個人再生手続の返済額と返済方法はどう決定する?弁済額を決定するための基準は?

返済のイメージ

個人再生をすると、膨大な債務を抱えている人でもその債務を大幅に圧縮できます。どの程度借金を減額できるかは、債務者の負債総額と保有している財産を換金処分して得られる額、場合によっては可処分所得の多寡でも違ってきます。返済額が決まれば弁済期間も設定して再生計画案を立て、その計画に沿って最後まで弁済することが必要です。

個人再生手続きで弁済すべき額はどうやって決まる?

個人再生は、多重債務者の経済的更生を図るべく債務額を大幅に減額できる手続きです。その最低弁済額は、小規模個人再生では負債総額や債務者の保有する財産、給与所得者等再生ではこの2つに加えて債務者の可処分所得によっても変わります。

個人再生手続きで債務はどれくらい圧縮されるのか?

個人再生では、大幅に債務を圧縮しますが、自己破産のように債務をゼロにするわけではありません。

個人再生手続きの中で、民事再生法上定められた「最低弁済基準」の考え方に沿って弁済額を決定する必要があります。

では、その最低弁済基準とはどのように決められているのでしょうか。

個人再生では債務が大幅に圧縮される

個人再生は、「現状は支払能力があるが、このままでは破産の可能性が高い」人を救済する制度のため、債務が大幅に圧縮されます。ただし、「自己破産」と違い、債務が全くなくなる訳ではないため、継続して安定した収入を見込めることが個人再生を行う条件となります。

収入がない人や生活保護を受けている人は、原則として個人再生をすることはできないため注意が必要です。

債務総額に応じた最低弁済基準が法律で定められている

個人再生では、最低限返済しなければならない額が定められています。最低弁済額を決定する基準はいくつかありますが、その1つが債務総額に応じた最低弁済基準です。最低弁済基準は、民事再生法によって規定されていますが、一般的に負債総額を5分の1まで減額できるケースが多くなっています。ただし、債務が100万円未満の場合は債務の全額、100万円から500万円未満の場合も100万円は最低限弁済しなくてはなりません。

個人再生手続きで弁済額を決定するための他の基準とは?

最低弁済額の決定にあたり、上記のような債務総額に応じた最低弁済基準の他にも基準が定められています。小規模個人再生と給与所得者等再生の場合では最低弁済額の決定方法が異なるので、両者の違いをきちんと把握しておきましょう。

「清算価値保障の原則」とは

個人再生では、仮に債務者が自己破産をした場合に車や住宅などの財産を処分して債権者に配当される金額以上の弁済額を支払わなくてはなりません。これを「清算価値保障の原則」といいます。清算価値保障の原則を満たしていない再生計画案は不認可となる可能性が高いです。

「清算価値保障の原則」も最低弁済額を決める基準のひとつ

小規模個人再生でも給与所得者等再生の場合も、債務総額に応じて法律上決められている最低弁済基準の他に、清算価値保障の原則による基準も定められています。債務者が所有している財産を換金処分して得られる総額が債務総額に応じた最低弁済基準よりも高額な場合には、前者が最低弁済額となるので注意しましょう。

給与所得者等再生の場合は債務者の所得も関わってくる

さらに、給与所得者等再生では、最低弁済基準および財産評価額の他に債務者の可処分所得が弁済額に関係します。上記の2つの基準を債務者の2年分の可処分所得が上回る場合には、そちらを最低弁済額と設定する必要があります。

個人再生での弁済方法と弁済期間はどのようになる?

個人再生手続きでは、作成した再生計画案に沿って通常3年間、特別な事情がある場合は最長5年間で分割弁済をすることになります。再生計画案は、債務者がきちんと支払いを継続できるような無理のない内容にすることが大切です。

個人再生の弁済方法と弁済期間は?

個人再生は、圧縮した債務を原則3年間で分割返済する手続です。きちんと弁済ができなければ、個人再生手続は強制終了され、せっかく減額してもらった債務も元に戻ってしまいます。手続の中で、無理なく弁済できるような再生計画を立てましょう。

3カ月に1回以上の分割弁済であればOK

個人再生手続では、再生計画案に沿った弁済を続けて債務を完済した時点ではじめて残債務が免除されます。無理なく弁済を続けていけるどうかが重要なため、支払は3カ月に1回以上であれば問題ないとされています。

弁済期間は延長が認められるケースも

民事再生法によって定められた個人再生の弁済期間は原則として3年間ですが、やむを得ない特別な事情がある場合のみ、最長5年まで延長することが可能です。「特別な事情」とは、例えば収入が少ない場合や医療費・介護費・教育費などがかさんでいる場合などを指します。3年では弁済できないことが予測される場合には、弁護士などの専門家に相談の上、弁済期間の延長を申し出ることをおすすめします。

弁護士などに相談しながら再生計画を立てよう

個人再生は、裁判所に認可された再生計画案に沿って債務の弁済をしていく手続です。債権者から異議の出るような再生計画案だと、裁判所からの認可は下りません。弁護士などの専門家に相談しながら、ある程度債権者の合意も得られ、なおかつ債務者にとっても無理なく弁済できるような再生計画を立てましょう。

個人再生は再生計画案の作成が成功の鍵

個人再生は、作成した再生計画案が裁判所に認可されないと手続を進めていくことができません。裁判所に認可してもらうためには、債権者から再生計画案について異議が出ないことも大切です。そのため、個人再生を成功させるには、まず債権者からある程度合意を得られるような再生計画案を作成する必要があります。再生計画案が認可されたら、それに沿った弁済を続け債務を完済した時点で残債が免除されます。3年間あるいは5年間、実際に弁済を継続できる再生計画案を立てるようにしてください。

再生計画案の作成には、弁護士などの専門家にアドバイスを求めよう

裁判所の認可を得る再生計画案の作成には、やはり弁護士や司法書士などの専門家に協力を仰ぐことが大切です。債務整理に精通した弁護士や司法書士なら、再生計画案が不認可にならないポイントをよく知っています。法律のプロの力を借りて、スムーズに裁判所からの認可が得られるような再生計画案を作成しましょう。

再生計画の不明点や心配事は、弁護士などの専門家に相談を

個人再生は、債務者を救済するために債務を大幅に圧縮し、債務者を経済的に立ち直らせるための債務整理手続です。弁済すべき額や弁済に要する期間は債務者の状況によって異なりますが、無理のない再生計画を立てて、きちんと借金を完済することが何よりも大切です。再生計画案の立て方について不明な点や心配な点があれば、弁護士などの専門家に相談するようにしましょう。

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