債務整理で借金の申告漏れ!債権者一覧表からの記載漏れで自己破産・個人再生はどうなる?

債務整理で借金の申告漏れ
債権の申告漏れが発覚した場合、借金の減額ができなくなる可能性もあります。債務整理で失敗しないためには、裁判所に対してすべての債権・借金を正確に申告することが重要です。

本記事では、債権の申告漏れが起こりやすいケースやその対策、そして申告漏れが発覚した場合のリスクについて詳しく解説します。

債務整理で借金の申告漏れがあるとどうなる?

自己破産や個人再生といった方法で債務整理をする場合、債権者や借金の金額などをまとめた債権者一覧表を用意する必要があります。

万が一、債権者一覧表に記載がなく申告漏れとなっていた借金がある場合、減額できる借金の金額が少なくなる、最悪は借金の減額・免責そのものが認められなくなるおそれもあります。

自己破産や個人再生などの債務整理の手続きを行う場合は、債権者の報告・申告漏れが起きないよう、債権者一覧表は正確に作成することが重要です。

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債務整理で申告漏れの起きやすい債権

ふだん存在を意識していない借入れは申告漏れが起きやすい傾向があります。
実際に申告漏れが起きやすい債権としては次のようなものがあげられます。

クレジットカードの支払い・キャッシング利用

クレジットカードの支払いやキャッシング利用は、日常的に使用されることが多く、つい債務整理の際に見落としてしまうことがあります。

特に、少額利用や繰り返しのキャッシングは、それが借金であるという自覚も薄く、利用したこと自体の記憶も残らないことが、申告漏れの原因となります。

家族・親族、知人・友人など個人間の借金

家族や親族、友人からの借金は、正式な契約書が存在しないことが多く、債務整理の際に忘れてしまうことが多々あります。

また、借りた相手に債務整理した事実を知られたくない、バレたくないという気持ちから、申立者が故意に申告しないケースもあります。

会社からの借入(従業員貸付)

従業員貸付制度を利用して会社から借り入れた場合、借り入れた分のお金を忘れてしまうことがあります。特に、給与天引きで返済している場合は、見落とされがちです。

家族等と同様、会社に債務整理を知られたくないという気持ちから、申立者が故意に申告を避けるケースもよくあります。

未納の税金(公租公課)

未納の税金や社会保険料も記載漏れがわかると、あとで問題になります。税金や社会保険料など(公租公課)の支払い義務は自己破産をしても残るためです。
債務整理後の生活再建にも関わる話なので、未納の税金等も忘れずに記載しましょう。

書式は裁判所ごとに異なりますが、税金・社会保険料は公租公課用の一覧表が用意されており、通常の民間債務とは別に記載し、提出することになります。

債権者から請求書や督促のない借金

督促や請求書が送られてこない借金も、その存在を忘れがちです。督促・請求が来なくても未払いのままの借金であれば、それは債務とみなされます。

債務整理を行う際は、信用情報機関への信用情報照会を行うなどして、すべての借入先を確認することが重要になります。

代位弁済・債権譲渡(保証会社・債権回収会社からの督促)

保証会社による代位弁済やサービサーへの債権譲渡があった場合、保証会社や債権回収会社が債権者になります。

保証会社や債権回収会社からの督促があった場合、申立者の中には「知らない会社から突然督促が来た」と考え、督促の中身も見ずに無視する方も少なからず存在します。
身に覚えがなくても、正規の流れで代位弁済・債権譲渡が行われた債務であれば、それは申立者が負う債務であり、結果、申告漏れも発生しやすくなります。

借入社数を把握できない程の多重債務

多重債務者の場合、借入先が多すぎることが原因ですべての借金を把握しきれないことがあります。すべての債権を漏れなく申告するためには、財産や債務状況の調査が必要です。

信用情報機関へ問い合わせての債務調査は自分で行うこともできます。
ただし、債権者一覧を提出を求められるような債務整理手続を行う場合は、事実上、弁護士への依頼が必須です。現実的には、債務調査の段階から弁護士に任せるのが、債権者一覧への記載漏れを防ぐ上でも得策でしょう。

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返済を肩代わりした(連帯)保証人からの求償債務

債務者の自己破産を受け、残債を連帯保証人が肩代わりして返済した場合、連帯保証人には肩代わりした金額を債務者に請求する求償権が発生します。
このような求償権も債務整理の対象となり、債権者一覧表に記載する必要があります。

債務者の申請時点でまだ保証人が支払いをしていない場合でも、保証人には将来の求償権が認められるため、債権者一覧に記載する必要があります。
それでも実際に支払いをしていない段階ということもあり、記載の必要性を忘れて申告漏れになってしまうことがあります。

治療費

医療機関への治療費の滞納も、記載漏れが起きやすい債権です。医療費は債務整理の対象になると思わず、債権者一覧表に入れる意識がそもそもなかったケース等が考えられます。

