離婚調停が短期間で成立ケース、長引くケースの違いとは?
離婚調停は3回にわたって行われますが、内容によっては短期間で終わるケースもあります。では、いったいどんな場合に短期間で終わり、どんな場合に長引くことが多いのでしょうか?それによって、調停に向けての心の準備も違ってくるので、あらかじめ確認しておきましょう。
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調停が短期間で終わるケース
【1】慰謝料や養育費の金額が争点となっている場合
金額の折り合いがつけば、調停は短期間で修了
慰謝料や養育費などの金額で折り合いがつかずに調停へともつれ込んだ場合、その金額さえ合意できれば、調停は短期間で終了します。たとえば離婚の原因が夫の浮気であることがはっきりしている場合、慰謝料の金額が決まらずに調停に進むケースがあります。このような場合には、双方が納得できる金額に落ち着けばすぐに話がまとまり、調停が短期間で終わることも少なくありません。
10年間続いた夫の不貞に終止符を打つべく、調停を起こしたAさんの事例
Aさんは元専業主婦。大学を卒業後に勤めていた会社で夫と知り合って結婚し、18年が経ちました。ところが、夫は10年前に出席した同窓会で昔の恋人と再会し、お互いに愛が再燃して不倫関係を持つようになりました。
Aさんがそのことに気づいたのは、5年前でした。Aさんは何度も「もう不倫関係はやめてほしい」と泣きながら夫に頼みましたが、夫は「不倫などしていない」の一点張り。そこで不倫相手に直接電話をし、今後夫と会わないようにと伝えたところ、「わかりました」と言いながらもやはり不倫関係は終わることがありませんでした。
「もうこの人とはやっていけない」と強く確信したAさんは、離婚を決意。夫に話したところ、離婚は受け入れられました。そして弁護士に相談し、不倫相手に対して慰謝料を請求したいと伝えたのです。弁護士から「長期にわたる不貞は悪質であり、慰謝料の請求は当然です」と言われたAさんは、敢然と戦うことを決めました。
弁護士を通して200万円の慰謝料を請求したところ、不倫相手は「そんなお金はない」の一点張り。証拠があることがわかっても、「慰謝料を払う気はない」と突っぱねたため、やむなく調停にかけることにしました。第1回目の調停で、相手は「お金がないので、何とか減額してほしい」と懇願し、当初の請求を下回る150万円で調停が成立しました。
【2】財産分与が争点となっている場合
公平な分配ができれば、早期に解決する
財産分与で揉めている場合は、調停の場でお互いが妥協できる公平な分配ができれば、早期に解決することができます。たとえば、夫が「家も車も貯蓄もぜんぶ俺が稼いだものだから、何一つ譲れない」と言い張っていた場合でも、調停委員が説得することで、財産が夫婦ふたりのものであることに気づくケースもあります。それによって「家は妻、車と貯蓄は夫が受け取る」というように話がまとまり、第1回調停で無事終了することもあります。
調停委員との関わり方は、とても大切
離婚調停を早期に終わらせたいなら、調停委員と上手に関わることも重要です。自分と調停委員との話し合いの際に、いかに調停委員を自分の味方につけ、離婚相手を説得する気持ちにさせるかが大きなポイントとなります。
調停委員にもさまざまなタイプの人がいますが、自分から調停委員を指名するわけにはいかないので、そこはグッと大人になって気持ちを抑えながら接しましょう。
【3】二人の言い分があまりにも食い違う場合
話し合いが困難な場合には、調停不調で終了してしまう
調停が早期に終わるといっても、いいケースばかりとは限りません。双方の言い分があまりにも食い違い、話し合いをすることが極めて難しい場合には、調停不調で早期に終了してしまうこともあります。
たとえば、単身赴任で何年もの間妻に十分な生活費を送り続けていた夫が、「これでは夫婦としての意味がまったくない」と離婚調停を起こしても、おそらく調停は不成立となってしまうでしょう。なぜなら、妻は生活に不満がないので調停に出席する意味がなく、当日は欠席してしまうからです。このようなケースの場合には、仕送りの額を減額することで相手方から婚姻費用分担請求を起こさせ、そこで離婚調停も一緒に行うなどの駆け引きが必要になってきます。
