個人再生はアルバイトやパートタイマーでも申請できる?
非正規雇用でも個人再生が認められる条件とは
個人再生は、アルバイトやパートタイマーなどの正規雇用でない人でも手続きすることが可能ですが、収入や生活状況によって判断が異なるケースがあります。アルバイトやパート勤めをしている人で、個人再生の申立を考えている方は、事前にしっかり条件を把握しておくことが大切です。
個人再生の種類によっては正規雇用でなくても手続きが可能
個人再生には「小規模個人再生手続」「給与所得者個人再生手続」の2種類があります。アルバイトやパートタイマーでも、継続して安定した収入を得られることが見込めれば個人再生を行うことができますが、どちらの手続も可能なのでしょうか。
小規模個人再生手続を利用する
「小規模個人再生手続」は、
- 借金の総額が5000万円以下であること
- 債務者が個人であること
- 将来にわたり継続的に収入を得る見込みがあること
が利用要件となっています。
そのため、アルバイトやパートタイマーでも、借金が5000万円以下で、継続した収入がある場合には「小規模個人再生手続」であれば認可が下りる可能性が高いと言えるでしょう。
「給与所得者個人再生手続」は認められないケースが多い
「給与所得者個人再生手続」は、「小規模個人再生手続」の要件に「給与所得などで収入が安定していること」がプラスされています。
アルバイトやパートタイマーは、病気などで欠勤が続けば、基本給のある正規雇用とは違い、その分の収入が減ってしまいます。そのため、「給与所得者個人再生手続」が認可されないケースが多いですが、収入の変動の幅や借金の額にもよりますので、迷った際には弁護士などの専門家に相談してみましょう。
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収入の変動幅の目安
「給与所得者個人再生手続」は、収入が安定していて、かつ過去2年間の収入の変動幅が20%以内でなければ認められないことが多くなっています。2年間である理由は、可処分所得の2年分を3年間で返済できるだけの収入を得ている必要があるためです。この要件を満たさない限り、「給与所得者個人再生手続」は認められないことになっています。
再生計画の弁済期間は原則3年間
個人再生では、債務者が提出した再生計画が裁判所に承認されることが認可の要件となっています。借金の弁済期間は原則として3年間で、この期間内に、3カ月に1回以上の返済をすることが個人再生を行うための要件です。これに見合う収入が見込めない場合には、「小規模個人再生手続」でも認可が下りないこともあります。
3カ月に1回以上の返済が条件
個人再生では、3年以内に3カ月に1回以上の返済があることが原則です。このペースを守りながら3年間にわたって返済を続けていくため、「継続して安定した収入を得られる」ことを裁判所に示す必要があります。ただし、1カ月毎の収入に変動があっても、収入の多い時に貯蓄するなどして3カ月に1回返済していくことができるのであれば、個人再生が可能ということになります。
特別な事情がある場合のみ、弁済期間が延長される
子どもの教育費や医療費、住宅ローンの返済などで出費がかさみ、再生計画に基づいた3年間で弁済が困難であることを申し出れば、弁済期間の延長が最長5年まで認められるケースもあります。ただし、娯楽費や交際費などの支出が多いと判断された場合には認められない可能性が高くなりますので、必ず延長が認可されるとは考えない方が良いでしょう。
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アルバイトやパートタイマーでは個人再生ができない場合もある?
個人再生は、アルバイトやパートタイマーなどの非正規雇用でも利用できます。しかし、どのようなケースでも個人再生は可能なのでしょうか。
個人再生が認められないケースとは
アルバイトやパート勤めなど正規雇用でなくても個人再生は認められますが、それはあくまでも「継続した収入を得ることができる」と判断された場合になります。
債務者に収入がない場合
債務者が無職で収入が全くない場合には、個人再生の手続きを利用することはできません。就職活動中や生活保護受給中で個人再生を希望している場合には、まず仕事を見つけ、収入を得られる状態になってから、個人再生の申立をしてください。
個人再生の条件を満たしていなくても状況によって考慮されることも
収入が全くない場合には、個人再生は認められませんが、月に数万円程度の収入がある場合には個人再生が認可されるケースもあります。これは、配偶者に安定した収入がある場合や実家に住んでいて家賃を支払う必要がない場合、親族などからの援助が見込める場合に、それらの事情が考慮されるためです。
弁護士などの専門家に相談しよう
個人再生は、債務者の収入や生活状況、借金の金額によって対応が変わってきます。現在の状況で個人再生が可能かどうかわからないときには、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
収入が少ない、変動が大きいなどの個々の状況は専門家に相談を
アルバイトやパートタイマーは、収入が月によって変動するケースも多いでしょう。しかし、すぐに「自分は個人再生ができない」と結論を出してしまうのは時期尚早です。
それぞれの生活スタイルによっても、個人再生ができるかどうか判断が異なりますので、個人再生をしたいけれど、収入面の不安があるという方は、弁護士や司法書士などの専門家に相談するのが最良の方法と言えるでしょう。
正規雇用だからといって安心できる時代ではない
昨今は、大手企業によるリストラのニュースも多く聞かれ、正社員だからといって必ずしも安泰とは言えない時代です。アルバイトやパート勤めだからといって、悲観せず現在の仕事を継続することが個人再生への手がかりになるのではないでしょうか。
個人再生は、債務者それぞれの収入や暮らしぶりによって認可されるかどうかが変わります。非正規雇用で収入が少なくても、すぐに諦めてしまう必要はありません。自分の状況を包み隠さず専門家に相談してみれば、打開策が示される可能性もあるのです。
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