離婚後の健康保険加入手続きはどうなる?国民健康保険はいくらくらい?
離婚前夫の扶養に入っていた場合の妻の健康保険料は、離婚前までは夫の給料から天引きされています。しかしながら、離婚をすると、夫の健康保険の加入資格を喪失するため無保険となってしまいますので、妻が勤務している場合は勤務先の健康保険、自営業や無職の場合は国民健康保険に加入しなければなりません。
でも、役所に行って保険料の金額を聞くと、思わず「え、本当に?」と聞き返したくなる人もいるかもしれません。そのくらい、国民健康保険等の支払額は高いのです。
離婚後の保険手続きはどうなる?
自営業・無職の場合は、まずは役所に行って、国民健康保険へ加入の手続きをする必要がある
離婚をして夫の扶養から外れると、妻が自営業又は無職の場合、14日以内に役所に行って、国民健康保険の加入手続きをする必要があります。その際に、自分の年収をザックリとでもいいので伝えて、「年収●万円なら保険料は年間いくらになる」といったおおよその保険料は確認しておいた方が良いでしょう。家計を切り盛りするうえで、健康保険料は非常に大きく影響するからです。
国民健康保険の加入手続きには、下記の書類が必要です。
- 国民健康保険被保険者取得届
- 健康保険資格喪失証明書
その他に、手続きの際は印鑑と本人確認のできるもの(免許証やパスポートなど)も必要です。
「健康保険資格喪失証明書」というのは、以前に入っていた夫の健康保険の資格喪失を証明する書類なので、あらかじめ夫を通じて勤務先に発行を依頼しておいた方が良いでしょう。頼んでもなかなか届かない場合は、夫の勤務先を管轄している年金事務所に問い合わせるという方法もあります。
国民健康保険を継続する場合も、手続きが必要
では、婚姻中にも、夫を世帯主とする国民健康保険に妻が入っていた場合はどうするかというと、「世帯変更」の手続きを行います。自分が世帯主となり、新たに国民健康保険に加入したうえで、子どもがいる場合は被保険者として入れます。夫婦によっては、妻と子どもが一緒に暮らしていても、親権者や同居の有無は問われないため、子どもだけは父親の勤務先の健康保険に残しておくケースもあります。子どもひとりにつき数千円の保険料が加算されるので、もしそれができれば経済的には助かるでしょう。
では離婚後に引っ越しをする場合はどうするかというと、これが意外と面倒です。転居前の役所で一度国民健康保険の資格喪失手続きをしたうえで、今度は転居先の役所に行って、新たに国民健康保険の加入手続きをしなければなりません。「同じ国民健康保険なのだから、別の役所で二度手続きしなくても問題ないのでは?」と思う人もいるのですが、残念ながらそれは無理。管轄の役所が違うと、それぞれに手続きが必要なようです。これを忘れると、保険料を二重に取られてしまう可能性があるので、十分に気を付けましょう!
自分の勤務先の健康保険に入る場合
「離婚前は夫の扶養に入っていたため夫の勤務先の健康保険に入っていたけれど、離婚するにあたって自分の会社の健康保険に入り直す」という人もいるでしょう。その場合は、自分の勤務先に依頼をすれば、手続きを行ってくれます。この際にも上述の夫の勤務先の健康保険組合からの「健康保険資格喪失証明書」が必要となるため留意しましょう。
また、離婚前に夫が自営業などで国民健康保険に入っていた場合は、自分の勤務先に加入の依頼をするとともに、役所に行って国民健康保険の資格喪失手続きをする必要があります。
国民健康保険の資格喪失手続きには、下記の書類が必要です。
- 国民健康保険被保険者資格喪失届
- 以前の国民健康保険証
- 新しい健康保険証または資格取得証明書(引っ越す場合は不要)
国民健康保険の資格を喪失してから14日以内(または転出時)に、印鑑を持って住所地の役所に行き、手続きをしましょう。
健保組合のある会社に勤めれば、保険料負担は軽減されることも多い
社会保険と国民健康保険の算出方法は異なり、国民健康保険の保険料の算出方法は、前年度の所得と世帯の人数によって決定されます。一方、社会保険は毎年4・5・6月の収入が算定の基準として決まります。そのため、どちらが安いか一概には言えないのですが、仮に算出結果が変わらない場合は、社会保険の場合健康保険料の半分を会社が負担してくれるので、金額が安くなることになります。たとえば保険料が3万円なら、1万5千円で済ませることができるという訳です。
また、会社の健保組合の加入者は、健康で収入の安定した人が多いといえます。保険を使う人が少ないわりに、保険料が安定して入るという好循環があるので、支払額も低めに抑えることができるのです。会社の健康保険に入れるのであれば、それはとてもありがたいことだと思った方が良いでしょう。
国民健康保険の支払額は、今後も増え続ける?
