個人再生の弁済計画を具体的にシュミレーションしてみると…?

弁済計画

個人再生手続きをすると3年間で借金を弁済していくことになりますが、ひと月あたりの返済額がどれくらいになるのか、具体的に想像できない人は多いのではないでしょうか。ここでは、どのくらいの借金がどれほど圧縮されてひと月あたりいくら返済することになるのかについて、実例を通してシュミレーションしてみましょう。

個人再生は圧縮された借金額を3年間で弁済するもの

個人再生は、民事再生法で認められた債務整理の手段です。平成13年に民事再生法が改正され、再生手続きの特則として「小規模個人再生」や「給与所得者等再生」といった個人版の民事再生が認められるようになりました。

個人再生の特徴を知ろう

個人再生は、多額の負債を抱え自己破産の状態に陥りそうになっている債務者が使える制度です。

平成13年の改正民事再生法により、債務者は自己破産することなく経済的再生を図ることが可能になりました。再生手続きで圧縮された借金を原則3年間で完済し、生活再建を目指すことが個人再生の趣旨となります。

個人再生は債務整理方法のひとつ

借金の返済のため経済的に窮地に陥っている債務者が、事業や生活の立て直しを図るために設けられた債務整理方法のひとつです。裁判所に個人再生を利用する旨を申立て、再生計画案を作成して債権者の同意を得ることで、大幅に減額された借金を弁済することになります。

個人再生は財産を残したい人向けの制度

個人再生の大きな特徴のひとつは、財産を手元に残したまま借金の整理ができる点です。そのため、個人再生はマイカーやマイホームなどを残したい人向けの制度と言えます。

居住地域が田舎でどうしても車が必要になるなどの理由から、多額の借金を抱えていながら自己破産を回避して個人再生を選ぶ人もいます。

圧縮された借金を3年間で完済することが原則

個人再生では、大幅に圧縮された借金額を原則3年間で完済することを目指します。支払いのタイミングは毎月ではなく、3ヶ月に1回以上です。3カ月に1回であれば、3年での返済計画の場合、減額された残債を12回に分けて完済することになります。返済資金を用意するのに毎回若干の猶予があるので、支払期日までに指定された金額を間違いなく準備できるようにしましょう。

弁済期間は5年にすることもできる。しかし…

弁済期間は原則3年間ですが、「特別な事情がある」場合は5年まで延長することができます。債権者の同意さえあれば、さらに延長することが可能です。しかし、諸般の事情を鑑みると、借金はなるべく早めに完済する方が得策と言えます。

「特別な事情」とは?

裁判所に「特別な事情がある」と認められた場合は、弁済期間を5年間まで延長することができます。個人再生における「特別な事情」とは、これなら3年間で完済するのは難しく、返済期間の延長もやむを得ないと裁判所が認めた事情であり、例えば子供の進学費用や親の介護費用を捻出しなければならないこと、扶養家族が多いことなどがそれに当たります。単に「3年で返済するのはきついので5年にしてほしい」という理由では認められません。

長期になればなるほどリスクになる

返済期間を長くすれば確かに毎月の弁済は楽になりますが、人生には何が起こるか分かりません。弁済期間が長くなるほど、リストラや事故、病気等の不測の事態が発生して弁済に支障が出てくるリスクも高まります。計画通りに返済ができなければ、再生計画はそこで終了となり、個人再生手続きそのものがなかったことになってしまいます。

なるべく早めに弁済するのが吉

やむを得ない場合は5年までは返済期間を延長することはできます。しかし、さまざまな不可抗力のリスクが生じる可能性を考えると、短期間に返済しきることが可能なものはできる限り早めに弁済を終えてしまうのがベストです。なるべく原則どおり、3年で弁済を終えるようにしましょう。

個人再生の実例を見てみよう

ではここで、実際に個人再生を利用の上再生計画に則って借金を弁済した人の事例を紹介します。どれくらいの負債がどれくらい圧縮されたのか、また、毎月どのくらい返済しているのかを見ていきましょう。

個人再生の実例 その1:総額300万円の負債を抱えて個人再生

実例 その1

Aさんは、消費者金融業者等の複数の金融業者から借金を繰り返しており、借り入れ金額はそれぞれX社120万円、Y社90万円、Z社90万円の合計300万円にのぼります。Aさんは近くにある弁護士事務所に相談に行き、個人再生をすることにしました。さて、Aさんはどのように借金を返済していけばよいのでしょうか。

借金は100万円まで圧縮

最低弁済基準に照らして考えると、借金の総額が500万円以内なので、Aさんに特別高価な財産がなければ総額300万円の負債を100万円に圧縮することが可能です。つまり、個人再生計画で100万円をすべて弁済することができれば、あとの200万円は免除となります。

月々の支払額が3万円以内に!

つまり、各消費者金融業者からの借金に当てはめると、A社からの借金は40万円に、B社からとC社からの借金は、それぞれ30万円ずつに圧縮されます。3社分計100万円を3年かけて返済するので、これを36ヶ月で割ると、ひと月あたりの返済額はおよそ2万8千円です。これくらいの金額であれば返済し続けることは決して難しくないでしょう。

個人再生の実例 その2:1900万円以上もあった借金が…

次は、借金額がかなり膨らんでしまったケースを取り上げてみましょう。

実例 その2

Bさんは数年前、親の入院費や介護費が必要になり、消費者金融などから数百万円の借り入れをしました。その後も借金を繰り返しているうちに、借金額が1900万円以上にも膨れ上がります。そこで、知り合いの弁護士に相談し、個人再生をすることになりました。

1900万円以上の負債が5分の1に!

Bさんは退職金や生命保険解約返戻金などがあったため、自己破産をするのであれば相当の金額を用意しなければなりません。また、Bさんは安定的に給与が入ってきていたため個人再生の手段をとったところ、借金が約5分の1の385万円まで減額されました。

参照元:http://minji.adire.jp/case/case3.html

毎月の支払いプラス、ボーナス払いでなんとか返済

ここまで減額してもらった後、ひと月あたりの支払額を7万4千円とし、それに加え年2回のボーナス月には20万円を別途支払うとする再生計画を立てました。これで、3年間ですべて弁済できることになります。

借金で困ったら弁護士に相談を

借金が多くなればなるほど、もう自己破産しか道が残されていないように感じられる方が多いかもしれません。しかし、Bさんのように、安定した収入があることが証明できれば、個人再生の方法を選ぶことも可能です。多額の借金を抱えてどうすればよいのかわからなくなったときには、最寄りの弁護士などの専門家に相談しましょう。法律のプロがその人にとって最善の策を提案してくれるはずです。

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