離婚時に必要な法律で認められる5つの法定離婚事由とは?
「夫(妻)と離婚をしたいのに、認めてもらえない」という話を聞くことがありますが、これはその人が申し出ている離婚の理由が、民法で定める離婚事由に当てはまらないかです。では、法律で認められる離婚の理由とは、いったいどのような内容なのでしょうか?
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【1】離婚? 配偶者に不貞な行為があったとき
「不貞行為」による離婚
結婚相手が異性と浮気や不倫などの性的関係を持ったときは、「不貞行為」として離婚が成立します。「夫(妻)の不倫が発覚した」というときに、それを不貞行為として認められれば、離婚できるというものです。
不貞行為とは「配偶者のある者が、その自由意志に基づいて配偶者以外の者と性的関係を持つこと」です。一般的に使われる「浮気」や「不倫」という言葉は、法律用語にはありません。離婚裁判では「夫が浮気相手とキスをしていた」「腕を組んで歩いていた」「愛の言葉を交わしていた」というような曖昧な愛情表現ではなく、ズバリ「性的関係があったかどうか」が議論の焦点となるのです。
不貞行為を証明するには、どうしたらいい?
では離婚の場において、どうやって不貞行為を証明できるのでしょうか?性的関係の現場写真や映像があればベストですが、それはほとんど無理に近いでしょう。その場合は、不貞行為として有効になる証拠をできる限り多く集めることで、前後の状況を判断しながら不貞行為として認められることがあります。
不貞行為の証拠として有効になる可能性があるのは、浮気現場(たとえばラブホテルの入口)のビデオ映像や写真、浮気相手からのメール・手紙、電話の音声を録音したもの、帰宅時間が遅い日や休日の外出記録、外泊の日時と回数を記したもの、口紅やファンデーションが付いた衣類などです。また、夫が不倫相手にお金を貢いで家に生活費を入れないなど、結婚生活を営むうえで許しがたい状況がある場合は、性行為の有無にかかわらず認められることがあります。
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【2】配偶者から悪意で遺棄されたとき。離婚が過るとき
「悪意の遺棄」による離婚
「悪意の遺棄」とは、結婚相手や家族をわざと放ってしまうこと。「理由もなく生活費を渡さない」「働こうとしない」「妻(夫)の帰宅を妨害する」「家を出て別のマンションに住み始めてしまった」など、わざと結婚相手を放るようなことをした場合は、「悪意の遺棄」として離婚が認められることがあります。
夫婦の「三大義務」を怠ることが、離婚理由となる
夫婦には法律で定められている「三大義務」があり、これを“守ろうと思えば守れるのに怠った”という状況がある場合には、悪意の遺棄として離婚理由になり得るのです。その三大義務とは、次の通りです。
同居義務
民法752条には、「夫婦は同居し、お互いに協力し扶助しなければならない」と定められており、これを怠ると同居義務違反となります。たとえば、妻が実家に帰って戻ってこない場合や、夫が不倫相手と一緒に住み始めてしまった場合などは、これに該当する可能性が高いです。
協力義務
夫婦はお互いに協力し合って結婚生活を営む義務があり、それに反して専業主婦の妻が家事をしなかったり、家族のことを忘れて遊び歩いている場合などは、協力義務違反と判断される場合があります。
扶養義務
配偶者が扶養を必要とする状態にあり、自分に扶養するだけの能力がある場合は、養わなければならないという民法上の決まりがあります。それに反して夫が生活費を妻に渡さなかった場合などは、扶養義務違反となる場合があります。
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【3】離婚を思うのは、配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
「失踪」による離婚
民法には、結婚相手の生死が3年以上わからない場合は、離婚を請求することができると定められています。「夫(妻)がある日突然家から姿を消し、3年以上音信不通になっている」というような場合には、離婚が認められることがあります。この場合は「離婚裁判」を起こす必要があります。また、生き別れでありながらも死に別れとして扱われる「失踪宣告」という手続きを踏む人もいます。
生死不明であることを証明する書類が必要
離婚裁判にあたっては、結婚相手が確かに生死不明であることを立証しなければなりません。捜査願を出したり、知人に連絡をして訊ねるなど、“いろいろ手を尽くしたけれど見つからなかった”という事実が求められるのです。それが認められると、「悪意の遺棄」を理由に離婚請求ができます。その際には、下記の3種類の書類が必要になります。
① 捜査願の受理証明書
結婚相手が行方不明になったときに、警察に出した「捜査願」の受理証明書
② 親族や友人・知人などの陳述書
親族や友人・知人のところにもまったく連絡がないことを証明する「陳述書」
③ 事故や災害などの証明書
結婚相手が何らかの事故に巻き込まれた可能性があれば、その旨がわかる証明書
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【4】離婚しかない…配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
「精神疾患」による離婚
結婚相手が回復の見込みのない精神病にかかり、夫婦の協力義務が果たせなくなってしまった場合は、離婚が認められることがあります。精神病による離婚を裁判所が認めるケースは、けっして多くはありません。なぜなら、「結婚生活を営めない」という生活面の問題と、「配偶者を見捨てる」という倫理面の問題をはらんでいるからです。
精神病による離婚が認められるケース
しかし、過去には実際に認められているケースもあります。精神病によって離婚が認められるのは、次のような理由がある場合です。
① 回復の見込みがなく、離婚後に相手が生活を営める場合
結婚相手が強度の精神病にかかっていて、症状が重く回復の見込みがない場合は、「夫婦が互いの“協力義務”を十分に果たし得ない」という理由から、離婚が認められるケースがあります。
ただしこの場合には、離婚を求める人が結婚相手に誠意のある介護をしてきたかどうか、結婚相手の療養や介護に対して具体的な方策があるか、夫婦としての精神的なつながりがすでにまったくないのか、精神病の治療が長期にわたっているかなど、さまざまな要素を加味して決断がなされます。
② 回復の可能性はあるが、離婚せざるを得ない重大な理由がある場合
精神疾患が回復しないと断言はできないけれど、結婚生活をどうしても続けられない重大な理由がある場合には、離婚が成立する可能性もあります。
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【5】婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき、離婚を思う
「結婚を続けがたい重大な事由」による離婚
ほかにもセックスレスや暴力、親族との不和などによって、夫婦関係が破綻している場合には、離婚が認められることがあります。「夫に暴力をふるわれて、一緒に暮らすことができない」「姑のいじめが激しく、とても同居することができない」などの理由が、これに該当します。
この「婚姻を継続し難い重大な事由」に対する解釈の仕方は実に幅広く、判決も「この場合はこうなる」というような絶対的なものはありません。あくまで夫婦間の状況を考慮したうえで、担当の裁判官の判断によって決定します。
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