親害とは?離婚を迫り夫婦関係に亀裂を産む、強引な親への対処法
親害とは
親害とは、親が子ども夫婦の離婚を勝手に決めてしまう、離婚するよう強く迫るなどして過干渉する行為を指します。
離婚は本来、夫婦の間で話し合って決めるべき重大なことです。しかし、子どもへの支配欲が強く自分の意のままに動かしたいという気持ちが強い親も存在しています。このような親は、子どもやその配偶者の意見に一切耳を傾けることなく、強引に離婚を推し進めてしまいます。
親害を行う親は、「子どもとその配偶者は、親の言うことに従うべきだ」と心の底から信じて疑わないのです。
そしてさらに、いわゆる“毒親”を兼ねていることも非常に多いと言われています。毒親とは、子どもをコントロールしたり虐待したりと、子どもにとって“毒になる”親のこと。自分が毒親であるという自覚がある人は、少数派だと言われています。
親害のよくあるケース
離婚の相談を受けた親が子どもを心配するあまり暴走
離れて暮らす子どもから「夫(妻)が不倫しているようだ」「夫婦仲がうまくいかずつらい、離婚したい」などと涙ながらに相談を受け、子どもを心配するあまり暴走してしまうケースがあります。
子どもから相談を受けると、親はどうしても客観的・中立的な視点を忘れて過剰に肩入れしてしまうもの。普段顔を見ていないと、余計に心配が大きくなってしまうのもあるでしょう。
しかし「大事な娘を泣かせるような男性とは、離婚すべき!」と親主導で勝手に弁護士に依頼して離婚させてしまうのは、さすがにやりすぎだと言えます。
結婚した時点で、子どもは親のもとを離れ、ひとりの大人として自立した人生を歩んでいます。
いくら子どものことが心配で、配偶者への怒りや不満がこみ上げてきたとしても、最終的には子ども自身の決断を尊重する姿勢が正しいと言えます。
息子を説得して離婚させようとする姑
夫婦関係に大きな問題はないにもかかわらず、嫁のことを気に入らない姑が息子を説得して離婚させるケースもあります。
中には、離婚前から家族ぐるみで画策して、親権を息子側が獲得できるようにしてから、嫁ひとりだけを婚家から追い出した事例も。
この場合、息子がいわゆる“マザコン”で優柔不断で頼りない態度をとる傾向があります。息子は妻に対して大きな不満や怒りはなかったとしても、幼い頃から母親の言うことが絶対であっため、離婚の勧めにも素直に従います。
こうして息子夫婦を離婚させた姑は、孫の“母親代わり”として、自分が考える“正しい育児”を自分の思い通りに実践しようとします。
義両親の介入を理由に離婚できる?
では義両親による夫婦関係への過干渉・介入を理由として、こちらから離婚をすることはできるのでしょうか?
配偶者が合意していない場合に一方的に離婚するためには、民法第770条1項に列挙されている5つの法定離婚事由のいずれかに該当する必要があります。
義両親の介入は、5つ目の“その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき”に該当する可能性があります。
注意すべきなのは、この法定離婚事由は、あくまでも夫婦という“一対一の関係”の中で何が起こったのかが重視されるということです。
したがって、今回のケースの場合、親の介入そのものの有無・度合よりも、それが生じた際に配偶者がどんな態度を取ったのかが判断基準となります。
たとえ義親による介入が酷かったとしても、配偶者が真摯な態度でかばってくれていたと判断される場合には、法定離婚事由として認められない可能性があります。
これってひょっとして親害?判断のポイント
口うるさい義両親との関係に頭を悩ませている人は多いですが、では“親害”との違いは何なのでしょうか?
大まかな判断のポイントは、以下の通りです。
- 夫婦間で決めるべきことを義両親(実の両親)が勝手に決めてしまう
- 義両親(実の両親)が子ども夫婦の意見に一切耳を傾けない
- これまでの進路・就職先などはすべて義両親(実の両親)が決めてきた
- 完全同居・二世帯住宅など義両親(実の両親)との物理的距離が近い
心配してあれこれ言いながらも最終的には子ども夫婦に決定権を委ねて意思を尊重してくれる場合には、親害とまでは言い切れません。
親害は、“有無を言わさない”行動が特徴。そこに子どもの選択権はないのです。
また親害を見極める際のポイントとして、これまでの親子関係や現在の物理的距離も挙げられます。物理的距離が近いからといって必ず親害が行われるとは断定できませんが、重要な判断材料のひとつにはなります。
不本意な離婚を引き起こす親害への対処法
親への依存と優柔不断な態度をやめ、精神的に自立する
親害は、結婚をきっかけに突然始まる訳ではなく、それまでの親子関係をベースにしていることが多いと言われています。
子どもの方も過干渉な親の態度を当然のこととして受け入れてしまい、親に対して優柔不断な態度を取ってしまったり、依存傾向であることも少なくありません。
結婚後に癒着関係を自覚したら、勇気を出してキッパリと意思表示をするよう心掛けましょう。
急に毅然とした態度を取り始めた子どもに対して、最初は親も動揺を見せるかもしれません。不安と寂しさから、子どもに対する干渉が一時的に悪化するおそれもあります。
しかし、本気で自立する態度を示さなければ、夫婦関係への干渉を止めることはできないと考えましょう。
別居する・連絡頻度を減らすなどして、物理的距離をとる
完全同居や二世帯住宅など物理的距離が近い場合には、別居を開始するのもひとつの方法です。物理的距離が近かったり生活を共にしていたりすると、精神的距離も近くなり干渉の度合いが増す傾向があります。
離れて暮らしていたとしても、あまりにも連絡頻度が多いと、同じ問題が起こり得ます。
離れて暮らしている義両親にたまに連絡を取る際には、なるべく明るく幸せそうに振る舞って安心させるよう努めることも重要です。
「子ども夫婦は自分がいなくても元気にやっているんだな」と思えることにより、親害が改善する可能性があります。
弁護士や夫婦カウンセラーなどの第三者に相談する
配偶者との悩みは、まずは弁護士や夫婦カウンセラーに相談してみましょう。
ある程度自分の中で気持ちを整理して結論を出してから親に話すようにすれば、余計な心配をかけなくて済むと考えられます。その結果、親害の防止に繋がる可能性もあるでしょう。
前述のように、親害を行う親は必ずしも悪気がある訳ではなく、子どもを心配する親心が原因であることも多いものです。
弁護士や夫婦カウンセラーはあくまでも職業として相談を受けているので、夫婦のいずれか一方にだけ感情移入することなく、冷静に客観的なアドバイスをしてくれるはずです。
まとめ
親(義親)主導で子ども夫婦を離婚させようとする“親害”は、長年かけて築いてきた親子関係とも複雑に絡み合っている根深い問題です。
「それは親害です」と指摘しても、当の本人は一切認めようとしないことも多いのです。
親の介入が原因で離婚を検討し始めたら、弁護士に気軽に相談してみましょう。
弁護士に相談したからといって必ずしも離婚しなければならない訳ではないので、今後の見通しを立てるために法律的見解を聞いてみるのもお勧めです。
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