調停が長引くケース
【1】子どもがいる場合
子どもに関わる問題は、難航しやすい
離婚する夫婦に子どもがいるかどうかは、調停の期間に大きな影響を与えます。なぜなら、夫婦二人だけであれば財産分与や慰謝料の話し合いがメインになりますが、子どもがいることで「親権」や「養育費」という難題がプラスされるからです。
親権は母親が持つケースがほとんどなのですが、父親が「自分が育てたい」「子どもに家を継いでほしい」といった希望がある場合は、相当調停が難航することが予想されます。
親権の問題は、特にもつれる可能性が高い
かなり昔の映画になりますが、子どもの養育権をめぐって裁判になった「クレイマー、クレイマー」という映画が話題になったことがあります。主婦の立場に不満を持つ妻が、仕事に明け暮れる夫に愛想をつかして離婚。妻は家を出て、養育権を得た夫が子どもと暮らしていたところへ、母親が突然「養育件奪還」の裁判を起こします。
仕事で成功した母親と、子育てに追われ仕事を失ってしまった父親。当然父親には勝ち目がないのですが、子どもと深い絆で結ばれていたため、何とかこれに対抗しようと頑張ります。しかし、結果的に養育権は、母親のもとへと移されます。
ところが、母親自身はその裁判を通して、いかに父子の絆が深いかを感じ取っていました。そして子どもを迎えに行くはずの日、一緒に朝食を食べる父子のもとを母親は訪れ、「子どもはやはり父親と住むべきだ」と告げて去って行ったのです。
このように、親権には感情的な問題が多分に含まれているため、裁く側も裁かれる側も複雑な心境に追い込まれます。お金で解決する慰謝料や養育費などに比べて、もつれる可能性が高いのも無理はないでしょう。
【2】離婚するか否かが問われている場合
相手が離婚を認めない場合は、裁判に進むことが多い
妻が夫を見限って「離婚してほしい」と言っても、夫は「俺に何の過失があるのだ」と言って断固として認めない場合や、生活費ほしさに心のつながりがない夫との離婚を拒む場合など、離婚そのものをどうするかが決まっていないケースも深刻です。
調停が3回に及ぶことはほぼ間違いなく、たとえ調停不成立になったとしても、裁判になる可能性はとても高いでしょう。裁判に進めば離婚が成立することも多いので、最初から裁判になることを覚悟しておいた方が賢明です。
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職場への配慮や、メンタル面のコントロールを忘れずに
調停が長引く場合は、職場にきちんと説明を
調停は平日に行われるため、1ヶ月に一度とはいえ、毎月休むとなると会社にも迷惑をかけることになってしまいます。職場の仲間からも「どうしたのだろう?」と思われるかもしれません。調停が長引くことがあらかじめ予想される場合には、通院などを理由にごまかすよりも、上司や親しい仲間にはきちんと話しておいた方が良いでしょう。
途中から「実は」と打ち明けるよりは、最初からそのことを話すことで、職場の仲間が応援してくれる場合もあります。調停や裁判はけっしてはずかしいことではなく、より良くなるためのひとつのステップだと考えて、堂々とした態度をとることが大切です。
心が折れてしまわないよう、ストレス解消法を見つける
調停が長引くと一番怖いのは、メンタル面のコントロールです。別れる相手とはいえ、一度は共に暮らした相手が信じがたいことを言ってきたりすると、思わず心が折れそうになることもあるでしょう。
そのときに、「いや、ここでくじけちゃいけない。頑張らなくては!」と心を奮い立たせるためには、どこかでストレスを解消することも大切です。離婚の前後は忙しいので飲み会や旅行というわけにもいきませんが、せめて自宅で音楽を聴いたり、お風呂でリラックスするなど、自分なりのストレス解消法を見つけましょう。
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