので、ご自分の地域の納付期限がいつなのかを確認しましょう。
基本的には毎年この納付時期は変わりません。この時期にまとまった支払いが発生するということを覚えておいて、事前に資金を準備しておくと良いでしょう。

なお、固定資産税は一括でも支払うことができますが、一括払いにすることで割引になるなどのメリットはないため、家計のキャッシュフローもふまえて都合の良い方法を選べば大丈夫です。
分割納付を選択する場合は、払い忘れが起きないよう、納付書が届いた時点であらかじめスケジュールに入れておくのが賢明です。

口座振替による自動引き落としで払い忘れ防止

固定資産税の支払い方法は、口座振替を選択することもできます。
納期限の日に指定口座から自動で引き落とすため、納付書の紛失や振り込み忘れの心配がありません。

口座振替はWEBや口座振替依頼書で申し込めます。払い忘れを確実に防ぎたい人におすすめの方法です。

振替日は基本的には納付期限と同じとなります。振替日前に口座残高があるかどうか確認しておきましょう。

資金計画に組み込んでおく

固定資産税の納付時期にまとまったお金がないという事態に備えて、住宅に毎月かかる管理費、修繕積立金、住宅ローンの返済などと合わせて固定資産税の金額も資金計画に組み込んでおくのがおすすめです。

土地や家屋の固定資産は3年に一度評価が見直されますが、おおよその金額は納付書から確認できます。

年間の支払額を月で割って少しずつ積み立てておくと、納付月に過度な負担を避けて支払いできるでしょう。

まとめ

固定資産税をうっかり払い忘れても、気づいてすぐ納付すれば大きな問題にはなりません。
延滞金は納期限の翌日から発生しますが、短期間・少額ならごくわずかにとどまり、算出額が1,000円未満なら負担は生じません。納期限を過ぎても、納付書があれば金融機関や自治体の窓口で納付できます。

一方、滞納を放置すると、督促状・催告書を経て財産の差し押さえに進むため、早めの対応が肝心です。
経済的に払えない場合は、放置せず自治体に相談し、分納・猶予・減免といった制度の利用を検討しましょう。

固定資産税は非免責債権であるため、自己破産や債務整理をしても支払い義務は消えませんが、債務整理で他の借金の負担を軽減し、税金を支払いやすい状況を作ることにはつながります。

借金が背景にある場合は弁護士に相談を

固定資産税の単純な払い忘れはともかく、多重債務が原因で滞納してしまっている場合は、生活の立て直しが必要となるため、早めに弁護士に相談することをおすすめします。どの方法が最適かは個々の事情によって異なります。

多くの法律事務所が無料相談を実施しているため、一人で抱え込まず、専門家のアドバイスを受けながら解決を目指しましょう。

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