公租公課と異なり、治療費は債務整理の対象となるので、通院中の方などは必ず忘れずに債権者一覧表に追加するようにしてください。

家賃・公共料金(ガス・水道・光熱費)・携帯料金

家賃・光熱費・携帯料金など日常的な毎月の支払いも債務に含まれ、未払い分があれば、すべて申告する必要があります。

少額だからと見逃してしまうと、あとで問題となることがあります。

わざと隠した借金

故意に隠して申告しなかった借金は、債務整理後に発覚すると重大な問題となります。

個人再生による債務の軽減・自己破産の免責が認められなくなる、特に悪質な場合は詐欺破産罪(破産法265条)の刑事罰(10年以下の懲役 または 1,000万円以下の罰金)を受ける可能性もあります。
すべての債務を正直に申告することが重要です。

保証債務

他人の借金の保証人になった場合に背負う債務、つまり保証債務も借金に含まれます。

奨学金の保証人になっている人は、債務のひとつとして必ず申告するようにしてください。

債権者一覧表への記載漏れで起こり得るリスク

債権者一覧表への記載漏れが発覚した場合、さまざまな不利益を被るリスクがあります。
特に、手続きの開始決定後に申告漏れが発覚した場合は深刻な問題が起きやすいです。

申立てを棄却される可能性

債権者一覧表にすべての債権が正確に記載されていない場合、裁判所はその申立てを棄却する可能性があります。
債務整理手続きは、すべての債権者に対して公平に行われる必要があります。そのため、債権者一覧への記載漏れがある場合、手続き全体の公正性が疑われることになります。

悪意ある「債権者隠し」かどうかが焦点に

特に問題になるのが、悪意のある「債権者隠し」です。

記載漏れが故意であると判断された場合、いわゆる「債権者隠し」として認識されます。

申立ては棄却され、借金の減額や免責が認められなくなる可能性はもちろん、詐欺破産罪として刑事責任を問われ、罰則を受けるリスクもあります。

詐欺破産罪に対する罰則は10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方です。
前科が付くことになるので、以後の人生に大きな悪影響を及ぼすことにもなるでしょう。

手続きが増える分、追加費用が発生する

債権者一覧表の記載漏れが発覚した場合、再度の手続きが必要となり費用も追加で発生する場合があります。

追加書類提出に伴う裁判所への支払い、弁護士の稼働に対する報酬などが考えられます。

記載漏れの債権について返済を求められるおそれ

記載漏れの債権について、債務整理手続きの対象外となり、債権者から引き続き返済を求められる可能性があります。

借金の負担を減らすために手続きしたにも関わらず、手続き後も多額の借金が残ってしまっては、債務整理をする意味が半減します。

自己判断で払うと偏頗弁済に

記載漏れの債権者に対して個別に返済を行うと、その支払いが他の債権者に対する偏頗弁済(特定の債権者に有利に働く返済)と見なされる場合があります。

偏頗弁済は、自己破産における免責不許可事由にあたり、発覚した場合、借金の免責が認められなくなる、個人再生の場合は再生計画への認可が下りなくなるおそれがあります。

自己破産で債権者漏れが発覚した場合に取るべき対処法

自己破産で債権者漏れが発覚した場合、なるべく早く対応することが重要です。
ここでは自己破産手続きのタイミング別に、取るべき対処法を紹介します。

破産手続き開始決定前に別の債権が発覚した場合

破産手続き開始決定前に新たな債権が発覚した場合、すぐに裁判所に報告し、債権者一覧表を修正する必要があります。

すべての債権者に対して平等に処理を行うために重要なため、発覚次第速やかに弁護士や司法書士に相談し、適切な手続きを進めることが重要です。

破産手続き開始決定後に別の債権が発覚した場合

破産手続き開始決定後に新たな債権が発覚した場合、上申書等を作成して裁判所に報告する必要があります。

すでに開始決定後でも、手続き途中であれば、申立者側の対応次第で比較的柔軟に対応してもらえる可能性はあります。
弁護士に依頼し、可能な限り速やかに報告の手続きを進めましょう。

免責許可決定後に別の債権が発覚した場合

免責許可決定後に新たな債権が発覚した場合、その債権が免責の対象になるかはケースバイケースです。

なんらかの理由で、意図的な債権隠しが発覚した場合、悪質なケースでは決定後でも免責取り消しとなることがあります。
とはいえ、免責が必ず取り消させるとは限らず、たとえば借金の存在に対して完全に無自覚で漏れていた場合はそのまま免責が認められるケースもあります。

悪気なく未申告の債権が存在することがわかった場合は、すぐに弁護士などの専門家に相談しましょう。

個人再生で債権者漏れが発覚した場合に取るべき対処法

個人再生で債権者漏れが発覚した場合も、自己破産のときと同様に早めに対処する必要があります。

個人再生手続開始決定前に別の債権が発覚した場合

個人再生手続開始決定前に新たな債権が発覚した場合、裁判所の裁量によって、債権者一覧表の修正が認められる可能性があります。
申告漏れに気づいた場合は速やかに専門家に相談して手続きを進めましょう。