それに比べて、国民健康保険は低所得者や年金受給者などが多く、健康保険を使う率が高いわりには保険料が集まらないという悪循環に陥っています。社会全体も高齢化に向かっているため、社会保障費はどんどん膨れ上がっていて、政府は国民健康保険支援の圧縮も検討しているそうです。国民健康保険の支払額は、今後も増える要素しか見当たりません。
離婚後に厳しい生活を強いられる中、月に2~3万円の国民健康保険料がのしかかり、さらに1万6千円を超える国民年金を払わなければならない…。これは離婚後のシングルマザーにとって、死活問題ともいえる一大事でしょう。
年々上昇している国民健康保険の金額
離婚前に夫の会社の健康保険に入っていた人は、これから支払う国民健康保険料がいくらかを知ると、意外と高額であることに驚かれるかもしれません。夫の扶養から外れることによる負担は、自ら収入を得る必要があるという面だけではなく、健康保険料等の支出面もあることに留意しておきましょう。
実は、国民健康保険の金額は、年々上昇の一途をたどっています。古いデータになりますが、東京都豊島区の場合、年収200万円の給与所得者(夫婦二人世帯)の2010年国保料は11万7千円でしたが、2013年には20万2千円と、3年間で8万5千円も増えています。さらにその後も国民健康保険の支払額は上昇傾向にあります。
「それなら国民健康保険には加入しない」と言いたいところですが、そういう訳にはいかないのが辛いところです。健康保険に加入していない場合、医療費が10割負担となってしまい、経済状態によっては、十分な治療を受けられない可能性もあります。また、日本は「国民皆保険」という制度をとっているため、原則的にすべての国民は必ずどこかの健康保険組合に加入しなければならないという決まりがあるのです。
どうしても支払えないときは、健康保険料免除の相談を
「全額免除」から「4分の1免除」まである、保険料免除の種類
「手取り20万円にも満たないのに、そこからさらに数万円も減らされたら、とても生活していけない」という人もいるでしょう。どうしても国民健康保険の支払いが難しいようであれば、役所に行って免除の申請をするという方法もあります。
その場合は、各市町村の保険年金課に行って、免除の申請を行います。前年度の所得に応じて、免除の内容には「全額免除」「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」の4種類がありますので、役所で相談してみましょう。また、一度免除の申請が通ったとしても、免除制度は永続的なものではなく、次回以降どうなるかは不明です。一日も早く生活を建て直し、健康保険料が払える状態に回復することが望まれます。
国民健康保険料の「滞納」と「免除」はまったく違う
離婚後に生活が苦しく「とても健康保険料までは払えない」という状況になったときに、保険料を滞納してしまう人がいますが、これは避けましょう。滞納が続くと、延滞金の加算、受けられる保証の一部停止、財産の差押えなどの法的な措置を受けてしまうこともあり、社会生活を営むことが困難になってしまいます。必ず保険年金課に出向き、免除申請の手続きをするようにしましょう。
所得に応じて保険料が軽減される制度もある
前年度の所得が一定額以下になると、7割~2割の間で国民健康保険料が軽減される制度があります。これは所得や世帯人数によって自動的に計算されるので、申請の必要はありません。「去年は収入が少なくて、本当に大変だった」というときに、今年度の国民健康保険料がかなり少なかった場合は、軽減制度が適用になった可能性が高いでしょう。
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