任意整理の支払いが遅れそうな方へ|一回、ニ回の延滞・滞納でどうなるか解説

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弁護士法人札幌パシフィック法律事務所

佐々木 光嗣弁護士

返済遅延のイメージ

債務整理(任意整理)後に延滞を発生させないためには、一度の支払額を無理のない金額に設定しておくことが一番です。

万が一、支払いが遅れ、債権者に無断で延滞・滞納してしまった場合は、一括返済を求められたり強制執行で給料を差し押さえられる可能性があります。ただし延滞が1回だけの場合は、債権者に誠実に対応すればペナルティを受けずに済む場合もあります。

任意整理後に借金の支払い(返済)が延滞や滞納するとどうなる?

2回目の延滞で和解が無効になり一括返済を請求される

債務整理(任意整理)は、債務者と債権者の交渉によって減額された借金を3~5年程度の期間で返済します。

通常、和解書では延滞が一定限度に達すると和解の効力が失われると定められています。延滞が許される期間は「2か月(2回)」とされるケースが多いです。

和解の効力が失われると、債権者側は残債の一括返済を求めることが可能になります。ただし、債権者によっては1か月(1回)の支払い遅れ程度なら、交渉次第で待ってもらえる場合も少なくありません。

対応の仕方は債権者の考え方により異なります。ただ払えない場合は上記や下記の記事にもある通り、一括請求をされるなどそれなりのリスクがあると言えるでしょう。

延滞で和解失効になっても、すぐに強制執行となる可能性は低い

たとえ和解が失効になっても、即座に給料が差し押さえられることはありません。

それは債務整理の和解書などは「債務名義」にあたらないからです。債務名義とは裁判所等から発行される債権の存在を明らかにする公的文書のことで、債務名義があれば債権者はすぐに強制執行を行うことができます。

延滞を繰り返せば弁護士に辞任される場合もある

債務者が返済を延滞すると、迷惑をかける相手は貸金業者などの債権者だけではありません。

債務整理では弁護士事務所が債権者への振込を代行してくれる場合がありますが、延滞を何度も繰り返せば、代行が困難と判断した弁護士に代理関係を解消される可能性もあります。

債務整理(任意整理)後に支払い(返済)が延滞や滞納した場合の対処法

もし債務整理後に返済を延滞してしまった場合は、放置していても問題解決になりません。誠意を持って早めに対応することが重要です。

弁護士を通じて事前連絡する

まず、返済を延滞する可能性があると分かった時点で、担当の弁護士を通じて債権者に事前連絡することが大切です。

当月の返済期日を過ぎる前に連絡するほうが、借金を完済することへの誠意が伝わるので、債権者に寛大な対応をしてもらいやすくなるでしょう。

個人再生や自己破産に移行する

何らかの事情で収入が途絶えて返済が延滞状態となり、債権者から猶予をもらっても返済が難しい場合は、個人再生あるいは自己破産といった他の債務整理に移行することも考えなければなりません。

特定調停後に支払いが延滞するとどうなる?

債権者の立場が強くなる

特定調停は、裁判所が選任した調停委員を交えて策定する3〜5年の返済計画に沿って返済を行います。延滞時の取決めも含めた和解内容は、裁判所が発行する調停調書に記されます。

特定調停後に延滞が発生した場合は、債務整理のような比較的柔軟な対応は期待できません。返済期間中に2回以上の延滞が発生すると、再度和解に応じてもらうことは難しい傾向があります。

強制執行になる可能性が高い

調停調書は債務名義にあたるため、返済が2回以上遅延すると債権者は直ちに給与等の財産の差押えが可能になります。

調停調書は法的な効力が強く、債権者は裁判所への訴訟の提起をしなくても強制執行ができるのです。ただし即時に強制執行となるか、まずは一括返済が請求されるかは、債権者の考えにより異なります。

債務整理(任意整理)を職場に知られる

借金を周りに内緒にしている債務者にとっては、特定調停後に返済を延滞することはもう一つのリスクも負います。

それは強制執行により給与を差し押さえられ、借金があることを職場に知られてしまうことです。また、職場の経理担当者には、給与から差し押さえられた分を差し引いて毎月債権者へ振り込むという余計な作業をさせてしまうことにもなります。

個人再生後に支払い(返済)が延滞するとどうなる?

個人再生は、裁判所に再生計画を提出して借金の減額を認めてもらい、原則3年で完済することを目指す制度です。返済のペースは、毎月1回が基本です(少なくとも3か月に1回以上の返済を行う計画を作る必要があります)。

個人再生は、借金の総額にもよりますが最低返済額を最大100万円にまで圧縮できるということが特徴です。しかし、延滞すればせっかくのメリットも台無しになるおそれがあります。

再生計画が取り消される可能性がある

個人再生の場合、延滞の一番のリスクは裁判所により再生計画が取り消される可能性があることです。民事再生法上では、返済が一度でも遅れたら裁判所は再生計画の取消しができることになっています。

しかし、債権者の申し立てがなければ取り消されることはない

計画取消しは、裁判所が独自に判断するものではありません。残債の10分の1以上を占める債権者が裁判所に申し立てることで、初めて裁判所が検討を開始します。しかし、債権者からすれば、一度の延滞ですぐに計画取消しを求めるのは非常に手間がかかることなので、現実的ではないでしょう。

再生計画は簡単には取り消されない

以上を踏まえると、たった一度の延滞で必ず再生計画が取消しになるわけではありません。万が一延滞してしまいそうな時は、早めに事情を説明し、返済が遅くなってもお金が工面でき次第早く振り込むといった真摯な姿勢を見せることが必要です。

個人再生には救済措置がある

3年の返済期間中には、勤務先の都合で給料が下がってしまった、リストラされ再就職先が決まらない、ケガや病気で働けないといった、やむをえない事情で延滞の危機に陥るおそれもあります。そのようなときに備えて、個人再生には救済措置が用意されています。

再生計画の期間を延長できる

再生計画は最長で2年、期間を延長できます。トータルで返済すべき金額は減りませんが、期間が延びることで1ヶ月に1度の支払い額を抑えることが可能です。ただし、変更手続きには通常3ヶ月以上の時間と弁護士費用がかかるので、慎重な検討が必要です。

ハードシップ免責という方法がある

収入が途絶えたり働けなくなったりした場合は、再生計画を延長しても返済が難しくなります。このようなときでも、債務者が再生計画に定められた返済目標の4分の3以上の返済を終えていれば、残債は免責となる「ハードシップ免責」という方法もあるのです。

債務整理(任意整理)後の支払いは延滞しないのがベスト!弁護士と相談し無理のない返済計画を

債務整理(任意整理)後の弁済の支払いに遅れると、せっかく行った債務整理を台無しにしてしまう可能性があります。延滞を発生させないためには、毎回の支払い額を無理のない、支払いやすい金額に設定しておくことが重要です。

延滞が原因で債務整理をやり直す羽目になれば、またお金も労力もかかります。延滞しない返済計画をしっかり立てたいなら、弁護士などの専門家に相談しましょう。

この記事の監修弁護士
弁護士法人札幌パシフィック法律事務所

札幌市中央区にある「札幌パシフィック法律事務所」の弁護士、佐々木光嗣です。私はこれまで、前職までの事務所を含めて5,000件以上の債務整理に関する相談実績があります。債務整理に特化した大手事務所での経験もあり、豊富なノウハウを生かして借金問題に悩む方に最適な債務整理の方法をアドバイスしていきます。

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