債権届出期間中に別の債権が発覚した場合

債権届出期間中に新たな債権が発覚した場合、債権者一覧表自体の訂正はできません。
しかし、発覚した債権者に対して債権届出を促し、裁判所に報告する方法で申告漏れを修正できる可能性があります。

裁判所による書面決議または意見聴取前に別の債権が発覚した場合

裁判所による書面決議や意見聴取前に新たな債権が発覚した場合、債権者が把握することができなかった事情によっては、届出の追完が認められる可能性があります。

ただし、追完が認められるのは、再生計画案が裁判所による決議にかけられるまでの間です。
裁判所による付議決定後は、債権者一覧になかった債権者が再生計画案の決定に関与することはできず、最終的に認可された再生計画に則って返済を行うことになります。

再生計画案認可後に別の債権が発覚した場合

再生計画案認可後に新たな債権が発覚した場合、その債権に対しても、再生計画で認められた減免率に沿う形で返済することになります。

ただし、弁済対応の優先度は、債権の届出がなかったことへの落ち度が債権者・債務者のどちらにあるかで扱いが異なります。
債権者側に落ち度があった場合は再生計画にある債権者への弁済がすべて完了した後、債務者側に落ち度があった場合は再生計画内の債権者への弁済が終わる前から返済を開始します。

債務整理の債権者一覧表の記載申告漏れを避ける対処法

債権者一覧表の記載漏れや申告漏れを避けるためには、なによりも正確な調査・確認が重要です。

信用情報の調査、自宅等へ届いた請求書や督促状などの郵便物からすべての債権者を洗い出すことは、効果的な債務整理・借金問題解決の第一歩です。
弁護士などの専門家にも相談し、正確な手続きを進めるようにしましょう。

すべての借金・滞納を正直に話す

まず、債務整理を進める際には、すべての借金や滞納を代理人などに正直に話すことが大切です。

  • クレジットカードの支払い
  • キャッシング利用
  • 家族や友人からの借金
  • 会社からの借入
  • 未納の税金など

考えうる借金や支払いの滞納すべてを正確に申告することで、債権者一覧表の記載漏れを防ぐことができます。

ここまで解説したように、一部の借金を隠してしまえば、のちのち問題になり、借金の減額・免除が認められなくなるおそれもあります。
借金の支払額をきちんと減らすためにも、自分の抱えた借金について、隠し立てなく正直に話しましょう。

信用情報開示請求を行う

信用情報機関に対して信用情報開示請求を行うことで、自分が抱えているすべての借金を確認することができます。
これにより、見落としがちな債権や忘れていた借金も把握できます。

信用情報の開示請求は、インターネットや郵送で自分でも簡単に行うことができますが、不安を感じる場合は弁護士に相談・対応してもらうのが確実です。

手続き自由度の高い任意整理を選ぶ

借金の金額にもよりますが「任意整理を選ぶ」という方法もあります。

任意整理は、裁判所を通さずに債権者と直接交渉する手続きで、法的手続きではなく債権をめぐる民事レベルの交渉です。
仮に債権者一覧に記載漏れがあった場合でも、追加で任意整理交渉を行うだけなので、個人再生や自己破産に比べれば修正対応は比較的容易です。
借金の件数・金額がそこまで多くないケースであれば、任意整理を選ぶ方が将来的な影響も少なく、スムーズに手続きできるケースもあるでしょう。

もっとも、借金の総額が大きい場合、任意整理では根本的な解決につながらない可能性もあります。任意整理で大幅な借金減額は望めないためです。

ご自分の借金問題に任意整理が最適か、やはり他の方法が最適かどうか、一度弁護士に相談することをおすすめします。

債務整理の手続き全体を弁護士に相談する

債務整理を進める際は、手続き全体を債務整理・借金問題に強い弁護士に相談するのが最も確実な方法です。弁護士は、債権者の洗い出し~一覧表の作成から、最適な債務整理方法選び、裁判所の絡んだ手続きまで、債務整理全体の進行をサポートしてくれます。

自分の借金問題を弁護士に相談することで、不要な記載漏れ・申告漏れも防ぎ、適切な債務整理手続きを進めることができます。

まとめ

債務整理を行う際は、すべての債権を正確に申告することが不可欠です。
多重債務で首が回らなくなった状況にあると、クレジットカードの支払いやキャッシング利用など眼の前の返済ばかりに意識がいき、家族や友人からの借金、会社からの借入、未納の税金など、細かな返済項目はついつい見落としがちです。
借金問題をすべて解決していく以上は、債務の状態を正確に把握し、申告しなければ、手続きは遅延し追加費用が発生するリスクも抱えることになります。

困った借金問題を適切に解決していく上で、債務整理に強い弁護士は心強い見方となります。債務整理をお考えの際は、なるべく早めに弁護士へのご相談をおすすめします。

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