任意整理後に返済が滞り一括返済を請求された時はどう対応すべき?

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弁護士法人札幌パシフィック法律事務所

佐々木 光嗣弁護士

滞納で一括返還請求が来たときの対処

任意整理後、借金を返済している最中に返済が難しくなったときは、返済が困難なのは一時的のことなのか、長期に渡るのかをまず把握しましょう。

一時的なものであれば債権者と話し合いにより解決できることもあります。長期に渡るとなれば、任意整理以外の方法も検討する必要があります。どの方法がベストなのかは、弁護士に相談することをおすすめします。

任意整理後の借金、返済が困難なのは一時的?長期的?

任意整理後の返済が滞る状況としては、「一時的に返済できない」と「長期的に返済不可能」の2つのパターンが考えられます。

そのため、まずは返済が困難なのが一時的なのか長期的なのかをはっきりさせましょう。それによって、返済や一括返済を請求された時の対処法も大きく変わってきます。

一時的に返済できないというのは、想定外の出費が発生して1か月または2か月の間、返済するお金が足りなくなるという状況です。一方、長期的に返済不可能というのは、定期的にお金が入ってくる収入源がなくなる状況です。

返済困難な時期が2ヶ月以上続くかどうか

まず返済するのが難しい月が2ヶ月以上続くかどうかを確認しましょう。家計簿を見て、出ていくお金と入ってくるお金の概算が分かれば目処がつきます。

長期的な返済が困難となる要因

病気や怪我による入院

長期的に困難になる要因は、病気や怪我、倒産やリストラになると思います。病気や怪我で入院する際には、高額療養費の限度額適用認定などにより出費を抑えられます。こうした制度は知らない人も多いのですが、市区町村の役所の窓口などで聞けば教えてくれます。

倒産やリストラ

また倒産やリストラの場合であれば、失業手当がいつからどのくらい支給されるのか調べてみましょう。倒産やリストラによる退職の場合は、原則として失業手当はすぐに支給されます。至急、ハローワークに足を運んで手続きをしてください。

任意整理後に一時的に借金返済できない場合は?

任意整理手続き後に一時的に返済が難しくなった場合は、任意整理の合意内容を記した和解契約書を確認してみましょう。

その際、キーワードになるのが「期限の利益」です。

「期限の利益」とは?

一般的な任意整理の和解書には、「2か月以上滞納した場合は、期限の利益を喪失する」と記載されています。

「期限の利益」とは、法律用語で期限の到来までは債務の履行をしなくてもよいという債務者の権利のことです。契約書にこの文言があることで、債務者は借金を分割で返済できるようになっています。

「期限の利益を喪失」すると、一括で返済しなければならない

「期限の利益の喪失」とは、債務を分割で返済することができなくなり、残債務を一括で返済せざるを得ない状況のことです。これは、債務者に返済期日を守らせるために通常契約書に設けられている文言です。これに「債務の元本に遅延損害金を加算して支払う」との文言がプラスされていることもあります。

滞納しそうになったら債権者に一報を入れる

もし、返済している途中で期日までに支払うことが難しい状況になれば、できるだけ期日までに債権者に連絡を入れることがベストです。手続きを弁護士に依頼した場合は、弁護士を通して連絡しましょう。

1か月滞納した場合

1か月滞納したくらいでは、一括返済請求されることはほぼありません。

支払期日に所定の金額を支払うのが難しければ、債務者側から「来月の給料日まで待ってほしい」といった一定の期日を示しましょう。

2か月以上滞納した場合

万一2か月以上返済が遅れてしまった場合でも、債権者に真摯に状況を説明すれば、何らかの妥協案を示されて一括返済請求を免れることができる可能性はあります。

このようなケースでは、「期限の利益を喪失」した状態になりますので、原則として債権者は債務者に対する一括請求を行うことが可能です。ただし、特定的に遅れていた分を一括入金するなどによって、期限の利益を回復する状態に戻してもらえることもあります。

任意整理後に長期的に返済が不可能な場合は?

任意整理手続きが終わった後、分割弁済している最中にリストラや不慮の事故などで収入が途絶えてしまう可能性もあるかもしれません。そのような不測の事態が起こったらどうすればよいのでしょうか。

他の債務整理の手段を取ることも検討

長期的に返済ができない場合は債権者と和解することが困難となります。

そして長期的に返済が滞ってしまえば、上記でも紹介したように遅延損害金や一括返済を請求されるといったリスクがあります。

そのため、任意整理での債務整理を断念して、個人再生や自己破産といった他の債務整理の手段についても検討することが必要です。

もちろん債務整理も遅延すれば様々なリスクがありますが、返済のメドの立たない任意整理を続けるよりも状況はよくなりやすいでしょう。弁護士に無料相談してみることをおすすめします。

個人再生で借金を減額してもらう

個人再生とは、減額された借金を債務者自ら立てた再生計画に基づき3~5年かけて返済する方法です。任意整理に比べると借金額を大きく減らすことができるので、借金額が大きい人には個人再生のほうが向いていると言えるでしょう。自己破産と異なり、マイホームや車などの財産を手放す必要はありませんが、手続きは裁判所を通して行われるため手間暇も時間もかかります。

自己破産で借金を免除してもらう

自己破産とは裁判所に申立てを行い、免責が下りることですべての借金を免除してもらうことができる方法です。

借金返済に苦しむ人にとっては最も効果的な方法ですが、最低限の家財道具以外の財産を手放して換金処分しなくてはならないため、債務整理の最終手段とも言えるでしょう。

任意整理後の滞納で借金を一括請求されたら、一度専門家に相談

任意整理の和解案どおりの弁済ができなくなり、債権者から借金の一括返済請求を受けても無い袖は振れません。

そういうときは、債務整理に強い弁護士などの法律のプロに相談することが最善の策です。

債務整理に強い弁護士を選ぼう

専門家に相談する際には、債務整理手続きの実績が豊富にある弁護士を選びましょう。再度債権者と交渉をして、別の形での和解ができるかもしれません。また、一括返済請求から訴訟の提起に移行することもありますが、そのときには弁護士が代理権を行使して迅速かつ正確に裁判の手続きを進めてくれます。

司法書士にも債務整理を扱う権限はありますが、扱える金額に制限がある上に地方裁判所の事件では代理権を行使することができなくなるため、あらかじめ弁護士に相談しておいたほうが無難でしょう。

ヤミ金には絶対に手を出さないようにする

絶対にやってはいけないのは、ヤミ金業者などからお金を借りることです。一般に、任意整理をすると俗に「ブラックリスト」に載るため新たな借り入れができなくなりますが、闇金業者などは積極的にこうした人達を対象にお金を貸そうとします。

すると悪質な業者に情報が出回ってしまい、それ以降は彼らのターゲットになりうることもあるため注意しましょう。

債務整理に強い弁護士なら過去の経験から返済を続けられるのか、個人再生や自己破産を選ばなければならないのか等も含めて総合的なアドバイスをしてくれます。

借金が返せなくなったときは、一人で悩みを抱えないで弁護士などの法律のプロに一度相談してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修弁護士
弁護士法人札幌パシフィック法律事務所

札幌市中央区にある「札幌パシフィック法律事務所」の弁護士、佐々木光嗣です。私はこれまで、前職までの事務所を含めて5,000件以上の債務整理に関する相談実績があります。債務整理に特化した大手事務所での経験もあり、豊富なノウハウを生かして借金問題に悩む方に最適な債務整理の方法をアドバイスしていきます。

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